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2026.10.05

自動ラベル貼付機の選定|タイ工場のRFPと現物テスト

自動ラベル貼付機の選定|タイ工場のRFPと現物テスト

自動ラベル貼付機の選定で最初に決めるべきことは、カタログ上の最高速度ではありません。何に、どの面へ、どの状態のラベルを貼り、貼付後の正しさをどこで確認するかです。タイ工場の梱包・出荷ラインを想定し、貼付方式、搬送との同期、印字連携、検査、見積比較、現物テストまで、発注に使える順番で整理します。

この記事は、ラベルの番号や印字データを作るラベル発行システムの次工程、「印刷済みラベルを取り出し、狙った位置へ貼り、貼付結果を確認する設備」を扱います。製品箱に貼るか、円筒容器を巻くか、パレットの複数面に貼るかによって、同じ「ラベル貼付機」でも必要な機構は変わります。ロボットの活用一般論でもありません。発注担当者が自社のワークとラインを示し、複数社に同じ条件で見積と実機検証を依頼できるようにすることが目的です。

自動ラベル貼付機の選定で最初に分ける三つの境界

発行、印字、貼付、検証は別の仕事

ラベルには、識別番号を決める仕事、可変情報を印字する仕事、現物へ貼る仕事、現物と表示を照合する仕事があります。この四つを「ラベル自動化」と一括りにすると、ソフトウェアの見積だけ届いて貼付機構が残ったり、貼付機は入ったが誤った印字を高速に貼り続けたりします。ラベル発行システムは品番、ロット、出荷指示、再発行履歴などの正本を管理します。自動貼付機は、搬送中の現物を検知し、剥離板で台紙からラベルを分離し、必要な位置へ転写します。検証系は貼付後の有無、位置、コードの可読性、対象物との一致を判定し、不良品を止めるか排出します。RFPでは各機能の責任分界を一行ずつ明記してください。

印刷済みラベルの貼付か、印字して即貼付か

デザインもデータも同じラベルを繰り返すなら、印刷済みロールを供給するアプリケータが候補です。箱ごとにロット、シリアル、SSCC、納入先が変わるなら、ライン上で印字して貼る print-and-apply が候補になります。Videojetの公式説明も、前者は印刷済みラベル、後者は可変データをオンデマンドで印字する方式として区別しています。ただし「可変データがあるから機内印字一択」ではありません。上流で事前に印字したラベルをジョブ別に供給できる場合もあります。その場合の誤ロール装着、ジョブ切替、残ラベルの扱いまで含めて比較する必要があります。

貼れたか、読めるか、正しい箱かは別の判定

ラベルが外観上あることと、バーコードが読めることと、その箱に割り当てたデータであることは三つの別の判定です。センサーは貼付の有無を見られても、印字内容が正しいとは限りません。カメラで文字やコードを読めても、MESやWMSの出荷指示と突合しなければ「正しい現物」まで保証できません。GS1 Logistic Label Guidelineも、導入時の検証を外観、記載内容、シンボルの技術要件に分けています。出荷ラベルをGS1で運用するなら、識別子の構成はGS1 Digital LinkとQR移行の記事も参照し、顧客仕様と適用するGS1規則を先に確定してください。二次元コードを加えることと、従来コードを置き換えることは同義ではありません。

自動ラベル貼付機の選定|タイ工場のRFPと現物テスト - figure 1

ワークとラベルを「種類」ではなく測定値で記述する

ラベル貼付機を選ぶ前に、現物を写真だけでなく寸法とばらつきで表します。最低限、ワークの長さ・幅・高さ、搬送方向、貼付面の位置と平坦度、箱の角や継ぎ目、ラベルの幅・長さ、ロール外径・芯径、巻き方向、台紙、接着剤、貼付許容範囲を記録します。「箱は一種類」という説明でも、同じ品番の箱が内容物によって膨らむ、テープが段差を作る、パレット上で伸縮フィルムが波打つことがあります。これらは貼付面とヘッドの距離、圧着時間、センサー位置に直接影響します。

現品票、個装、外箱、パレットは同じ表に混ぜず、貼付対象ごとに一行にします。RFP添付の表には、ワークID、寸法の最小・標準・最大、材質、表面仕上げ、搬送速度の最小・標準・最大、ピッチのばらつき、貼付位置と許容差、貼付前の印字有無、工程後の検査方法を書きます。最小と最大がまだ分からなければ空欄を埋めるために推測せず、現場で実測する担当者と期限を書きます。現物を十数個抜いて「典型品」だけ見せるより、角つぶれ、最大寸法、最小寸法、継ぎ目、反りを持つ限界品も含めたサンプルセットを用意する方が、設備方式の選定に役立ちます。

ラベル材は設備とは別物として仕様化します。同じ見た目の白ラベルでも、紙かフィルムか、表面のコーティング、接着剤、台紙の剥離特性で供給と貼付の挙動が変わります。タイの高温・高湿環境、結露、冷蔵から常温への移動、粉じん、油分の付いた表面などがあるなら、その条件で接着と読み取りを現物評価します。温度や湿度に対する「万能の推奨値」はこの記事では置けません。ラベル材メーカーの適用範囲と実際の保管・使用条件を確認し、必要なら材料と装置を組み合わせた試験を行うべきだからです。

ラベルの角度も測ります。小さな段ボール箱の側面へ水平に貼るのか、移動する円筒容器へ巻き付けるのか、パレットの前面と側面へ一枚ずつ貼るのかで、ローラー、ベルト、エアー、タンプ、角巻き、パレット用ヘッドの候補が変わります。HERMA 211の公式仕様が円筒容器の半自動巻き付けを明示しているのは、円筒と平面を同じ機構として扱えない一例です。機種の適用径などのカタログ数値をそのまま自社ワークに当てはめず、ラベル材とライン速度も含めた適用条件をベンダーに確認してください。

貼付方式をどう比較するか

コンタクト、タンプ、エアー、角巻き、周方向

コンタクト方式は剥離直後のラベルを搬送物に接触させ、ブラシやローラーで圧着する構成です。面が安定した箱や平板で、搬送位置を制御できる場合に検討しやすくなります。タンプ方式はパッドがラベルを保持し、現物へ向けて動きます。ワークの高さ差、貼付面の向き、停止または間欠搬送との関係を確認してください。エアーを使う方式は接触させにくい面で候補になりますが、飛翔中の位置ずれ、風圧、エアー品質、ラベル材の適合を試験しなければなりません。角巻きは箱の二面にまたがる表示、周方向は円筒物への巻き付けに使います。どの方式も「この品目なら必ず最良」とは言えず、現物、搬送、貼付位置、要求精度で決まります。

Videojet 9560の公式ページにはDirect Apply、Tamp、Front-of-pack、Corner-wrapの構成が示されています。これは方式を比較するための具体例であり、当社が特定メーカーの性能や自社ラインへの適合を保証するものではありません。HERMA 500はモジュール構成、左・右向き、複数のラベル幅、I/Oと産業用通信の選択肢を示しています。HERMA ecoはエントリー向けの貼付ユニットとして紹介されています。機種名から一台を先に選ぶのではなく、要求を決め、方式と供給範囲を比較し、最後に候補機種の制約を確認する順番が重要です。

手貼り、半自動、全自動を分ける条件

一日に貼る枚数だけでは自動化の可否は決まりません。段取り替えが多く、形状差が大きく、貼付位置の許容差が緩く、作業者が常時その場にいるラインなら、治具付き手貼りや半自動が合理的な場合があります。逆に枚数が少なくても、誤貼付による出荷停止、顧客からのトレース要求、夜勤での人員制約、危険な貼付姿勢が問題なら、機械化する理由があります。比較表には人件費だけでなく、再貼付、廃棄、停止、検査、教育、消耗品、段取り替えを入れ、実績がない項目は「未計測」と明記します。

半自動とは、ワークの投入や位置決めを人が行い、ラベル供給と貼付動作の一部を機械が担う構成です。全自動とは、対象物の供給・識別・位置決め・貼付・検査・排出まで搬送系と連動する構成です。この境界も見積書に書かれていなければ、納入時に「貼付機は自動だが箱の向き合わせは人」という認識差になります。作業者の安全と保守空間を含め、誰がどの操作を続けるのかを工程図に描いてください。

ライン速度は機械の最高値だけでは決まらない

カタログの「毎分何枚」や「搬送速度何メートル」は、その機種・ラベル・条件での仕様です。発注側が必要とするのは、実際の箱サイズ、最短ピッチ、貼付方向、ラベル長、印字の有無、検査時間、排出動作を組み合わせたラインでの処理可能性です。たとえば貼付機が一秒に一枚供給できても、箱が長く貼付面が一定距離移動して初めて次を受けられるなら、短いピッチでは衝突します。ライン停止からの再起動、空箱、箱間のギャップ、逆流、手動送りも設計に入れる必要があります。

RFPには平均速度だけでなく、ピーク時間帯の最大流量とその継続時間、製品間の最短ピッチ、速度変動、停止回数の実測値を載せます。エンコーダーを使って搬送速度に追従するか、一定速度と固定遅延で貼るかは、速度変動と位置精度で判断します。HERMA 500がマスターエンコーダー機能や接続インターフェースを仕様に示しているのは、速度追従とライン統合が機種選定上の項目になることを示します。ただし仕様にインターフェースがあることと、自社PLCの信号定義に接続できることは別です。通信方式だけでなく、開始信号、レディ、ラベル残量、異常、貼付完了、リセットのタイミングを確認します。

性能値を一つだけ約束させる代わりに、現物テスト条件を書きます。対象は最短ピッチと最大・最小寸法の組合せ、通常速度、立上げと停止再開、ラベルロール末端、ジョブ切替直後、搬送が一瞬止まる場合です。各条件で、何個流し、位置ずれ、剥がれ、二重貼り、未貼付、未読、誤品番をどう記録するか合意します。合格しなかったサンプルを作業者が手で直して良品に戻すなら、その手直しを設備性能の中に隠してはいけません。

自動ラベル貼付機の選定|タイ工場のRFPと現物テスト - figure 2

印字・貼付・検査を閉ループにする

可変情報を機内で印字する場合、ERP・MES・WMSのどれが値の正本かを先に決めます。装置側のテンプレートに人が品番を再入力する方式は、機械貼付を導入しても誤データの入口が残ります。上位システムからジョブID、対象ワークID、印字データまたは承認済みテンプレート番号を渡し、装置から結果を返す流れを設計します。ワーク識別と印字ジョブの紐付けは一対一にし、キューの先頭がずれたときに止められるようにします。ラベル発行と再発行の統制については前述のラベル発行システムに譲りますが、設備側のRFPにも「どのIDを受け取り、何を実績として返すか」は必要です。

貼付前にロールや印字結果を照合し、貼付後に現物上のラベルを読む構成を検討します。貼付前だけ読めても、搬送中にラベルが落ちたかは分かりません。貼付後だけ読めても、誤った箱に正しいラベルを貼った事実を、上流で箱IDを取得していなければ判定できません。バーコードリーダーを置く位置は、揺れ、反射、箱の回転、ラベルの皺、透明フィルム、印字濃度の影響を受けます。読取率をカタログから推測せず、自社の最悪条件の現物で評価します。

GS1の物流ラベルを使う場合、GS1のガイドラインはSSCCを物流ラベルの必須要素とし、導入時に表示、データ内容、バーコードの技術要件を分けて検証するよう示しています。この記述はすべての社内ラベルへSSCCを強制するものではありません。社内仕掛品票、客先指定ラベル、GS1物流ラベルでは規則が違います。顧客要求書、出荷先の受入方法、適用規格を照らし合わせ、何を検査機で確かめるかを決めます。

不良品の処置も自動化の一部です。未貼付、二重貼り、読取不可、データ不一致を同じ「NG」にまとめると、復旧手順が曖昧になります。各異常について、ライン停止か自動排出か、排出された箱の再投入可否、ラベル番号の無効化、作業者の権限、再検査結果を定めます。排出シュートが満杯の場合や再投入箱が元のキューへ戻る場合も確認します。ラベルが正しく貼られた箱を誤って排出する「過検出」も実運用の負担なので、単純な合格率だけでなく、異常種別ごとの件数を記録します。

タイ工場の現場で見落としやすい設置条件

既存ラインへの後付けでは、貼付ヘッドそのものより、センサー、圧着ローラー、検査カメラ、排出機、制御盤、安全柵、保守スペースが設置幅を決めます。搬送の右側しか空いていない、既存の箱ガイドが貼付面を隠す、結束機とシュリンク機の間に使える直線部が短いなど、現場写真だけでは見落とします。寸法入りのライン図に搬送方向、作業者動線、非常停止、扉の開き方向、ロール交換スペースを書き、導入前の現地確認を要求してください。

電源、エアー、ネットワーク、PLC接続も見積の前提条件として並べます。エアーを使う貼付方式なら圧力だけでなく、必要流量、供給停止時の安全状態、フィルターとドレンの管理を確認します。ネットワーク接続を使う場合は設備ネットワークの分離、ジョブデータが届かないときの動作、時刻同期、ログの保管先を決めます。メーカーの製品ページにEthernetやWi-Fiが載っていても、現地の情報セキュリティ方針と既存PLCのプロトコルに適合するかは別の確認です。

作業言語も仕様です。タイ語の手順書と画面表示が必要か、日本語の承認画面を別にするか、英語の故障コードを現地保全担当者が解読できるかを確認します。現地シフトでロールを交換する人が巻き方向を間違えないよう、写真付き手順と物理的なガイドを用意します。ラベル、リボン、予備部品の補給拠点、故障時の初動、電話と訪問の対応範囲を契約に含めます。「海外サポートあり」という一文だけでは、工場が止まった夜勤に誰が対応するか判断できません。

製品の衛生や安全に関する要求があれば、洗浄方法、薬品、保護等級、材料の適合も別途確認します。カタログにIP等級が載っていても、印字ユニット、検査カメラ、制御盤まで同じ保護範囲とは限りません。食品、医薬、化学品などの現場では自社の適用要求と顧客監査項目を設備メーカーへ渡し、製品ページの一般説明だけで適合を宣言しないでください。

RFPに載せるべき条件と見積の読み方

比較可能な見積を得るには、依頼書を「機械一台いくら」から「ラインで何を成立させるか」へ変えます。RFPの本文には、対象ワークの一覧、ラベルと貼付面、処理量とピーク、既存ライン図、必要な印字データ、検査と排出、信号一覧、安全、保守、言語、受入試験を書きます。添付として現物サンプルとラベルロール、限界品の写真、印字データのダミー例を渡します。顧客情報や実際の識別番号を渡す必要はありません。サンプルデータでも桁数、文字種、変更頻度が再現できれば設計上の判断ができます。

見積比較表の行は、貼付ユニット、供給・搬送改造、印字ユニット、スキャナーまたはカメラ、排出機、制御盤とPLC改修、上位システム連携、安全設備、設置工事、FAT、SAT、教育、予備部品、保証、保守に分けます。単価の大小より、含まれている範囲と除外事項が重要です。「検査あり」と書かれていても、貼付有無センサーだけなのか、コード品質とデータ一致まで見るのかで機能が違います。「システム連携あり」も信号の受け渡しだけか、ジョブ照合と履歴登録までかを確認します。

ライフサイクル費用は初期費用に消耗品と停止時の損失を足して比較します。ロールやリボンの交換頻度、ラベル材の調達価格、ヘッドやローラーの交換、点検、版下・テンプレート変更、品種替え、ソフトの保守、予備機の要否を一覧にします。公表されている海外メーカーの価格をタイ国内の据付済み価格として転載することは避けます。為替、輸入、据付、保守、税、保証範囲が異なるためです。ROIを数値で示す場合は、自社の実測の停止時間、手作業時間、廃棄件数に、見積で確認した費用を当てはめ、仮定をすべて脚注に示してください。

ベンダーには、提案方式以外に「不採用にした方式と理由」を一つ書いてもらうと比較しやすくなります。例えばコンタクト方式を選んだなら、タンプやエアーを使わない理由が貼付面の平坦性なのか、速度なのか、保守なのかが分かります。これにより提案の弱点と現場条件の整合を確認できます。複数社へ異なるサンプルや異なるピーク条件を渡した見積は横並びになりません。配布するRFPとサンプルの版を一つに揃え、質問回答も全社へ共有してください。

購買・製造・品質保証が同じ表で評価する

貼付機の購入では、購買は初期費用、製造は段取りと稼働、品質保証は誤貼付と証跡、保全は故障復旧を見ます。各部門が別々の判断表を持つと、採用後に「最も安いが検査が足りない」「品質は高いがロール交換に人を一人追加する」といった問題が見つかります。一枚の評価表を共同で作り、必須条件、比較条件、確認方法、責任者、証拠を列にします。必須条件は、たとえば既存の安全回路との接続や顧客指定のコード照合です。比較条件はロール交換時間や現地の保守網などです。条件の重要度を後から変えたときは、変更理由と承認者を残します。

現場の作業者にも事前に操作を見てもらいます。画面が読めるかだけでなく、ロールを通す向き、残量の表示、巻き取り台紙の廃棄、ジャムを解除する姿勢、品種替え時の呼び出し手順を確認します。作業を簡単にする機械が、ラベルロールの補充だけは熟練者しかできない設計なら、夜勤の自立運用はできません。操作の観察は安全上の要求を置き換えるものではなく、保護カバーを開けたときのインターロックや非常停止の確認と併せて行います。

ラベルと設備を別々に発注するときの責任分界

ラベル材の供給業者と貼付機メーカーが異なる場合、試験に使ったロールと量産で納めるロールの仕様を一致させます。試験時は剥離できたのに量産で詰まるという問題は、台紙の厚さや表面、接着剤、巻き方向、印刷工程の違いで起こりえます。調達仕様にはラベルの幅と長さだけでなく、許容差、ロールの巻き方向、芯径、最大外径、スプライスの扱い、保管条件を記入します。ロールにロット番号があるなら、異常発生時に設備ログと突合できるよう記録方法を決めます。

一方、設備メーカーには「指定ラベルを使えば必ず動く」と口頭で言わせるだけでは足りません。どのラベル材・印字方式・ワーク・速度で検証したか、試験記録に残してもらいます。材料変更が必要になったとき、再試験が必要な項目を取り決めます。貼付位置だけ再確認すればよいのか、剥離、圧着、読取、長期接着まで評価し直すのかは変更内容によって違います。量産開始後の材料代替が設備の性能保証を無効にする条件も、契約前に明確にしておきます。

一台目の導入範囲を絞る

複数の梱包ライン、複数の客先、複数サイズの箱を一度に自動化すると、どの条件で不良が出たか分かりにくくなります。最初はワークの形が安定し、貼付位置が一つで、客先仕様の変更が少ない一工程を選び、印字から検査・排出までの手順を固めます。その後、箱サイズの追加、貼付面の追加、上位システムとの連携拡張を段階的に進めます。ただし将来の拡張余地を全く設計しないと、二台目から制御盤やデータ連携を作り直すことになります。初期範囲と将来候補を分け、電源容量、通信、機械取付け位置、ソフトのジョブ管理をどこまで共通化するかを見積時に確認してください。

自動ラベル貼付機の選定|タイ工場のRFPと現物テスト - figure 3

FAT・SATで「貼れた」以上を確認する

FATは出荷前の装置試験、SATは現地据付後の受入試験です。FATでは、代表ワークだけでなく限界寸法、異なる貼付面、ロール末端、ジョブ切替、停止復旧を試します。SATでは既存搬送との同期、実ネットワーク、実PLC、夜勤を含む作業手順、排出箱の扱いを試します。工場へ入れる前のFATで全て成功しても、現地の速度変動や箱のばらつきで結果が変わることがあります。両試験で同じ判定項目を使い、現地固有の項目だけ追加すると、原因の切り分けが容易になります。

受入基準は、貼付位置の許容範囲、未貼付・二重貼り・剥離の許容、コードの読取とデータ照合、異常時の停止・排出、再起動後のキュー整合、稼働の記録方法を含みます。パーセントだけを決めると、テスト対象数が少ないときに評価が揺れます。サンプル数、品種構成、速度条件、判定者、記録形式まで合意してください。バーコードの技術的な適合を論じるときは、単にハンディ端末で読めたことと、検証機による規格の評価を混同しません。GS1のガイドラインが外観、データ内容、シンボルの技術評価を分ける理由はそこにあります。

再現しにくい不具合を見逃さないため、異常履歴を設備から取得できるようにします。タイムスタンプ、ワークID、ジョブID、ラベルID、検査結果、設備状態、作業者によるリセットを、必要な保存期間と閲覧権限とともに決めます。すべてを長期間保存する必要はありませんが、出荷後の問い合わせ時にどの箱がいつ貼られたか追える範囲は必要です。データ保護方針と顧客契約に沿って決め、不要な個人情報は収集しない設計にします。

導入直後の運用確認も契約へ入れます。ベンダーの立会い期間、交換用ロールの在庫、初期不具合の窓口、閾値変更の承認者、手貼りへの一時的な切戻し条件を定めます。暫定運用が長引くと、自動機の実績と手作業の実績が混じり、性能評価もトレーサビリティも曖昧になります。切戻し時にどの箱を別経路で処理したか記録し、復旧後に未処理キューが残っていないことを確認します。

失敗を想定した受入シナリオを先に作る

通常品が流れている間の貼付だけを見ても、運用で問題になる場面は見えません。受入試験のシナリオには、ラベルが一枚欠けたロール、巻き方向を誤ったロール、同じ品番で異なる納入先の箱が連続する場合、ジョブ切替の境界で箱が止まる場合を入れます。すべての故障を意図的に起こす必要はありませんが、設備がその状態を検知できるか、停止した後にどこから再開するか、未使用ラベルをどう処理するかは確認できます。センサーの一時的な遮光や通信断を模擬する場合は、ベンダーの立会いと安全手順の下で行います。

「不良を検知する」だけでは受入基準として不十分です。ラインの表示灯、画面メッセージ、排出箱の置き場、作業者への通知、復旧操作、上位システムへの結果登録まで一つの流れとして観察します。例えば二重貼りを検知したのに、排出先で良品と不良品が混ざるなら品質保証は成立しません。ラベルなしの箱を検知しても、ライン再開時にその箱が読み取り位置を通過せず出荷方向へ流れるなら、異常停止は実効性を持ちません。各シナリオについて「検知したか」「物を隔離したか」「記録が残ったか」の三点を別々に判定します。

現場の教育にも同じシナリオを使います。作業者は通常起動よりも、ロール切れ、貼付ずれ、読み取り失敗、排出シュート満杯のときの判断に迷いやすいからです。機械メーカーの操作説明と、工場の出荷可否判断は責任者が異なります。画面に表示するエラー名と作業標準の章を対応させ、復旧権限がない作業者にも「どの状態で誰を呼ぶか」が分かるようにします。日本語・タイ語・英語の併用が必要なら、同じエラー番号と写真を共通の手掛かりにすると翻訳の表現差で対応が分かれることを防げます。

自動ラベル貼付機の選定でよくある質問

自動ラベル貼付機とラベル発行システムは何が違いますか?

発行システムは識別番号と印字データの正本、テンプレート、再発行履歴を管理します。貼付機はラベルを物理的に現物へ貼り、必要に応じて搬送と検査を連動させます。print-and-apply機は機内印字を含みますが、番号の正本まで機械に持たせるべきかは別の設計判断です。先にデータの責任者を決め、その後に貼付方式を選んでください。

自動ラベル貼付機の費用はどのように見積もりますか?

本体だけの価格では比較できません。ワーク供給と搬送改造、印字、検査、排出、制御、システム連携、安全、設置、FAT・SAT、教育、予備部品、保守を同じ範囲で積算します。現物サンプルとピーク条件を示して複数社へ見積を依頼し、除外事項を含めて比較します。公開カタログの価格を現地の総額として扱わないでください。

印刷済みラベルとprint-and-applyのどちらを選びますか?

箱ごとの可変データが必要か、事前印刷の在庫とジョブ切替を安全に管理できるかで分けます。固定表示中心なら印刷済みラベルのアプリケータが候補です。出荷指示ごとにSSCCや納入先が変わるなら印字して即貼る方式が候補です。どちらも貼付後の読取と現物照合は別途設計します。

検査カメラを入れれば誤貼付はなくなりますか?

カメラだけでは保証できません。撮像できる面、照明、コードの可読性、ワークIDの取得、上位ジョブとの突合、不良品の排出まで一連で設計します。誤った箱に正しいラベルを貼っても、箱IDを上流で取得していなければ検知できません。FAT・SATでは実物の誤貼付を模したサンプルで確認します。

タイの工場で確認すべき追加条件は何ですか?

高温・高湿や結露へのラベル材適合、現場で使う言語、シフト中のロール交換、予備品と現地保守、既存PLCと設備ネットワーク、安全設備の範囲を確認します。ただし現場条件は工場ごとに違います。一般的な国別条件で決めず、設置場所で実測し、サンプルを使って評価してください。

まとめ

自動ラベル貼付機の選定は、まず「何を、どの面に、何の情報で貼るか」を現物とデータで定義し、印刷済みラベルかprint-and-applyか、貼付方式、搬送同期、貼付後検査を順に決める作業です。機種の最高速度や本体価格は、その条件の下で比較します。RFPにワークの限界品、ピーク流量、信号、異常処置、FAT・SATの判定を載せれば、提案の範囲が揃い、導入後の認識差も減らせます。

タイ工場の既存ラインへ後付けする段階で、現物サンプルや工程図をもとに方式と検査範囲を整理したい場合は、TOMAS TECHへご相談ください。RFPを作る前の要件整理でも対応できます。

参考資料