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2026.10.06

金属検出機の選定|X線異物検査との使い分けとタイ工場のRFP

金属検出機の選定|X線異物検査との使い分けとタイ工場のRFP

「既存の金属検出機は誤排出が多い。骨や硬い異物のクレームが減らない。日本の取引先の監査では、検査装置の検証記録を見せてほしいと言われる。金属検出機を更新すべきか、X線にすべきか、それとも両方か」。タイの日系食品工場の品質保証や生産技術の方から、こうした相談をよく受けます。結論から書きます。金属検出機の選定は、「何mmの球が見えるか」という感度の数字の比較では決まりません。 決めるのは、①どの異物を止めたいかと製品の性質の組み合わせ、②検出した後に確実に排出・隔離できるか、③検証を毎日回せる運用になっているか、の3つです。X線異物検出装置も万能ではなく、薄い金属片は金属検出機のほうが得意で、製品と密度が近い異物はどちらの方式も苦手です。だからこそ、「何を止めたいか」から逆算して装置を選びます。

本記事に登場する金額・パック数・人数・誤排出率・クレーム件数・回収年数は、すべて後述のモデル工場を前提にした本記事オリジナルの試算値・想定値(仮置き値)です。業界平均でも調査値でもありません。自社の実測値に差し替えて使うための「計算の型」として読んでください。

なぜ今、タイの食品工場で異物混入対策の検査装置を見直すのか

タイの食品輸出は、量で稼ぐ局面から付加価値で稼ぐ局面に移りつつあります。

経済紙Thansettakij(2026年9月17日)が報じたタイ加工食品業界の関係者の発言によると、2026年1〜6月のタイの食品輸出額は6,933億7,626万バーツで、前年同期比7.8%減でした。主な要因として、バーツ高、戦争、輸送費の上昇が挙げられています。価格や為替で勝負しにくい局面では、取引先から「選ばれ続ける」ための品質保証の重みが増します。異物混入のクレームは、1件で取引の継続そのものを揺るがしかねません。

なお、タイの輸出全体は別の動きをしています。The Nation Thailand(2026年8月9日)によると、2026年上半期のタイの総輸出は1,967.4億ドルで、前年同期比17.6%増でした。ただしこれは電子機器などが押し上げた数字で、食品輸出の動きとは逆です。「タイの輸出は好調だから食品も好調」とは言えません。

投資の面では、タイ投資委員会(BOI)が2026年8月4日に公表したプレスリリースで、2026年1〜6月の投資申請が1.47兆バーツ(前年同期比37%増)だったと発表しました。同じリリースは、農業・食品加工部門について「バリューチェーンの上流へ移行を続けている」と記述しています。高付加価値の加工食品やペットフードでは、取引先の監査が求める品質保証の水準も上がります。

人件費も無視できません。タイの最低賃金は、2025年7月1日以降、日額337〜400バーツです(調査時点)。コンベヤの横に作業者を並べて骨や硬い異物を目視で拾う工程は、人を増やすほどコストが重くなり、しかも見逃しをゼロにはできません。

海外では、工程内で止められなかった金属片の事例も続いています。米国では、Ukrop’s Homestyle Foodsが、Baked SpaghettiとChicken Cobblerの計約23,000ポンドを金属片混入の可能性で回収しました。米農務省食品安全検査局(USDA FSIS)が2026年8月2日に公表したもので、2026年7月1〜29日の製造分が対象です。消費者から金属片を見つけたという報告があって発覚し、けが人の報告はないとされています。工程内で見つけられず、消費者の手元で見つかったという点で、検査装置と検証の運用を見直すきっかけになる事例です。

装置側も進化しています。Mettler-Toledoは2026年5月のinterpack 2026で、金属検出機M50 R-Series AdvancedLine、デュアルエナジー・フォトンカウンティング方式のX線装置X56 DXD+、鶏肉向けX線装置Eagle MAXIMIZER RMI、チェックウェイヤC35 AdvancedLine、データ管理ソフトProdXを紹介しました。金属検出機、X線、チェックウェイヤ、検査データの管理を組み合わせて提案する流れがはっきりしてきています。

金属検出機とX線異物検出装置の原理の違い

装置の比較に入る前に、2つの方式が「何を見ているか」を押さえておきます。ここを取り違えると、どれだけカタログを比べても選定を誤ります。

金属検出機の選定|X線異物検査との使い分けとタイ工場のRFP - figure 1

金属検出機:バランスコイルの「ずれ」を見る

食品工場で一般的な金属検出機は、バランスコイル方式です。Mettler-Toledo Safeline社の特許明細書の背景技術によると、非金属の枠に3つのコイルを互いに平行に巻き、中央の送信コイルに高周波電流を流して磁界を作ります。その両側には、同じ距離に同じ受信コイルを置きます。2つの受信コイルは巻き方向を逆にして直列につないであるため、金属がなければ誘起電圧は打ち消し合い、出力はゼロになります。

金属粒子が通過すると、まず一方の受信コイルの近くで、次にもう一方の近くで磁界が乱れ、各受信コイルの電圧が変化します。この変化は典型的にはナノボルト域という、ごく小さなものです。このアンバランスを増幅・処理して「金属あり」と判定します。

重要なのは、金属の種類によって信号の性質(位相)が違うことです。同じ明細書によると、鉄系(フェライト)の信号は主にリアクタンス成分、ステンレスの信号は主に抵抗成分になります。そして、水分や塩分を含む導電性の製品も、強い抵抗成分を出します。つまり、ステンレスの信号と濡れた製品の信号は性質が似ているのです。このため、異物の信号と製品の信号が位相で分かれるような運転周波数を選びます(明細書では典型的な例として300〜850 kHzが挙げられていますが、これは一特許の例示で、業界標準ではありません)。

X線異物検出装置:密度と厚みの「影」を見る

X線異物検出装置は、製品を透過したX線の強さの差を画像にします。アンリツの技術資料によると、X線を透過しにくい高密度の異物は暗い影として写るので、磁性に関係なく検出できます。金属だけでなく、ゴムやガラスなど金属以外の異物も、製品より暗く写れば検出できます。

一方で、同じ資料は限界も示しています。高密度でも薄い異物ほどX線が透過しやすく、検出の手がかりが小さくなります。そして、金属のさびやアルミ箔のような非常に薄い金属は、金属検出機のほうがX線より優れていると述べています。そのうえで、両方式は互いをよく補完するので、直列で併用するのが最も安全な検査工程になる、と結論づけています。これはメーカーの技術資料ですが、「X線を入れれば金属検出機は不要」とは言えない、という点で記事全体の土台になる事実です。

さらに、X線は原理上、製品と密度の差が小さい異物を見つけにくいとされます。X線装置の製品紹介記事でも、周囲の製品より多くX線を吸収する異物を検出するとされており、裏返せば、製品と同じくらいの密度の異物は検出が難しいことになります。

この弱点を補う方式として、デュアルエナジーX線があります。高いエネルギーと低いエネルギーの2種類のX線を使い、密度の違う材料を見分ける方式で、ソフトウェアで製品部分を画像から差し引き、異物だけを浮かび上がらせると説明されています。ガラス、プラスチック、ゴム、石灰化した骨などの検出を狙う場合に向くとされますが、どこまで見えるかは製品と異物の組み合わせ次第です。

止めたい異物と製品の性質から決める:X線異物検出装置との比較

ここが選定の中心です。最初に決めるのは装置ではなく、「どの異物を止めたいか」と「製品がどんな性質を持つか」です。

止めたい異物・条件金属検出機X線異物検出装置
鉄(磁性金属)得意。一般に最も検出しやすいとされる製品より暗く写れば検出できる(薄いものは苦手)
非鉄金属(真鍮・銅・アルミ・鉛など)検出できる。鉄よりは難しいとされる製品より暗く写れば検出できる(薄いものは苦手)
ステンレス(非磁性の304・316など)最も難しいとされる。濡れた製品・塩分のある製品で特に難しい磁性に関係なく、密度で検出できる
薄い金属(さび片・アルミ箔片)X線より得意とメーカー資料が説明透過しやすく苦手
骨・ガラス・石検出できない製品より暗く写れば検出できる。小さな骨片や密度の近いものは残りうる
軟質プラスチック・木・紙など低密度の異物検出できない製品と密度差が小さく、原理的に検出しにくい
アルミ箔包装・アルミトレー入りの製品通常機は困難。鉄専用機なら鉄のみ検出包装越しに検査できるとされる
湿潤・塩分・半解凍の製品製品効果で誤排出が増えやすい製品効果の影響は受けないが、密度のばらつきで誤排出は残る
欠品・個数・形状見られない画像から判定できる

ステンレスが金属検出機の選定を難しくする

金属の検出のしやすさは、一般に「鉄>非鉄>ステンレス」の順とされます。鉄は磁性があり電気もよく通すので最も検出しやすく、真鍮・銅・アルミ・鉛などの非鉄金属は磁性はないものの電気をよく通します。ステンレス、特に304や316のような非磁性のグレードは導電性も低いため、検出しにくいとされています。

食品工場の設備の多くはステンレス製です。刃の欠け、メッシュの破片、ボルトやワッシャーなど、混入しうる金属の多くがステンレスであることを考えると、「鉄球○mm」という数字だけで金属検出機を比べても意味がありません。RFPでは、鉄・非鉄・ステンレスのそれぞれについて、自社の製品を通した状態での目標サイズを書くことが出発点になります。

製品効果:湿潤・塩分・半解凍が誤排出を生む

金属検出機の誤排出の多くは、「製品効果」が原因です。Thermo Fisher Scientificのブログ(2019年1月16日)によると、塩分や水分が多い製品は、気泡や密度の違いも重なって、非鉄金属の本当の信号と製品由来の偽の信号の区別がつきにくくなります。チーズは導電性が高く、最も検査が難しい製品のひとつとされます。

温度の状態も効きます。同じブログによると、凍結したベーカリー品は生の状態より製品効果が出にくい一方、半解凍品は誤検出を起こしやすいとされます。凍っていない芯の部分が、金属のような信号を出すためです。加熱済みの肉製品を包装して冷凍する工場では、包装時点の製品温度がばらつくと誤排出が増えやすいのもこのためです。

対策の1つが、複数の周波数を同時に、または切り替えて使う方式です。同ブログは、ある周波数で隠れた金属が別の周波数では見えることがある、と説明しています。同社の例では、マルチスキャン型は50〜1000 kHzの範囲で動作し、最大5つの周波数を選んで使い、金属の種類ごとに感度を最適化できるとしています(メーカーの説明)。また、Lomaの可変周波数型は、製品効果を自動で解析して帯域を走査し、用途に合う周波数を選ぶ方式だと紹介されています。ただし、方式の違いがどれだけ誤排出を減らすかは、自社の製品で試さなければわかりません。

アルミ包装の製品と金属検出機

アルミ箔包装やアルミトレー入りの製品では、通常の金属検出機は包装そのものに反応してしまいます。そこで使われるのが、鉄だけを検出する方式(フェラス・イン・フォイル)の専用機です。Fortress TechnologyのStealth In-Foilは、アルミ包装やアルミトレーによる信号干渉に対応するよう作られた鉄専用の検出機で、用途にはベーカリー、レディミール、菓子、肉などのたんぱく質製品の包装が挙げられています。

ただし、同社はこの機種ではアルミと非磁性ステンレスを検出できないと明記しています。アルミ包装の製品で非磁性ステンレスのリスクが無視できないなら、金属検出機だけでは守れません。これが、X線を選ぶ、あるいは包装前に通常の金属検出機を置く理由のひとつになります。

感度は「球の直径」と「向き」で読む

金属検出機の感度は、特定の金属で作った試験球の直径で表すのが一般的とされます。球には向きがないので、開口部内の同じ位置を通せば常に同じ信号が出て、比較の基準にしやすいからです。一方、針金や切粉のような細長い異物は、金属の種類と通過するときの向きで検出のしやすさが変わると説明されています。

開口部の大きさや周囲の環境も感度に影響します。一般に、開口部が大きいほど感度は下がるとされ、検出ヘッドの周囲には金属を置かない範囲(金属フリーゾーン)を確保する必要があります。必要な距離は機種と開口寸法によるので、メーカーの据付要領に従います。既存のラインに後から押し込むと、コンベヤのフレームやリジェクト装置が近すぎて感度が出ない、ということが起こりえます。

「両方」を置くという選択肢

ここまでをまとめると、金属検出機かX線かは、止めたい異物と製品の性質の組み合わせで決まります。

  • 止めたいのが金属だけで、製品効果を抑えられる → 金属検出機(必要ならマルチ周波数)
  • 骨・ガラス・石も止めたい、またはアルミ包装で非磁性ステンレスも止めたい → X線異物検出装置
  • アルミ箔包装品や薄い金属片のリスクが高い製品 → 金属検出機とX線を直列に置く選択肢がある

なお、金属異物をHACCPの重要管理点(CCP)として管理するかどうかは、国際規格が一律に決めているわけではありません。食品衛生の一般原則(Codex)の2020年改訂ではCCPを決めるためのツールが追加されたとされますが、金属検出をCCPにせよと書かれているわけではなく、各社のハザード分析で決めることになります。

検出だけでは足りない:リジェクトとフェイルセーフ

どれだけ感度のよい装置を選んでも、検出した製品がラインから確実に外れなければ意味がありません。検出しても物理的にリジェクトされなければ、その検査は不合格です。

金属検出機の選定|X線異物検査との使い分けとタイ工場のRFP - figure 2

リジェクト方式を製品に合わせる

BRCGSでは、金属検出機やX線装置に、汚染品を製品の流れから外して権限のある者しか開けられない施錠ユニットへ送る自動リジェクト装置、自動リジェクトができない大型パックなどではアラーム付きのベルト停止、といった仕組みが求められるとされています。リジェクトの方式には、キッカー(押し出し)、エアブロー、ベルト停止アラーム、オーバーヘッドスイープなどがあり、製品の重さ・形・間隔・ライン速度に合うものを選びます。

見落とされやすいのがリジェクトのタイミングです。Mettler-ToledoのMike Bradley氏の寄稿(FoodTechBiz、2022年8月10日)は、小売業者はリジェクトタイマーの設定が正しいかを確認したがる、と述べています。製品の間隔が詰まった高速ラインでは、汚染品の隣の製品を外し、汚染品そのものを通してしまう、という事故が起こりえます。

フェイルセーフ:「壊れたら安全側に倒れる」

Thermo Fisher Scientificのブログ(2019年7月10日)は、英国の小売業者M&Sの基準が特に厳しい部類だとしたうえで、あらゆる条件で安全側に故障することを求めていると紹介しています。フェイルセーフの例として挙げられているのは、検出機の故障検知、リジェクト確認アラーム、回収箱の満杯通知、エア圧低下の警報、装置故障の検知などです。

RFPに書くフェイルセーフは、少なくとも次の4つです。

  1. リジェクト確認:リジェクト装置が動いた後、製品が本当に回収箱に入ったかをセンサーで確認する。確認できなければラインを止める
  2. 回収箱の満杯検知:回収箱があふれて、外した製品がラインに戻るのを防ぐ
  3. エア圧の監視:エアブローや押し出しのエア圧が下がったらラインを止める
  4. 施錠された回収箱:外した製品を、権限のある者しか取り出せないようにする

この「検査で判定して、PLCで排出し、排出を確認する」という流れは、外観検査など他の全数検査と共通の設計です。判定から排出までの設計の考え方は「高速ラインのAI外観検査(検査とPLC排出)」で詳しく解説しています。

検証の運用:HACCPで金属異物のCCPを守るテストピース・頻度・記録

金属検出機やX線装置は、導入した日が最も性能のよい日です。その後は、製品の切り替え、設定の変更、部品の摩耗、清掃時の衝撃などで、気づかないうちに感度や排出の確実さが落ちることがあります。それを見つけるのが日々の検証です。

テストピースは実製品と一緒に通す

CMMSベンダーのOxmaint社の記事(2026年7月3日)は、BRCGS Issue 9が金属検出機器の定期点検を求めており、頻度はサイトのHACCPチームが決める、と紹介しています。同記事は、認証済みの鉄・非鉄・ステンレスのテストピースを、空のベルトではなく実製品と一緒に、製品の先端・中央・後端の位置で通すこと、そして検出しても物理的にリジェクトされなければ不合格であることを挙げています。

空のベルトにテストピースだけを流すと、製品効果がない分、実際より感度がよく見えます。検証は、製品効果の影響を受けた「本番の状態」で行うことが前提です。

テストの種類

前述のBradley氏の寄稿は、小売業者の要件に対応するテストとして、次の4つを挙げています。

  • 標準テスト
  • 連続テスト
  • メモリテスト
  • 大型金属テスト(フォトゲート付きのサイドリジェクト装置の場合)

同寄稿によると、テストパックには鉄・非鉄・ステンレスのテストピースを使い、開口部の幾何学的中心を通るように置きます。連続テストは、通常のパック間隔・通常の生産速度で続けて流すテストです。高速ラインでは、汚染品の前後の製品を巻き込まずに、汚染品だけが正しく外れるかを確かめる意味があります。

頻度は「誰かの推奨」ではなくリスクで決める

点検頻度については、さまざまな「推奨値」が出回っています。前述のOxmaint社の記事は、始業時、運転中は30分〜2時間ごと、15分を超える停止の後、品種切り替えの後、検出機に触れる保守の後、という例を挙げていますが、これは規格の要求ではなく同記事の推奨です。英国の大手小売の中には、独自の行動規範で点検頻度を定めている例もあるとされます。

頻度は、自社のHACCPチームが、製品・ライン・過去の不具合を踏まえてリスクに基づいて決めます。そのうえで、取引先や輸出先の小売が独自の要求を持っていないかを確認し、厳しいほうに合わせます。

記録とトレーサビリティ

検証の結果は、いつ、誰が、どのテストピースで、どの位置で試し、検出とリジェクトが正しく行われたかを記録します。万一、検証で不合格になった場合は、前回の合格時点から今回までに通過した製品を特定し、保留・再検査する必要があります。その範囲を絞り込めるかどうかは、ロットと時刻をひもづけた記録があるかで決まります。

紙の点検表でも運用はできますが、装置から検証結果やリジェクト履歴をデータで出力し、ロット情報と結びつけておくと、監査で記録を示すのも、問題発生時に影響範囲を絞るのも速くなります。食品工場のロット管理の考え方は「食品工場のトレーサビリティ」、検査データを装置から自動で集める仕組みは「検査データ自動収集」で解説しています。

金属検出機とウェイトチェッカーの一体機、X線の欠品・個数検査

異物検査の装置を選ぶとき、重量検査(ウェイトチェッカー、チェックウェイヤ)とどう組み合わせるかも同時に決めておくと、ラインの長さと費用を抑えやすくなります。

併設か一体型か

金属検出機とチェックウェイヤを1台にまとめた一体機もあります。Fortress TechnologyのRaptor BBK Combinationは、金属検出とケース単位の計量を1台にまとめた機種で、25 kgから重量物向けの50 kgまでの袋・ケースを対象にしています。同社は、2台を別々に並べるより設置面積が小さく、組み込みと保守が簡単になり、1つの操作画面(HMI)で両方を操作できる、と説明しています。リジェクト方式は、キッカー、エアブロー、ベルト停止アラーム、オーバーヘッドスイープなどから選べるとされます。

一体型の利点は、設置面積と操作の統一です。一方で、片方の故障でライン全体が止まる、片方だけを更新しにくい、といった面もあります。ラインの長さに余裕がない既存工場では一体型、将来どちらかだけを入れ替える可能性があるなら併設、というように、自社の事情で決めます。包装ライン全体の機器配置は「梱包ライン自動化」もあわせてご覧ください。

X線は欠品・個数・形状も見られる

X線異物検出装置は、異物だけでなく品質検査にも使えます。アンリツのXR75の製品パンフレット(2018年1月)によると、同機は金属、針金、ガラス、石、石灰化した骨などの高密度異物の検出と同時に、欠品、個数、パッケージ検査、空隙などの検査ができるとされています。

同パンフレットには、わかりやすい例が載っています。20±2 gのカップケーキ12個入りの製品で、22 gのものが11個しか入っていないと、合計は242 gになり、重量は規格内に収まってしまいます。チェックウェイヤでは通ってしまうこの「個数不足」を、X線なら画像で見つけられる、という例です。詰め合わせ製品や個数表示のある製品では、X線の導入効果を異物だけでなく欠品の面からも評価できます。

費用とROI:金属検出機の更新とX線をモデル工場で比べる

ここからの数値は、すべて本記事が独自に置いた仮置き値です。業界平均でも調査値でもありません。

共通前提(モデル工場E)

項目前提(仮置き値)
工場タイ中部(サムットサーコーン県)の日系加工食品工場。加熱済み鶏肉製品(から揚げ等)をトレー+フィルム包装(アルミ箔ではない)して冷凍出荷する包装ライン1本
生産1日10,000パック、稼働300日/年 → 年3,000,000パック
現状の検査包装後に古い単一周波数の金属検出機1台。骨・硬質異物はコンベヤ上の目視選別
目視選別の人員1交替3名×2交替=6名
1名あたり年間人件費240,000 THB(社会保険・手当込み)
金属検出機の誤排出0.5%=年15,000パック(湿潤・塩分のある製品で、凍結前後の温度差による製品効果)。1パックあたり損失25 THB(廃棄・再検査込み)
異物クレーム年6件(金属1件・骨片4件・軟質プラスチック1件)。1件あたり対応損失120,000 THB(調査・返品・値引き込み)

構成A:マルチ周波数の金属検出機に更新+フェイルセーフ付きリジェクト

初期投資は、マルチ周波数金属検出機1,100,000 THB、リジェクト機構・フェイルセーフ(リジェクト確認・回収箱満杯・エア圧監視・施錠回収箱)・コンベヤ300,000 THB、据付・実製品での検証200,000 THB、テストピース・教育200,000 THBで、合計1,800,000 THBです。年間運用費は、検証・テストピース更新・保守で120,000 THB/年とします。

効果(想定値)は次のとおりです。

  • 誤排出:0.5%→0.1%(15,000パック→3,000パック)で、減った12,000パック×25 THB=300,000 THB
  • 異物クレーム:金属1件→0件で、120,000 THB(骨片と軟質プラスチックは金属検出機では止められないので変わらない)
  • 人員:目視選別は骨片対策として残るので、0

効果合計は420,000 THB/年、運用費を差し引いた年間純便益は420,000−120,000=300,000 THB/年、単純回収期間は1,800,000÷300,000=6.0年です。

構成B:デュアルエナジーX線異物検出装置(金属検出機の役割も兼ねる)+フェイルセーフ付きリジェクト

初期投資は、X線異物検出装置3,800,000 THB、リジェクト機構・フェイルセーフ・コンベヤ400,000 THB、OAPへの届出準備・遮へい確認・放射線安全教育300,000 THB、据付・実製品での検証(テストピース・製品学習)300,000 THBで、合計4,800,000 THBです。年間運用費は、保守・X線管の更新積立・線量確認で350,000 THB/年とします。

効果(想定値)は、構成Aの効果を置き換えるものとして計算します(構成Aの効果に足し算はしません)。金属クレーム1件分の削減は、構成Aと同じ1件です。

  • 誤排出:X線は製品効果の影響を受けないが、密度のばらつきで誤排出は残るため、0.5%→0.2%(15,000パック→6,000パック)で、減った9,000パック×25 THB=225,000 THB
  • 異物クレーム:6件→2件(金属1→0、骨片4→1(小さな骨片は残る)、軟質プラスチック1→1(X線でも密度差が小さく残る))で、減った4件×120,000 THB=480,000 THB
  • 人員:目視選別6名→2名(1交替1名は残す)で、4名削減×240,000 THB=960,000 THB

効果合計は1,665,000 THB/年、年間純便益は1,665,000−350,000=1,315,000 THB/年、単純回収期間は4,800,000÷1,315,000=約3.7年です。

項目構成A(マルチ周波数金属検出機)構成B(デュアルエナジーX線)
初期投資1,800,000 THB4,800,000 THB
年間運用費120,000 THB350,000 THB
誤排出削減の効果300,000 THB225,000 THB
異物クレーム削減の効果120,000 THB(1件)480,000 THB(4件)
人員削減の効果0(0名)960,000 THB(4名)
効果合計(年)420,000 THB1,665,000 THB
年間純便益300,000 THB1,315,000 THB
単純回収期間6.0年約3.7年
5年累計(純便益×5−初期投資)−300,000 THB1,775,000 THB

読みどころ1:初期投資が約2.7倍のBのほうが早く回収する。理由は「金属検出機では止められない異物」

5年累計で見ると、構成Aは300,000×5−1,800,000=−300,000 THBで、5年では回収しきれません。構成Bは1,315,000×5−4,800,000=1,775,000 THBです。

構成Bの上乗せ分だけを取り出すと、追加の初期投資は4,800,000−1,800,000=3,000,000 THB、追加の年間純便益は1,315,000−300,000=1,015,000 THB/年で、上乗せ分の回収は約3.0年です。

誤排出の削減だけを見れば、構成Aのほうが効果は大きくなっています(300,000 THBと225,000 THB)。製品効果による誤排出は、金属検出機の周波数を見直すことで大きく減らせる、という想定だからです。それでも構成Bが早く回収するのは、構成Bの効果1,665,000 THBのうち最大の項目が人員の960,000 THBだからです。そして、目視選別を減らせるかどうかは、骨片を装置で止められるかどうかで決まります。金属検出機は骨片を見ないので、構成Aでは目視選別を1人も減らせません。

だからといって、構成Aが「悪い投資」だということにはなりません。構成Aの更新は、投資回収の案件ではなく、金属のCCPを確実に守る案件です。古い金属検出機で誤排出が多いと、現場は感度を下げたくなり、リジェクトされた製品の扱いも雑になりがちです。構成Aの価値は回収年数ではなく、誤排出の削減と、フェイルセーフ・検証記録の確実さにあります。止めたい異物が金属だけで、骨片のクレームがない工場なら、構成Aが合理的な選択になります。

読みどころ2:目視選別を減らせなかったら結論はどう変わるか

この試算で最も不確かなのは、構成Bの人員削減です。取引先が目視選別の継続を求める場合や、X線の骨片検出が実製品で十分でない場合を考えて、計算し直してみます。

項目4名削減(基本)2名削減削減0名
構成Bの年間純便益1,315,000 THB835,000 THB355,000 THB
構成Bの単純回収期間約3.7年約5.7年約13.5年
構成Bの5年累計1,775,000 THB—−3,025,000 THB

人員削減を0名とすると、年間純便益は1,315,000−960,000=355,000 THB/年に下がり、回収は4,800,000÷355,000=約13.5年、5年累計は−3,025,000 THBになります。2名削減(4名でなく)なら、純便益は1,315,000−480,000=835,000 THB/年、回収は約5.7年です。

つまり、構成Bを選ぶ根拠は、「実製品で骨片を何mmまで止められるか」の検証結果そのものです。カタログの検出サイズではなく、自社の製品と実際の骨片・テストピースを使ったメーカーのテスト(サンプルテスト)を発注前に必ず行い、その結果をもとに、目視選別を何名減らせるかを取引先の品質保証担当と合意しておきます。後述の90日計画では、これを31〜60日に置いています。

設備投資の判断全般に共通する「全数検査を自動化するかどうか」の考え方は、「全数検査の自動化の判断基準」でも整理しています。

金属検出機のRFPに書く12項目

メーカーや代理店に見積もりを依頼する際、RFP(提案依頼書)に最低限書いておきたい項目です。

  1. 止めたい異物と目標サイズ(材質別):鉄・非鉄・ステンレス、X線なら骨・ガラス・石なども。どの製品を通した状態で、開口部のどの位置で保証するかまで書く
  2. 製品仕様:温度(凍結・半解凍・常温の別)、水分、塩分、包装材(フィルム・アルミ箔・トレー)、寸法と重量
  3. ライン速度と製品間隔:最速時の速度と、最も詰まったときの製品間隔
  4. 開口寸法:製品の最大寸法と、ベルト幅・設置スペースの制約
  5. リジェクト方式と隔離:方式(キッカー・エアブロー・ベルト停止アラームなど)と、施錠された回収箱
  6. フェイルセーフ一式:リジェクト確認、回収箱満杯検知、エア圧監視、検出機の故障検知
  7. テストピース:材質・サイズ・校正証明の有無と、更新の周期
  8. 検証頻度と記録方式:検証結果とリジェクト履歴のデータ出力、ロット・トレーサビリティとの連携
  9. 洗浄性と防水等級:高圧洗浄・薬剤洗浄に耐える構造、結露への配慮
  10. X線の届出書類の支援(X線の場合):OAPへの届出に必要な機種情報・資料の提供範囲
  11. 消耗部品と現地在庫:X線管・ベルト・センサーなどの在庫と、タイ国内での納期
  12. FAT/SAT基準:試験項目、使う製品とテストピース、合格基準、立会いの範囲

特に重要なのは1と8です。1を「鉄球○mm」で済ませると、各社の提案を同じ土俵で比べられません。8は、監査で記録を求められたとき、また検証で不合格が出たときの影響範囲の絞り込みに直結します。検査装置の発注と受入れの進め方全般は「タイ 検査装置の発注・受入(FAT/SAT)」で詳しく解説しています。

FAT/SATで確認すること

工場出荷前の試験(FAT)と、据付後の現地での試験(SAT)では、カタログの値ではなく、自社の製品での「止まる・外れる・記録される」を確かめます。

  • 実製品でのテストピース:鉄・非鉄・ステンレスのテストピースを実製品に付けて、製品の先端・中央・後端の位置で通す
  • 連続テストとメモリテスト:通常の間隔・通常の速度で続けて流し、汚染品だけが外れ、前後の製品を巻き込まないかを見る
  • 検出してもリジェクトされなければ不合格:検出の表示だけでなく、汚染品が回収箱に入ったことまで確認する
  • フェイルセーフの擬似試験:リジェクト確認センサーを遮る、回収箱を満杯にする、エア圧を下げる、といった異常を意図的に起こし、ラインが止まるかを確かめる
  • 製品温度を振った誤排出率:凍結前後・包装直後など、実際に起こる温度の幅で製品を流し、テストピースなしで何パック誤排出されるかを数える
  • X線は実際の骨片サンプルでの検出率と誤排出率:テストピースだけでなく、自社の製品から実際に出た骨片を使って検出率を確かめ、同時に良品の誤排出率も記録する
  • 欠品検出(X線の場合):個数不足・欠けのあるサンプルを流して判定を確かめる

Thermo Fisher Scientificのブログが指摘するように、半解凍品は誤検出の原因になります。FATでは条件のよい製品だけで試験しがちですが、SATでは現場で実際に起こる温度のばらつきを含めて試すことが大切です。

タイ・ASEAN固有の論点

X線異物検出装置の届出

タイでは、X線装置などの放射線発生装置の所持・使用は、原子力平和利用法に基づいて規制されています。OAP(原子力平和利用事務局)の法務グループによる英訳によると、2020年の省令(B.E.2563)で、発生する放射線の最大エネルギーが1 MeV未満で、完全に遮へいされた状態で使い、人には使わない装置などは、許可申請が不要で、事務局長への所持・使用の届出だけでよいとされました。OAPの説明資料(講義スライド)では、この届出区分の例として「製品品質検査用X線装置」が挙げられ、所持した日から30日以内に届出書を出すこと、届出の手数料はないことが説明されています。

一方で、同じ資料によると、1 MeV未満でも遮へいされていない使い方をするものや、人に使うものは許可制とされています。遮へいカーテンを外すような改造や、開放型の使い方をすると、届出区分から外れる可能性があります。

食品用のX線異物検出装置は、多くの場合は届出区分に当たると考えられますが、機種ごとにOAP(原子力平和利用事務局)または販売元に確認してください。なお、OAPの英訳には法的効力がなく、正本はタイ語の原文です。届出区分の装置の安全要件については、資料の時点で省令が「案」とされていたので、最新の要件もOAPに確認してください。ちなみに、5キロ電子ボルト以下の装置は法の規制対象外とされていますが、食品用X線装置は数十kVで動作するのでこれには当たりません。参考までに、アンリツXR75のメーカー公称値は管電圧30〜80 kV、X線漏えいは最大1.0 μSv/h以下とされていますが、これは一機種の値で、全機種に当てはまるものではありません。

食品GMP(保健省告示第420号)

タイの食品GMPは、保健省告示第420号(2020年)で、従来の複数の告示が1本にまとめられています。JETROバンコクの仮訳によると、基本要求事項の目的には、物理的・化学的・微生物的な危害の低減・排除が含まれます。ただし、告示の本文に金属検出機の設置を義務づける明文は見当たりません。異物管理の記録をどのように持つべきかは、所轄機関や認証機関に個別に確認してください。

高温多湿と高圧洗浄

タイの食品工場は、高温多湿の環境で、高圧洗浄や薬剤洗浄を日常的に行います。検出ヘッドや制御盤の防水等級、結露への対策、温度変化で製品効果がどう変わるかを、RFPと試験条件に入れておきます。冷凍品のラインでは、冷凍庫からの出入りで結露が起きやすい場所に装置を置かないことも大切です。

輸出先ごとの要求を一覧にする

輸出先によって、検証の頻度やテストピースの要求は違います。米国向けでは、FDAのコンプライアンス・ポリシー・ガイド(CPG Sec. 555.425)が異物サイズの目安になります。最大寸法7 mm未満の硬い・鋭い異物は、乳児・手術患者・高齢者といった特別なリスク群を除けば、外傷や重い傷害を起こすことはまれとされています。一方、調理不要または最小限の調理で食べる食品に7〜25 mmの硬い・鋭い異物があれば、差し押さえなどの措置の基準になるとされます。「7 mm未満なら安全」という意味ではなく、特別なリスク群向けの製品などは別に評価される点に注意が必要です。

日本の取引先、米国、英国の小売の行動規範など、取引先ごとの要求を一覧にしてRFPに添付すると、メーカーの提案のずれを防げます。ハラール認証品を扱う工場では、ハラールの管理記録との統合も視野に入れてください(「ハラールトレーサビリティ」参照)。

保守体制

テストピースの校正証明、X線管やベルトなど消耗品の現地在庫、メーカーや代理店のタイ語での保守対応を確認します。検査装置が止まったときに、検査なしで生産を続けるのか、ラインを止めるのかという判断も、あらかじめHACCPの手順に書いておきます。

BOI案件での設備調達

BOIの投資奨励を受けている案件では、設備の調達や変更の扱いを、所轄機関(BOI)や専門家に個別に確認してください。税務の扱いも同様です。

市場にある選択肢の例

金属検出機・X線異物検出装置・チェックウェイヤ(一体機を含む)を扱うメーカーには、たとえばMettler-Toledo(Safelineの金属検出機、Safeline/EagleのX線、チェックウェイヤ)、アンリツ(X線検査装置、品質管理システム)、Fortress Technology(金属検出機、アルミ包装向けの鉄専用機、一体機)、Thermo Fisher Scientific(マルチスキャン金属検出機)、Loma Systems(可変周波数の金属検出機、X線)、Sesotec(X線)、Eriez(X線)などがあります。ここでは例として挙げるだけで、推奨や優劣の評価ではありません。

90日計画

金属検出機の選定|X線異物検査との使い分けとタイ工場のRFP - figure 3

0〜30日:異物クレーム・誤排出・目視選別工数の実測と、止めたい異物の整理

過去1〜2年分の異物クレームを、金属(鉄・非鉄・ステンレスの別)、骨片、ガラス・石、プラスチックなどに分類して集計します。あわせて、現在の金属検出機の誤排出数と、目視選別にかかっている人数と時間を実測します。この集計から、「止めたい異物」のリストと、その目標サイズの案を作ります。モデル試算の前提を自社の数値に置き換え、構成Aと構成Bのどちらの方向が合うかの見通しを立てます。

31〜60日:実製品でのメーカーサンプルテストと、取引先の品質保証担当との合意

複数のメーカーに、自社の実製品と、実際に出た骨片・テストピースを送り、サンプルテストを依頼します。金属検出機なら製品温度を振ったときの誤排出、X線なら骨片の検出率と良品の誤排出率を確かめます。その結果をもとに、目視選別を何名減らせるか、検証の頻度と記録の方式をどうするかを、取引先の品質保証担当と合意しておきます。

61〜90日:RFP・FAT/SAT基準・発注判定(X線ならOAPへの届出準備)

試験結果をもとに、RFPの12項目とFAT/SATの試験項目・合格基準を確定し、複数社から同じ条件で見積もりを取ります。自社版の試算と突き合わせて、発注するかどうか、どの構成で発注するかを判定します。X線を選ぶ場合は、機種ごとの区分をOAPまたは販売元に確認し、届出の準備を始めます。

90日の終わりに手元にそろえておきたい成果物は、①分類済みの異物クレーム・誤排出・目視選別工数の集計表と、それを反映した自社版の投資試算、②止めたい異物と目標サイズのリスト、③実製品でのサンプルテストの結果、④取引先と合意した検証・記録の方式、⑤RFPとFAT/SAT基準、の5点です。①の集計で骨片のクレームがほとんどないとわかった場合は、金属検出機の更新とフェイルセーフの強化に投資を絞る判断も合理的です。生産計画やロット情報との連携まで見据える場合は「食品工場の生産管理システム」も参考になります。

よくある質問

金属検出機とX線異物検出装置はどちらを選べばよいですか?

止めたい異物と製品の性質で決まります。止めたいのが金属だけで、製品効果を抑えられるなら金属検出機が候補です。骨・ガラス・石も止めたい場合や、アルミ包装で非磁性ステンレスも止めたい場合はX線が候補になります。ただし、さび片やアルミ箔片のような薄い金属は金属検出機のほうが得意とメーカー資料が説明しており、リスクが高い製品では両方を直列に置く選択肢もあります。

ステンレスが検出しにくいのはなぜですか?

304や316のような非磁性のステンレスは磁性がなく、導電性も低いため、一般に鉄や非鉄金属より検出しにくいとされます。さらに、ステンレスの信号は水分や塩分を含む製品の信号と性質が似ているため、製品効果に埋もれやすくなります。RFPでは、ステンレスについても、自社の製品を通した状態での目標サイズを書くことをおすすめします。

アルミ包装の製品に金属検出機は使えますか?

鉄だけを検出する専用機(フェラス・イン・フォイル)なら使えます。ただし、メーカーはこの方式ではアルミと非磁性ステンレスを検出できないと明記しています。非磁性ステンレスのリスクがある場合は、包装前に通常の金属検出機を置くか、X線異物検出装置を検討します。

金属検出機の点検(テストピース確認)はどのくらいの頻度で行うべきですか?

頻度は、自社のHACCPチームがリスクに基づいて決めます。そのうえで、取引先や輸出先の小売が独自の頻度を定めていないかを確認し、厳しいほうに合わせます。点検は、空のベルトではなく実製品と一緒にテストピースを通し、検出だけでなくリジェクトまで確認することが前提です。

タイでX線異物検出装置を使うには許可が必要ですか?

1 MeV未満で完全に遮へいされ、人に使わない装置は、2020年の省令で許可ではなく届出の区分とされています。OAPの説明資料では、製品品質検査用X線装置がその例として挙げられ、所持から30日以内の届出、手数料なしと説明されています。食品用のX線異物検出装置は、多くの場合は届出区分に当たると考えられますが、機種ごとにOAP(原子力平和利用事務局)または販売元に確認してください。英訳は参考で法的効力はなく、正本はタイ語の原文です。改造や開放型の使い方では許可制になる可能性があります。

金属検出機・X線装置の費用と回収期間は?

本記事のモデル試算(すべて仮置き値)では、マルチ周波数金属検出機に更新する構成Aが初期投資1,800,000 THB・単純回収6.0年、デュアルエナジーX線の構成Bが4,800,000 THB・約3.7年でした。ただし構成Bの回収は目視選別を4名減らせる前提で、削減が0名なら約13.5年に延びます。自社のクレーム件数・誤排出数・選別人数で計算し直し、実製品でのサンプルテストで前提を確かめることが必要です。BOI案件での設備投資の扱いや税務は、所轄機関・専門家に個別に確認してください。

まとめ

  • 金属検出機の選定は、感度の数字の比較では決まらない。止めたい異物と製品の性質、検出後の確実なリジェクト、毎日回せる検証の3つで決まる。
  • 金属検出機はステンレスと湿潤・塩分・半解凍の製品が苦手。X線は骨・ガラス・石を見られるが、薄い金属と製品に密度の近い異物は苦手。アルミ包装の鉄専用機は非磁性ステンレスを検出できない。
  • 検出しても物理的にリジェクトされなければ不合格。リジェクト確認・回収箱満杯・エア圧監視・施錠回収箱のフェイルセーフをRFPに書く。
  • 検証の頻度はHACCPチームがリスクで決め、実製品で検出とリジェクトの両方を確かめ、ロットとひもづけて記録する。
  • モデル試算(仮置き値)では、初期投資が約2.7倍のX線構成のほうが早く回収した。差を生んだのは、骨片を止めて目視選別を減らせるかどうか。削減できなければ回収は約13.5年に延びるので、発注前の実製品サンプルテストが判断の要になる。

TOMAS TECHでは、タイの日系食品工場を対象に、異物クレームや誤排出の集計、止めたい異物の整理、メーカーのサンプルテストの段取りといった準備の段階から、RFPの作成やFAT/SATの立会いまでご相談を承っています。「まず今のクレームと誤排出がどのくらいかを整理したい」という段階でも構いませんので、お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

参考情報