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2026.10.13

AOI 検査データ MES連携の導入設計|基板IDからリペア判定まで

AOI 検査データ MES連携の導入設計|基板IDからリペア判定まで

AOI 検査データ MES連携を導入するとき、最初に決めるべきことは通信方式よりも「どの基板の、どの面の、どの検査結果を、誰が最終判定したか」です。AOIが出したOK/NGだけをMESへ送っても、パネル内の個片、再検査、目視確認、リペア後の判定をつなげられなければ、出荷可否や不具合調査には使いにくい履歴になります。本記事は、タイの電子基板組立工場で設備更新または既設AOIとの接続を検討する生産技術、品質保証、情報システム担当者に向け、購買仕様書からFAT・SATまで落とし込める設計手順を示します。

まず決めるべき導入成果:検査結果の収集で終わらせない

導入目的を「AOIのデータを自動で取る」とだけ書くと、設備からCSVが出力された時点で検収できてしまいます。しかし品質保証が必要とする答えは「対象の出荷基板について、実装時の部材と設備、AOIプログラム、検出箇所、確認者、手直し内容、再検査と最終判定を説明できるか」です。MESには検査の発生だけでなく、判断とその変更履歴を渡す必要があります。

最初の会議では、顧客監査での追跡、ライン停止時の封じ込め、歩留まり分析、工程内の流出防止のうち、どの用途を今回の必須要件とするかを決めます。それぞれ必要な粒度が異なります。例えば集計用の良否だけでは、特定部品のはんだ不良画像を後で調べられません。逆に全画像の無期限保存を前提にすると、通信量・保存先・権限管理の問題が先に膨らみます。「必ず検索できるキー」「必要時だけ取り出す画像」「保存期限」を先に分けるほうが、適切な見積もりにつながります。

この設計は、画像から欠陥を判定するAIモデルの精度評価とは対象が違います。AI検査そのものの検討ははんだ接合部のAI検査に関する記事を参照してください。本記事は、AOI装置から出た情報と人の判定を、製品履歴としてMESに引き継ぐ実装範囲に絞ります。

基板ID・パネルID・個片IDを混同しない

AOIではパネルを搬送単位として処理し、パネル内に複数の個片基板があることが珍しくありません。現場で「基板ID」と呼ぶラベルが、パネル全体のIDなのか、個片のシリアル番号なのか、ワークオーダーに紐づく一時IDなのかを確認します。MES側の品目・製造指図・個体履歴は、出荷単位と照合できる粒度で持たなければなりません。パネルIDだけで検査結果を格納すると、ある個片だけがNGだった場合の封じ込め範囲が曖昧になります。

識別設計表には、少なくともパネルID、個片ID、パネル内座標、基板の表裏、品目・品番、製造指図、工程通過時刻、設備IDを載せます。個片IDがAOI前には存在しない場合は、パネルIDと位置から暫定的に個片を特定する規則、分割後のシリアルへ対応付ける時点、欠番や二度読みの処理を決めます。バッドマークのある個片や検査をスキップした個片を「OK」に寄せないことも重要です。スキップは検査を受けていない状態であり、合格とは意味が異なります。

バーコード読み取りをAOI入口に置く場合、読み取り成功がそのワークの検査開始条件になるかを確認します。読み取れないまま検査が進んだデータを後から手作業で紐づける設計では、誤対応の根拠が残りにくいからです。例外時に停止する、隔離する、仮IDで記録して承認付きで後から統合するなど、現場の流れに合わせて一つの手順を選びます。

AOI 検査データ MES連携の導入設計|基板IDからリペア判定まで - figure 1

AOIが出す判定とMESが保持する判定を分ける

AOIが出力する検出イベントには、装置の暫定判定、検出位置、部品リファレンス、検査項目、画像参照、検査レシピなどが含まれ得ます。ただし装置やオプションによって実際に取得できる項目は異なります。提案依頼前に、設備メーカーへ実機のサンプルメッセージ、CSV、API仕様、フィールド定義と欠損時の挙動を求めてください。「CFX対応」や「MES接続可能」という表現だけで、欲しい欠陥詳細まで出ると推測しないことが大切です。

MESで保持すべき判定は少なくとも二層です。一つはAOIによる機械判定。もう一つは人による確認と処置を終えた後の製品としての最終判定です。疑似不良を目視で良品とした場合、AOIのNGイベントを消すのではなく、NGを残したうえで確認結果と理由を追加します。リペアした場合も、元の欠陥、作業、再検査を同じ履歴の中でつなぎます。時系列の訂正は上書きだけで処理せず、誰が、いつ、何を、なぜ修正したかを残す運用を決めます。

状態遷移を紙上で描くと、設備とMESの責任境界が見えます。例として「未検査→AOI検査済OK→次工程許可」と「未検査→AOI検査済NG→目視確認待ち→誤検出として承認→次工程許可」、さらに「実不良確認→リペア待ち→作業済→再検査待ち→合格または保留」を別の経路にします。設備通信が途切れたときの状態は、最後に受け取った値を合格として扱わず「判定未確定」とします。

AOI 検査結果の自動収集で必要な最小データ契約

データ契約は、送信する名称と型だけでなく、意味・必須条件・一意性・再送方法を明文化したものです。設備メーカー、MESベンダー、工場側の三者が同じ表に署名できる状態を目指します。最初の版では以下を検討します。すべてを一度に実装するという意味ではなく、取り込めない項目が何かを見えるようにするための項目です。

領域最小確認項目受入時に確かめること
ワークパネルID、個片IDまたは位置、表裏、品番同じIDの異品番混入を検出できるか
実行設備ID、ライン、検査開始・終了時刻、イベントID再送時に二重計上しないか
レシピプログラム名、版、検査条件の識別子版変更の前後を検索できるか
判定機械判定、欠陥種別、座標・部品参照、スキップ状態個片単位で状態を区別できるか
証拠原画像・切り出し画像の参照先、保存ポリシーリンクの期限切れを発見できるか
人の処置確認者、確認時刻、理由、リペア、再検査、最終判定履歴を消さずに追跡できるか

イベントIDは設備の出力仕様に存在しないこともあります。その場合は、装置ID・対象ID・検査時刻・検査回数などから取り込み側で一意性を定義し、時刻の丸めや同秒内の再検査に耐えるかを検証します。単に「同じ基板IDなら重複」とすると、再検査が消えてしまいます。一方、再送を全件新規として登録すると不良数が水増しされます。重複排除と再検査の識別は、FATで別々に実演してもらうべきです。

検査プログラム版と品番の整合をゲートにする

AOIプログラムは、部品の配置、検査領域、閾値、画像処理条件を左右します。MESが品番Aとして履歴を保持していても、AOIで別版のプログラムが動いていれば、同じOKに同じ意味はありません。受入時には、品番・基板面・製造指図とAOIプログラム名・版の許容組み合わせを定義し、合わない組み合わせを検出する仕組みを決めます。版を文字列だけで比較できない設備では、設備メーカーの版管理仕様に沿って改訂日時や承認番号を追加で保持します。

プログラムを現場で調整できる運用なら、変更申請、承認、適用時刻、適用対象ロットの境界を結びます。AOI側の変更ログだけを見に行く運用では、後日のMES検索で「どの製品にどの版が適用されたか」を一度に答えられないことがあります。IPC-CFXの版履歴にはレシピの有効化やローカル変更に関係するメッセージが見られますが、各AOIがどのトピックと項目を実装するかは実機で確認してください。標準の存在と個別設備の実装は別の確認事項です。

画像は「何を保存するか」より「どう再現するか」を先に決める

AOI画像は原因分析の助けになりますが、全画像をMESのデータベースへ直接格納することが最善とは限りません。画像本体を設備側・ファイルサーバー・オブジェクトストレージのどこに置くか、MESには参照URL・画像ID・ハッシュなど何を保持するかを比較します。画像が装置内で一定期間後に自動削除されるなら、必要な証拠だけを別保管する手順を考えます。保存期限は顧客契約、品質方針、製品寿命、情報管理の要件を確認して決めるべきで、一律の年数をこの記事から押し付けることはできません。

再現性のテストは、単に一覧から画像が開くかでは不足です。検査時刻、対象の個片、欠陥の位置、撮影条件、プログラム版が同じ画面から追えるかを確認します。リペア後の画像で元画像を上書きすると、不良がどう変わったかを証明できません。画像を欠損した場合は「画像なし」であることを明示し、ネットワーク停止やファイル移動が原因かどうかを監視できるようにします。閲覧権限が切れたときに、存在する画像を消失と誤判定しないことも受入項目です。

IPCの公開するCFXの版履歴では、画像データを別経路で扱うための参照や転送に関連する拡張が説明されています。ただし、その方式を選ぶだけで保存・権限・監査の要件が満たされるわけではありません。接続方式と保管設計を別の発注項目にしてください。

AOI 検査データ MES連携の導入設計|基板IDからリペア判定まで - figure 2

目視確認・リペア判定をワークフローとして実装する

AOIのNG後に作業者が画面で確認する場合、確認端末は単に画像を見る装置ではなく、製品の行き先を決める場所になります。確認者の権限、操作理由コード、自由記述の範囲、二重確認が必要な欠陥、誰が再開を許可するかを定めます。特に「誤検出として良品」「実不良でリペア」「実不良で廃棄」「保留」の操作を同じOKボタンへ押し込めないことが重要です。ボタンが同じだと後で良品率とリペア率を分けて分析できません。

リペアは、作業指示、使用部材、担当者、実施時刻、再検査結果を元の欠陥イベントに関連付けます。再検査なしで工程を進められる例外があるなら、承認権限と理由を明示します。多言語の現場では、画面に出す欠陥名と理由コードを日本語・タイ語・英語で一対一に対応させ、表現の違いで別コードを選ばないようにします。自由記述だけに頼ると、同じ欠陥の集計が難しくなります。

端末のネットワークが切れたときに、オフライン処置を許すかどうかも工場の判断です。許す場合は、仮記録の責任者、再接続時の順序、MES上の暫定状態、同じ基板を別端末で処置した場合の競合解決が必要です。品質上の停止を優先する工程なら、例外の紙記録を承認付きで後入力する運用も選択肢です。いずれも「障害中はすべてOK」にはしないでください。

IPC-CFXとHermesをどこに使うか

IPC-2591 Connected Factory Exchange(CFX)は、基板組立の工程やホストシステム間で情報を交換するための公開業界標準です。公開資料では、製造工程間の通信の内容とプロトコルを扱い、検査、レシピ、リペアなどに関わるメッセージの拡張履歴も示されています。AOIとMESの情報連携候補として検討する価値がありますが、採用の可否は対象装置・ソフトウエアの対応バージョンと実装範囲によります。

CFX対応という回答を受けたら、対応する標準版、発行・受信可能なトピック、実データのサンプル、障害時の再送、セキュリティ設定を質問します。IPCはセルフバリデーションと適格性確認の仕組みも公開しています。提出された適合の証拠が、今回必要な欠陥詳細や確認・リペア情報まで含むかを確認してください。適合表示があることと、今回のデータ契約が満たされることは同義ではありません。

HermesはSMTラインで隣接設備間の基板情報受け渡しを扱う標準です。パネルの流れと識別に関する設計に役立ちますが、AOIの欠陥詳細・人の最終判定・MES保管まで自動で解決するものとして見積もるべきではありません。設備間で流れるIDと、MESへ記録する検査イベントを同一の個体へ結び付けるところが、工場側のインターフェース設計になります。既設ラインでHermesが使われている場合も、個片IDや不良位置がどこまで渡るかは実装を確認します。

Viscomの公開資料には、AOI周辺のソフトウエアモジュールやレビュー・データ活用の例が示されています。これは機能を検討するための参考であり、自工場に導入済みの装置に同じ機能が標準搭載されている証拠ではありません。必ず対象機種、ライセンス、版、接続口を見積書とFAT項目で特定します。

既設ラインから接続する場合の現物調査

ブラウンフィールドでは、設備が通信機能を持つかだけでなく、その機能が現在のソフトウエア版・ライセンスで有効かを確認します。現場で使用中のAOI、レビュー端末、バーコードリーダー、ライン制御PC、MES、ファイルサーバーを一枚の構成図に書き、所有者、OS、ネットワーク境界、時刻同期の方式を添えます。設備メーカーの窓口とMESベンダーの窓口を別々に記載し、障害時にどちらが最初のログを取るかを決めます。

サンプルデータは実製品の複数ケースから取ります。合格、明らかな不良、誤検出、個片の一部だけNG、バッドマーク、再検査、リペア後の再検査、読み取り不能を含めます。ベンダーのデモデータだけでは、現場で使う品番体系や座標表現、画像パスの癖を見落とすことがあります。個人情報や顧客図面を外部へ出す場合は契約と権限を確認し、必要なら匿名化したデータを使います。

構成図からは故障点も洗い出します。AOIが稼働してMESが止まったら装置は検査を続けられるのか。続けるなら何件までローカルに蓄積し、復旧時に何を優先して再送するのか。バーコードリーダーが故障したとき誰が代替IDを発行するのか。画像サーバーだけ止まったとき良否イベントは記録できるのか。これらは設備仕様と品質運用の両方にまたがるため、片側だけで決めないでください。

RFPでベンダーに渡すべき成果物

まず「どの場面で出荷を止めるか」を仕様に書く

インターフェース仕様書にフィールド名が並んでいても、ラインの動きが決まっていなければ受入はできません。例えばAOIでNGと判定された個片が入ったパネルを、搬送機はそのまま下流へ渡してよいのでしょうか。パネル全体を止めるのか、個片を分割後に隔離するのか、下流ではバッドマークを参照して処理をスキップするのか。設備配置と製品構成により答えは変わります。品質保証、生産技術、現場責任者で製品の物理的な動線を歩き、システムの状態と置き場が一致するか確かめます。

保留中の基板がMES上は「未確定」でも、実物が良品ラックに混ざれば流出防止になりません。反対にシステムが合格でも現場が赤札を付けているなら、どちらを正とするかが曖昧です。RFPには、搬送停止信号をどの設備へ送るか、手動解除の権限、誤操作時の復旧、パネル内の一部個片だけNGの場合の扱いを書きます。これらの判定はAOIメーカー一社に任せず、工場側が品質方針として定義します。

責任分担は接続点ごとに決める

AOIメーカーが「データを出す」と言い、MESベンダーが「データを受ける」と言っても、両者の間で欠ける作業があります。メッセージの接続試験環境、時刻同期、文字コード、セキュリティ証明書、画像共有領域、障害監視、ログの保存先などです。責任分担表を作り、各接続点に一人の主担当と検収者を置きます。特に改修費が発生する場合は、AOI側・ゲートウェイ側・MES側のどこで変換するのかを図示し、将来の設備更新時に改修が必要な箇所を明らかにします。

装置から受け取る文字列には、同じ不良を異なるコードで表すものや、空欄の意味が仕様化されていないものがあります。変換表は「変換前の値」「MESの値」「意味」「不明値の処理」「変換表の版」を保持し、装置ソフト更新後に以前の値が変わらないかを監視します。不明値を自動的にOKへ変換する設定は避けます。これらは細部に見えても、後日「異常なし」と表示された履歴が信頼できるかを左右します。

RFPには「AOIとMESを接続する」ではなく、個体識別表、イベント表、状態遷移図、画像参照方式、例外処理、検収シナリオを添付します。ベンダーには項目ごとに「標準機能」「設定で対応」「追加開発」「非対応」を回答してもらい、追加開発なら責任者、費用、保守対象、将来の装置更新時の影響を書いてもらいます。これで提案価格の比較が、単なるインターフェース一式の比較から、必要な履歴を作れるかの比較に変わります。

RFP添付物記載する内容ベンダーに求める回答
個体識別表パネル・個片・表裏・分割後シリアルの対応IDの読取点と欠損時の処理
イベント表AOI結果、再送、レビュー、リペア、再検査フィールド別の実装範囲
状態遷移図保留、合格、廃棄、再作業の条件ゲート制御と権限の実装
証拠管理表画像参照先、保持、バックアップ、閲覧容量見積と復旧手順
受入シナリオ正常系と障害・例外系FAT/SATでの実演方法

費用の内訳も分離します。AOI側のライセンスと改造、収集ゲートウェイ、MES側のデータモデルと画面、レビュー端末、画像保管、ネットワーク、移行、現地試験、教育、保守は見積もりの性質が違います。既設設備の通信オプションの価格は機種と契約に依存するため、一般的な固定費を前提に予算化しないでください。比較表には初期費用だけでなく、版更新時の改修、画像容量の増加、バックアップと復旧の運用費も入れます。

FATとSATで「つながった」以上を検収する

日付・時刻と順序の試験を独立させる

同じ個片についてAOIの検査、レビュー、リペア、再検査が発生すると、複数の設備や端末の時計をまたぎます。装置側の現地時刻とサーバー側のUTCを混同すると、再検査が初回検査より前に見えることがあります。送信データがタイムゾーンを含むか、受信側で何に正規化するか、表示では何を使うかを決め、FATで日付をまたぐケースを試します。ネットワーク遅延でメッセージ到着順が変わっても、イベント時刻と処理順序を混同しない設計が必要です。

また、AOIが一度だけ検査したつもりでも、通信断後の再送で同じイベントが二回届く可能性があります。MESは重複した伝送と、物理的に二度検査した事実を区別します。試験では前者を二重登録せず、後者は別の検査回として残ることを確認します。イベントの欠番や、画像だけが後から届くケースも用意すると、運用開始後の障害を早く見つけられます。

検索結果を現場の問いから逆算する

品質担当者の問いを受入試験の入力にします。「この出荷シリアルの最終判定は誰がしたか」「同じAOIプログラム版で作った製品はどれか」「ある欠陥コードが増えた時期の画像を開けるか」「このパネル内のどの個片が再作業されたか」。検索対象、結果の列、元ログへのリンク、エクスポート権限を先に決めておけば、MESにデータが入っただけで使えない状態を防げます。

検索の速さや保管期間は一律に定められません。日々の工程判断、顧客苦情、監査で使う時間軸とデータ量を想定して、サンプル件数を増やした状態で確認します。古い画像だけ別保管に移す場合も、MESの検索結果から正しい保管先へたどれるかをテストします。試験データの作り方と削除手順もあらかじめ決め、本番データへ架空の良否が混入しないようにします。

FATはベンダー環境でデータ契約と状態遷移を確認する場、SATは実際のライン、製品、作業者、ネットワークで再現する場として設計します。FATでは一件の正常データだけで終えず、同じイベントの再送、同じ基板の再検査、パネル内一個片だけの不良、プログラム版不一致、画像参照切れ、MES停止後の再接続を通します。SATでは実バーコード、実品番、実レビュー端末を使い、作業者が迷わず判定できるかも確認します。

受入証跡として、入力サンプル、AOIの元ログ、MESの受信ログ、最終画面、画像参照、判定者、試験日時を残します。合否基準は「メッセージを受信した」ではなく「対象IDで一連の事実を検索でき、次工程ゲートの動作が仕様どおり」で定義します。通信遅延の許容値や復旧時間はラインのタクトと品質方針に合わせて契約内で決めます。根拠のない共通秒数を流用するより、停止時に何枚の基板が未確定になるかを試算したほうが実務的です。

テストで不一致が出たら、設備出力、収集処理、MES変換、画面表示のどこで意味が変わったかを切り分けます。両システムの件数が一致しても、個片IDと欠陥座標がずれていれば合格にはできません。修正後は影響するシナリオを再実行し、版と証跡をひも付けます。

AOI 検査データ MES連携の導入設計|基板IDからリペア判定まで - figure 3

タイ工場での運用移行:画面・責任・教育

タイの現場で使う仕組みなら、日本本社向けの報告画面だけを先に完成させても定着しません。レビュー端末の操作、保留品の置き場、リペア記録、再検査への搬送を現地チームと一緒に確認します。タイ語の欠陥名や理由コードは翻訳だけでなく、現場で実際に使う語と照合します。作業者ごとの役割と代行権限を決め、夜勤や担当者不在でも保留品が無断で流れないようにします。

立ち上げ時は旧帳票と新システムを一時並行して突合する期間を設け、差が出た事例を毎日分類します。差の原因はIDの読み間違い、AOI出力のタイミング、レビュー忘れ、画像欠落などに分け、設定で直すものと作業標準を直すものを分離します。最終的な切替条件は、一定期間の検索再現、未確定品の処理、障害復旧、教育完了を現場責任者と品質責任者が承認する形にします。件数や期間の閾値は工場のリスクに合わせて定めてください。

上流の部材・実装履歴との接続まで検討する場合は、SMTマウンターの部品トレーサビリティ設計を併せて参照してください。AOIの欠陥位置と使用部材を同じ個体IDで追えるようになると、品質調査の対象範囲を説明しやすくなります。ただし、実際にどの部品リファレンスと供給リールを関連付けられるかは、マウンター側の取得データにも依存します。

AOI 検査データ MES連携のよくある質問

AOI 検査結果を自動収集すれば紙の検査記録を廃止できますか?

自動収集だけでは判断できません。装置が出す判定と、人が行う確認・リペア・特採などの記録範囲を確認し、紙に残している情報を洗い出します。電子記録で代替するなら、権限、修正履歴、検索、バックアップ、障害時手順を含めて受入試験を行います。顧客や契約で指定された記録がある場合は、その要件も優先します。

基板IDの検査履歴はパネル単位だけで十分ですか?

出荷や不具合対応で個片を識別するなら、多くの場合は個片への対応付けが必要です。AOI時点で個片にラベルがない場合でも、パネルIDと位置を保持し、分割後シリアルへ変換するルールを用意します。製品構成と顧客の追跡要求に応じて粒度を決めてください。

AOI リペア判定をMESへ送るとき、元のNGは消しますか?

消さずに履歴として保持し、確認者の判断、作業内容、再検査、最終判定を追加する設計が追跡しやすくなります。装置の誤検出だった場合も、装置判定と人の確認結果を区別します。画面上では最終状態を明確にしつつ、監査では元のイベントへ戻れるようにします。

IPC-CFX AOI連携ならベンダー開発は不要ですか?

そうとは限りません。標準は共通の情報交換を助けますが、装置が実装するトピック、必要な項目、画像参照、MES側の状態管理は製品ごとに確認が必要です。RFPで実メッセージのサンプルと適合範囲を求め、FATで今回のシナリオを動かしてください。

どこまでを初期導入の範囲にすべきですか?

初期範囲は一つのラインと代表品番を選び、識別、AOIイベント、レビュー、最終判定、検索までを通すと判断しやすくなります。画像保管や上流・下流工程との連携は、品質用途に必要な優先度を付けて段階化できます。ただし、後から個片IDを復元できない設計だけは初期段階で避けるべきです。

まとめ:一枚の基板について説明できることを検収条件に

AOIとMESの接続は、ファイル転送や通信プロトコルの選択だけでは完成しません。パネルと個片のID、AOIプログラム版、機械の検出、人の確認とリペア、画像証拠、再検査、最終的な出荷可否を同じ履歴でたどれることが成果です。データ契約と状態遷移をRFPに添え、FATとSATで正常系・例外系を実演することで、設備とMESの責任境界を明確にできます。

TOMAS TECHでは、既設AOIの出力調査から個体IDの整理、MESとのデータ契約、現地での受入試験まで、検討段階に合わせて相談を受けています。タイ工場でAOI検査結果の連携範囲を決めたい場合は、お問い合わせから設備構成と困っている検索・判定の場面をお知らせください。

参照資料

  1. IPC-2591 Connected Factory Exchange(CFX)
  2. IPC: About CFX
  3. IPC: CFX Self-Validation and Qualification System
  4. IPC: CFX FAQ
  5. The Hermes Standard: Q & A
  6. Viscom: Auxiliary Modules Brochure