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2026.10.13

圧力センサ 選定ガイド|用途・流体・サージとタイ工場のRFP

圧力センサ 選定ガイド|用途・流体・サージとタイ工場のRFP

導入:圧力センサ選定は「何MPaの製品か」から始めない

工場のエアの元圧が下がり、設備がチョコ停する。吸着ミスでワークを落とす。油圧クランプの圧力が下がっていたことに、後工程の検査で気づく。圧力は配管のブルドン管圧力計を目で見ているだけで、記録が残っていない。装置ごとにメーカーもねじも出力も違う圧力スイッチが付いていて、壊れたときに何を買えばよいか分からない。液体の配管ではセンサが壊れ、表示がずれ、PLCのアナログ値が圧力計と合わない。圧力センサの相談は、たいていこうした悩みから始まります。

本記事の主張を先にまとめます。圧力センサの選定は、「何MPaのレンジの製品か」より先に、次の2つで決まると本記事では考えます。

  • ①何の判定に使うか:しきい値でON/OFFするのか、連続値を記録して傾向を見るのか
  • ②流体、接続、サージの条件:気体か液体か、どのねじで付けるか、脈動やウォーターハンマーがあるか

①で、圧力スイッチ(機械式、デジタル圧力スイッチ)にするか、アナログやIO-Linkで値を出す圧力センサにするかが分かれます。精度の見方も変わります。②で、同じシリーズの中でも使える型式が絞られます。レンジはそのあとで、常用圧、最大圧、耐圧の関係から決めます。受け入れでは、表示値、出力値、PLC側の値を基準の圧力計と突き合わせ、しきい値や遅延の設定を記録に残します。

この記事は特定製品の推奨やランキングではありません。メーカーの仕様は各社の公開資料にもとづき、「同社は〜と説明している」という形で紹介します。後半の費用試算は、この記事のための仮の数字です。クリーンルームや集塵機の差圧監視、流量計、作動油の状態監視、真空パッドや電磁弁の選び方は、それぞれの記事に任せ、本記事では関係する箇所でリンクします。

なぜ今、タイの工場で圧力の「見える化」を見直すのか

タイでは、自動化への投資の動きが続いています。タイBOI(投資委員会)によると、2026年1〜6月の投資奨励の申請は1,299件、436億ドル(約1.47兆バーツ)で、前年同期比37%増でした。このうち機械、自動化、ロボットの分野は82件、3.874億ドルです。「Smart and Sustainable Industry」施策(機械の高度化、デジタル技術の導入、自動化やロボットの統合)の申請は132件、5.076億ドルでした。日本からの投資申請は123件、9.701億ドルです。いずれも申請ベースの数字で、承認額とは異なります。

生産の数字はまちまちです。ロイターの配信によると、2026年8月のタイの自動車生産は124,646台で、前年同月比10.93%増でした。一方でタイ工業連盟(FTI)は、通年の生産見通しを従来のプラス3%からマイナス3.33%に引き下げています。同じく8月の製造業生産指数(MPI)は前年同月比4.44%増で、電子機器の生産増などが要因とされました。S&P Global のタイ製造業PMIは2026年9月に54.3で、8月の53.8から上がり、2025年12月以来の高い水準でした(集計サイト Trading Economics による)。

生産量が上下する中で、設備の停止や不良を減らす取り組みは続けやすいテーマです。圧力は、元圧、吸着、クランプ、クーラントと、多くの設備の「正常に動ける条件」を表す値です。その値を記録していない工場では、まず圧力から見える化を始める、という選択肢があります。ただし、上の統計は国全体の数字です。個々の工場の投資判断には、自社の停止記録や不良記録を使ってください。

圧力センサと圧力スイッチの違い:機械式、デジタル圧力スイッチ、圧力センサ

まず言葉を整理します。本記事では、次の3つに分けて呼びます。これは編集上の区分です。各社の製品名の付け方は揃っていません。たとえば SMC は「デジタル圧力スイッチ」、パナソニックとキーエンスは「デジタル圧力センサ」と呼んでいます。

区分主な出力向く使い方
機械式圧力スイッチ接点のON/OFFのみ決まった1点の圧力で切り替えればよい用途
デジタル圧力スイッチ表示と開閉出力(多くはアナログやIO-Linkも併載)現場で値を見ながら、しきい値を設定して判定する用途
圧力センサ(トランスミッタ)アナログやIO-Linkの連続値PLCや上位システムで値を記録し、傾向を見る用途

WIKA の技術ブログは、機械式圧力スイッチの仕組みを次のように説明しています。測定要素はダイヤフラムかピストンで、低圧ではダイヤフラム、高圧ではピストンを使います。スイッチ点はばねの予圧で決まります。

機械式と電子式の使い分けについて、WIKA は次のように説明しています。機械式は、予算が限られ、個別のスイッチ点だけが必要な場合や、安全上の冗長用途で使われることが多い。一方で機械的な摩耗により、信号のドリフトや早期の故障がありうる。電子式は、複数のスイッチ点、アナログ出力、表示、設定変更が必要な場合に選ぶ、という整理です。

現場の目線で言い換えると、次のようになります。機械式は接点のON/OFFだけで、今の圧力がいくつかは分かりません。デジタル圧力スイッチは、現場で値が見え、しきい値を数字で設定できます。圧力センサは、値そのものを制御盤やシステムに送ります。「何を判定したいか」「値を残したいか」で、どれを選ぶかが変わります。

圧力センサの種類①:ゲージ圧、絶対圧、差圧、連成圧

圧力センサの種類を考えるとき、最初に確認するのは「何を基準にした圧力か」です。NI は、圧力計測には絶対圧、ゲージ圧、差圧の3つの種類がある、と説明しています。

  • 絶対圧:完全な真空を基準にした圧力(WIKA の説明)
  • ゲージ圧:絶対圧と、その場の大気圧との差。WIKA は「多くの場合、測定の目的はゲージ圧を求めること」と説明しています
  • 差圧:周囲の気圧ではなく、システム内の別の圧力点を基準にした圧力(NI の説明)

WIKA は、絶対圧を測るべき用途にゲージ圧のセンサを使った場合の追加の誤差として、天候の変化で ±30 mbar(3 kPa)、場所の移動(海抜0 mから2,000 mなど)で最大200 mbar(20 kPa)を挙げています。同社は、測定レンジ1 barの空圧では大きな誤差になる一方、400 barの油圧ではほぼ無視できる、と説明しています。工場の空圧や油圧の監視はゲージ圧で足りる場面が多い一方、真空を精密に見たい工程では、この違いが効いてきます。

「連成圧」という呼び方もあります。キーエンスは AP-V80 シリーズのセンサヘッドを「連成圧型」「負圧型」「正圧型」などに分けています。たとえば連成圧型の AP-10S は定格 100〜−100 kPa、負圧型の AP-11S は 0〜−100 kPa です。パナソニックは DP-100 について「全機種を連成圧タイプでラインアップ」しており、正圧か負圧かでセンサを選ぶ必要がない、と説明しています。ただし同製品の英語の仕様表では、圧力の種類の欄は「Gauge pressure」です。つまり連成圧は、ゲージ圧の正側と負側の両方をカバーするレンジを指す呼び方として使われています。

SMC は品番の系列で分けています。モノタロウの掲載名では、ISE20 シリーズが正圧用、ZSE20(F) シリーズが真空、連成圧用です。

差圧を1台で見られる製品もあります。キーエンスは AP-V80 の差圧アンプについて、1台のアンプに2つのヘッドを付けて1次側と2次側の差圧を検出し、出力1で差圧、出力2で1次側(元圧)を検出できる、と説明しています。

クリーンルームの室間差圧や集塵機のフィルター差圧は、設計の考え方が別になります。クリーンルーム差圧監視の記事で扱っているので、そちらをご覧ください。本記事では、設備の配管に付けるゲージ圧(正圧、負圧、連成圧)のセンサを中心に進めます。

圧力センサの種類②:検出方式

圧力をどうやって電気信号に変えるか、という検出方式の違いもあります。NI は代表的な方式を次のように説明しています。

方式NI の説明の要旨
ブリッジベース(ひずみゲージ)式最も一般的なタイプ
箔ひずみゲージ高圧(最大700 MPa)用途。動作温度はシリコンひずみゲージの100℃に比べて200℃
シリコンひずみゲージ感度が高く、低圧(2 kPa以下)の用途でも利用される。オーバーロードが大きい
静電容量式金属の振動板と固定した金属板の間のキャパシタンスの変化を測る
圧電型水晶の電荷を利用し、外部の励起が要らない。衝撃や振動の影響を受けやすく、高速な事象に向く

製品の側では、各社が次のように説明しています。

  • ifm PN7092:セラミック静電容量式の測定セル(ceramic-capacitive pressure measuring cell)
  • Festo SPAN:ピエゾ抵抗式の測定セルによる相対測定
  • キーエンス GP-M:耐油性に優れたセラミック(アルミナ)のダイヤフラム。検出原理の名称は製品ページの本文で確認できませんでした
  • オムロン E8PC:タイ向けページには、圧電素子(piezoelectric element)を使うという記載と、ひずみゲージの抵抗変化で圧力を検出するという記載が併記されています

このように、方式の呼び方は各社で揃っておらず、カタログの方式名だけで製品を比べるのは難しいのが実情です。設備に付ける圧力センサでは、方式名よりも、このあと見る流体、耐圧、精度、出力の項目で比べるほうが実務的だと本記事では考えます。方式ごとの優劣を一般化する一次資料は、今回確認できませんでした。

最初に決めること:しきい値判定か、連続値の記録か

ここからが選定の本題です。最初に決めるのは、その圧力を何の判定に使うかです。

しきい値でON/OFFする場合

「元圧が下がったら設備を止める」「吸着できたら次の動作に進む」のように、しきい値でON/OFFを決める用途です。この場合は、開閉出力(NPN/PNP)を持つ圧力スイッチで足ります。

ここで見るべき精度は、測定精度だけではありません。WIKA は、電子式圧力スイッチの「測定精度(accuracy)」と「スイッチ点精度(switch point accuracy)」は別物で、スイッチ出力のロジックがさらに誤差を加える、と説明しています。そのうえで同社は、電子式圧力スイッチを選ぶときは主にスイッチ点精度を使うべきだ、と結論づけています。

実際に両者を別の項目として書いているデータシートもあります。ifm は PN7092 について、スイッチ点精度を「スパンの ±0.5 % 未満」、特性偏差を「±0.25 % 未満(BFSL)」と、別々に記載しています。

連続値を記録して傾向を見る場合

「元圧がどの時間帯に下がるか知りたい」「クランプ圧がじわじわ下がっていく兆候をつかみたい」のように、値そのものを残したい用途です。この場合は、アナログ出力(4-20 mAや電圧)やIO-Linkで値をPLCや上位システムに送れる圧力センサを選びます。見る精度は、測定精度(直線性、ヒステリシス、繰り返し、温度特性)と、PLC側で取り込むときの分解能です。記録した値を設備保全にどう使うかは、予知保全システム導入ガイドで費用の内訳とあわせて扱っています。

同じ製品でも用途で初期設定を分ける例

パナソニックは DP-100 について、「低圧タイプは吸着確認用途に、高圧タイプは元圧確認用途に最適な状態で初期設定しています」と説明しています。メーカーの側でも、用途によって判定の仕方を分けて考えている例です。

応答時間は「速いほど良い」ではない

応答時間も用途で考えます。各社の説明は次のとおりです。

  • キーエンス GP-M:制御出力の応答時間は 3〜5000 ms から選択。アナログ出力はこれに 2 ms を加えた値(90%応答)
  • パナソニック DP-100:2.5 ms〜5,000 ms の10段階。同社は「急激な圧力変化などによる、チャタリングや誤動作を防止します」と説明しています
  • SMC ISE20B:応答時間 1.5 ms 以下
  • ifm PN7092:応答時間 3 ms 未満。遅延時間は 0〜50 s で設定可能
  • オムロン E8PC:制御出力 3〜6000 ms から選択

パナソニックの説明が示すとおり、応答時間は、わざと遅く設定してチャタリング(出力のばたつき)を防ぐ機能でもあります。吸着確認のように速さが要る用途と、元圧監視のように一瞬の落ち込みで止めたくない用途では、設定の考え方が逆になります。この設定値は、受け入れ試験で記録に残す対象になります。

圧力センサ 選定ガイド|用途・流体・サージとタイ工場のRFP - figure 1

流体と接液部材質:気体用か、液体用か

次に決めるのは流体です。同じシリーズの中でも、型式によって使える流体が分かれる例があります。

キーエンスは GP-M シリーズについて、GP-M001、GP-M010、GP-M025 を「接液部材質を腐食しない気体および液体」、GP-M100、GP-M250、GP-M400 を「接液部材質を腐食しない液体」用と説明しています。レンジだけで型式を選ぶと、気体の配管に液体用の型式を選んでしまうことがありえます。

各社の適応流体と接液部の説明を並べます。

製品適応流体(同社説明)接液部(同社説明)
キーエンス GP-M型式により気体および液体、または液体圧力ポート SUSXM7、ダイヤフラム圧力ポート アルミナ、Oリング FKM
オムロン E8PCE8PC-010は水、グリコール溶液、油など。E8PC-100/400は水、水溶性クーラント、不水溶性油など圧力ポート SUS304、ダイヤフラム圧力ポート アルミナ、Oリング FKM
ifm PN7092液体(ガスでの使用は条件付きで、25 bar を超える圧力では要問い合わせとデータシートに記載)ステンレス(316L)、セラミック、FKM
パナソニック DP-100非腐食性の気体接ガス部を洗浄し、オイルフリーラインで組み立てていると同社は説明
SMC ISE20B空気、非腐食性ガス、不燃性ガス公開資料で確認できず
SMC ISE20C-X-02-A1SUS630、SUS304を腐食させない液体及び気体(通販サイト掲載の仕様)公開資料で確認できず

この表から言えることは、クーラント、冷却水、作動油の配管に、気体専用の製品(DP-100 や ISE20B など)を付けないことです。同じメーカーの圧力スイッチでも、気体用と液体用で系列が違う場合があります。交換部品を手配するときは、品番の系列とあわせて適応流体を確認してください。

温度と結露にも注意します。キーエンスは GP-M の仕様注記で、結露対策として「冷配管より導圧管にてセンサを30 cm 以上離す」ことを挙げています。冷却水の配管にセンサを直付けすると、センサ本体が結露する場合がある、ということです。この条件はRFPで「流体と温度」として書いておきます。

定格圧力、耐圧、破壊圧とレンジの決め方

ここでようやくレンジです。圧力センサの仕様には、定格圧力(測定できる範囲)のほかに、耐圧と破壊圧が書かれています。英語の表記は揃っておらず、オムロンは「Overload pressure」、パナソニックは「Pressure withstandability」、ifm は「Pressure rating」と書いています。本記事では、仕様上かけてよい圧力の上限を「耐圧(過負荷圧)」、破壊に至る圧力として示された値を「破壊圧」と呼び、区別します。

キーエンス GP-M シリーズの仕様表は次のとおりです(同社説明。GP-M□T型とGP-M□型で同じ値)。

型式定格圧力範囲耐圧力破壊圧力
GP-M001(T)−100〜+100 kPa400 kPa1.5 MPa
GP-M010(T)−0.1〜+1 MPa4 MPa15 MPa
GP-M025(T)−0.1〜+2.5 MPa10 MPa35 MPa
GP-M100(T)0〜+10 MPa30 MPa100 MPa
GP-M250(T)0〜+25 MPa50 MPa100 MPa
GP-M400(T)0〜+40 MPa50 MPa100 MPa

オムロン E8PC の仕様は次のとおりです(同社説明)。

型式定格圧力範囲耐圧(Overload)破壊圧(Burst)
E8PC-010−0.1〜1 MPa4 MPa8 MPa
E8PC-1000〜10 MPa30 MPa60 MPa
E8PC-4000〜40 MPa50 MPa80 MPa

GP-M の表で、耐圧力を定格の上限で割ると、GP-M001、GP-M010、GP-M025 は4倍で、GP-M100、GP-M250、GP-M400 と高圧の型式になるにつれて小さくなり、GP-M400 では1.25倍です。このシリーズについては、高圧のレンジほど耐圧の余裕の倍率が小さい、と言えます。ただし、これはこのシリーズの表から計算した値で、圧力センサ一般の決まりではありません。

他社の値も見ておきます。パナソニックは DP-101(−100.0〜+100.0 kPa)の耐圧を 500 kPa、DP-102(−0.100〜+1.000 MPa)の耐圧を 1.5 MPa としています。ifm は PN7092(0〜10 MPa)について、Pressure rating を 30 MPa、最小破壊圧を 65 MPa、最小の圧力サイクルを1億回と記載しています。WIKA は、典型的なセンサの過負荷安全率を「2〜4倍」と説明しています。各社の型式を見ると、耐圧と定格上限の比は型式によって大きく違います。

パナソニックは仕様の注意書きで、耐圧を超える圧力をかけるとダイヤフラムが損傷し、正しい動作が保てなくなる、と説明しています。

では、レンジはどう決めるか。本記事では、次の順で考えることを勧めます。

  1. 常用圧(ふだんの圧力)と、運転中の最大圧を、現場の圧力計や設計値から書き出す
  2. 次の章で見るサージ(瞬間的な圧力の跳ね上がり)が、どの程度ありうるかを確認する
  3. 常用圧がレンジの中で読みやすい位置に来て、最大圧が定格内に収まり、サージが耐圧内に収まる型式を候補にする
  4. 収まらない場合は、レンジを上げる前に、絞りやスナバでサージを抑えられないかを検討する

「定格の何倍のレンジを選ぶ」という一般則は、今回確認した一次資料には書かれていませんでした。倍率を決め打ちせず、常用圧、最大圧、サージ、耐圧の関係を型式ごとに確かめてください。

サージ、脈動、ウォーターハンマー対策

液体の配管では、センサが壊れることがあります。WIKA は、液体の配管で圧力センサが過大な圧力で繰り返し壊れる原因の多くはウォーターハンマーであり、極端な場合は数百 bar に達しうる、と説明しています。

オムロンは E8PC の仕様注記で、ウォーターハンマーのような瞬間的な圧力変動も耐圧以内に収める必要があり、瞬間的な変動が想定される場合は付属の絞り(スロットル)を使うよう求めています。ここで大事なのは、定格のレンジではなく、瞬間の圧力が耐圧を超えないかで判断する、という点です。

サージ対策としてレンジの大きい製品を選ぶ方法には、限界があります。WIKA は、3 barの給水系に300 barのセンサを使うような例を挙げ、その分だけ測定の不確かさが大きくなる、と説明しています。そのうえで同社は、スナバを使う方法や、圧力の流路を1 mm未満に絞る方法を挙げています。ただし同社は、慣性のため、非常に速い圧力のピークはスナバで抑えきれない場合がある、とも書いています。

圧力の上がる速さについても、WIKA は目安を示しています。バルブ開閉の例で、圧力が30 msで約70%上がっても問題はない一方、同社のセンサについて、公称圧力のゼロから上限までの上昇が1 msより短い時間で起きるべきではない、と説明しています。これより速い変化には、スナバや放電加工の細い流路などの対策が要る、という説明です。

各社の製品側の対応は次のとおりです。

  • オムロン E8PC:付属の絞り(E8PC-YS、E8PC-YS-N)を使用
  • キーエンス AP-V80:高圧ヘッドの AP-14S〜16S は「スロットル付き」
  • ifm PN7092:絞り要素は内蔵していないが、後付けできる(Restrictor element integrated: no (can be retrofitted))

本記事では、油圧と水系の配管では、絞りやスナバの有無をRFPに明記することを勧めます。サージの大きさの一般的な倍率は一次資料で確認できなかったため、「系統圧の何倍」といった見込みは置きません。バルブの開閉やポンプの起動停止のタイミングで、実際にどれだけ跳ね上がるかを、試運転のときにピーク値の記録で確かめるのが現実的な方法です。パナソニック DP-100 やオムロン E8PC のように、ピーク値やボトム値を保持して表示できる機能を各社は説明しています。

精度の読み方:%F.S.、直線性、ヒステリシス、温度特性

「精度 ±1%」とだけ書かれた比較表は、注意して読む必要があります。WIKA は、「accuracy」という用語そのものは国内外のどの規格にも定義されておらず、実際には非直線性、ヒステリシス、非再現性、最大誤差といった個別の項目で見るべきだ、と説明しています。

各社の記載を並べます。

製品精度に関する記載(同社説明)繰り返し精度温度特性
キーエンス GP-M±1.0% of F.S. 以下(23℃一定環境下で、直線性、ヒステリシス、繰り返し精度を考慮した値)±0.3% of F.S. 以下±0.6% of F.S./10℃
オムロン E8PCPressure monitoring precision ±1.0% of F.S. 以下(常温の水で規定)±0.3% of F.S. 以下±0.6% of F.S./10℃(最大定格の50%の圧力を油で印加して規定)
パナソニック DP-100高機能タイプのアナログ出力の直線性 ±1% F.S. 以内±0.1% F.S.(低圧)、±0.2% F.S.(高圧)±0.5% F.S. 以内(低圧)、±1% F.S. 以内(高圧)
SMC ISE20B公開資料で確認できず±0.2% F.S.公開資料で確認できず
ifm PN7092スイッチ点精度 スパンの ±0.5% 未満、特性偏差 ±0.25% 未満(BFSL)、ヒステリシス偏差 ±0.25% 未満スパンの ±0.1% 未満(温度変動10 K未満)ゼロ点とスパンの温度係数 ±0.2%/10 K 未満

読むときの注意点は3つあります。

1つ目は、何を足し合わせた値かです。キーエンスは GP-M の精度を、直線性、ヒステリシス、繰り返し精度を考慮した値と注記しています。温度特性は別の項目です。設備の周囲温度が変わる環境では、温度特性の分も別に見込みます。

2つ目は、「F.S.」の意味です。F.S. がレンジの上限値を指すのか、−0.1〜1 MPa のように負側を含むスパン全体を指すのかは、キーエンス、オムロン、パナソニックのページの本文で定義を確認できませんでした。ifm は「% of the span」(スパンに対する%)と明記しています。比較するときは、各社に定義を確認してください。

3つ目は、用途に合う項目を見ることです。しきい値判定なら、前の章で見たスイッチ点精度と繰り返し精度が効きます。連続値の記録なら、直線性と温度特性、そして長い期間のドリフトが効きます。ifm は PN7092 の長期安定性を「6か月あたりスパンの ±0.05% 未満」と記載しています。

計算の例を1つ置きます。ifm PN7092 はスパンが 10 MPa なので、スイッチ点精度 ±0.5% は ±0.05 MPa に当たります。この計算はスパン表記の PN7092 に限った例で、F.S. の定義が確認できない他社の製品には、そのまま当てはめないでください。

接続ねじと単位の落とし穴

管用ねじの記号

圧力センサの交換で手間取りやすいものの1つが、ねじです。長野計器の技術資料は、JIS B 0202(ISO 228-1)の管用平行ねじを G、JIS B 0203(ISO 7-1)の管用テーパねじを R と整理しています。同資料の注記によると、ねじの呼びはテーパおねじに対するもので、テーパめねじは Rc、平行めねじは Rp とします。

オーエスジーは、流体や気体の漏れを防ぎたい場合はテーパねじ、耐密性が不要な場合は平行ねじが用いられる、と説明しています。また、管用平行ねじの G は、おねじもめねじも記号が G だとしています。

ただし、G ねじの圧力センサは珍しくありません。キーエンス GP-M とオムロン E8PC の接続口は G3/4、ifm PN7092 は G1/4 のめねじで、いずれも接液部に FKM の Oリングを含んでいます。本記事の理解では、G ねじの製品は、ねじ山ではなく Oリングやガスケットで気密を取る設計です。「G ねじだから圧力用途に使えない」ということではありません。

各社の接続口の説明は次のとおりです。

製品接続口(同社説明)
キーエンス GP-MG3/4。オプションのアダプタで R1/8 オス、R1/4 オス、R3/8 オス(一部型式)、G1/4 メス、NPT1/8 オス、NPT1/4 オスに変換
オムロン E8PCG3/4 オス(オプションのアダプタで変換)。締付強度 20 N·m
ifm PN7092G1/4 めねじ。締付トルクの推奨値 25〜35 Nm
キーエンス AP-V80 ヘッドAP-10S〜13S は R(PT)1/8、AP-14S〜16S は R(PT)1/4(スロットル付き)
パナソニック DP-100アジア向けは M5 めねじと R(PT)1/8 おねじ、欧州向けは G1/8 おねじ、北米向けは NPT1/8 おねじ
SMC ISE20B-L配管の選択肢に M5(めねじ)、R1/8、NPT1/8

パナソニックの例のように、同じ機種でも販売地域によってねじの規格が違います。日本から持ち込んだ装置の圧力スイッチを、タイで調達した同じ機種で置き換えると、ねじが合わないことがありえます。交換用の手配では、機種名だけでなく、ねじを含む型式の末尾記号まで指定してください。

単位の換算

単位も混在しがちです。日本の装置は MPa や kPa、欧州の装置は bar、米国の装置は psi で表示されていることがあり、古い図面には kgf/cm² も残っています。NIST(米国国立標準技術研究所)の換算係数は次のとおりです。

単位NIST の換算係数
1 psi6.894757 kPa
1 bar100 kPa
1 atm(標準大気圧)101.325 kPa
1 kgf/cm²98.0665 kPa
1 mmHg133.3224 Pa

ここから計算すると、よく使う値は次のようになります。

圧力kPabarpsi
1 MPa1,000 kPa10 bar約145.04 psi
0.5 MPa500 kPa5 bar約72.52 psi
0.1 MPa100 kPa1 bar約14.50 psi

1 kgf/cm² は約0.098 MPa で、MPa への置き換えは近似です。古い図面の設定値を MPa に直すときは、この差を意識してください。メーカーの表記も丸めている場合があります。ifm PN7092 の測定範囲「0…100 bar / 0…1450 psi / 0…10 MPa」は整合していますが、破壊圧の psi 値は丸めた表記です。

単位の切り替え機能そのものにも注意点があります。SMC は ISE20B-L の単位選択のオプションについて、日本国内では計量法により単位切替機能付きは使用できない旨を注記しています。日本向けの仕様とタイで調達する仕様で、表示の単位が違うことがありえます。RFPでは、表示単位を指定しておくと混乱を防げます。

出力形式:NPN/PNP、アナログ、IO-Link

開閉出力(NPN/PNP)

しきい値判定には、開閉(制御)出力を使います。NPN か PNP かは、PLCの入力ユニットの仕様に合わせます。各社の説明は次のとおりです。

  • キーエンス GP-M:NPN/PNP オープンコレクタ(切替式)、30 V以下。Tなし型は各最大250 mA、GP-M□T型は各最大100 mA
  • パナソニック DP-100:地域によって NPN(アジア、北米)または PNP、最大100 mA
  • キーエンス AP-V80:NPN型と PNP型が別の型式

切り替え式か、型式で分かれるかは製品によって違います。予備品を共通化したい場合は、この点も比較の項目になります。

アナログ出力

連続値を記録するなら、アナログ出力が候補です。各社の説明は次のとおりです。

  • キーエンス GP-M:4-20 mA。最大負荷抵抗は GP-M□T型で 260 Ω、GP-M□型で電源DC20 V以上のとき 500 Ω。電源電圧に依存する計算式も示しています
  • パナソニック DP-100 高機能タイプ:電圧出力 1〜5 V(低圧)、0.6〜5 V(高圧)、電流出力 4〜20 mA(低圧)、2.4〜20 mA(高圧)。同社は電流出力の追加を「アナログ出力の長距離伝送に」と説明しています
  • オムロン E8PC:4〜20 mA、最大負荷抵抗 350 Ω以下

ここで確認したいのが負荷抵抗です。キーエンスは GP-M の 4-20 mA 出力について、最大負荷抵抗が電源電圧で変わると説明しています。PLCのアナログ入力ユニットの入力抵抗と、配線の抵抗を足した値が、センサの最大負荷抵抗に収まるかを確かめます。収まらないと、圧力計と合わない値が出る原因になりえます。

配線のノイズ対策(シールドの扱いや動力線との距離)について、具体的な値を示したメーカーの一次資料は今回確認できませんでした。盤や配線の設計基準は自社の標準や盤メーカーと決めてください。盤内に入力ユニットを置くか、機械の近くにリモートI/Oを置くかの比較は、リモートI/O 選定の記事で整理しています。

IO-Link

IO-Link は、センサとマスタの間で測定値などをデジタル通信でやりとりする方式です。各社は次のように説明しています。

  • SMC ISE20B-L:IO-Link バージョン1.1、COM2。16ビットのプロセスデータ(スイッチ出力2ビット、診断1ビット、測定値13ビット)
  • キーエンス GP-M□T:IO-Link 仕様 v1.1、COM2(38.4 kbps)
  • オムロン E8PC:Ver1.1、COM2(-SD型)、COM3 230.4 kbps(-ST型)
  • ifm PN7092:IO-Link 1.1、COM2。SDCI 規格は IEC 61131-9
  • パナソニック:IO-Link 対応型は別機種の DP-100L(2018年5月に追加と同社は説明)。DP-100L の仕様は今回確認していません

IO-Link を使うときの注意点もあります。オムロンは E8PC について、アナログ電流出力モードでCH1(4番ピン)やCH2(2番ピン)をIO-Linkマスタユニットに接続しないよう注意しており、故障のおそれがあると説明しています。出力モードの設定と配線先の組み合わせは、受け入れ試験で確認する項目です。

IO-Link マスタ側の構成は製品ごとに異なり、本記事では調べていません。マスタの選び方やデータの上位への流し方は、IO-Link導入の記事をご覧ください。

本記事の整理をまとめると、しきい値判定ならNPN/PNPの開閉出力で足り、値をPLCやMESで記録して傾向を見たいならアナログかIO-Link、ということになります。アナログはPLC側の入力ユニットが既にあれば始めやすく、IO-Link は診断情報まで含めて扱いたい場合に向きます。

圧力センサ 選定ガイド|用途・流体・サージとタイ工場のRFP - figure 2

用途別の選び方:空圧元圧、真空吸着、油圧クランプとプレス、クーラントと冷却水

ここまでの項目を、用途ごとに当てはめます。各社の用途の説明は、帰属付きで紹介します。

空圧の元圧監視

元圧が下がると、シリンダの推力や電磁弁の切り替えに影響しえます。パナソニックは DP-100 の高圧タイプを元圧確認用に初期設定しており、元圧の警報出力ができると説明しています。Festo は SPAN の用途として、ネットワーク監視、レギュレータ監視、漏れ試験、物体検出を挙げています。

元圧監視で決めることは、しきい値をいくつにするか、一瞬の落ち込みで止めるか(応答時間と遅延の設定)、値を記録するか、です。電磁弁の作動に必要な圧力(パイロット圧)との関係は、空圧電磁弁の選定の記事で扱っています。

エア漏れとの関係にも触れておきます。設備を止めたときに圧力が保持できるかを見るのは、漏れの兆候をつかむ方法になりえます。ただし、漏れ量の定量(どれだけ漏れているか)には、流量の計測が別途必要になりえます。圧力センサだけで漏れ量や損失額が分かる、という一次資料は今回確認できませんでした。工場全体のエア漏れ対策は、コンプレッサーのエア漏れ対策の記事をご覧ください。

真空吸着の確認

吸着確認は、負圧側のしきい値判定です。パナソニックは DP-100 の低圧タイプを吸着確認用に初期設定していると説明しています。SMC は、真空、連成圧用(ZSE系列)と正圧用(ISE系列)で品番の系列を分けています。

吸着確認では、応答時間が効きます。吸着してから次の動作に移るまでの時間が短い設備では、出力の応答時間と、ワークの有無で負圧がどれだけ変わるかの両方を確かめます。パッドの形状や漏れで負圧の差が小さくなる場合は、センサより先に吸着側を見直すほうが早いこともあります。パッドの選び方は真空吸着パッドの選定の記事、真空の発生側は真空エジェクタ 選定の記事で扱っています。

油圧クランプとプレス

油圧では、高いレンジ、液体用の型式、サージ対策の3つが同時に効きます。キーエンスは GP-M について、油圧の −0.1〜+40 MPa までのワイドレンジと、ワーククランプ圧の監視を用途に挙げています。オムロンはタイ向けページで、プレス機の例として、温度上昇で作動油の粘度が下がり、油圧の低下がプレス品質のばらつきにつながると説明し、圧力と温度の同時監視で兆候を検出できるとしています。同じページでは、マシニングセンタで作動油の漏れが工具の把持力の低下につながる例も紹介しています。

キーエンス GP-M□T とオムロン E8PC は、圧力と温度を同時に監視できると各社は説明しています。作動油そのものの劣化や汚れを見るのは別の領域です。油圧作動油の状態監視の記事で扱っています。

圧入工程にも触れておきます。圧入の荷重監視は別の領域です。油圧の圧力監視と圧入荷重の監視の関係を示した一次資料は、今回確認できませんでした。荷重監視についてはサーボプレス 圧入装置 選定の記事をご覧ください。

クーラントと冷却水

クーラントや冷却水では、液体用の型式であること、保護等級、結露が論点です。キーエンスは GP-M の用途として、クーラントの吐出圧、ストレーナの目詰まり、切粉を含んだ廃液の詰まり監視を挙げ、ステップ フラッシュ ダイヤフラムで詰まりにくいと説明しています。オムロンは E8PC の適応流体の例に水溶性クーラントとグリコール溶液を挙げ、冷却水や作動油の状態の変化を通知できると説明しています。

保護等級は、取り付ける場所で考えます。IEC によると、IPコードは2桁で、第1数字が固体(0〜6)、第2数字が液体(0〜9)に対する保護を表します。各社の記載は、キーエンス GP-M と AP-V80 のヘッドが IP67、オムロン E8PC が IP67、ifm PN7092 が IP65 と IP67、SMC ISE20B が IP65、パナソニック DP-100 が IP40 です。個別の等級の試験条件は IEC 60529 を参照するよう同ページは案内しています。クーラントがかかる工作機械の周りと、制御盤の中や乾燥空気の配管では、求める等級が違います。どの等級を求めるかは、取り付け場所を見て自社で指定してください。

冷却水では、圧力が保てていても流れていない、ということがありえます。流れているかを見たい場合は流量の計測が要ります。冷却水 流量監視の記事をご覧ください。

主要メーカーの代表製品:公開資料で確認できる仕様

主要メーカーの代表製品について、各社の公開資料で確認できた項目を並べます。いずれも各社の説明で、推奨や順位を示すものではありません。確認できなかった欄は「公開資料で確認できず」としています。

製品定格圧力(同社説明)耐圧(同社説明)適応流体出力接続保護等級
キーエンス GP-M型式により −100 kPa〜+40 MPa型式により 400 kPa〜50 MPa型式により気体および液体、または液体NPN/PNP切替、4-20 mA、IO-Link(□T型)G3/4(アダプタで変換)IP67
SMC ISE20B−0.1〜1 MPa公開資料で確認できず空気、非腐食性ガス、不燃性ガス2出力とアナログ(通販サイトのシリーズ表示)公開資料で確認できずIP65
SMC ISE20B-L公開資料で確認できず公開資料で確認できず公開資料で確認できずIO-Link 1.1、COM2M5めねじ、R1/8、NPT1/8から選択IP65
SMC ISE20C-X-02-A1−0.1〜1 MPa2 MPa(通販サイト掲載の仕様)液体及び気体NPN 2出力R1/4(M5めねじ付)公開資料で確認できず
パナソニック DP-100−100.0〜+100.0 kPa(DP-101)、−0.100〜+1.000 MPa(DP-102)500 kPa(DP-101)、1.5 MPa(DP-102)非腐食性の気体NPNまたはPNP、高機能タイプはアナログ電圧と電流アジア向けは M5めねじと R1/8おねじIP40
オムロン E8PC型式により −0.1〜1 MPa、0〜10 MPa、0〜40 MPa型式により 4 MPa、30 MPa、50 MPa水、グリコール溶液、油、水溶性クーラントなど開閉出力、4〜20 mA、IO-LinkG3/4オス(アダプタで変換)IP67
ifm PN70920〜10 MPa30 MPa(Pressure rating)液体IO-Link 1.1、COM2G1/4めねじIP65、IP67
Festo SPAN最大16 bar公開資料で確認できず圧縮空気、非腐食性ガスIO-Link 1.1G1/8、M5、1/8 NPT、ø4ワンタッチ、R1/8 など公開資料で確認できず

表を読むときの注意点を挙げます。

  • 同じ「デジタル圧力スイッチ」でも、気体用と液体用、正圧用と連成圧用で系列が分かれます。表の行は製品の系列で、個別の型式の仕様は型式ごとに確認してください
  • キーエンスは、差圧の検出、40 MPaを超える圧力、表示器を別にしたい場合には AP-V80 を案内しています。AP-V80 は定格最大 50 MPa(AP-16S)のヘッドと差圧アンプを持つ、と同社は説明しています
  • ifm は PN7092 の MTTF を260年とデータシートに記載しています。データシートは2023年4月13日版です
  • Festo SPAN は30×30 mmの筐体で、検査成績書(Inspection report)を用意できる、と同社は説明しています。個別の型式の精度と耐圧は今回確認していません

タイでの入手性は、各社のページで確認できた範囲で書きます。キーエンスは、KEYENCE THAILAND のサイトにタイ語の GP-M 製品ページがあります。SMC は SMC (Thailand) Ltd. の公式サイトがあり、MISUMIタイの通販サイトにも SMC の ZSE20B(F)/ISE20B-L が掲載されています。オムロンは OMRON Industrial Automation Thailand のサイトに E8PC の製品ページがあります。パナソニックはアジア向けの圧力センサの一覧ページがあり、DP-100 の仕様表にアジア向けの接続ねじと出力が明記されています。在庫や納期、現地のサポート体制は、各社や販売店に確認してください。

価格は、公開価格を確認できた範囲に限ります。日本の通販サイトのモノタロウでは、2026年10月13日の閲覧時点で次のとおりでした。いずれも日本国内の価格で、タイ国内の価格ではありません。

  • SMC ISE20C-X-02-A1:税込 21,978円(税別 19,980円)
  • SMC ISE20B シリーズ(正圧用、2出力とアナログ、IP65):税込 9,458円から(税別 8,598円から)
  • SMC ISE20B-L シリーズ(IO-Link対応):税込 10,998円から(税別 9,998円から)
  • SMC ISE20 シリーズ(1出力):税込 8,578円から(税別 7,798円から)

「から」の付いた価格は、型式の構成による最低価格です。タイの通販サイトでは、品番単位の公開価格を確認できませんでした。キーエンス、オムロン、ifm、パナソニックは公開価格を確認できず、Festo はログインしないと価格が表示されない仕組みでした。実際の比較は、センサ本体に加えて、ケーブル、アダプタ、絞り、PLC側の改造を含めた見積で行ってください。

近接センサや光電センサの選び方も、同じ考え方の記事にまとめています。ワークの有無の検出と組み合わせる場合は、近接センサ 選定の記事もあわせてご覧ください。

校正とトレーサビリティ

圧力センサの表示が圧力計と合わない、という相談は、どちらが正しいかを決める基準がないことから起きます。そこで校正とトレーサビリティを整理します。

日本の JCSS について、NITE は、計量法にもとづく計量法トレーサビリティ制度だと説明しています。校正事業者の登録は任意の制度で、ISO/IEC 17025 の要求事項に適合しているかどうか等を登録基準とし、25の登録区分ごとに登録します。JCSS は1999年12月に APLAC、2000年11月に ILAC の相互承認に署名しています。

NITE が引用する ISO/IEC Guide 99:2007 では、計量トレーサビリティを次のように定義しています。「個々の校正が測定不確かさに寄与する、文書化された切れ目のない校正の連鎖を通して、測定結果を計量参照に関連付けることができる測定結果の性質。」

タイでは、NIMT(タイ国立計量標準機関)が、National Metrology System Development Act B.E. 2540 にもとづき1998年6月1日に設立された公的機関です。同機関は、校正サービスの区分に「Pressure and Vacuum」を含み、ISO/IEC 17025 の認定を受けていると説明しています。

メーカー側の校正書類の扱いは製品で違います。

  • SMC ISE20B-L:取扱説明書と校正証明書の有無を選べる型式のオプションがある。MISUMIタイの同製品ページにも、校正証明書の有無の選択肢がある
  • Festo SPAN:検査成績書を用意できる、と同社は説明
  • キーエンス:製品ページに修理と校正の申し込みの導線がある

校正の周期は、用途と社内の品質要求で決めるものです。WIKA は、ある液体廃棄物の焼却プラントで、46台の圧力スイッチを定期停止のときに年1回校正していた事例を紹介しています。同社はこの事例で、ブロック&ブリードの計装バルブを使った現場校正(スイッチ点に3回近づけて確認する)に切り替えた、と説明しています。これは一事例の運用で、推奨の周期ではありません。ifm の長期安定性の仕様も、ドリフトの仕様値であり、校正周期の根拠ではありません。

本記事では、品質記録に使う圧力(クランプ圧など)と、設備の停止判定だけに使う圧力(元圧など)で、校正の扱いを分けて考えることを勧めます。前者は校正証明書の要否をRFPに書き、後者は基準の圧力計との突き合わせ記録で足りるかを、自社の品質部門と決めてください。

RFPに書く要件とFAT/SATの受入基準

見積依頼(RFP)には、ここまでの項目を具体的に書きます。各社の回答を同じ条件で比べられるようにするためです。

区分RFPに書く内容
用途と判定方式何を判定するか(元圧低下、吸着確認、クランプ圧など)。しきい値判定か、連続値の記録か
流体と温度流体の種類(空気、水、クーラント、作動油など)、流体温度、周囲温度、結露の可能性
圧力の条件常用圧、最大圧、想定されるサージ(バルブやポンプの動作のタイミング)
圧力の種類ゲージ圧(正圧、負圧、連成圧)、絶対圧、差圧のどれか
接続ねじ取り付け口のねじ規格とサイズ、アダプタの要否、絞りやスナバの要否
出力とPLC側の入力仕様NPN/PNP、アナログ(電流か電圧か、PLC入力ユニットの入力抵抗)、IO-Link(マスタの機種)
表示、設定、キーロック表示単位、表示の向き、設定変更をロックできるか
保護等級取り付け場所を見て自社で指定する
配線とコネクタコネクタの形状、ケーブル長、配線経路
校正証明書要否、トレーサビリティの範囲
予備品と交換手順予備品の数、交換時の設定の復元方法
設定値の記録しきい値、ヒステリシス、応答時間、遅延の設定値を一覧で納品すること

設定値の記録は、見落としやすい項目です。デジタル圧力スイッチは、交換したときに設定を入れ直さないと、同じ判定になりません。交換時に設定をどう復元するか(手入力か、通信で書き戻すか)と、その手順書を誰が用意するかも、RFPで決めておきます。

受け入れ試験は2段階に分けます。

  • FAT(工場出荷前試験):基準の圧力計を使い、センサの表示値、出力値、PLCで読んだ値を、複数の圧力で突き合わせます。しきい値、ヒステリシス、遅延を設定し、設定どおりにON/OFFすることを確認します。アナログ出力では、出力モードと配線先の組み合わせも確認します
  • SAT(現地試験):実際のラインで一定期間運転し、既設の圧力計の読みや設備の稼働記録と突き合わせます。警報が実際の異常と一致しているか、誤報や見逃しがないかを確かめます。バルブ開閉やポンプ起動のときのピーク値も記録します

合格基準の数値(表示値と基準器の差の許容幅、SATの期間など)は、自社の工程と品質要求から決めてください。RFPには「例として」自社の目標値を置き、メーカーや装置メーカーと協議して確定させます。業界で決まった標準値があるわけではありません。

費用と効果のモデル試算(仮の数字)

ここからの数字は、すべてこの記事のための仮の数字です。実際の金額は、工場の条件と見積で大きく変わります。

想定するのは、タイの日系自動車部品工場です。切削と組立の4ラインで、空圧の元圧、真空吸着、油圧クランプの監視点が合計20点あります。現状はブルドン管圧力計の目視と、一部の機械式圧力スイッチだけで、記録はありません。

現状の損失(基準値、年あたり)を次のように置きます。停止とスクラップは別の事象として数え、二重には計上しません。

事象前提年額(THB)
元圧低下と吸着ミスによるチョコ停、ライン停止年6回×平均1.5時間×停止損失15,000 THB/時135,000
油圧クランプ圧の低下に後工程の検査で気づいたことによるスクラップと選別年2回×40,000 THB(ライン停止を伴わない事象)80,000

2つ目の事象は、ラインは止まらずに不良品が流れ、後で気づいたケースです。1つ目の停止損失とは別の事象なので、足し合わせても二重計上にはなりません。

構成Aは、20点をデジタル圧力スイッチやアナログ出力の圧力センサに置き換え、PLCで警報、インターロック、値の記録を行うものです。

項目基準ケース感度(事象が想定の半分)
停止の回数年6回年3回
停止損失(回数×1.5時間×15,000 THB)135,00067,500
スクラップの回数年2回年1回
スクラップと選別(回数×40,000 THB)80,00040,000
年間効果(全部防げた場合の上限)215,000107,500
年間運用費(校正、予備品、設定管理)35,00035,000
年間純効果180,00072,500
初期費用400,000400,000
回収年数約2.2年約5.5年

(単位はTHB)

初期費用 400,000 THB の内訳は、センサ20点×6,000 THB=120,000 THB、配線とPLCプログラムと記録の仕組みで180,000 THB、設計とFAT/SATで100,000 THBです。

計算の内訳は次のとおりです。

  • 基準ケース:6×1.5×15,000=135,000。2×40,000=80,000。135,000+80,000=215,000。215,000−35,000=180,000。400,000÷180,000≒2.2年
  • 感度:3×1.5×15,000=67,500。1×40,000=40,000。67,500+40,000=107,500。107,500−35,000=72,500。400,000÷72,500≒5.5年
圧力センサ 選定ガイド|用途・流体・サージとタイ工場のRFP - figure 3

試算の読み方を3点挙げます。

1点目は、年間効果が「全部防げた場合」の上限だということです。実際には、警報が出てから人が対応できる時間があるか、つまり兆候から停止までの猶予で効果が変わります。元圧が数秒で落ちる故障なら、警報は停止の理由を記録する役には立っても、停止そのものは防げないかもしれません。クランプ圧がじわじわ下がる故障なら、兆候の段階で止めてスクラップを防げる可能性が高まります。

2点目は、SATで警報の誤報や見逃しを確認できるまでは、効果に数えないことです。誤報が多いと、現場は警報を無視するようになり、効果は出ません。

3点目は、回収年数が事象の頻度に強く依存することです。事象が想定の半分になると、回収は約2.2年から約5.5年に延びます。導入前に、過去1年の停止記録とスクラップ記録から、圧力に起因する事象の頻度を数えることを勧めます。記録が無い場合は、まず数点だけ値の記録を始め、頻度をつかんでから全体の投資を判断する進め方もあります。

よくある質問

圧力センサと圧力スイッチの違いは?

圧力スイッチは、決めたしきい値でON/OFFの信号を出す機器です。機械式はばねの予圧でスイッチ点が決まり、デジタル圧力スイッチは値を表示しながら数字でしきい値を設定できます。圧力センサ(トランスミッタ)は、アナログやIO-Linkで圧力の値そのものを出します。製品名の付け方は各社で揃っていないので、名前ではなく出力の種類で見分けてください。

圧力センサの種類はどう選ぶ?

まず基準の違いで、ゲージ圧、絶対圧、差圧のどれを測るかを決めます。設備の空圧や油圧の監視はゲージ圧が多く、正圧と負圧の両方を見るなら連成圧のレンジを選びます。次に、気体用か液体用かを型式で確認します。検出方式の名称は各社で揃っていないため、方式名より、流体、耐圧、精度、出力の仕様で比べるほうが実務的です。

空圧の圧力センサは何を見ればよい?

元圧監視なら、しきい値と、一瞬の落ち込みで止めないための応答時間や遅延の設定を見ます。吸着確認なら、ワークの有無で負圧がどれだけ変わるかと、応答時間を見ます。気体用の製品で足りる場面が多い一方、接続ねじは装置の製造国や販売地域で違うことがあるので、型式の末尾記号まで確認してください。

油圧の圧力センサが壊れる原因は?

WIKA は、液体の配管でセンサが過大な圧力で繰り返し壊れる原因の多くはウォーターハンマーだと説明しています。定格のレンジに収まっていても、瞬間の圧力が耐圧を超えると壊れることがあります。オムロンは E8PC について、瞬間的な変動も耐圧以内に収め、想定される場合は付属の絞りを使うよう求めています。レンジを上げる前に、絞りやスナバの使用を検討してください。

デジタル圧力スイッチの精度はどう読む?

しきい値で判定するなら、測定精度より、スイッチ点精度と繰り返し精度を見ます。WIKA は、電子式圧力スイッチを選ぶときは主にスイッチ点精度を使うべきだと説明しています。「±1% F.S.」の F.S. がレンジ上限を指すのかスパン全体を指すのかは、メーカーによって本文で定義を確認できないことがあります。比べる前に各社に確認し、温度特性も別に見込んでください。

IO-Link対応は必要?

しきい値でON/OFFするだけなら、開閉出力で足ります。値の記録や診断情報まで扱いたい場合は、IO-Link が候補になります。ただし、IO-Link マスタや上位の仕組みも必要になります。アナログ入力ユニットが既にあるなら、まずアナログで記録を始める進め方もあります。IO-Link を使うときは、出力モードと配線先の組み合わせに関するメーカーの注意事項を確認してください。

圧力センサの価格は?

公開価格を確認できたのは一部です。日本の通販サイトのモノタロウでは、2026年10月13日の閲覧時点で、SMC ISE20 シリーズ(1出力)が税込 8,578円から、ISE20B シリーズが税込 9,458円から、ISE20B-L シリーズ(IO-Link対応)が税込 10,998円から、ISE20C-X-02-A1 が税込 21,978円でした。いずれも日本国内の価格で、「から」は最低構成の価格です。タイの通販では品番単位の公開価格を確認できず、キーエンス、オムロン、ifm、パナソニック、Festo の公開価格も確認できませんでした。

まとめ

  • 圧力センサの選定は、レンジより先に、①しきい値判定か連続値の記録か、②流体、接続、サージの条件、を決めることから始まる
  • しきい値判定ならスイッチ点精度と繰り返し精度、連続値の記録なら直線性、温度特性、ドリフトを見る
  • 応答時間は速いほど良いわけではない。チャタリングを防ぐために遅く設定する機能でもある
  • 同じシリーズでも気体用と液体用で型式が分かれる。クーラントや作動油に気体専用品を付けない
  • レンジは、常用圧、最大圧、サージ、耐圧の関係で決める。一般則の倍率で決め打ちしない
  • 液体の配管では、瞬間の圧力が耐圧を超えないかを見る。レンジを上げる前に絞りやスナバを検討する
  • 接続ねじは販売地域で違うことがある。単位の換算は NIST の係数を使い、1 kgf/cm² の置き換えは近似と意識する
  • RFPに用途、流体、圧力条件、ねじ、出力、校正証明書、設定値の記録を書き、FATで基準器との突き合わせ、SATで実ラインの記録との突き合わせを行う
  • 効果の試算は上限として置き、SATで誤報や見逃しを確認できてから数える

どの設備のどの圧力から記録を始めるか、今のチョコ停や不良がどこで起きているか。そうした棚卸しの段階からでも、TOMAS TECH にご相談いただけます。タイの日系工場で、要件の整理からRFP、FAT/SATまでを一緒に進めます。お問い合わせはこちらからどうぞ。

参考情報