ロボット学習データ収集を発注するとき、時間数や画像枚数だけを仕様にすると、PoCでは動いても量産環境で再現できないデータを買うことになります。必要なのは、同じ条件でやり直せるミッション、独立した外部基準、失敗を含むepisode、学習から隔離したholdout、そして再学習まで閉じる運用です。本稿では、タイ工場のRFP、90日PoC、受入試験へ落とす方法を解説します。
「データを増やす」だけでは発注仕様にならない
ロボットの学習では、動画時間、フレーム数、episode数が分かりやすい見積単位になります。しかし、その数字は能力の証拠ではありません。同じ1時間でも、固定照明で同じワークを成功だけ繰り返した記録と、姿勢、把持点、反射、摩擦、遅延、停止、復旧まで含む記録では情報価値が違います。さらに、カメラ画像と関節値の時計がずれていれば、見かけの量が多くても知覚と行動の因果を学べません。
2026年9月15日にarXivへ投稿された *The Robot Data Factory* は、Physical AIの資源を単なるraw dataではなく、観測・行動・身体・文脈・結果のつながりを保った「robot experience」と捉えています。同論文はRobot Data Factoryを、再現可能なmission、skill curriculum、同期したmultimodal sensing、external ground truth、data pipeline、living benchmarkで経験を継続生産する考え方として提示しました。ただし、これは投稿時点で未査読のpreprintです。発注仕様へ使うときは、権威ある確定規格としてではなく、データを工程として管理する有用な設計仮説として扱います。
RFPで最初に決めるべき問いは「何時間集めるか」ではありません。
- どの業務ミッションを、どの開始状態から、どの終了状態まで実行するのか
- 成功、失敗、中断、回復不能を誰が何で判定するのか
- ロボット自身の推定とは独立した測定値を何にするのか
- どの変動を学習用に見せ、どの変動をholdoutとして隠すのか
- ソフト、モデル、治具、ワーク、センサーの版をどう追跡するのか
- 実機で新しい失敗が出たとき、誰が分類し、再学習し、再配備を承認するのか
この六つに答えられなければ、納品物は「ファイルの山」であり、能力を再現できる学習資産ではありません。
Robot Data FactoryをRFPの成果物へ翻訳する
論文が示すmission–task–skill–episode–dataset–benchmark–capabilityという階層は、そのまま調達の分解表に使えます。階層を飛ばして「モデル精度」や「成功率」だけを書くと、ベンダーごとに母集団と失敗の数え方が変わります。
| 階層 | 工場で決める内容 | 納品証拠 |
|---|---|---|
| Mission | 生産上の目的、開始・終了、禁止状態 | mission contract、工程図、動画 |
| Task | 搬送、把持、位置決め、投入、検査など | task state machine、I/O一覧 |
| Skill | reach、grasp、place、recoverなど再利用単位 | skill版、前提条件、停止条件 |
| Episode | 1回の試行の観測・行動・結果 | episode manifest、同期ログ、映像 |
| Dataset | 選別済みepisodeとsplit | dataset card、lineage、権利表 |
| Benchmark | 固定条件と評価手順 | test protocol、raw result、再実行手順 |
| Capability | 指定範囲で再現できる業務能力 | holdout/accept結果、制約、残課題 |
例えば「箱を棚へ置く」は曖昧です。箱の寸法・重量・重心・表面、棚高さ、許容姿勢、把持可能面、周囲設備、開始位置、障害物、置き直し回数、タイムアウト、安全停止からの復旧まで定義して初めてmissionになります。「成功」はロボットが完了信号を出したことではなく、外部測定で箱が許容範囲にあり、設備I/Oと在庫状態も整合していることです。
この階層はベンダーロックインの抑制にも効きます。学習済み重みだけを納品させるのではなく、mission contract、episode schema、データ版、評価protocol、failure taxonomyを契約成果物にすれば、別モデルや別ロボットへ移るときも比較可能です。逆に、ベンダー独自ツールの画面上にしか成功条件がなく、raw episodeと判定根拠を出せない場合、工場は改善サイクルを所有できません。
ミッション契約で再現条件と禁止条件を固定する
mission contractは自然言語のユースケース説明ではなく、実験を再現するための境界条件です。最低限、次を機械可読または表形式で管理します。
| 区分 | 固定・記録する項目 |
|---|---|
| Robot | 型式、serial、controller、firmware、tool、TCP、payload設定 |
| Work | 品番、instance、lot、寸法、重量、表面、許容公差、欠陥状態 |
| Fixture | 図面版、座標、締結、摩耗、基準点、交換履歴 |
| Sensor | 型式、serial、sampling、露光、range、校正、時刻源 |
| Environment | 照明、背景、床、温湿度が影響する場合の範囲、ネットワーク |
| Human | 役割、介入可能範囲、立入条件、teleoperator資格 |
| Control | software/model/prompt/policy版、random seed、safety設定 |
| Outcome | 成功、業務拒否、安全停止、技術失敗、回復、未判定 |
変えてよい条件と固定条件も分けます。学習では照明や位置を意図的に変える一方、holdoutではどの変動を未知として残すかを事前登録します。試行後に都合のよいepisodeだけ採用すると、成功率は上がっても運用リスクは見えなくなります。
RFPでは、mission contractの変更に版番号、変更理由、影響するdataset、再評価範囲、承認者を結び付けます。治具を1 mm動かした、カメラを交換した、把持パッド材質を変えた、PLC handshakeを変更した、といった現場では小さく見える変更が学習分布を変えます。変更を隠すより、版差が能力へ与えた影響を測れる構造にする方が改善は速くなります。
外部基準と同期センサーで「正解」をロボットから独立させる
モデルが「把持成功」と出力し、同じモデルの内部confidenceを正解に使えば、同じ誤りを二重に数えるだけです。external ground truthは、受入の問いに対して十分独立した測定系でなければなりません。配置なら治具センサーや外部カメラ、挿入なら力覚・変位・PLC完了と後工程検査、搬送なら重量・バーコード・WMS状態などを組み合わせます。
「独立」は必ずしも高価な計測器を意味しません。重要なのは、判定対象、分解能、校正、測定不確かさ、死角、欠測時の扱いが明示され、ロボットの自己申告だけに依存しないことです。ground truth側にも誤りがあるため、曖昧なepisodeをunknownとして隔離し、無理に成功・失敗へ二値化しない運用が必要です。
センサー同期では、カメラ、depth、force/torque、joint、command、PLC、safety event、operator inputのtimestampを共通時刻へ結びます。RFPに「同期済み」とだけ書かず、clock source、許容ずれ、drift確認、drop検知、補間規則を指定します。actionの前後が逆転すれば、学習器は結果を原因として覚える可能性があります。ログの欠測をゼロ埋めして隠すのではなく、quality flagと欠測理由をepisodeへ残します。

episodeは成功動画ではなく、因果と失敗を保存する単位
episodeには開始前状態、観測、指令、実行action、状態遷移、介入、結果を一つのmanifestで結び付けます。動画ファイル名だけでは足りません。推奨する最小項目は次の通りです。
- mission/task/skill IDと版
- episode ID、site、cell、robot、tool、fixture、work instance/lot
- 全センサーのstream ID、timestamp、校正参照、欠測・飽和flag
- command、実action、controller mode、autonomy/assistance level
- teleoperator、device、latency、介入開始・終了、介入理由
- software、model、configuration、dataset、simulatorを使う場合の各版
- outcome、failure class、near miss、safety stop、recovery、再試行関係
- ground-truth測定、判定者、判定時刻、unknown理由
- consent、privacy、retention、再利用範囲、export権限
failure taxonomyは技術エラーだけでなく、知覚、対象同定、把持、接触、経路、設備handshake、時間超過、人介入、安全停止、業務状態不整合に分けます。失敗直前だけでなく、その前の文脈と回復行動を保存します。成功episodeだけを選ぶと、モデルは「止まるべきとき」「助けを求めるべきとき」「一度戻って再把持すべきとき」を学べません。
ただし、失敗を集めるために危険を作ってはいけません。危険源分析、速度・力・領域制限、安全機能、停止手順の範囲内で、安全なfault injectionと境界ケースを設計します。near missは事故寸前を再現する意味ではなく、早期停止、低confidence、想定外接触、手動介入のような先行兆候を記録することです。
データlineageはrawからderived label、filtered dataset、training run、model、deploymentまで追跡します。後からラベル誤りが見つかったとき、どのmodelが影響を受けたか逆引きできなければ、再学習の優先順位を決められません。checksum、immutable raw、変更履歴、dataset card、削除要求の伝播まで成果物に含めます。
テレオペレーション学習データの価値と限界
テレオペレーション学習データは、熟練者のdemonstration、回復操作、意図ラベルを集めやすい一方、operator差と通信遅延を隠すと品質を誤解します。同じ軌道でも、完全手動、shared control、自律案を人が承認、失敗時だけ介入では意味が違います。control modeとassistance levelを必ず記録し、自律policyが出した提案と人が実行したactionを分離します。
operator IDは個人評価のためではなく、偏りを検出するために必要です。熟練者1人だけのデータで学ぶと、その人の速度、視点、癖に依存します。資格、訓練日、device、利き手が影響する場合の属性、session長、疲労対策を管理し、複数operatorで再現性を見ます。映像や音声に従業員、名札、画面、顧客情報が入る場合、目的、アクセス、保管期間、マスキング、域外転送、二次利用を契約で決めます。
teleoperationの成功だけでなく、pause、abort、regrasp、undo、human takeoverを収集します。介入の何秒前からモデルが不安定だったかを追えるよう、円環bufferを含めて保存します。遅延は平均だけでなく、episodeごとの測定値と欠測を残します。ネットワーク遅延が大きい環境の軌道をrobot skillの不得意として誤ラベルしないためです。
納品時には、raw control stream、変換後trajectory、変換コード、座標系、filter、resampling、除外規則をセットにします。ベンダーがsmooth後の軌道だけを渡すと、接触、震え、迷い、介入境界という重要な学習情報が消えることがあります。
合成データをロボット学習へ使う条件
製造AIの合成データ設計で扱うように、simulationは希少姿勢、照明、遮蔽、背景、sensor noiseを広げる有力な手段です。しかし「実データより安い」「無限に作れる」という説明だけで採用してはいけません。合成データはcoverageを設計できる反面、simulatorの誤差も大量複製します。
接触、摩擦、滑り、柔軟物、ケーブル、摩耗、backlash、遅延、人の反応、安全挙動は、実測との対応を示さなければ受入根拠になりません。simulator名と版、assetの由来、物理parameter、sensor model、domain randomization範囲、seed、render設定、生成コードを保存します。実データのどの測定でparameterを合わせ、どのholdoutでsim-to-real gapを評価したかも納品物です。
合成比率を先に固定するより、失敗classごとに目的を決めます。実機で安全に繰り返しにくい遮蔽や希少姿勢を補う、label精度が必要なvisibilityを生成する、policyの初期探索を行う、といった役割です。acceptanceはsynthetic testだけで完結させず、最終業務判断に必要な物理cellのholdoutへ戻します。
NISTはPhysical AIとrobotics data generationのプロジェクトで、algorithm、robot system、taskの関係を踏まえたmetricsとtest methodの必要性を示し、physical/simulated testbedも報告しています。これは「simulationが実機を代替する」という主張ではなく、混成評価をtask-specificに設計する理由になります。
DEPLOY–MEASURE–LEARN–REPEATを運用契約にする
Robot Data Factoryの重要な示唆は、datasetを一回納品して終えるのではなく、配備後の経験を次の改善へつなぐことです。ループには必ずgateを置きます。
- DEPLOY: 承認済みmodel、configuration、safety設定を対象cellへ限定配備する。
- MEASURE: missionごとの母数、成功、失敗、介入、unknown、drift、cycle timeを外部基準で測る。
- LEARN: failureをtaxonomyへ分類し、データ追加・ラベル修正・skill修正のどれが必要か承認する。
- REPEAT: regression、holdout、acceptを通過した版だけを再配備し、旧版へのrollbackを維持する。

production logを無条件でtrainingへ戻してはいけません。人が救済したepisode、設備故障、誤ったground truth、個人情報、契約外workが混在します。再学習candidate queueを作り、data owner、process owner、safety、AI担当が利用可否を決めます。新しいデータが多いほど良いのではなく、どの失敗を減らすために追加したか説明できることが重要です。
model registryにはtraining dataset、code、parameter、evaluation、制約、承認、配備cell、rollback版を結び付けます。工場側が最低限確認すべき運用指標は、mission別の試行母数、外部基準での完了、failure class、手動介入、safety stop、unknown、データ欠測、distribution shiftです。全体success rate一つでは、簡単な品種が増えて数字だけ改善する問題を見抜けません。
RFPでベンダーを「収集量」ではなく再現性で比べる
提案比較では、ロボット時間の単価だけでなく、成果物、受入証拠、権利、変更対応を同じ表で揃えます。
| RFP項目 | 必須回答 | 受入証拠 |
|---|---|---|
| Mission | 開始・終了、変動、禁止条件、回復 | versioned mission contract |
| Instrumentation | sensor、校正、時刻、欠測 | calibration record、sync test |
| Episode | schema、failure、intervention、lineage | manifestとsample replay |
| Ground truth | 独立性、分解能、不確かさ、unknown | measurement study、判定手順 |
| Teleoperation | operator、mode、latency、rights | session log、raw/control変換 |
| Synthetic | simulator、asset、parameter、validation | sim card、real-gap report |
| Split | TRAIN/HOLDOUT/ACCEPT隔離 | hash、access log、freeze record |
| Evaluation | 分母、class、threshold、repeat | rerunnable test harness |
| Safety | risk、limit、stop、change control | risk assessment、test record |
| Operations | monitor、retrain、approve、rollback | runbook、registry、RACI |
| Rights | ownership、license、retention、export | contract、deletion/export test |
見積はinstrumentation、mission/episode設計、収集運転、annotation/QA、simulation、training、test harness、safety integration、現地試験、運用移管に分けます。単一の「AI開発一式」では、データ追加とsoftware修正の境界が見えません。データ量が想定より増減した場合の単価だけでなく、mission変更、sensor交換、再ラベル、再評価のchange rateも明記します。
ベンダーデモの動画は入口にすぎません。別fixture、別work instance、別operator、別shiftでprotocolを再実行できるか、failureを隠さず提示するか、rawから結果まで追えるかを比較します。FANUC Americaなどのベンダーが2026年にphysical AIやautomationの展示を発表していることは、市場の方向を知る材料ですが、自社missionの性能証明にはなりません。
Hexagon RoboticsとSchaefflerは2026年8月19日の発表で、専用のHumanoid GymにおけるTrain–Validate–Deploy、imitation learning、反復実行を説明し、今後数年で少なくとも1,000台のAEONを展開する計画を示しました。これは両社による計画の発表であり、1,000台が配備済みという実績ではありません。参考にすべきなのは台数の大きさより、production投入前に代表的な製造applicationで訓練と検証を分離する考え方です。
Agility Roboticsは2026年9月15日のDigit 5発表で、Digitが実環境で65,000時間超を運用したと述べ、Digit 5について50 lb(22.7 kg)の反復持上げ、90分稼働・9分充電を示しました。これらはメーカー公表値であり、別のpayload、floor、workflow、safety configurationへそのまま適用できません。買い手はカタログ値を、自社mission、tool、把持姿勢、停止回数、handoff、充電計画の受入条件へ変換する必要があります。
安全規格とタイ固有の版差を分ける
ISO 10218-2:2025は、産業用ロボットapplicationとrobot cellのdesign、integration、commissioning、operation、maintenance、decommissioningに関する安全要求です。学習データ品質規格ではなく、またhumanoid一般を直接包括する万能規格でもありません。mobile platformとの統合など、同規格が明示的に扱わない範囲もあります。対象robot、移動性、人との近接、tool、工程、タイ法令に応じて適用規格と追加risk assessmentを決めます。
タイではTISIの มอก. 3950 เล่ม 2-2567 が2025年2月8日に施行されましたが、これはISO 10218-2:2011のidentical adoptionです。ISO 10218-2:2025と同じ版ではありません。契約書に「ISO/TISI準拠」とだけ書かず、規格番号、年版、適用範囲、法的必須か顧客要求か、版差を誰が解釈するかを明記します。新しい国際版を技術上参照しても、タイ国内で適用される要求と自動的に置換されたことにはなりません。現地の安全・法務専門家と案件ごとに確認してください。
BOIの2026–2027措置のページにはautomation、robot、AI/ML、Big Dataへの投資が示されていますが、ここで扱われる措置は自動車産業向けです。すべての製造業のロボット学習データ案件が対象になるわけではなく、設備・software・申請時期・事業区分を含めて案件単位で確認します。補助・税制を前提にPoCを開始せず、対象外でも成立する技術・事業判断を先に作るべきです。
TRAIN・HOLDOUT・ACCEPTを別区画として受入設計する
randomにframeを三分割するだけでは、ほぼ同じepisodeの隣接frameがTRAINとHOLDOUTへ入り、leakageが起きます。分割単位は、object instance、lot、fixture、operator、shift、site、camera、software版、収集日など、一般化させたい変動に合わせます。
- TRAIN: 開発者が見てよい。学習、parameter調整、failure分析、追加収集に使う。
- HOLDOUT: tuning中は隠す。固定protocolで限定回数だけ評価し、見た後の調整は新しい版として扱う。
- ACCEPT: 発注者が承認した実機条件、work、fixture、shift、evidence手順で最終判断する。

受入thresholdは全体成功率だけにしません。mission別に母数を固定し、critical failureは件数を別管理します。manual intervention、safety stop、unknown、cycle timeout、wrong-object、wrong-placement、設備状態不整合、recovery成功を区別します。繰り返し試験は同じseedだけでなく、承認済み変動範囲で行い、最悪classを隠さないreportにします。
acceptance evidence packには、protocol版、dataset hash、model/configuration、risk control、事前条件、全試行一覧、raw result、failure動画、ground-truth値、除外理由、欠測、operator、時刻、再試験、承認署名を含めます。「デモ動画が滑らかだった」では再現できません。test harnessと集計codeも納品し、工場側が同じ入力から同じtableを再生成できることを確認します。
AI PoCの終了基準と同様、結果はdeploy、限定延長、停止の三択で決めます。平均は合格でも特定のcritical failureが残る場合、対象品種やcellを限定してdeployする選択肢があります。逆に、失敗原因がデータ不足ではなく、sensor配置、tool、fixture、工程設計なら、追加学習へ予算を投じず機械・工程側を直します。
90日PoCの実行例
以下は調達会話を具体化するためのTOMAS TECH提案例であり、業界標準の固定日程ではありません。設備納期、安全審査、品種数、shiftによって調整します。
| 期間 | 主作業 | exit evidence |
|---|---|---|
| 1–15日 | mission、risk境界、権利、sensor/clock/校正、accept protocol、holdout governance | 承認済みmission contractと試験計画 |
| 16–30日 | training cell計装、dry cycle、episode schema、lineage、ground truth、replay検証 | 同一episodeを再生・判定できる |
| 31–60日 | normal、failure、intervention、recovery収集、必要時synthetic追加、dataset freeze | dataset card、failure coverage、版固定 |
| 61–75日 | TRAINで学習、HOLDOUTを無調整で正式実行、全failure分類 | holdout report、改善/停止判断 |
| 76–90日 | ACCEPTを承認fixture/work/shiftで実行、運用・安全review、handover | deploy/extend/stop決裁、runbook、registry |
1–15日ではデータ収集を急がず、successとfailureの判定責任を固定します。安全停止や人介入を「失敗数から除外」するか後で揉めないよう、分母とclassを先に承認します。holdoutを誰が保管し、いつ開けるかも決めます。
16–30日は1cell、1missionを計装し、dry cycleで時刻ずれ、欠測、calibration参照、replayを潰します。この段階でepisodeが再生できなければ、量産収集しても欠陥が増えるだけです。モバイルマニピュレータ・協働ロボット・AMRの選定で扱うようなhandoffがある場合、robot単体ではなく設備I/O、AMR、WMS/MESまでmission境界に入れます。
31–60日は正常例だけを増やさず、承認した変動表に沿ってfailure、pause、abort、recoveryを集めます。syntheticを追加する場合は、どのcoverage gapを埋めるかと実データでのvalidationを必須にします。60日目でdataset版をfreezeし、それ以後の追加は次版へ送ります。
61–75日はTRAINだけで調整し、HOLDOUTを正式実行します。結果を見てparameterを変えたら、そのholdoutは開封済みです。同じ結果を再び「未知データ評価」と呼ばず、新しいholdoutを準備します。failureごとにデータ、model、sensor、tool、fixture、業務ルールのどれが原因かを分類します。
76–90日は実運用を代表するACCEPT条件で、工場側がtestを主導します。合格後も、監視指標、再学習candidate承認、emergency stop、rollback、supplier support、データ削除・exportをrunbookにし、担当者が実演します。PoCの完成品はmodelだけでなく、改善を安全に続けられる工程です。
よくある質問
Robot Data Factoryとはデータセンターのことですか?
本稿で使うRobot Data Factoryは、2026年9月15日投稿の未査読preprintが提案する、robot experienceを継続的に生成・検証・再利用するinfrastructureとmethodologyです。単なるstorageやannotation工場ではありません。mission、sensor、external ground truth、pipeline、benchmark、DEPLOY–MEASURE–LEARN–REPEATを一体で設計する点が中心です。
ロボット データ収集は何時間あれば十分ですか?
一律の時間数はありません。mission数、work variation、failure frequency、sensor rate、policy、target confidenceで必要量が変わります。先にcoverage matrixとholdout protocolを決め、episodeの追加でどのfailureの不確かさが減ったかを見ます。時間を契約上の上限管理に使うことはできますが、acceptanceは能力証拠で行います。
テレオペレーション 学習データは成功操作だけでよいですか?
不十分です。pause、abort、regrasp、介入、回復、do-not-actを安全な範囲で含めます。operator、control mode、assistance level、device、latency、座標変換、filterをepisodeへ残します。熟練者1人だけの癖や、通信遅延による軌道をrobot能力と混同しないことが重要です。
合成データ ロボット案件では実機データを置き換えられますか?
rare geometry、照明、遮蔽、sensor perturbationのcoverage拡張には有効です。一方、接触、滑り、柔軟物、摩耗、遅延、人の反応、安全挙動は実測validationが必要です。simulator、asset、parameter、randomization、seedを版管理し、物理cellのholdoutとacceptへ戻してください。
ロボット PoC 受入で最も重要な分離は何ですか?
TRAIN、HOLDOUT、ACCEPTの分離です。frameのrandom splitではなく、object、fixture、operator、shift、site、version、timeでleakageを防ぎます。開発者がholdoutを見て調整したら、その評価は開封済みとして新しい版へ進めます。
65,000時間の運用実績があれば自社PoCは不要ですか?
不要にはなりません。Agility Roboticsが公表した65,000時間超はDigitの実環境運用に関するメーカー発表です。自社のwork、payload、tool、floor、handoff、safety設定、cycle targetを保証しません。カタログ実績はsupplier qualificationの材料にし、自社missionのholdout/acceptは別に実施します。
ISO 10218-2:2025はhumanoidの安全もすべて含みますか?
いいえ。同規格はindustrial robot applicationsとrobot cellsのintegrationが中心で、適用外・未包含のhazardがあります。humanoid、mobile platform、人との近接、tool、工程に応じて追加規格とrisk assessmentを特定します。タイのTISI 3950 Part 2-2567はISO 10218-2:2011のidentical adoptionであり、2025版と混同しないでください。
まとめ
ロボット学習データ収集で発注すべきものは、時間数やframe数ではありません。再現可能なmission、同期sensorと独立ground truth、成功・失敗・介入・回復を含むepisode、追跡可能なlineage、役割を限定したteleoperationとsynthetic data、漏洩を防いだTRAIN/HOLDOUT/ACCEPT、そしてDEPLOY–MEASURE–LEARN–REPEATを回す運用契約です。RFPとPoCをこの単位で組めば、「デモでは動く」から「工場が証拠を再生成し、安全に改善できる」へ受入基準を変えられます。
ロボット学習データの収集範囲、RFP、90日PoC、holdout受入を具体化する段階から、TOMAS TECHへご相談ください。対象mission、既存設備、安全境界、利用可能なログを確認し、データ量ではなく再現可能な受入証拠から計画を構造化します。
参考資料
- Haddadin et al., *The Robot Data Factory*, arXiv:2609.16705(2026年9月15日投稿、未査読preprint)
https://arxiv.org/abs/2609.16705
- NIST, *Physical AI and Data Generation for Robotics*
https://www.nist.gov/programs-projects/physical-ai-and-data-generation-robotics
- Hexagon, *Towards factory deployment: How AEON is trained to perform*(2026年8月19日、事業者発表)
- Agility Robotics, *Agility Unveils Digit 5 Humanoid Robot Built for Cooperatively Safe Work at Scale*(2026年9月15日、事業者発表)
- NVIDIA Developer, *Isaac GR00T*
https://developer.nvidia.com/isaac/gr00t
- ISO, *ISO 10218-2:2025 — Robotics — Safety requirements — Part 2: Industrial robot applications and robot cells*
https://www.iso.org/standard/73934.html
- TISI, *มอก. 3950 เล่ม 2-2567*
https://a.tisi.go.th/t/?n=8107
- FANUC America, *FANUC America Brings Robotics, Automation, Physical AI and CNC Innovation to IMTS 2026*
- Thailand BOI, automation/robotics/AI measure for the automotive industry, 2026–2027