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2026.10.07

ストレッチ包装機の選定|方式比較とタイ工場のRFP・受入試験

ストレッチ包装機の選定|方式比較とタイ工場のRFP・受入試験

「出荷場でパレットを手巻きしている。作業者の負担が大きく、人によって巻き方が違い、輸送中の荷崩れでクレームも出る。フィルム代もかさんでいる」。タイの日系食品工場や日用品工場、電子部品・自動車部品・樹脂成形の工場で、生産技術課長や物流・出荷課長の方からよく聞く悩みです。そこで検討に上がるのが、ストレッチ包装機の選定です。

先に結論を書きます。ストレッチ包装機の投資回収を決めるのは「人を何人減らせるか」ではありません。「1パレットあたりのフィルム量と、必要な包装力を、毎回同じに出せるか」です。 だから、機種を選ぶより先に、今の手巻きでどれだけフィルムを使っているか、どの荷姿で荷崩れが起きているかを測ります。選定で決めることは、①荷姿の棚卸し、②方式の決定、③包装力とフィルム量の目標、④安全の設計、⑤受入試験での確認、の5つです。この順番で決めれば、方式選びもRFPも受入試験もぶれにくくなります。

なお、本記事に登場する出荷台数・作業時間・フィルム量・単価・投資額・回収年数は、すべて後述のモデル工場を前提にした本記事オリジナルの試算値・想定値(仮置き値)です。業界平均でも調査値でもありません。ベンダー価格の一次情報も使っていません。自社の実測値と見積もりに差し替えて使う「計算の型」として読んでください。

なぜ今、タイ工場でストレッチ包装機の選定が問われるのか

手巻きは「巻くたびに違う」

パレットの手巻きは、設備がいらず、すぐに始められる方法です。ただ、続けていると3つの問題が表に出てきます。

1つ目は、作業者の負担です。フィルムのロールを持ってパレットの周りを何周も歩き、かがんで下段を巻き、背伸びして上段を巻く。1日に何十パレットも続ければ、腰や肩への負担は小さくありません。2人で交代しながら回している出荷場も多いはずです。

2つ目は、ばらつきです。同じ荷姿でも、巻く人、時間帯、忙しさによって、巻き数もフィルムを引っ張る強さも変わります。ベテランは強く巻き、新人は怖がって弱く巻く。忙しい日は巻き数が減り、クレームが出た翌週は「念のため」で巻き数が増える。こうした揺れが、そのまま荷崩れのリスクとフィルム代の両方に出ます。

3つ目は、フィルムの使用量が見えていないことです。ストレッチ包装機のメーカーであるLantechは、多くの工場がOEE(設備総合効率)や生産数、停止は追跡していても、ストレッチフィルムのような消耗品は追跡しておらず、慎重さから巻きすぎたり、設定のばらつきで巻き不足になったりしがちだ、と指摘しています。ベンダーの主張ではありますが、出荷場で「1パレットに何グラム使っているか」を即答できる工場は多くないのではないでしょうか。

2026年、LantechがAMR連携型の機械を発売した

機械側にも動きがあります。Lantechは2026年2月2日、SL400とSL400LTという2機種を南北米で発売しました。SL400は、荷を床に置いたまま、ラップアームが荷の周りを回る方式(荷は回転しない)で、手巻きから機械巻きへ移行する工場向けとされています。SL400LTは、製造現場や自動化の進んだ環境向けの機種です。

さらに同社は2026年9月30日、AMR(自律走行搬送ロボット)と連携できるSL400AMRのグローバル発売を発表しました。熱や可動部ではなく空気の噴射でフィルムの尾端を固定する「TurboTak」、先端のフィルムをつかんでフィルム切れを減らす「Load Seeking Clamp」を備え、AMRに対して機械の状態を明確に返すインターフェースを持つとされています。2026年10月18〜21日にシカゴで開かれるPACK EXPO International 2026で、稼働機を実演する予定です。「コンベヤやスロープが不要で、重量の制限がない」という説明はベンダー公表値で、条件付きのものです。タイでの価格、納期、サポート体制は発表に書かれていません。

ここで興味深いのは、同社のCEOが2月の発表で「AMR互換は、すべての用途に必要なわけでも実用的なわけでもない」という趣旨を述べていることです。新しい機械が出たから飛びつくのではなく、自社の荷姿と台数、上流・下流の搬送に合った方式を選ぶ、という本記事の考え方とも重なります。

EUの包装規則と、人件費の前提

もう1つの背景は、包装材への規制です。EUの包装・包装廃棄物規則(PPWR)は2026年8月12日から適用が始まりました。パレットラップについては、100%再使用の要件から免除する決定が2026年に出ていますが、40%の再使用目標の計算には引き続き含まれます。詳しくは後の節で整理しますが、欧州向けに出荷している工場では、取引先や輸入者からフィルムの使用量や材質について質問が来る可能性があります。

人件費の前提も少しずつ動いています。タイの最低賃金は、2025年7月1日施行の改定時点で日額THB 337〜400で、県によって異なります。社会保険の賃金上限も2026年1月1日から引き上げられました。手巻きの負担が将来軽くなる見込みは薄く、出荷場の省力化を考える理由は増えています。

ただし、後のモデル試算で示すとおり、回収を左右するのは人件費よりもフィルム量です。この点を押さえてから方式を見ていきます。

ストレッチ包装機とは:4つの方式と、セミオート/全自動

ストレッチ包装機の選定|方式比較とタイ工場のRFP・受入試験 - figure 1

ストレッチ包装機の基本

ストレッチ包装機は、パレットに積んだ荷の周りにストレッチフィルムを巻き付け、輸送中に荷が崩れないよう一体にまとめる機械です。手巻きとの違いは、フィルムを引き伸ばす強さ(張力)と巻き数、巻く高さを、設定で毎回同じに再現できることにあります。多くの機械は、フィルムを巻き付ける前にローラーで引き伸ばす「プレストレッチ」の機構を持ち、少ないフィルムで必要な締め付けを出すように作られています。

方式は、荷を回すか、フィルムを荷の周りに回すか、その回し方によって大きく4つに分かれます。

方式動き向いている荷と場面注意点
ターンテーブル式荷を載せたテーブルが回る安定した標準的な荷。初期費用を抑えたい、床面積が限られる不安定な荷は回せない。重量に上限がある
ロータリーアーム式(ストラドル)荷は床に置いたまま、アームが荷の周りを回る重量物、壊れやすい荷、不安定な荷ターンテーブルより費用が高く、設置スペースが大きい
ロータリーリング式フィルムを載せたリングが荷の周りを回る台数の多い高速ライン能力の値は条件付きのベンダー公表値で、自社の荷での確認が要る
自走式(ロボット)機械が荷の周りを走りながら巻く設置場所を固定しにくい場合や、荷の長さ・幅がまちまちな場合の選択肢の1つ(適否は機種の仕様で確認)バッテリー充電の運用が要る。能力は機種の仕様で確認する

ターンテーブル式とロータリーアーム式の違い

Lantechは、ターンテーブル式とストラドル(ロータリーアーム)式を選ぶ判断軸として、①製品の種類・重量・品種の多さ、②床面積、③予算とコスト、④必要な生産速度、の4つを挙げています。同社の説明では、重量物や壊れやすい荷はストラドル、標準的な荷はターンテーブルが向き、狭い場所ではターンテーブル、ストラドルは大きな設置スペースが必要です。費用面では、ターンテーブルは初期費用が安く、ストラドルは台数の多い用途で長期的に効率が出る、としています。

リング式と自走式の例

高速ラインで使われるロータリーリング式の例として、Robopacの「Genesis Thunder/2」は最大160パレット/時とされています。これはベンダー公表値で、荷のサイズや条件によって変わります。

自走式の例としては、同じくRobopacの「Robot S7」があり、販売代理店の掲載値では最大30 loads/時、フィルムの延伸率は0〜500%で可変とされています(最大30 loads/時は標準パレット寸法での値。延伸率の範囲はキャリッジの構成で異なる)。いずれも方式の違いを知るための例として挙げたもので、推奨や比較ではありません。自社の荷で同じ値が出るという意味でもありません。

セミオートと全自動

方式とは別に、「どこまで自動にするか」の軸があります。Lantechの製品カテゴリの説明では、セミオートは単独で置く機械で、能力は最大40 loads per hour程度、台数の少ない用途や、複数台を並べる大きな倉庫に向くとされています。全自動はPLCで制御し、コンベヤで荷を出し入れする構成で、通常は生産ラインに組み込まれます。この「最大40 loads per hour」は同社のカテゴリ全体の一般的な説明であり、他社や他機種にそのまま当てはまる値ではありません。

セミオートでは、フォークリフトで荷を載せ、フィルムの先端を荷に付け、起動し、終わったらフィルムを切って尾端を処理する、という作業が人に残ります。全自動では、上流のコンベヤから荷が流れてきて、巻き終わった荷がコンベヤの出口に出てきます。上流にパレタイザーがある場合は、ロボットパレタイザーの選定と一緒に考えると、ライン全体の能力と置き場がそろいます。

荷姿の棚卸しから方式を決める

方式より先に「荷姿の一覧表」を作る

ストレッチ包装機の選定で最初にやるべきことは、カタログを集めることではなく、自社の荷姿を棚卸しすることです。出荷している荷姿を一覧にし、次の項目を埋めます。

  • パレットの寸法と、積み付け後の高さ(最小・最大)
  • 1パレットの重量(最小・最大)
  • 荷の積み方(インターロック積みか、柱積みか、混載か)
  • 荷の安定性(回転させても崩れないか、上段が軽く不安定でないか)
  • 品種・荷姿の種類の数と、切り替えの頻度
  • 1日の出荷台数と、ピーク時間帯の台数
  • 出荷先(国内か輸出か、輸送手段、EU向けの有無)

この一覧が、方式の判断にも、後で書くRFPにも、受入試験の評価セットにもそのまま使えます。品種の多い工場では、全部を並べるより「最も重い荷」「最も背の高い荷」「最も不安定な荷」の3つを代表として選んでおくと、後の工程が楽になります。

不安定な荷と重量の目安

少し古い資料ですが、2012年のLogistics Managementの記事は、方式選びの目安をいくつか挙げています。混載パレットや、インターロックでない柱積みのケースのような不安定な荷は、ターンテーブルで回転させられるほど安定していない、というのが1つです。ロータリーアーム式は安定した荷も不安定な荷も扱えますが、コストは高くなります。

重量については、ターンテーブルは最大3,000〜5,000ポンド程度の荷に対応し、それを超えると駆動系の摩耗が大きくなる、と書かれています。逆に500ポンド未満の軽い荷は、回転中に荷を保持するための特別な工夫が必要になるとしています。2012年時点の一般論なので、具体的な上限は各ベンダーの仕様で確かめてください。それでも「重すぎる荷」と「軽すぎる荷」の両方で、ターンテーブルには注意点がある、という考え方は今も参考になります。

床面積と動線

ロータリーアーム式は、荷の周りをアームが回るぶん、設置スペースが大きくなります。出荷場の柱の位置、フォークリフトの通路、トラックの着床場所までの動線を図面に書き込み、荷の出し入れの向きまで決めてから方式を絞り込みます。全自動にする場合は、コンベヤの長さと、巻き終わった荷を一時的に置く場所も要ります。コンベヤの配置の考え方はコンベヤ設計の基本で、出荷場全体の機器選びはマテハン機器の選定で整理しています。

判断の目安

ここまでの話を、判断の流れとしてまとめます。

  • 荷が安定していて、重量が中くらい、台数が少ない → セミオートのターンテーブル式から検討する
  • 不安定な荷、重量物、壊れやすい荷がある → ロータリーアーム式を検討する
  • 台数が多く、上流のパレタイザーや下流の搬送とつなぎたい → 全自動(ロータリーアーム式、高速ラインではリング式も)を検討する
  • 設置場所を固定しにくい、荷の大きさがまちまち → 自走式も候補に入れる(能力・充電の運用は機種の仕様で確認)

どの方式でも、最後に効いてくるのは「必要な包装力を、少ないフィルムで、毎回同じに出せるか」です。次の節でその決め方を見ます。

フィルムと包装力:プレストレッチでフィルム削減、荷崩れ防止の決め方

プレストレッチでどれだけ減るか

プレストレッチは、フィルムを荷に巻く前にローラーの回転差で引き伸ばす仕組みです。同じ重さのロールから、より長いフィルムを取り出せるので、使用量を減らせるとされています。

ベンダー資料の例を挙げます。Handle-Itの資料は、パワープレストレッチのキャリッジを搭載した機械で「フィルム使用量を最大60%削減」と記載しています。ただし、この値は「プレストレッチなしで1荷あたり約105フィートのフィルムを使い、パワープレストレッチでは30フィート使う」という前提に基づく、条件付きの値です。同じ資料に掲載された機種の多くは、250%のプレストレッチ機構を持っています。

大切なのは、この削減率を自社の工場にそのまま当てはめないことです。今の手巻きでどれだけ使っているかは工場ごとにまったく違います。手巻きで巻きすぎている工場なら削減幅は大きく、もともと少ない量で巻いている工場なら小さくなります。だからこそ、機械を見る前に、今のロールの重さを量って1パレットあたりの実使用量を出しておく必要があります。

キャストとブロウン

ストレッチフィルムには、製法の違いでキャストとブロウンがあります。Lantechの説明によると、ストレッチフィルムの生産のうち約70〜80%がキャスト、約20〜30%がブロウンです。ブロウンは円形のダイから押し出して空気を吹き込み大きな泡状にして作り、キャストは直線のダイから押し出して大きな冷却ロールの上に流して作ります。

同社によると、ブロウンは突き刺しに強く、自着性(クリング)が高い傾向があり、巻き戻すときの音が大きめです。キャストは透明で光沢があり、巻き戻しが静かな傾向があります。角の鋭い荷や、突起のある荷が多いか、荷の中身を外から見たいか、といった自社の事情に合わせて選びます。フィルムの特性は製品ごとに違うので、候補のフィルムを実際の荷と機械で試すのが確実です。

包装力とは何か

フィルム量と並んで決めておくべきなのが「包装力(containment force)」です。Lantechは包装力を「荷のある一点にかかる総力」と定義しています。フィルムが荷をどれだけの力で締め付けているか、と言い換えるとわかりやすいでしょう。

包装力が足りなければ、輸送中の揺れや急ブレーキで荷崩れが起きやすくなります。逆に強すぎれば、箱がつぶれたり、フィルムを余計に使ったりします。フィルムの量(巻き数や厚み)と、プレストレッチの率、巻き付けるときの張力の組み合わせで、包装力が決まります。

包装力の目標は「今うまくいっている荷」から決める

では、どのくらいの包装力を目標にすればよいのでしょうか。Lantechの考え方はシンプルです。同社は包装力の「黄金律」として「Use what works(うまくいっているものを使え)」を挙げ、実際の出荷で試しながら改善のサイクルを回して決めるべきだとしています。

測り方については、背の高い荷は上部・中部・下部の3か所で包装力を測ります。同社のチーフエンジニアは、良好な状態で出荷できた荷について測った包装力の最小値を、目標の「標準」にすべきだと述べています。つまり、今の手巻きで荷崩れなく届いている荷を何パレットか測り、その中で一番低い値を「これ以上あれば大丈夫」という基準にする、という考え方です。

この記事では、包装力の推奨値を数字では示しません。荷の重さ、箱の強さ、積み方、輸送の距離と道路の状態で、必要な値は大きく変わるからです。自社の荷で測り、自社の基準を作ることが、荷崩れ防止の対策として最も確実です。

機械を入れても、巻きすぎれば効果は消える

機械を入れたあとによく起きるのが、「念のため」に巻き数を増やしてしまうことです。荷崩れのクレームが1件出ると、設定を一段強くし、それが元に戻らない。こうしてフィルム量が少しずつ増え、導入時に見込んだ削減効果が消えていきます。

これを防ぐには、包装力とフィルム量の目標値を決め、受入試験で確かめ、稼働後も定期的に測って記録することです。Lantechは、ストレッチフィルムの最適化を「今日プラスチックを減らす最速かつ最低リスクの方法」と主張しています。ベンダーの主張としてですが、フィルムを管理する指標として扱う、という考え方は取り入れる価値があります。

ストレッチ包装機の費用とROI:モデル試算

ストレッチ包装機の選定|方式比較とタイ工場のRFP・受入試験 - figure 2

ここからは、架空のモデル工場で費用と効果を試算します。繰り返しになりますが、以下の数値はすべて本記事オリジナルの試算値・想定値(仮置き値)です。業界平均でも調査値でもなく、ベンダーの価格の一次情報も使っていません。

共通の前提(モデル工場P)

  • タイ東部にある日系の日用品・食品向け包装資材工場
  • 出荷は1日120パレット、年300日稼働で、年36,000パレット
  • 現状は手巻き。1パレットあたりの作業者の時間は4分(2人で交代)、フィルムは0.60kg/パレット(仮定)
  • フィルム単価はTHB 70/kg(仮定)、作業者の人件費は社会保険等込みでTHB 80/時(仮定)
  • 機械巻き(プレストレッチ250%の機械を想定)のフィルム量は0.30kg/パレット(仮定)

機械巻きの0.30kgは、先に紹介したHandle-Itの資料の削減率をそのまま当てはめたものではありません。試算のための仮置きの値です。

案A:セミオートのターンテーブル機1台

  • 初期費用はTHB 900,000(本体・据付・教育、仮定)、年間保守費はTHB 50,000(仮定)
  • 作業者の時間は1パレットあたり1.5分(荷を載せる、フィルムを付ける、起動する、切る)
  • 人時の効果:120×(4−1.5)=300分=1日5時間。×300日=1,500時間。×THB 80=年THB 120,000
  • フィルムの効果:36,000×(0.60−0.30)=10,800kg。×THB 70=年THB 756,000
  • 年間効果は876,000、保守費50,000を引いた年間ネットはTHB 826,000
  • 回収年数は900,000÷826,000=約1.1年

案B:全自動インライン(ロータリーアーム+コンベヤ)

  • 初期費用はTHB 4,500,000(本体・コンベヤ・制御・据付、仮定)、年間保守費はTHB 150,000(仮定)
  • 巻きにかかる作業者の時間はゼロ。フォークリフトはコンベヤの出口から荷を取るだけで、フォークリフト側の時間は変わらないと仮定
  • 人時の効果:120×4=480分=1日8時間。×300日=2,400時間。×THB 80=年THB 192,000
  • フィルムの効果:案Aと同じ年THB 756,000
  • 年間効果は948,000、保守費150,000を引いた年間ネットはTHB 798,000
  • 回収年数は4,500,000÷798,000=約5.6年

感度:今の手巻きが実は0.40kg/パレットだったら

前提のうち、最も不確かなのは「今の手巻きで何kg使っているか」です。仮に実測したら0.40kg/パレットだった(機械巻きは0.30kgのまま)とします。

  • フィルムの効果:36,000×0.10=3,600kg。×THB 70=年THB 252,000
  • 案A:120,000+252,000=372,000。保守費50,000を引いてネット322,000。回収は約2.8年
  • 案B:192,000+252,000=444,000。保守費150,000を引いてネット294,000。回収は約15.3年

試算のまとめ

項目(THB)案A セミオート・ターンテーブル案B 全自動インライン
初期費用900,0004,500,000
年間保守費50,000150,000
1パレットあたりの作業者の時間1.5分0分
人時の効果(年)120,000192,000
フィルムの効果(年、手巻き0.60kgの場合)756,000756,000
年間ネット(手巻き0.60kgの場合)826,000798,000
回収年数(手巻き0.60kgの場合)約1.1年約5.6年
フィルムの効果(年、手巻き0.40kgの場合)252,000252,000
年間ネット(手巻き0.40kgの場合)322,000294,000
回収年数(手巻き0.40kgの場合)約2.8年約15.3年

読みどころ1:回収を左右するのは人件費ではなくフィルム量

案Aでも案Bでも、年間効果の大部分はフィルムです。人時の効果は案Aで年THB 120,000、案Bで年THB 192,000ですが、フィルムの効果は年THB 756,000あります。そして、手巻きのフィルム量が0.60kgから0.40kgに変わるだけで、案Aの回収は約1.1年から約2.8年に、案Bの回収は約5.6年から約15.3年に延びます。

だから、買う前に、今のロールの重さを量って、1パレットあたりの実使用量を出すことが、選定の最初の仕事になります。巻く前のロールと、何パレットか巻いたあとのロールを量り、その差を巻いたパレット数で割るだけです。荷姿ごと、作業者ごとに数日分の記録を取れば、平均とばらつきの両方が見えてきます。

読みどころ2:1日120パレットなら、全自動の上乗せは人件費では回収できない

案Bは案Aより初期費用が約THB 3,600,000多くかかります。一方で、人時の効果の差は年THB 72,000しかありません。しかも保守費の差が年THB 100,000あるため、年間ネットで見ると案Bは案Aより年THB 28,000少なくなります。1日120パレット程度の出荷量なら、全自動化の上乗せを人件費の差で回収することはできません。

全自動を選ぶのは、別の理由があるときです。たとえば、出荷台数がずっと多い、上流のパレタイザーとつないでラインとして流したい、夜間に無人で出荷の準備を回したい、といった場合です。パレタイジングを含めた全体の投資の考え方はパレタイジングロボットの導入、夜間の無人運転を前提にする場合の注意点は夜間無人運転で整理しています。

読みどころ3:人時の効果は、時間が他の仕事に回るときだけお金になる

試算では、浮いた作業者の時間に人件費の単価を掛けています。しかし、浮いた時間が手待ちになれば、実際のお金の効果は0です。出荷場の作業者がラベル貼りや検品、積み込みの準備に回れるのか、他の工程に配置換えできるのかを、導入前に決めておきます。

読みどころ4:荷崩れの減少は金額に入れない

機械巻きで包装力がそろえば、荷崩れや破損のクレームが減ることは期待できます。ただ、この試算では荷崩れの減少を効果として金額化していません。今のクレームの件数や損害額のデータがない段階で効果に足すと、根拠の薄い数字が回収年数を短く見せてしまい、過大評価や二重計上につながりやすいからです。荷崩れの減少は「上振れの要因」として文章で記録しておき、稼働後に実績が出てから評価します。

二重計上を作らないための注意

人時(作業者の時間)とフィルム(材料費)は別の費目なので、足し合わせて問題ありません。一方で、「巻く時間が短くなって出荷が増えるから売上が増える」といった増産や売上増は、この試算には足していません。出荷量は需要で決まるもので、包装機を入れただけで増えるわけではないからです。ロボットやFA設備の投資判断全般の考え方はロボット導入の費用対効果も参考にしてください。

安全設計:EN 415-6と現場の安全機能

パレットラッピング機の安全規格

欧州には、包装機械の安全規格のうちパレットラッピング機を扱うEN 415-6があります。2013年9月版のDIN EN 415-6は、パレットラッピング機の設計・製造・据付・試運転・運転・調整・保守・清掃に関する安全要求事項を定め、EUの機械指令2006/42/ECへの適合を支える規格です。対象にはストレッチフィルムのパレットラッピング機のほか、移動式のストレッチフィルムラッピング機や、セミオートの自走式ストレッチフィルムラッピング機も含まれます。一方、パレットのストラッピング機(バンド掛け機)はEN 415-8の範囲で、EN 415-6の対象外です。

米国には包装機械の安全規格としてANSI/PMMI B155.1-2023があり、解説によれば、リスクアセスメントとリスク低減の責任は機械の供給者とユーザーの双方にあるとされています。タイの工場では参考の扱いになりますが、「安全は機械メーカーだけの責任ではない」という考え方は覚えておくとよいでしょう。

タイ国内でどの規格や法令への適合が求められるかは、機械の種類や工場の条件によって変わります。所轄機関や専門家、認証機関に個別に確認してください。安全制御の性能レベルなどの具体的な要求も、規格本体と専門家の判断で決めるもので、この記事では断定しません。

危険源と安全機能

Lantechは、ストレッチ包装機の危険源として、回転するターンテーブル、張力のかかったフィルムキャリッジ、可動アーム、コンベヤ、予期しない起動や急停止、フィルムの切れやジャムを挙げています。そのうえで、主な安全機能として次のものを挙げています。

  • 非常停止
  • 固定ガードと、インターロック付きの扉
  • ライトカーテン、レーザースキャナ、セーフティマットによる侵入検知
  • ソフトスタート/ソフトストップ、ジャムの検知
  • ロックアウト/タグアウト(LOTO)のポイントと安全PLC

セミオートのターンテーブル機では、作業者がフィルムを付けたり切ったりするために機械に近づきます。起動するときに人がどこにいるか、巻いている途中でフィルムが切れたら誰がどう直すか、を手順に落としておきます。全自動では、ガードの中に人が入る場面(フィルムロールの交換、ジャムの処理、清掃)を洗い出し、LOTOの手順と一緒に設計します。柵や扉の考え方は、ロボット安全柵の規格の記事も参考になります。

ストレッチ包装機のRFPに書く12項目

ベンダーに見積もりを依頼するときは、次の12項目をそろえて書きます。前提がそろわないまま見積もりを取ると、能力も価格も比べられません。

  1. 荷姿の一覧と台数:パレット寸法、高さ、重量、積み方、安定性、品種の数、1日の台数
  2. 方式と設置スペース:希望する方式(または比較してほしい方式)と、出荷場の図面、荷の出し入れの向き
  3. 能力:1日の平均台数と、ピーク時間帯の1時間あたりの台数
  4. プレストレッチと包装力の調整・記録:プレストレッチの率、張力の調整範囲、包装力の設定と記録の方法
  5. フィルムの仕様と1パレットあたりの目標量:使うフィルムの種類・厚み・幅、荷姿ごとの目標グラム数
  6. レシピの数と切り替え:荷姿ごとの巻き方を何種類登録できるか、切り替えの手順と時間
  7. 尾端の処理とフィルム切れの対策:フィルムの切断と尾端の固定の方法、フィルム切れが起きたときの検知と復帰
  8. 安全機能と準拠する規格:非常停止、ガード、インターロック、侵入検知、LOTO、準拠する規格と適合の根拠
  9. 上流・下流との接続:コンベヤ、パレタイザー、AMR、フォークリフト、WMSとの信号のやり取り
  10. データの出力:巻いた台数、フィルムの使用量、停止の回数と理由を、どの形式で取り出せるか
  11. タイ語の画面と教育:操作画面とマニュアルの言語、作業者と保全担当への教育の内容と回数
  12. 現地保守と消耗品の在庫:タイ国内の技術者の体制、駆け付けの時間、プレストレッチローラーなど消耗品の在庫

9番の「上流・下流との接続」は、全自動にする場合に特に重要です。上流では箱詰め(箱詰め自動化)とパレタイジング、空パレットの供給(パレットディスペンサーの選定)、下流では出荷ラベルの貼付(自動ラベル貼付機の選定)や、搬送(無人フォークリフト)とつながります。どの機械がどの信号を出し、誰が全体をまとめるのかを、RFPの段階で決めておきます。梱包ライン全体の設計の考え方は梱包ライン自動化にまとめています。

受入試験(FAT/SAT)で荷崩れ防止を確かめる

ストレッチ包装機の選定|方式比較とタイ工場のRFP・受入試験 - figure 3

評価セットを先に作る

受入試験は、ベンダーの工場で行うFAT(工場受入試験)と、自社の出荷場で行うSAT(現地受入試験)の2段階で行います。大切なのは、FATとSATで同じ手順を流すことです。

まず、自社の代表的な荷姿を3種類用意します。最も重い荷、最も背の高い荷、最も不安定な荷です。FATでは自社の実際の荷か、それと同等のダミー荷を持ち込み、SATでは自社の出荷場で実際の荷を使います。ここで挙げる目標の数字や決め方は、すべて仮置きの目標例です。規格で決まった値ではありません。

見る指標

  1. フィルム量:ロールの重さを量り、10パレット分の平均を出す。目標例は「仕様書で決めたグラム数/パレット以内」
  2. 包装力:上・中・下の3か所で測る。目標は「手巻きで良好に出荷できた荷の最小値以上」という決め方にする
  3. サイクルタイム:1日の台数と、ピーク時間帯の台数を回せるか
  4. 尾端の処理とフィルム切れ:たとえば連続100パレットを巻いたときのフィルム切れの回数など、判定の基準は工場が決める
  5. 荷姿の高さと品種の切り替え:レシピを切り替えるのにかかる時間と、切り替えの誤りがないか
  6. 安全機能:非常停止、インターロック付き扉、侵入検知のそれぞれを実際に作動させて確かめる
  7. 傾斜・揺れの簡易試験:輸送中の揺れや傾きに耐えるかを簡易に確かめる

荷姿の安定性と、EU向けの荷の考え方

7番の傾斜・揺れの試験では、EU向けの荷について、EUの指令2014/47/EUの附属書IIIが参考になります。この附属書は、積荷の固定が、車両の加減速によって生じる力として、進行方向に積荷重量の0.8倍、横方向に0.5倍、進行と逆方向に0.5倍の力に耐え、積荷の傾きや転倒を防ぐことを求めています。これはEU域内の路上検査の規定なので、タイ国内の輸送には直接適用されませんが、EU向けの荷姿の設計目標の参考にはなります。

同じ附属書は、輸送包装に適用できる規格としてEUMOS 40509を挙げています。EUMOS 40509は、加速度ベンチで加速・旋回・制動による揺れを再現し、荷姿が輸送中に安定を保つかを評価する動的な試験方法で、2020年に改訂されました。評価には、試験中の弾性的な変形と、試験後に残る永久的な変形の両方が含まれます。合否の具体的な基準は規格本体で確認する必要があり、この記事では数値を示しません。パレット単位の荷(ユニットロード)をトラック輸送する場合の試験であるISTA 3Eも、最近改訂されています。

規格に沿った試験が必要な場合は、社内の簡易試験で済ませず、第三者の試験機関に相談してください。取引先が求める試験方法と基準を、事前に確認しておくことも大切です。

稼働後も月1回測る

受入試験に合格したら終わりではありません。稼働後も、月に1回はフィルム量と包装力を測って記録します。季節で荷の状態やフィルムの扱いが変わることもありますし、前に書いたように「念のため」の設定変更でフィルム量が増えていくこともあります。記録があれば、クレームが出たときに設定を変えるべきかどうかを数字で判断できます。荷崩れの減少も、この記録とクレームの件数を並べて初めて評価できます。

タイ・ASEAN固有の論点

1. 人件費の文脈

タイの最低賃金は、2025年7月1日施行の改定時点で日額THB 337〜400です。THB 400はバンコク、チャチュンサオ、チョンブリ、プーケット、ラヨーン、サムイ島と、全国のホテル業・娯楽施設業が対象で、最も低いTHB 337はナラティワート、パタニ、ヤラーです。東部のチョンブリ、ラヨーン、チャチュンサオはTHB 400の側に入っています。

社会保険の拠出の算定に使う賃金の上限は、1995年以来THB 15,000で据え置かれてきましたが、2026年1月1日からTHB 17,500に引き上げられ、月額の拠出は労使それぞれTHB 875になりました。上限は2029年にTHB 20,000、2032年にTHB 23,000へと段階的に上がる予定です。手巻きの負担が人件費の面で将来軽くなることは考えにくい状況です。

なお、タイの電気料金は2026年9〜12月の請求期間で平均3.95バーツ/単位(VAT別)とされていますが、包装機の電力コストは全体の中では小さいので、選定で大きく気にする必要はありません。

2. 高温多湿とフィルムの管理

タイの出荷場は暑く、湿度も高くなります。フィルムのロールは直射日光や高温を避けて保管するのが一般的な注意です。季節によって巻き具合が変わらないか、受入後も記録を取って確かめます。月1回の測定記録は、この点を見るのにも役立ちます。

3. 輸出先の要求:EUのPPWR

EUのPPWR(Regulation (EU) 2025/40)は、2026年8月12日から適用されています。第29条は輸送包装の再使用について定めており、第29条(1)では、2030年1月1日から、EU域内で製品の輸送に輸送包装を使う事業者に、合計で少なくとも40%を再使用可能な包装とすることを求め、2040年1月1日からは少なくとも70%を目指す努力目標としています。パレットラップやストラップもこの対象に含まれます。

一方で、第29条(2)(3)は、同じ事業者の拠点間などで100%の再使用を求めています。これについて、2026年2月25日に採択された委任決定(EU) 2026/429は、パレットラップとストラップを100%再使用の要件から免除しました。官報公表は2026年5月6日、発効は2026年5月26日です。ただし、第29条(1)の40%の目標の計算には、パレットラップも引き続き含まれます。業界団体の解説では、再使用可能な代替手段の市場が十分に育っていないこと、多くの物流・産業企業に大きな適応コストがかかることが、免除の背景として紹介されています。

また、PPWR第7条は、プラスチック包装に消費後の再生材を一定の割合で含めることを求めており、「その他のプラスチック包装」は2030年(または関連する実施法の発効から3年後のいずれか遅い方)に35%、2040年に65%とされています。ストレッチフィルムがこの区分に該当し得るかどうかは、附属書や除外規定を含めた確認が必要です。

注意したいのは、第29条の再使用の義務を負うのは、EU域内で輸送包装を使う事業者だという点です。第7条を含め、タイの輸出者に直接かかるかどうかは取引の形によって変わり、この記事では断定しません。ただ、取引先や輸入者を通じて、再生材入りのフィルムや、薄いフィルムへの切り替え、使用量の報告を求められる可能性はあります。1パレットあたりのフィルム量を記録しておけば、そうした質問にも答えやすくなります。具体的な対応は、所轄機関や専門家、取引先に個別に確認してください。タイ国内でも、公害管理局がプラスチック廃棄物管理の行動計画を進めていると報じられています。

4. 停電・電圧と復帰の手順

工場の電源の品質は、機械の安定稼働に影響します。停電や瞬時の電圧低下で止まったとき、巻きかけの荷をどう扱うか、非常停止のあとにどの順番で復帰させるかを、一般的な手順として決めておきます。全自動では、コンベヤ上に残った荷の扱いも含めて手順化します。

5. 現地保守と消耗品

キャリッジやプレストレッチローラーは消耗する部品です。タイ国内に在庫があるか、技術者が何時間で来られるかは、止まったときの影響を大きく左右します。操作画面とマニュアルがタイ語で用意されているかも、現場で設定を守ってもらうために欠かせません。RFPの11番と12番で必ず確かめます。

6. 展示会で実機を見る

方式の違いを実感するには、実機を見るのが一番です。タイでは、包装・加工機械の展示会ProPak Asia 2027が、2027年6月9〜12日にムアントンターニーのIMPACTで開催される予定です。自社の代表的な荷姿の写真と寸法、重量を持って行き、ベンダーに具体的に質問すると、比較がしやすくなります。

7. ベトナム拠点も同じ考え方で

ベトナムなどASEANの他の拠点でも、荷姿の棚卸し、フィルム量の実測、包装力の基準づくり、受入試験という考え方はそのまま使えます。人件費や安全、環境に関する法令は国ごとに違うので、個別に確認してください。

ストレッチ包装機選定の90日計画

0〜30日:測る

  • 荷姿の棚卸し(寸法・高さ・重量・積み方・安定性・品種・台数)
  • 手巻きのフィルム量の実測(ロールの重さを量り、荷姿ごと・作業者ごとに1パレットあたりの量を出す)
  • 1パレットを巻くのにかかる時間の実測
  • 荷崩れ・破損クレームの件数と内容の集計

31〜60日:比べる

  • 方式の比較(ターンテーブル式、ロータリーアーム式、リング式、自走式。セミオートか全自動か)
  • ベンダー2〜3社に、代表荷姿3種での実荷テストを依頼する
  • 手巻きで良好に出荷できている荷の包装力を測り、目標の基準を決める
  • RFP(12項目)の作成

61〜90日:決める

  • FATの合格基準の確定(フィルム量、包装力、サイクルタイム、フィルム切れ、安全機能)
  • 実測値を使ったモデル試算の作り直しと発注の判定
  • SATの計画、作業者と保全担当の教育計画、稼働後の月次測定の担当決め

最初の30日で測る「手巻きのフィルム量」が、この計画全体の土台です。ここを飛ばすと、回収年数も、受入試験の目標も、根拠のない数字になります。

よくある質問(FAQ)

ストレッチ包装機とは? 手巻きと何が違いますか?

パレットに積んだ荷の周りにストレッチフィルムを巻き付けて、輸送中に荷が崩れないようにまとめる機械です。手巻きとの一番の違いは、フィルムの引き伸ばしの率、張力、巻き数、巻く高さを設定で毎回同じに再現できることです。多くの機械はプレストレッチの機構を持ち、少ないフィルムで必要な締め付けを出すように作られています。作業者の負担が減るだけでなく、巻き方のばらつきが減ることが大きな利点です。

ターンテーブル式とロータリーアーム式はどう選べばよいですか?

Lantechは、製品の種類・重量・品種の多さ、床面積、予算、必要な速度の4つを判断軸として挙げています。安定した標準的な荷で、台数が少なく、初期費用と設置スペースを抑えたいならターンテーブル式、不安定な荷や重量物、壊れやすい荷があるならロータリーアーム式が候補になります。2012年の業界誌の記事も、混載や柱積みの不安定な荷はターンテーブルで回せないとしています。まず自社の荷姿を棚卸しし、最も重い荷、最も背の高い荷、最も不安定な荷で判断してください。

プレストレッチでフィルムはどのくらい減りますか?

ベンダーの資料には「最大60%削減」といった記載がありますが、これは「プレストレッチなしで約105フィート、プレストレッチありで30フィート」といった前提に基づく条件付きの値です。実際の削減幅は、今の手巻きでどれだけ使っているかで大きく変わります。導入前に、ロールの重さを量って1パレットあたりの実使用量を出し、候補の機械で同じ荷を巻いて比べるのが確実です。

ストレッチ包装機の導入費用と回収期間の目安は?

本記事のモデル試算(すべて仮置き値)では、1日120パレットの工場で、セミオートのターンテーブル機(初期THB 900,000)の回収が約1.1年、全自動インライン(初期THB 4,500,000)が約5.6年でした。ただし、手巻きのフィルム量を0.60kgではなく0.40kg/パレットとすると、それぞれ約2.8年、約15.3年に延びます。業界平均ではなく計算の型なので、自社の実測値と見積もりで計算し直してください。

荷崩れ防止のために受入試験で何を確認すべきですか?

最も重い荷、最も背の高い荷、最も不安定な荷の3種類を用意し、FATとSATで同じ手順を流します。見る指標は、フィルム量(10パレット分の平均)、包装力(上・中・下の3か所)、サイクルタイム、尾端の処理とフィルム切れ、品種の切り替え、安全機能の作動、傾斜・揺れの簡易試験です。包装力の目標は、手巻きで良好に出荷できた荷の最小値以上、という決め方が実践的です。規格に沿った試験が必要なら、第三者の試験機関に相談してください。

EUの包装規則(PPWR)でストレッチフィルムは使えなくなりますか?

決まったことを分けて見るのが大切です。2026年の委任決定(EU) 2026/429によって、パレットラップとストラップは、PPWR第29条(2)(3)の100%再使用の要件から免除されました。ただし、2030年からの40%の再使用目標の計算には引き続き含まれます。義務を負うのはEU域内で輸送包装を使う事業者で、タイの輸出者に直接かかるかは取引の形によります。取引先から再生材入りフィルムや使用量の報告を求められる可能性はあるので、所轄機関や専門家、取引先に個別に確認してください。

まとめ

  • ストレッチ包装機の選定で投資回収を決めるのは、人の削減ではなく、1パレットあたりのフィルム量と必要な包装力を毎回同じに出せるかどうか
  • 決める順番は、荷姿の棚卸し、方式の決定、包装力とフィルム量の目標、安全の設計、受入試験での確認の5つ
  • 方式はターンテーブル式、ロータリーアーム式、リング式、自走式の4つ。不安定な荷や重量物があるかで大きく分かれる
  • ベンダーの数値は最大値や条件付きの値で、自社の荷で同じ値が出るとは限らない
  • モデル試算(仮置き値)では、セミオートのターンテーブル機で約1.1年、全自動インラインで約5.6年。手巻きのフィルム量が0.40kgなら、それぞれ約2.8年、約15.3年に延びる
  • だから、買う前に今の手巻きのフィルム量を量る。機械を入れたあとも、包装力とフィルム量を月1回測って記録する
  • 安全規格、EUのPPWR、タイの法令は、所轄機関・専門家・認証機関に個別確認しながら進める

荷姿の棚卸しや、今の手巻きのフィルム量の測り方、RFPと受入基準づくりの段階からでも構いません。タイの工場で出荷場の自動化やストレッチ包装機の導入を検討されている方は、検討の入り口から一緒に整理できますので、お問い合わせからお気軽にご相談ください。

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