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2026.10.10

ダイカスト トレーサビリティ導入|ショット単位の刻印・紐付け・RFP

ダイカスト トレーサビリティ導入|ショット単位の刻印・紐付け・RFP

ダイカストのトレーサビリティ導入を検討するタイの工場では、よく似た状況を見かけます。部品には金型内の日付ピンとキャビティ番号が鋳出されていて、記録は「どのマシンで、どの日に、どの金型で作ったか」というロット単位。ダイカストマシンには射出条件を監視する機能があり、ショットごとの波形も残っているのに、そのデータはマシンの中かUSBメモリに留まっていて、部品とは結びついていない。客先から鋳巣(ポロシティ)のクレームが来ると、疑わしい範囲は「その日にそのマシンで作った全部」になり、倉庫と客先の在庫をまとめて選別する。チョンブリー、ラヨーン、アユタヤ、プラチンブリーの日系アルミダイカスト工場で、珍しくない光景です。

この記事は、自動車・二輪・EV部品(ハウジング、ケース、ブラケット、ナックルなど)を作るダイカスト工場の工場長、品質保証課長、生産技術、IT担当に向けて、トレーサビリティを強化するときに「何を、どこで、どの方式で刻み、何を紐付け、どう比べ、いくらで、どう進めるか」を整理した実務ガイドです。

最初に、この記事の主張をまとめておきます。

ダイカストの品質はショットごとに変わります。それなのに記録がロット単位だと、クレームのときに疑わしい範囲はロット全体に広がります。ショット単位で追う価値は「記録が増えること」ではなく、「封じ込めの範囲が狭くなること」にあります。

ダイカストのトレーサビリティがうまくいかない典型は、次の3つです。

  • ①刻印が後工程(熱処理・ショットブラスト・機械加工)で読めなくなる
  • ②ショット番号と部品の対応が、取出し・冷却・トリミングの間にずれる(暖機ショット、廃却ショット、手置き)
  • ③X線・リーク・加工の結果が別々のシステムに散らばり、同じIDに積まれていない

ですから、製品を比べる前に、次の4つを先に決めておくことを勧めます。

  • (a) どの単位で追う必要があるか(顧客要求、安全・気密部品か、IATF 16949 のトレーサビリティの考え方)
  • (b) どこで刻むか(マシン出口の直後が基本。後工程に耐える深さとセルサイズ)
  • (c) ショット番号と部品IDをどの瞬間に結ぶか(ずれをどう検出し、ずれたらどう止めるか)
  • (d) 後工程の検査結果をどこに積むか

なお、この記事は特定の製品を推奨したり、ランキングを付けたりするものではありません。法務や規格適合のアドバイスでもありません。IATF 16949、タイの個人情報保護法(PDPA)、BOI(タイ投資委員会)の恩典は「確認すべき論点」として紹介するもので、最終的な判断は顧客、認証機関、専門家に確認してください。試算に出てくる台数、個数、単価、費用は、すべてこの記事のための仮の数字です。

なぜ今、タイのダイカスト工場でトレーサビリティを見直すのか

自動車生産は月によって大きく振れる

タイの自動車生産は、2026年に入って月ごとの振れが大きくなっています。ロイター配信の記事(Capital.comへの転載)によると、タイ工業連盟(FTI)の発表で、2026年8月の自動車生産は124,646台、前年同月比+10.93%でした。国内販売は+25.59%、輸出は−2.04%です。一方で、FTIは中東の戦闘による輸出減を理由に、2026年通年の生産を−3.33%と予測しています(従来は+3%の予測でした)。

タイの業界ニュースサイトmreportの月次記事では、6月の生産が120,391台(−7.55%)、7月が117,383台(+6.12%)で、8月のBEV(電気自動車)生産は前年同月比+77.38%の13,126台でした。

The Nationの2026年8月1日の記事によると、FTIは2026年の生産目標を150万台から145万台に、輸出目標を95万台から90万台に引き下げました(国内目標の55万台は据え置き)。1〜6月の生産は717,212台で、前年同期比−1.04%です。理由として、中東紛争による航路の混乱、米国の通商障壁、中国EVメーカーとの競争、輸入国の排ガス規制の強化が挙げられています。同じ記事は、EV販売の伸びの多くは国内生産車ではなく輸入車によるもので、現地調達部品が90%を超えるピックアップの販売低迷がサプライチェーンを弱めている、とも書いています。

部品産業はEV部品で伸びる見通し

アユタヤ銀行系のクルンシィ・リサーチは「Industry Outlook 2026-2028: Auto Parts Industry」(2026年5月)で、タイの自動車部品の生産指数が2026〜2028年に年1.5〜2.5%増えると見ています。主な理由は、EV部品の生産能力の拡大と、EV 3.5スキームでBEVメーカーに求められる補償生産・国産部品の使用です。同レポートでは、2025年の自動車部品の輸出額は+6.9%の240億ドルでした。銀行系シンクタンクの予測であることに注意してください。

投資と制度も動いている

BOIのプレスリリース(No.117/2569、2026年7月)によると、2026年上期の投資申請は全体で1,299件・436億ドル(約1.47兆バーツ、前年同期比+37%)でした。自動車セクターは122件・7.592億ドル(約257億バーツ)、機械更新・デジタル技術の導入・自動化を対象とする「Smart and Sustainable Industry」施策には132件・5.076億ドル(約172億バーツ)の申請がありました。日本からの申請は123件・9.701億ドル(約328億バーツ)です。いずれも申請ベースの数字で、認可額や実際の投資額ではありません。

また、BOIは告示No.5/2569(2026年1月15日)で、自動車部品製造のタイ・外国合弁を促進する施策を出しています。タイ法人が登録資本の20%以上を保有するなどの条件を満たすと、法人所得税(CIT)の免除が3年追加されます(合計8年まで)。申請期間は2026年の最初の営業日から2027年の最後の営業日までです(BOIの非公式英訳による。詳しい条件はBOIと専門家に確認してください)。

ダイカスト業界では、2026年5月20〜22日にチョンブリーで東南アジアのダイカスト展示会・会議「SEA DIECASTING 2026」が開かれました。Foundry-Planetの記事によると、来場者は約20の国・地域から1,000人超、出展は60社超で、会議ではギガキャスト、EV製造、軽量構造、自動化、シミュレーションなどが取り上げられています。

EV部品は「気密」と「巣」の要求が厳しい

こうした数字から言えるのは、タイのダイカスト工場が「量は月によって振れるが、EV部品の比重は上がっていく」環境にいる、ということです。EV用の鋳造ハウジング(バッテリー筐体、駆動ユニット、パワーエレクトロニクスのケース)にはリークテストが必要だと、リークテスタメーカーのCincinnati Test Systemsは解説しています。三重県工業研究所の報告(2016年)も序論で、鋳巣は加工面に出る外観不良や耐圧不良の原因になると説明しています。気密が要る部品ほど、巣の管理と記録が重くなります。

量が振れる中でクレームが1件出ると、ロット単位の記録では選別の手間と客先への影響が大きくなります。受注を取りにいく場面で、顧客から個体管理の仕組みを問われることもあります。トレーサビリティの見直しは、この両方への備えです。

ダイカストのトレーサビリティとは:ロット・ショット・個体の3つの単位

3つの単位

ダイカストのトレーサビリティは、「1つの部品について、いつ、どのマシン・どの金型・どのキャビティで、どんな条件で鋳造され、どんな検査を通ったか」をたどれる状態を指します。どこまで細かくたどれるかで、次の3つの単位に分けて考えると整理しやすくなります。

単位部品から分かること代表的な手段クレーム時の疑い範囲
ロット合金、工場、生産日・シフト、金型、キャビティ金型内刻印(日付ピン、キャビティ番号)+ロット票そのマシン・その日(またはシフト)の全部
ショット上に加えて、どのショットで鋳造されたか(=そのショットの射出条件)部品ごとのコード(DataMatrixなど)+ショット番号との紐付け条件が逸脱したショットとその前後
個体上に加えて、その部品が通った後工程(熱処理、X線、加工、リーク)の結果同じコードに後工程の結果を積む該当する個体と、同じ条件の個体

ダイカストでは1ショットで複数個(2個取り、4個取りなど)が鋳造されるので、「ショット単位」と「個体単位」は同じではありません。ショット番号にキャビティ番号を組み合わせると、1ショットの中の1個を特定できます。

金型内刻印で分かること・分からないこと

金型内刻印(金型に彫った文字やピンで、部品に鋳出す方法)は、ダイカストで広く使われています。レーザーマーカーメーカーLaseraxのCTOらが書いたDie Casting Engineer誌(NADCA)2018年1月号の記事によると、金型内刻印で示せるのは、合金、工場、顧客のロゴ、生産日とシフト、使った金型・キャビティです。ただし、時刻や連番は通常入らず、1個ずつ固有のコードを入れる用途、個体の工程条件と結び付ける用途、2次元コードには使われない、とされています。

つまり、日付ピンとキャビティ番号で分かるのは「その日のそのキャビティ」までです。その日に何百ショット打ったとしても、どのショットの部品かは分かりません。ショット単位の射出条件と部品を結び付けたいなら、部品ごとに固有のコードを刻む必要があります。

同じ記事は、高信頼性部品だけでなく通常のダイカスト部品でも全数の個体識別を求められる例が増えていると述べています(レーザー刻印を扱うメーカー側の見方である点に注意してください)。Laseraxなどが2016年にまとめたダイカスト部品の識別技術のレビュー論文でも、構造部品などの高信頼性部品では、通常、生産全数の個体識別が必要だとしています。

どの単位が必要かは、顧客要求とリスクで決まる

自動車部品のトレーサビリティ要求の中心は、IATF 16949:2016の箇条8.5.2.1(識別及びトレーサビリティ)です。規格本文は有償のため、ここでは公開されている二次資料(品質フォーラムに引用された要旨と解説サイト)による要旨を紹介します。

  • すべての自動車製品について、社内・顧客・法規制のトレーサビリティ要求を分析し、リスクと故障のレベルに基づいてトレーサビリティ計画を作る
  • その計画で、不適合品・疑わしい製品の特定と隔離ができ、顧客・法規制の対応時間の要求を満たせるようにする
  • 対応時間の要求を満たせる形式(電子、紙、アーカイブ)で記録を保持する
  • 個々の製品のシリアル番号による識別は、顧客または法規制が指定した場合に行う

ここで大事なのは、全数の個体シリアル化がIATF 16949の一律の要求というわけではないことです。個体シリアルは、顧客または法規制が求める場合に必要になります。どの単位で追うかは、顧客固有の要求と、部品の安全性・気密性などのリスクから決めることになります。IATFは2026年7月のステークホルダー向け通知でIATF 16949第2版の発行予定を2027年半ば(暫定)としていますが、トレーサビリティ条項の改訂内容は公表されていません。

鋳造に特化した評価基準としては、AIAGのCQI-27(Special Process: Casting System Assessment)があります。AIAGの公開情報によると、第2版は2018年3月に発行され、ステークホルダー・レビュー版の告知では、プロセステーブルの中に「アルミ高圧ダイカスト」「マグネシウム高圧ダイカスト」「亜鉛高圧ダイカスト」が含まれていました。ただし、トレーサビリティについての具体的な要求はAIAGの公開ページには書かれていないため、「CQI-27がショットデータの個体紐付けを求めている」とは言えません。熱処理のCQI-9については熱処理の加工条件記録システムの記事で扱っています。AIAGはまた、2019年1月にトレーサビリティの指針(Traceability Guideline)を発売しており、良い例と悪い例、自己評価と模擬訓練(ファイアドリル)のためのフォームを含むと告知しています。

客先監査や要求の読み方については、自動車部品トレーサビリティとIATF 16949の記事とIATF 16949トレーサビリティの証跡設計の記事で詳しく扱っています。この記事は、その要求を鋳造セルでどう実装するかに絞ります。

ショットデータで何を記録するか:ダイカストのショットデータ管理

品質はショットごとに変わる

ダイカストは、溶湯を金型のキャビティへ高速で射出して凝固させる鋳造法です。マツダ技報(No.31、2013年)は、溶湯を「100分の1秒オーダ」で射出すると説明しています。同じ技報によると、射出速度が低く充填時間が長いと、ゲートから遠い部位で溶湯の温度が下がり、湯境や湯廻り不良などの充填不良が出やすくなります。充填完了の直後に加える鋳造圧力は主に鋳巣を潰すためのものですが、凝固が始まった部分には伝わりにくく、そこに巣が残りやすくなります。

同じ技報は、シリンダブロックの製造で、キャビティ内の減圧度・鋳造圧力・金型温度などをリアルタイムで監視し、ショットごとに理想の鋳造条件にあることを確認して品質のばらつきを抑えている、と書いています(キャビティをゲージ圧−90kPa以下に減圧する超高速高真空ダイカストの事例で、一般の工場の標準値ではありません)。自動車メーカーが「ショットごとに確認する」と書いているということは、裏を返せば、条件はショットごとに変わり得るということです。

公開研究に見る、条件と欠陥の関係

条件と欠陥の関係を数字で示した公開研究もあります。いずれも個別の研究で、業界の平均値ではありません。

三重県工業研究所の研究報告(No.40、2016年)は、県内4社の量産ダイカスト品16製品(すべてADC12)から試験片40個を切り出し、X線CTで鋳巣の体積率(ボイド体積率)を測りました。鋳造圧力が約40MPaの試験片ではボイド体積率が約0〜4%に散らばりましたが、圧力が高いほど小さく範囲も狭くなり、約70MPaでは約2.5%以下でした(いずれも報告が図をもとに述べている概数です)。また、全ガス量とボイド体積率には相関が見られず、「全ガス量を低減するだけでは鋳巣量を低減できない」と結論しています。冷却速度が遅いと鋳巣が大きく増えることも示されています。

ポーランドの研究者Brzezińskiらの論文(Materials誌、2024年)は、自動車の安全システム部品(2個取り、合金AlSi9Cu3(Fe)、型締力850トンのマシンのロボットセル)を対象にしています。この工場では、ビスケット厚(スリーブ内に残る余剰の溶湯の厚さ)が全ショットで自動記録され、7日間で4,995点のデータがありました。ビスケット厚の公称値は25mm、許容は±10mmで、ビスケット厚が小さくなるとX線で評価したポロシティが増える関係が見られました。加工面のポロシティによる不合格率は、第1期の平均1.74%から0.92%、0.79%へと下がり、初期値から55%減りました。論文はこれを、工程の安定化とビスケット厚を公称値に近づけたことによるものとしています。なお、X線の総合評価が約18%改善した点は、型のスライダー部を封止して漏れていた溶湯を型内に留めた対策によるもので、ビスケット厚とは別の要因です。

この論文で一般に制御されるパラメータとして挙げられているのは、プランジャ速度(第1段・第2段)、高速への切替点、増圧(鋳造圧力)です。

記録する項目の候補

上の資料を手がかりに、ショットごとに残す項目の候補を整理すると次のようになります。どの項目を、どの粒度で保存するかは工場と部品ごとに決める値で、一般値はありません。

項目記録する理由備考
ショット番号・タイムスタンプ部品IDと結ぶ鍵になるマシンのカウンタとセル側の時刻をそろえる
金型ID・キャビティ番号1ショット内の個体を区別する金型の保全履歴とも結ぶ
低速・高速の射出速度、高速切替位置充填不良・湯境の要因第1段・第2段を分けて残す
鋳造圧力(増圧)鋳巣の量に関係する三重県の研究、マツダ技報
ビスケット厚ポロシティとの相関の報告があるBrzezińskiらの研究(1工場・1部品)
金型温度凝固と湯廻りに影響する測定点の位置を決めておく
真空度(減圧度)真空ダイカストの場合マツダ技報の事例
サイクルタイム段取り・異常停止・暖機の判別に使う異常ショットの目印になる
ショットの判定結果良品・廃却・暖機の区別紐付けのずれを防ぐ鍵(後述)

射出の波形そのものを全ショット保存するか、波形から計算した代表値(最大速度、到達圧力など)だけを保存するかでデータ量は大きく変わります。最初は代表値と判定結果を全ショット、波形は一定期間だけ保存し、必要に応じて広げるのが現実的です。設備からのデータの取り方についてはPLCデータ収集の記事で、条件の変化を管理図で早めに見つける方法はSPC異常検知AIの記事で扱っています。

設備側の状態も品質に影響します。マシンメーカーのUBEマシナリーは、スリーブ内のアルミ付着が増えると射出時にチップのかじりが起き、湯面の波立ちで鋳造品質が不安定になる、と説明しています(メーカーの説明)。設備の状態をショットと同じ時間軸で残しておくと、後で原因を探すときに役立ちます。

ダイカストのトレーサビリティが定着しない3つの理由

ショットデータを集める仕組みを入れても、部品から逆引きできなければ封じ込めには使えません。うまくいかない理由は、ほぼ次の3つに集約されます。

理由①:刻印が後工程で読めなくなる

ダイカスト部品は、鋳造の後にトリミング、熱処理、ショットブラスト、機械加工、洗浄、化成処理、塗装などを通ります。前述のレビュー論文は、ダイカストの刻印の難しさとして、サイクルが短いこと、面が平らでないこと、刻印時に部品が高温で離型剤や汚れが残っていること、そして熱処理・ショットブラスト・洗浄・化成処理などの後処理に耐える必要があることを挙げています。

たとえばレーザー刻印は、黒い刻印部が素地より盛り上がるため、そのままではショットブラストに弱いとされます。インクジェットは機械加工やショットブラスト、洗浄・化成処理で消えやすい、ともされています。マシンの出口で読めたコードが、出荷前には読めない。これでは、肝心の後工程の結果を同じIDに積めません。

理由②:ショット番号と部品の対応がずれる

もう一つの典型は、ショット番号と部品の対応がずれることです。ダイカストセルでは、次のようなことが日常的に起きます。

  • 金型を温めるための暖機ショットが、生産のショットと同じカウンタで数えられる
  • 条件が逸脱したショットや、取出しで落とした部品が廃却され、その分だけ番号が飛ぶ
  • 取出しロボットが止まり、作業者が手で部品を冷却コンベヤや棚に置く
  • 冷却やトリミングの途中で部品の順序が入れ替わる
  • いったん外した部品を後で工程に戻す(再投入)

刻印ステーションが「次に来た部品には次のショット番号」という前提で動いていると、1回の手置きや廃却で、それ以降の部品すべての対応が1つずつずれます。しかも、ずれたことに誰も気づきません。データはそろって見えるのに中身が違う、という一番危ない状態です。

理由③:検査結果が別々のシステムに散らばる

3つ目は、X線、リーク、機械加工の測定などの結果が、それぞれの装置やExcelに別々に残り、同じ部品IDに積まれていないことです。クレームが来てから各部署のデータを集めて手で突き合わせると、日数がかかり、突き合わせ自体を間違えることもあります。

記録が読めないと疑い範囲が広がる、という点は、部品の種類を問わずリコールの報告にも表れています。2026年9月に米国のNHTSA(運輸省道路交通安全局)に提出されたJaguar Land Roverのリコール報告(26V613、Range Rover Sport SVの後部サブフレーム)では、サプライヤーで欠陥が見つかった後、通常は寸法解析に使う数千枚の生産時の画像を手作業で見直し、少数の車両で亀裂を確認しました。一方で、システムの保存エラーのために、より多くの車両で生産時の画像を取り出せませんでした。亀裂を確認した車両は部品の交換、画像で確認できなかった車両は点検して亀裂があれば交換、という対応です。対象台数は初回報告(9月24日)で873台、改訂報告(9月29日)で1,073台でした(米国内での事故・負傷の報告はありません)。記録が残っていても、取り出せなければ「確認できなかった」側に入り、点検の対象になります。

どこで刻むか:工程の流れと刻印の位置

ダイカスト トレーサビリティ導入|ショット単位の刻印・紐付け・RFP - figure 1

IDはマシン出口の直後に付けるのが基本

上の図は、ダイカスト部品の典型的な工程の流れと、IDを付ける位置、各工程の結果をどこに積むかを示したものです。熱処理は、すべての合金・部品で行うわけではありません。

ショットと部品を確実に結び付けるには、部品がマシンから出てすぐ、ほかの部品と混ざる前にIDを付けるのが基本です。トリミングや冷却の後で刻印すると、その間に順序が入れ替わる機会が増え、理由②のずれが起きやすくなります。

実際に、取出しの直後に刻印する構成は公開資料に見られます。Laseraxは自社のショットブラスト対応刻印について、ダイカスト品を「鋳造機の出口ですぐ」識別できると説明しています(メーカーの説明)。Laseraxなどの2017年の論文では、回転テーブル式の密閉筐体でレーザー刻印をしている間に、ロボットが焼入れ(クエンチ)、トリミング、搬出コンベヤへの載置、次の部品の把持、刻印の検証を進める構成を紹介しています。古い例では、2008年の業界誌記事が、マシンメーカーのBühlerによる、取出しロボットが部品を冷却棚に置いてから刻印する、またはトリミングプレスへ渡すといった柔軟な配置を紹介しています(2008年の記事で、現在の製品の説明ではありません)。こうした構成が実在することは言えますが、すべての工場がこの位置で刻印しているわけではありません。

刻むのは「番号」だけでよい

部品に刻むのは、基本的には固有のID(シリアル番号)だけで十分です。ショット番号、射出条件、検査結果はデータベース側でIDに結び付けて持ちます。ID以外の情報まで部品に刻もうとすると、コードが大きくなり、刻印時間が延びます。人が読める文字を併記するかどうか、どの面に刻むか(加工で削られない面、組付け後も読める面)は、顧客の図面と相談して決めてください。

一つのIDに、すべての結果を積む

図の下段が示すように、一つのIDに、ショットデータ、熱処理のバッチ、X線の判定、機械加工の測定、リークテストの結果、出荷の梱包を順に積んでいきます。そのためには、各工程の入口でコードを読む装置が要ります。読めなかった部品をどう扱うか(止めるのか、手入力を許すのか、別の流れに回すのか)も、ここで決めておきます。

部品番号の体系そのものの決め方はシリアル番号管理システムの記事で、設備の履歴と製品を結び付ける考え方は業種横断の生産設備トレーサビリティの記事で扱っています。

刻印方式の比較:ダイカストの刻印と二次元コード

4つの方式

ダイカスト部品に識別を付ける方式は、大きく4つに分けられます。前述のレビュー論文(2016年)とDie Casting Engineer誌の記事(2018年)の比較をもとに整理すると、次のとおりです。

方式部品ごとの固有コード後工程への強さ主な注意点
金型内刻印(日付ピン・キャビティ番号)入れられない(日付・シフト・キャビティまで)鋳出しなので強い時刻や連番は通常入らない。2次元コードには使われない
ドットピン(打刻)入れられる深く刻むので丈夫遅い。部品の精密な位置決めが必要。対応できる面の凹凸は1/4インチ程度まで。繰返し性が完全でないと不良の原因にもなる
レーザー(DataMatrixなど)入れられる条件次第。表面刻印はショットブラストに弱い凹凸面・高温でも精密に刻印できる。ブラストに耐えるには深彫りが要り、時間が延びる
ラベル・タグ入れられるはがれやすい高温に耐えるものはコストがかかり、ダイカストには不向きとされる

インクジェットは、機械加工やショットブラスト、洗浄・化成処理で消えやすいとされます。実務では、金型内刻印(ロット・キャビティの識別)と、レーザーやドットピンによる固有コードを併用する形が考えられます。刻印装置そのものの選び方は産業用レーザーマーカー選定の記事で、コードの種類(バーコード、QR、DataMatrix、刻印、RFID)の使い分けはトレーサビリティのバーコード選定の記事で扱っています。

刻印時間はサイクルタイムに収まるか

レーザー刻印で最初に確かめたいのは、刻印時間がマシンのサイクルタイムに収まるかどうかです。LaseraxがMercury Marineなどと行った2017年の試験では、次のような値が報告されています。これは1社の試験条件での値で、合金・形状・装置・刻印内容で変わります。

条件(後処理なしの2次元コード、白背景・クワイエットゾーン1mm込み)30W50W100W
20mm角14.9秒8.4秒4.3秒
10mm角4.1秒2.2秒1.2秒

同じ試験では、アルミに2Dヘッドで高コントラストに刻印するには、焦点位置を表面から±3mm以内に置く必要があり、外れるとコントラストが急に落ちました。部品の位置が安定しない場合は、距離センサーで補正する3Dヘッドを使います(追加の遅れは50ms未満と報告されています)。

ショットブラストに耐える深彫り

ショットブラストを通る部品では、レーザーで複数回彫り下げてから黒化し、周囲の面で刻印を守る「深彫り」を使います。同じ2017年の試験(362合金のMercury Marine部品)では、次の結果でした。

  • セル(コードの1マス)のサイズは、0.4mmではブラスト後に読めず、0.6mmが最適
  • 彫り下げの回数は、3回では消え、6回で読めるが誤り訂正を多く使い、9回で良好、12回でコントラストが最大になり、ブラスト前の平均(0.61)に近づいた
  • 100Wレーザーで約13mmのコードに37秒かかった
  • 彫り下げない表面刻印なら20mm・セル1.0mmで約2秒だが、ブラスト後のコントラストは低い

37秒は、多くのダイカストのサイクルタイムより長くなり得ます。論文が回転テーブル式の筐体で刻印時間を他の作業の裏に隠す構成を紹介しているのは、このためです。別の資料でLaseraxは、時間に制約がある場合に深さ0.15mmで6秒未満の刻印を示しています(メーカーの説明。同じ資料の試験はA380合金、10×10マトリクス、90秒のショットブラスト)。

電着塗装(E-coat)を通る場合は、セル0.75mm以下は塗装後に読めず、セル1.25mm・20mm・刻印約2秒の条件が最良でした。ショットブラストの後に電着塗装をすると、コントラストはむしろ上がったと報告されています。熱処理については、Die Casting Engineer誌の記事が、クロメート処理とT6/T7熱処理は、技法とパラメータを適切に選べばレーザー刻印の読取性への影響は小さかった、と述べています。

つまり、刻印の条件は「どの後工程を通るか」で決まります。RFPでは、自社の部品と自社の後工程の条件(ブラストの投射材と時間、熱処理の条件、塗装)で試し打ちをしてもらい、後工程を通した後の読取結果で比べてください。

刻んだらすぐ読み、品質を測る

2017年の論文は、「完全なトレーサビリティ」のために、刻印の直後にカメラでコードを読み、刻印すべきデータと照合することを推奨しています。読取の工程で、コードの品質が顧客や自社の基準を満たすかも確かめられます。

部品に直接刻んだコード(DPM)の品質は、ISO/IEC 29158(AIM DPMを元にした、部品直接刻印の品質ガイドライン)の考え方で測ります。Cognexの資料によると、主な評価項目はセルコントラスト(CC)、セルモジュレーション(CMOD)、分布損傷グレード(DDG)、最小反射率(MR)、デコードで、照明は既定の4方向45°のほか、30°や90°同軸拡散も使えます。DataMatrixには誤り訂正があり、一部が欠けても読める場合がありますが、それに頼らず、後工程の後でも一定の等級を保てる条件を決めておくことが大事です。検証機の選び方はバーコード検証機の記事で扱っています。

ショット番号と部品IDを結ぶ瞬間

「次の部品は次のショット」と仮定しない

理由②で見たとおり、ショット番号と部品IDの対応は、何もしなければずれます。紐付けで一番大事なのは、「次に来た部品は次のショット」と仮定せず、結んだ瞬間にその対応が正しいかを確かめられる仕組みにすることです。

考え方の例を挙げます。

  • 刻印の時点で、マシンからそのショットの番号と判定を受け取る。刻印ステーションが自分でカウンタを持つのではなく、マシン(またはセル制御)から「今取り出した部品はショットNo.○○、キャビティ○、判定は良品」という情報を受け取ってから刻む
  • 暖機ショットと廃却ショットには、IDを発行しない。マシン側の判定で「暖機」「廃却」となったショットは、刻印の対象から外し、その記録だけを残す
  • ショットとIDの組を、刻印直後の読取で確定する。刻んだコードを読んで、送ったデータと一致したら初めて「紐付け済み」とする
  • キャビティごとの置き場所を固定する。複数個取りの場合、ロボットがどのキャビティの部品をどこに置くかを決め、刻印の位置とキャビティ番号を対応させる

ずれを検出する方法

それでも、ずれは起きます。ずれを検出する方法を、設計の段階で決めておきます。

  • 数の照合:一定時間ごとに、マシンの良品ショット数×取り数と、刻印・読取済みの部品数を比べる。差が出たら知らせる
  • 時刻の照合:ショットの時刻と刻印の時刻の差が、想定(取出しから刻印までの時間)を外れたら知らせる。このためには、マシン、刻印機、データ収集サーバーの時計がそろっている必要があります。時刻のそろえ方は工場の時刻同期の記事で扱っています
  • 手置きの記録:作業者が部品を手で置いた、または工程に戻したときは、画面でその部品のコードを読ませ、どのショットの部品かを手で確定させる。確定できない部品は、ショット不明として扱う

ずれたら止める

ずれを検出したときの動きも決めておきます。考え方は「ずれたまま記録を続けるより、止めて確定する方がよい」です。ずれた後のデータは、そろって見えても信用できません。照合が合わなければ刻印を止め、その間の部品は「ショット不明」の区分に入れて、ロット単位の扱い(従来どおりの範囲で管理)に戻します。セルを止める基準と、誰が確認して再開するかを、作業標準に書いておきます。

金型の情報も同じキーで結ぶ

ショットとIDに加えて、金型IDとキャビティ番号、金型の保全履歴(修理、部品交換、清掃)も同じ時間軸で結んでおきます。後で見るように、金型の保全をきっかけに不具合が出た事例があるためです。金型のショット数と保全の管理については金型管理システムの記事で扱っています。

X線・リーク・加工の結果を同じIDに積む:ダイカストのX線検査記録

X線検査の結果をIDに残す

アルミ・マグネシウムのダイカストのX線検査では、ASTM E505(現行はE505-22、2022年12月)の参照写真があります。AFNORの販売ページの要旨によると、E505-22はアルミ・マグネシウムのダイカストの不連続(欠陥)をカテゴリーと重大度で示す参照写真で、アルミ・マグネシウムそれぞれに3つのカテゴリー、各4段階の重大度があり、肉厚1/8インチ(3.2mm)から5/8インチ(15.9mm)を対象とします(規格本体は有償で、ここでは要旨による紹介です)。前述のBrzezińskiらの研究でも、X線でのポロシティ評価にASTM E505と社内基準を使っています。

同じ研究では、X線検査は全数ではなく、工程の変動を考慮して広い期間にわたる代表サンプルで行っており、全数をX線にかけるのは数量的に不可能だとしています。全数を検査しないからこそ、どの部品をX線にかけ、どのショットの条件だったかを残すことに意味があります。サンプルの判定とショット条件を結べば、「同じ条件で鋳造した他の部品」の範囲を絞れるからです。

インラインのX線検査を自動化する仕組みも公開されています。Fraunhofer IISのISARは、自動欠陥認識で巣やポロシティを検出し、検査結果をリアルタイムで生産側に送って、既存の生産データ収集システムと接続し、傾向の監視や工程の最適化に使うと説明しています。同じくFraunhofer IISのRoboCTは、大型・複雑なダイカスト品(クロスメンバー、バッテリートレイ、ギガキャストなど)向けの2D X線とCTの自動検査で、関連製品のCast Controlはダイカストの工程データと検査結果を結び付けて欠陥の系統的な原因を特定する、と説明しています(研究機関による製品の説明です)。一方で、三重県工業研究所は2016年の報告で、X線CTによる鋳巣原因の判定は広く普及するに至っておらず、中小企業が活用するのは難しいと書いていました(10年前の記述です)。

リークテストの結果をIDに残す

気密が要るハウジングやケースでは、リークテストの結果も同じIDに積みます。Cincinnati Test Systemsは、EV用の鋳造ハウジングのリークテストで最も一般的な方式は差圧式の圧力降下法だと解説しています。

リークテストの結果と部品IDをどう結ぶかを具体的に示した一次資料は、この記事の調査では確認できませんでした。一般的には、テスターの入口でコードを読み、試験条件(試験圧力、時間、プログラム番号)、測定値、判定、テスターの番号、日時をそのIDに書き込む形になります。不合格品の再試験を何回まで許すか、再試験の結果をどう残すか(上書きしないで履歴として残すか)も決めておきます。リークテスト装置の選び方は工業用リークテスト装置の記事で扱っています。

加工・熱処理の結果をIDに残す

機械加工で加工面に巣が出た場合、その部品のIDから、どのショットで鋳造されたかを引ければ、射出条件と巣の関係を後から調べられます。冒頭で触れたとおり、鋳巣は加工面に出る外観不良や耐圧不良の原因になります(三重県工業研究所の報告の序論)。Brzezińskiらの研究が「加工面のポロシティによる不合格」を指標にしているのも、加工で初めて表面に出てくる巣があるからです。熱処理を行う部品は、熱処理のバッチ番号と炉の記録を、そのバッチに入った部品のIDに結び付けます。

こうして検査結果を一つのIDに積むと、不良の原因をショット条件までさかのぼって調べられるようになります。品質データの持ち方は品質データ管理システムの記事で、原因の特定の進め方は不良の原因を特定するシステムの記事で扱っています。

封じ込め範囲:ロット単位とショット単位の差

疑い範囲はどれだけ変わるか

ショット単位で追う価値が一番はっきり出るのは、クレームが来たときの封じ込めです。ここでは、後の試算と同じ仮の工場で比べます。以下の個数と金額は、すべてこの記事のための仮の数字です。

  • 想定工場:アルミダイカスト、マシン8台、月産240,000個
  • 月25日稼働と置くと、1台1日あたり240,000÷8÷25=1,200個
  • 現状(ロット単位):記録は「マシン×日」。クレームで特定できるのは「このマシンのこの2日」までで、疑い範囲は1台×2日=2,400個
  • 導入後(ショット単位):クレーム品のIDからショットを特定し、条件が逸脱したショットとその前後だけに絞れる。疑い範囲は120個(たとえば2個取りで前後合わせて60ショット分)
ダイカスト トレーサビリティ導入|ショット単位の刻印・紐付け・RFP - figure 2

上の図の左は疑い範囲の個数、右はクレーム1件あたりの費用を比べたものです。

項目ロット単位(現状)ショット単位(導入後)
疑い範囲2,400個120個
選別・再検査(40 THB/個)2,400×40=96,000 THB120×40=4,800 THB
客先ライン停止・選別費150,000 THB50,000 THB
クレーム1件あたりの合計246,000 THB54,800 THB

差は246,000−54,800=191,200 THB/件です。客先の費用が下がると置いているのは、疑い範囲が狭いと客先での選別や停止が短く済むと仮定したためで、実際にどれだけ下がるかは客先との取り決めによります。

範囲を絞れた例:金型の保全とロット

ショット単位ではなくロット単位の例ですが、金型の保全をきっかけにした不具合で、対象を単一のロットに絞って対応した事例があります。HyundaiがNHTSAに提出したリコール報告(26V069、2026年2月)では、2026年式Kona(ガソリン車)の前ステアリングナックルについて、単一の生産ロットのナックルが不適切に鋳造された可能性があるとしました。原因は、定期保全(2025年10月の金型修理)の後の金型キャビティの汚染です。サプライヤーは2025年10月16日に金型を修理しており、対象は4,555台、推定不具合率は6%、生産期間は2025年10月31日から12月22日まででした。対策は、販売店でナックルのロット情報を点検し、必要なら交換するというものです(事故・負傷の報告はありません)。

この事例から読み取れるのは、金型の保全履歴と部品のロットが結び付いていれば、対象を特定のロットに絞れるということです。ここで点検に使われたのは個体シリアルではなくロット情報である点に注意してください。ショット単位・個体単位にすると範囲はさらに狭くできますが、それには前の章で見た刻印と紐付けの仕組みが要ります。

封じ込めの仕組みは、訓練で確かめる

疑い範囲を本当に絞れるかは、仕組みを入れただけでは分かりません。クレーム品のIDから、ショット、条件、同じ条件の部品、その出荷先までを何分で引けるかを、模擬回収(ファイアドリル)で確かめます。進め方は模擬回収テストの記事で扱っています。条件が逸脱したショットの部品を出荷前に止める仕組みについては、不良品の流出防止の記事も参考にしてください。

ダイカストの品質管理システム:製品の種類と組み合わせ方

4つの種類

ショットデータと部品IDを結ぶ仕組みは、1つの製品で完結するとは限りません。役割で分けると、次の4つの組み合わせになります。

種類主な役割注意点
マシンメーカーの監視・セル管理システムショットデータの収集、セル内機器の統合、部品IDへの割当て他社のマシンが混在する工場では、全台をそろえられるか確認する
MES(製造実行システム)工程の実績、ロット・シリアルの管理、後工程の結果の集約ショット単位の高頻度データをどこまで持てるか確認する
ヒストリアン波形・時系列データの長期保存部品IDとの紐付けは別の仕組みが要ることが多い
品質システム(検査データ・SPC)X線・リーク・測定の判定、管理図、不良の解析同じIDで工程データと結合できるか確認する

公開されている機能の例

マシンメーカーなどが公開している機能の例を挙げます。いずれも各社の公式ページや業界誌記事に書かれている範囲の紹介で、推奨や比較ではありません。効果の数値は根拠が示されていないため取り上げません。

  • Bühler「SmartCMS」:メーカーの説明では、セル内の各周辺機器のプロセス値を収集し、部品ごとの固有IDに割り当てられ、生産の流れの中の部品の位置を常に参照できる、としています。2019年に発表した「Digital Cell」構想の記事では、SmartCMSが全部品について時刻同期された工程のトレーサビリティを提供すると説明しています
  • UBEマシナリー:メーカーの資料では、スリーブ内のアルミ付着のカメラ監視や、3Dカメラによる外観検査(湯じわなどを自動判定し、NG品をサイクル内で排出)などのICTツールを紹介し、ICTのデータをすべてショット番号に紐付けて管理し、基幹システムと連携して一元管理する、としています
  • 芝浦機械「machiNetCloud」:2022年の業界誌記事では、機械のリアルタイムデータへのリモートアクセス、停止時間の自動記録、稼働状況・KPI・履歴の追跡が紹介されています(この記事にはショットデータや部品トレーサビリティの記述はありません)
  • Visi-Trak:公式ページで「True-Trak」「Sure-Trak」という製品名を確認できます(機能の詳細はこの記事では確認していません)

価格は、上記のいずれも公式ページで公開されていませんでした。

通信の標準化の動き

マシンメーカーが違うと、データの取り出し方も違います。この点について、VDMAとCEMAFONの主導で国際作業部会が発足し、OPC UAに基づくダイカストセルのインターフェースの標準化を進めています。2023年6月の業界誌記事では、最初のモジュールとして「マシンの識別」「マシンの状態」「アラームと警告」が2023年夏に公開予定とされていました。射出の波形などのショットデータがどのモジュールで扱われるかは、この記事の調査では確認できていません。RFPでは、各社にOPC UAでどの情報を出せるかを具体的に聞いてください。

組み合わせの考え方

マシンメーカーのセル管理で「ショット→部品ID」までを作り、MESまたは品質システムで「部品ID→後工程の結果→出荷」を持ち、波形の長期保存はヒストリアンに任せる、という分担が考えられる形の一つです。どこを正本にするか(部品IDの発番はどこで行うか、データの不一致はどちらを正とするか)を最初に決めておきます。ヒストリアンの選び方は産業用ヒストリアンの記事で扱っています。

費用と効果のモデル試算(仮の数字)

ここでは、ショット単位のトレーサビリティを入れた場合の効果と費用を試算します。以下の台数、個数、件数、単価、費用はすべてこの記事のための仮の数字です。 実際の判断には、自社の数字に置き換えてください。

モデルの前提

  • アルミダイカスト、ダイカストマシン8台、月産240,000個
  • 現状は金型内刻印(日付・キャビティ)とロット(マシン×日)の管理
  • ショット条件はマシン内に保存されているが、部品と紐付いていない
  • 通貨はタイバーツ(THB)

シナリオA:全8台に入れる

効果①:封じ込め

  • 前の章のとおり、クレーム1件あたりの差は191,200 THB
  • クレームを年6件と置くと、6×191,200=1,147,200 THB/年

効果②:条件逸脱品の自動隔離と条件改善による不良率の低下

  • 不良率が0.3ポイント下がると仮定する
  • 240,000個×0.3%=720個/月。1個あたりの損失を60 THBと置くと、720×60=43,200 THB/月
  • 43,200×12=518,400 THB/年

0.3ポイントは仮定です。前述のBrzezińskiらの研究では不合格率が1.74%から0.79%に下がりましたが、これは1工場・1部品の研究事例で、この試算にそのまま使ってはいません。比較の参考に留めてください。

効果③:紙の記録と転記の事務

  • 月80時間×200 THB×12か月=192,000 THB/年
項目計算年間の効果
①封じ込め6件×191,2001,147,200 THB
②不良率の低下240,000×0.3%×60×12518,400 THB
③記録・転記の事務80時間×200×12192,000 THB
合計1,147,200+518,400+192,0001,857,600 THB

費用は次のように置きます。

  • 初期費用:5,000,000 THB(刻印・読取セル8式、データ収集、紐付けソフト、既存システムとの連携、教育)
  • 年間費用:400,000 THB(保守、ライセンス、消耗品)

計算は次のとおりです。

  • 年間の純効果:1,857,600−400,000=1,457,600 THB/年
  • 回収期間:5,000,000÷1,457,600≈3.43 → 約3.4年

感度A:クレームが年2件の場合

  • 効果①:2×191,200=382,400 THB
  • 合計:382,400+518,400+192,000=1,092,800 THB
  • 年間の純効果:1,092,800−400,000=692,800 THB/年
  • 回収期間:5,000,000÷692,800≈7.22 → 約7.2年

シナリオB:安全・気密部品を流す2台から始める

年6件のクレームのうち4件が、安全・気密部品を流す2台の部品で起きていると仮定します。

  • 効果①:4×191,200=764,800 THB
  • 効果②:518,400×2/8=129,600 THB
  • 効果③:192,000×2/8=48,000 THB
  • 合計:764,800+129,600+48,000=942,400 THB/年
  • 初期費用:1,900,000 THB、年間費用:150,000 THB
  • 年間の純効果:942,400−150,000=792,400 THB/年
  • 回収期間:1,900,000÷792,400≈2.40 → 約2.4年

感度B:この2台のクレームが年1件の場合

  • 効果①:1×191,200=191,200 THB
  • 合計:191,200+129,600+48,000=368,800 THB
  • 年間の純効果:368,800−150,000=218,800 THB/年
  • 回収期間:1,900,000÷218,800≈8.68 → 約8.7年
ダイカスト トレーサビリティ導入|ショット単位の刻印・紐付け・RFP - figure 3

上の図は、4つのケースの初期費用、年間の純効果、回収期間を並べたものです。

ケース初期費用年間の純効果回収期間
A:全8台・クレーム年6件5,000,000 THB1,457,600 THB約3.4年
A:全8台・クレーム年2件5,000,000 THB692,800 THB約7.2年
B:2台・クレーム年4件1,900,000 THB792,400 THB約2.4年
B:2台・クレーム年1件1,900,000 THB218,800 THB約8.7年

試算の読み方

このモデルで回収年数を決めているのは、マシンの台数ではなく、クレーム(封じ込め)の件数と、疑い範囲の幅です。全8台に入れてもクレームが年2件なら約7.2年かかり、2台だけでもクレームの多い部品を流すセルなら約2.4年で回収します。逆に、同じ2台でもクレームが年1件なら約8.7年です。

ですから、クレームが出る部品を流すセルから始めると早く回収できます。一方、クレームがほとんど無い工場では、費用の回収だけで判断するのは難しく、顧客要求への対応(受注の条件)として判断することになります。

この試算に入れていないもの

  • リコールの費用(1台あたりの費用について、信頼できる公開の一般値が見つからなかったため)
  • 個体管理の仕組みがあることによる受注の獲得
  • BOIなどの税制上の恩典
  • 刻印のためにサイクルタイムが延びる場合の生産量への影響(深彫りが必要な場合は特に確認が必要)

費用の見積りの立て方やTCOの考え方はトレーサビリティ費用の記事で扱っています。

ダイカストのトレーサビリティのRFP・FAT/SATで確認する項目

カタログの機能ではなく、自社の部品と後工程で試す

RFP(提案依頼書)では、機能の有無を○×で聞くより、自社の部品と自社の後工程の条件で、刻印から読取、紐付けまでを実際に流してもらうことを勧めます。FAT(工場出荷前の受入試験)とSAT(現地での受入試験)の基準も、同じ項目で決めておきます。

区分確認する項目確認のしかた(例)
刻印刻印時間がサイクルタイムに収まるか自社の部品・コードサイズで実測。深彫りが要る場合は筐体の構成も含めて
刻印刻印直後の読取率一定数を連続で刻印・読取し、読めなかった数を数える
刻印後工程の後の読取率と品質等級自社の熱処理・ショットブラスト・塗装を通した後に、ISO/IEC 29158の考え方で等級を測る
刻印刻印位置の再現性部品の位置のばらつきに対する焦点の許容と補正の方法
紐付けショット番号の受け取り方マシンからショット番号・キャビティ・判定を受け取ってから刻むか
紐付け暖機・廃却ショットの扱い暖機・廃却を混ぜて流し、IDが発行されないことを確かめる
紐付けずれの検出手置き・抜き取り・再投入をわざと起こし、検出して止まるかを見る
紐付け手置き時の確定手順作業者がコードを読ませてショットを確定する画面と、確定できない時の区分
データデータ欠損時の挙動ネットワークやサーバーを止め、復旧後に欠けたデータが埋まるか、欠けたことが記録されるか
データ時刻のそろい方マシン・刻印機・サーバーの時刻差の許容と、ずれた時の警告
データ後工程の結果の積み方X線・リーク・加工・熱処理の結果が同じIDに入るか。再試験の履歴が残るか
データ逆引きの速さクレーム品のIDから、ショット条件・同じ条件の部品・出荷先までを引く時間
データ保存期間とストレージ顧客が求める保存期間を満たす容量。波形と代表値を分けて保存できるか
データ出力形式顧客への提出や監査でそのまま使える形式(CSV、帳票)。英語・タイ語・日本語の表示
運用既存マシンへの対応メーカー・年式の違うマシンからショットデータを取れるか、取れない場合の代替

受入試験は「異常」を流す

受入試験では、正常に流れることだけでなく、わざと異常を起こして、止まるか、記録が残るかを確かめてください。暖機ショット、廃却、手置き、通信断、読めないコードは、量産では必ず起こります。これらが起きたときに、システムが黙って対応をずらさないことが、ショット単位のトレーサビリティの一番の受入基準です。

ダイカストのトレーサビリティ導入の進め方:90日で重要部品の1セルから

全マシンに一度に入れるより、重要部品を流す1セルで試し、効果と課題を見てから広げる進め方を勧めます。以下は目安です。

1〜30日目:追う単位と対象セルを決める

  • 顧客ごとのトレーサビリティ要求(個体シリアルの要否、保存期間、対応時間)を一覧にする
  • 過去のクレームを振り返り、どの部品・どのマシンで起きたか、疑い範囲が何個だったかを数える
  • 安全・気密部品で、クレームが出ている部品を流すセルを1つ選ぶ
  • そのセルの後工程(熱処理、ショットブラスト、加工、塗装、リーク)を洗い出し、刻印が通る条件を書き出す
  • マシンから取れるショットデータの項目と、取り出し方を確かめる

31〜60日目:1セルで刻印と紐付けを試す

  • 自社の部品で刻印の試し打ちを行い、後工程を通した後の読取と品質等級を測る
  • マシン出口の直後に刻印・読取を置き、ショット番号・キャビティ・判定を受け取って紐付ける
  • 暖機・廃却・手置きを含めて流し、ずれの検出と停止のルールを試す
  • 数の照合(良品ショット数×取り数と、紐付け済みの部品数)を毎日確かめる

61〜90日目:後工程の結果を積み、模擬回収で確かめる

  • X線(サンプル)、加工、リークの結果を同じIDに積む
  • 架空のクレームを1件設定し、IDからショット条件、同じ条件の部品、出荷先までを引く模擬回収を行う
  • 疑い範囲が何個に絞れたか、何分で引けたかを、導入前と比べる
  • 結果をもとに、他のセルへ広げるかどうかと、その順番を決める

タイ工場で特に確認すること

PDPA:作業者IDや生体認証が紐付く場合

ショットデータそのものは個人データではありません。ただし、ショットや部品に作業者IDを紐付けると、そのデータは個人データになり得ます。タイの個人情報保護法(PDPA、B.E.2562)の非公式英訳によると、第24条は本人の同意なく個人データを収集してはならないとしつつ、契約の履行、正当な利益、法令の遵守などの例外を定めています。第26条は、顔・虹彩・指紋認識データなどの生体データを機微データとし、原則として明示的な同意を求めています。セルの端末に生体認証でログインする場合は、この第26条の論点が出てきます。

法律事務所Suwanvaraの解説(2026年9月更新)は、従業員データの法的根拠について、セキュリティやIT監視は正当な利益によることが考えられる一方、雇用関係での同意は自由意思と見なされにくいため、同意は本当に任意の処理に限るべきだと助言しています。どのデータに作業者IDを付けるか、その目的と保存期間、従業員への説明をどうするかは、法務の専門家に確認してください。

多言語の画面と作業標準

手置き時の確定や、ずれを検出したときの停止・再開は、現場の作業者と班長が操作します。画面とアラームはタイ語で分かるようにし、作業標準も日本語・タイ語・英語でそろえておきます。「ショット不明」の区分に入れた部品の置き場所と表示も、言語に頼らず分かるようにしておくと安全です。

保存期間とストレージ

保存期間は顧客ごとに違います。波形を全ショット保存すると、容量は大きくなります。代表値と判定は長く、波形は期間を決めて、といった分け方と、バックアップの場所(工場内、クラウド)を先に決めておきます。停電やネットワークの断に備えて、セル側で一時的にデータを持てるかも確認します。

BOIの恩典は最新の条件を確認する

BOIの「Smart and Sustainable Industry」施策は、2023年版の投資促進ガイドに掲載された条件では、既存事業の機械更新・自動化に対して、機械の輸入税の免除と、3年間の法人所得税の免除(上限は投資額の50%)を定めています。投資額は100万バーツ以上で、土地と運転資金は投資額に含めません。BOI案件の場合は、法人所得税の免除が終わっているか、付与されていないことが条件です。タイの自動化産業との連携が更新機械の価値の30%以上なら上限は100%になり、制御・監視・製造支援のために機械と統合したソフトウェアやITへの投資も投資額に算入されます(全額・半額の区分があります)。対象外の活動もあり、ガイドでは一般の自動車製造(活動3.6)などが挙げられていますが、部品製造(活動3.4・3.5)は対象外のリストにありません。

ただし、これは2023年版ガイドの条件です。2026年版の細目はこの記事の調査では確認できていないため、申請を考える場合は、最新の条件をBOIと専門家に確認してください。

顧客ごとに要求が違う

日系、欧州系、中国系のOEMやTier1で、求めるトレーサビリティの単位、保存期間、提出の形式は違います。同じセルで複数の顧客の部品を流す場合は、最も厳しい要求に合わせるのか、部品ごとに分けるのかを決めておきます。客先の要求が変わったときに設定で対応できるか(コードの体系、保存期間、出力形式)も、RFPで確かめてください。

よくある質問

ダイカストのトレーサビリティとは?

1つのダイカスト部品について、いつ、どのマシン・金型・キャビティで、どの射出条件で鋳造され、どの後工程と検査を通ったかをたどれる状態のことです。たどれる細かさによって、ロット単位、ショット単位、個体単位に分けて考えます。目的は記録を増やすことではなく、クレームのときに疑わしい範囲を狭くし、原因を条件までさかのぼって調べられるようにすることです。

ロット管理とショット単位管理の違いは?

ロット管理は「マシン×日」や「金型×シフト」の単位で記録するもので、金型内の日付ピンとキャビティ番号で部品から分かるのもこの単位までです。ショット単位の管理は、部品ごとに固有のコードを刻み、そのコードとショット番号を結び付けて、ショットごとの射出条件まで部品から引けるようにします。この記事の仮の試算では、疑い範囲がロット単位の2,400個からショット単位の120個に狭まると置きました。

刻印はどこで打つ?

基本は、部品がマシンから出てすぐ、ほかの部品と混ざる前です。トリミングや冷却の後で刻むと、その間に順序が入れ替わり、ショットとの対応がずれやすくなります。取出しの直後に刻印し、刻印中にロボットがクエンチやトリミングを進める構成も公開資料で紹介されています。刻む面は、加工で削られず、組付け後も読める面を、顧客の図面と相談して選びます。

ショットブラストで刻印は消えない?

表面に刻んだだけのレーザー刻印は、ショットブラストで読みにくくなります。複数回彫り下げてから黒化する深彫りで耐えられるようになりますが、時間が延びます。Laseraxなどの2017年の試験(1社の試験条件)では、セル0.6mmが最適で、約13mmのコードに100Wで37秒かかりました。自社の部品と自社のブラスト条件で試し打ちし、ブラスト後の読取と品質等級で確かめてください。

ショットデータは何を記録する?

候補は、ショット番号とタイムスタンプ、金型IDとキャビティ番号、射出速度(低速・高速)と高速切替位置、鋳造圧力、ビスケット厚、金型温度、真空度(真空ダイカストの場合)、サイクルタイム、ショットの判定結果などです。どの項目を残すかは工場と部品ごとに決める値で、一般値はありません。最初は代表値と判定を全ショット、波形は期間を決めて保存する形が現実的です。

IATF 16949で個体管理は必須?

一律に必須というわけではありません。公開されている要旨によると、IATF 16949の箇条8.5.2.1は、リスクと故障のレベルに基づいてトレーサビリティ計画を作ることを求め、個々の製品のシリアル番号による識別は、顧客または法規制が指定した場合に行うとしています(規格本文は有償のため、二次資料による要旨です)。安全部品や気密部品では顧客が個体管理を求めることがあるので、顧客固有の要求を確認してください。規格適合の判断は、顧客と認証機関に確認してください。

導入費用と期間は?

マシンの台数、刻印の方式(深彫りの要否)、既存マシンからのデータの取り方、後工程との連携の範囲で大きく変わり、公開された価格もないため、一律には言えません。この記事の仮の試算では、全8台で初期5,000,000 THB・年間400,000 THB、2台で初期1,900,000 THB・年間150,000 THBと置きました。期間は、重要部品の1セルで90日かけて、刻印・紐付け・後工程の結果の集約・模擬回収までを試し、それから他のセルへ広げる進め方を目安として示しました。

まとめ

  • ダイカストの品質はショットごとに変わる。記録がロット単位だと、クレームのときの疑い範囲はロット全体に広がる。ショット単位で追う価値は、封じ込めの範囲が狭くなることにある
  • 金型内の日付ピンとキャビティ番号で分かるのは「その日のそのキャビティ」まで。ショットの条件と結ぶには、部品ごとの固有コードが要る
  • 個体シリアルはIATF 16949の一律の要求ではなく、顧客または法規制が指定した場合に必要になる(二次資料による要旨)。どの単位で追うかは顧客要求とリスクで決める
  • 定着しない典型は、①刻印が後工程で読めなくなる、②ショット番号と部品の対応がずれる、③検査結果が別々のシステムに散らばる、の3つ
  • IDはマシン出口の直後に付け、自社の後工程を通した後でも読める条件(深さ、セルサイズ)を試し打ちで決める
  • 「次の部品は次のショット」と仮定せず、マシンからショット番号と判定を受け取って刻む。暖機・廃却ショットにはIDを出さず、ずれたら止めて確定する
  • X線・リーク・加工・熱処理の結果を同じIDに積む。X線は全数でなくても、サンプルとショット条件を結べば範囲を絞れる
  • 仮の試算では、クレーム1件あたりの差は191,200 THB。全8台・年6件で回収約3.4年、2台・年4件で約2.4年。回収を決めるのは台数ではなく、クレームの件数と疑い範囲の幅
  • 受入試験では、暖機・廃却・手置き・通信断をわざと起こし、止まるか、記録が残るかを確かめる
  • タイでは、作業者IDや生体認証が紐付く場合のPDPA、多言語の画面と作業標準、保存期間、BOIの最新条件、顧客ごとの要求の違いを先に確認する

TOMAS TECH では、タイの工場で、設備からのデータ収集、部品の識別とトレーサビリティの仕組みづくり、既存システムとの連携のお手伝いをしています。製品を選ぶ前の段階、たとえばどの単位で追うかを決める段階や、1セルで刻印とショットデータの紐付けを試す段階でもご相談いただけます。お問い合わせはこちらのフォームからどうぞ。

参考情報