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2026.10.05

自動塗布装置の選定|接着剤・シール材の方式比較とタイ工場のRFP

自動塗布装置の選定|接着剤・シール材の方式比較とタイ工場のRFP

「手持ちのエア式ディスペンサーで接着剤やシール材を塗っているが、塗布量のばらつきとリーク不良、材料のロスが減らない。自動化したいが、どの方式を選び、発注仕様に何を書き、受入れで何を試せばよいのか」。タイの日系自動車部品・電装・家電・EV電池関連工場の生産技術や品質保証の方から、こうした声をよく耳にします。結論から書きます。自動塗布装置の選定は、「ロボットを付けるかどうか」では決まりません。 決めるのは、①材料(粘度、フィラーの有無、1液か2液か、ポットライフ、湿気硬化)が決める吐出方式、②塗布後に何をどの精度で測るかという検査の範囲、③材料供給と温度・清掃の管理、の3つです。ロボットや直交軸は「塗る場所までノズルを運ぶ手段」にすぎず、塗布量ばらつきの主因は方式と材料管理の側にあります。

本記事に登場する金額・個数・人数・削減率・回収年数は、すべて後述のモデル工場を前提にした本記事オリジナルの試算値・想定値(仮置き値)です。業界平均でも調査値でもありません。自社の実測値に差し替えて使うための「計算の型」として読んでください。

なぜ今、タイ工場で接着剤・シール材の塗布自動化が増えるのか

タイでは、接着・シール・ポッティングの工程を多く抱える産業への投資が続いています。

タイ投資委員会(BOI)は2026年7月3日、EV関連の投資奨励の承認が2026年5月時点で198件・1,370億バーツ超に達したと公表しました。そのうち電池・蓄電は57件・335億バーツです。電池パックやモジュールの組立では、セルの固定、熱を逃がすための材料の充填、筐体の防水シールなど、液状材料を「決まった場所に決まった量だけ置く」工程が数多くあります。

電気・電子と自動車部品も同様です。BOIが2026年7月23日に公表した2026年上半期の投資申請では、電気・電子が179件・1,202.3億バーツ、自動車・部品が256.62億バーツでした。ECUケースやセンサー、モーター、照明部品などでは、防水・防塵のためのシール材塗布や、部品固定の接着が欠かせません。

人件費の面では、タイの最低賃金は賃金委員会の告示第14号(2025年7月1日施行)で改定され、バンコクとEEC(東部経済回廊)の主要県は日額400バーツ帯になりました。2026年10月時点で、2026年の改定は発表されていないと解説されていますが、人手で塗る工程を増やし続ける前提は立てにくくなっています。ただし、後述の試算で示すように、塗布の自動化で効いてくるのは人件費よりもむしろ品質と材料の側です。

材料と吐出の「監視」も進んでいます。3Mは2026年9月29日、2液接着剤がスタティックミキサーの出口で適正な比率で混ざっているかを、吐出中にリアルタイムで判定する「3M Adhesive Mix Monitor」を紹介しました。また、RAMPFは2026年10月12〜15日に米デトロイトで開かれるBattery Show North Americaで、バッテリー向けのシール・ポッティング・接着材と、自動混合吐出システムを出展すると告知しています。塗布は「塗れればよい」工程から、「正しく塗れたことを工程内で保証する」工程に変わりつつあります。

自動塗布装置とは:吐出・軸・検査・材料供給の4要素

自動塗布装置は、1台の機械というより、役割の違う4つの要素の組み合わせとして捉えると選定を誤りにくくなります。

自動塗布装置の選定|接着剤・シール材の方式比較とタイ工場のRFP - figure 1
要素役割選定で決めること
吐出(ディスペンサー・バルブ・ポンプ)材料を決まった量だけ押し出す方式(エア式・オーガ・容積式・ジェット・2液計量混合)、吐出量と許容差
軸(ロボット・直交軸・卓上ロボット)ノズルを塗る場所・軌跡に沿って運ぶ軌跡の自由度、速度、ワーク位置ずれの補正方法
検査(ビジョン・センサー)塗れたかどうかを確かめる2Dか3Dか、判定基準、NG時の排出と記録
材料供給(カートリッジ・ペール缶・温調)材料を安定した状態で吐出部に届ける荷姿、交換時間、温度管理、脱泡、パージと清掃

よく混同されるのが、「ディスペンサー」と「塗布ロボット」の違いです。ディスペンサーは吐出を担う部分で、塗布ロボットはそのディスペンサーを持って動く軸の部分を指すことが多く、両者を組み合わせたものが自動塗布装置です。見積もりを取ると、ロボットの機種や可搬重量に議論が集まりがちですが、塗布量が安定するかどうかは、ほとんど吐出方式と材料供給の側で決まります。ロボットの選び方そのものは「産業用ロボットの種類と選び方」で整理していますので、軸の選定はそちらを参照してください。

もう1つ大事なのは、4要素を誰がまとめるかです。ディスペンサーメーカー、ロボットメーカー、ビジョンメーカー、材料メーカーはそれぞれ別会社であることが多く、全体の責任を持つのはシステムインテグレーター(SIer)です。どの要素の不具合を誰が直すのか、条件出しに誰が立ち会うのかを、発注前に決めておく必要があります。SIerの選び方は「タイでのロボットSIerの選定」もあわせてご覧ください。

ディスペンサー比較:エア式・オーガ式・容積式・ジェット・2液計量混合

吐出方式は大きく5つに分けられます。それぞれの原理と弱点を押さえておくと、見積もりの提案内容を評価しやすくなります。

方式原理向く材料弱点向く用途
エア式(時間・圧力式)シリンジに空気圧をかけ、一定時間押し出す低〜中粘度、粘度変化が小さい材料シリンジ残量や粘度の変化で吐出量がぶれる少量・多品種、試作、許容差の広い塗布
オーガ式(スクリュー)回転するスクリューで材料を送り出す高粘度、フィラー入りの材料スクリューの摩耗、材料によっては詰まり微小な点・線の精密塗布
容積式(一軸偏心ねじ等)密閉した空間の体積で押し出す低粘度から超高粘度まで、せん断に弱い材料初期費用が高め、ステーター等の消耗部品シール材のビード、吐出量の再現性が問われる工程
ジェット(非接触)ノズルを接触させず材料を飛ばす材料ごとに適合確認が必要(ヒーターで加温して粘度を下げて吐出する機種もある)材料の適合確認が必須、条件出しに時間凹凸面、狭い場所、高速の点塗布
2液計量・混合・吐出主剤と硬化剤を計量して混合しながら吐出2液のエポキシ、ウレタン、シリコーン混合比のずれ、ポットライフ、ミキサー詰まり構造用接着、ポッティング、ギャップフィラー

エア式(時間・圧力式)の弱点

エア式は構造が単純で安く、手作業でも自動機でも広く使われてきた方式です。一方で、一般に次の2つの弱点があると説明されています。1つは、シリンジ内の材料が減ると空気側の容積が増えるため、同じ圧力・同じ時間の設定でも吐出量が減っていくこと。もう1つは、材料の粘度が変わると圧力を調整し直す必要があることです。気温の変化が大きい現場では、後者が特に効いてきます。

エア式を自動化に使う場合は、空気の質も確認します。供給する圧縮空気の圧力変動や水分は、吐出の安定に影響します。圧縮空気の管理は「圧縮空気の露点監視」で詳しく扱っています。

オーガ式(スクリュー)

オーガ式は、スクリューの回転で材料を送り出す方式です。Nordson EFDは自社のオーガバルブについて、スクリュー送りの原理と時間・吐出の精密な制御を組み合わせ、粘度が高くフィラー(粒子)入りの液を正確かつ再現性よく塗布できると説明しています。微小な点や細い線を精密に描く用途に向く一方、フィラーの多い材料ではスクリューの摩耗が保守の論点になります。

容積式(一軸偏心ねじ・エンドレスピストン)

容積式は、密閉された空間の体積で材料を押し出すため、原理的に残量や粘度の影響を受けにくい方式です。代表例の一軸偏心ねじ(プログレッシブキャビティ)方式について、ViscoTecは自社の「エンドレスピストン」原理のポンプで、最大7,000,000 mPasの材料を搬送でき、せん断力が極めて低く、バルブや再充填工程なしで連続生産できるとしています(いずれもメーカー公称値)。粘度が高いシール材のビード塗布や、せん断による破壊を避けたいフィラー入りの材料に向きます。消耗部品であるステーター(ゴム製の外筒)の交換周期と現地在庫は、選定時に必ず確認します。

ジェット(非接触)

ジェット方式は、ノズルをワークに接触させずに材料を飛ばして塗布します。Nordson EFDはジェットバルブの発表で、非接触のためZ軸(上下方向)の動きの制約がなくなると説明しています。ノズルの上下動が要らないため高速に点を打てるほか、凹凸のある面や、ノズルを近づけにくい狭い場所にも塗布できます。ヒーターで材料を温めて粘度を下げてから吐出する機種もあります。ただし、どの材料が飛ばせるかは材料と機種の組み合わせで決まるため、実材料での試験が欠かせません。

2液計量・混合・吐出

2液の材料(主剤と硬化剤)を使う場合は、それぞれを計量し、スタティックミキサーやダイナミックミキサーで混ぜながら吐出する装置を使います。Gracoは2液計量混合吐出機の比較ページで、機種ごとに最小ショット量と混合比の範囲を示しています。たとえば同社の公表では、PR70はショット量2〜70cc・混合比1:1〜24:1、PD44は0.005〜5.0ccで1:1〜25:1です。また、PR70の製品ページは混合比の精度を±1%としています(いずれもメーカー公称値)。選定の実務では、まず「1回に必要なショット量」と「材料の混合比」を確認し、それに合う機種のレンジを絞り込む、という順番になります。

なお、少量であれば2液用のデュアルカートリッジとスタティックミキサーで塗る方法もありますが、量産で連続的に塗る場合や、混合比の保証が求められる場合には、専用の計量混合吐出機が検討対象になります。

接着剤の塗布自動化は材料から決める:粘度・フィラー・2液・ポットライフ

方式の候補を絞るのは、材料の性質です。発注前に、材料メーカーの技術資料と安全データシート(SDS)を手元にそろえ、次の項目を一覧にしておきます。

確認項目なぜ重要か方式への影響
粘度と温度による変化粘度が動くと吐出量が動く粘度変化が大きいならエア式は不利、容積式や温調を検討
フィラーの有無と量摩耗・沈降・詰まりの原因になる高フィラーはポンプやスクリューの摩耗が論点
1液か2液か2液は混合比とポットライフの管理が必要2液なら計量混合吐出機や混合状態の確認を検討
ポットライフ(可使時間)混合後に塗れる時間が限られる待機時間が長い工程では自動混合とパージが必要
硬化の仕方(湿気硬化・加熱硬化など)ノズル先端や供給系での硬化・詰まり待機時のノズル管理、密閉供給、清掃手順
気泡の入りやすさ気泡はビードの途切れや体積不足の原因供給系の脱泡・温調を選定項目に入れる
荷姿(カートリッジ・ペール缶等)供給装置の構成が変わる交換頻度と交換時間、ポンプ供給の要否

ポットライフと温度

2液材料で特に注意したいのがポットライフです。接着剤メーカーのDELOは、ポットライフを「混合した2液接着剤がまだ塗布・加工できる処理時間」と定義し、架橋が進んで粘度が上がることで終わると説明しています。温度が高いほどポットライフは短くなります。また、デュアルカートリッジでは混合を始めた時点からポットライフが決まってしまうのに対し、自動混合システムは連続処理を可能にする、と整理しています。

実務では、ライン停止や段取り替えでノズル内に混合済みの材料が残ったとき、どのタイミングで捨てて(パージして)再開するかを決めておく必要があります。タイの工場のように室温が高くなりやすい環境では、材料メーカーが示す条件と実際の現場温度の差を、最初に確かめておくことが大切です。

気泡と脱泡

混合や供給の途中で入った気泡は、ビードの途切れや体積不足の原因になります。一般に、真空・撹拌・貯留タンクの温調といった手段で気泡を抑える対策がとられると紹介されています。どこまでの脱泡が必要かは材料と用途によるため、「供給系の脱泡と温調」をRFPの検討項目に入れ、材料メーカーとディスペンサーメーカーの両方に意見を求めるのが現実的です。

EV電池の熱界面材料(ギャップフィラー)

EV電池の分野では、セルやモジュールの熱を冷却部に逃がすための熱界面材料の塗布が増えています。ドイツの研究機関Fraunhofer IFAMは、EV電池の熱界面材料を、柔らかく分解・補修ができる「ギャップフィラー」と、硬く恒久的に接合する「熱伝導性接着剤」の2系統に整理し、いずれも無機フィラーを高い比率で含むと説明しています。

高充填の材料は、ポンプやスクリューの摩耗、供給方式の選び方が論点になります。材料側でも工夫が進んでおり、Wevo-Chemieは2026年7月に紹介されたシリコーン系ギャップフィラーについて、高充填品で一般に必要とされる押出機やドラム押出ステーションを使わず、ピストンポンプや偏心スクリューポンプの標準的なドージング装置で処理できるとしています。Parker Chomericsも、1:1で混ぜてスタティックミキサーから手動・自動で塗布でき、事前の混合・計量・脱泡が不要とうたう2液硬化型のギャップフィラーを出しています。いずれもメーカーの説明であり、自社の装置と工程で使えるかは、実材料での試験で確かめる必要があります。

塗布検査はビジョンでどこまで求めるか:2Dと3D、混合状態、安全クラス

方式と並ぶ選定の柱が検査です。塗布後に何を、どの精度で測るかによって、品質を保証できる範囲が決まります。

自動塗布装置の選定|接着剤・シール材の方式比較とタイ工場のRFP - figure 2

2D検査と3D検査の違い

Atlas Copcoは、塗布ビードのインライン検査製品を次のように説明しています。2Dのインプロセス検査はビードの幅・位置・連続性(途切れ)の不良を検出し、3Dのインプロセス検査はそれに加えて高さと塗布体積を測ります。

検査の種類見えるもの見えないもの向く場面
2Dビジョン幅、位置ずれ、途切れ高さ、体積位置と連続性が主な管理項目の塗布
3Dビード検査幅、位置、途切れ、高さ、体積(材料内部の気泡や混合状態は別手段)シール性・接着強度が問われる部位
混合状態の監視2液の混合が適正かビードの形状2液の構造用接着、ポッティング

ここで押さえておきたいのは、2D検査では高さと体積が見えないという点です。上から見て幅と位置が正しくても、ビードが低く痩せていれば、シール材としての役目を果たせないことがあります。防水シールや構造用接着のように、ビードの断面形状が性能に直結する部位では、3D検査を検討する価値があります。海外では、3Dカメラで車体部品上の構造用接着剤ビードの点群を取り、AIで解析する事例も紹介されています。

検査の判定結果を生産ラインの排出や記録にどうつなぐかは、外観検査一般と共通する論点です。「高速ラインのAI外観検査(検査とPLC排出)」で、判定から排出までの設計を詳しく解説しています。

2液の混合状態を工程内で確かめる

2液材料では、ビードの形がきれいでも、混合比がずれていれば硬化不良や強度不足が起きます。前述の3M Adhesive Mix Monitorは、スタティックミキサーの出口に使い捨てのセンサーを付け、吐出中に混合状態を判定して、作業者には緑・赤で即時に示し、技術者にはタイムスタンプ付きのデータを残す仕組みと説明されています。3Mは、混合不良が生産後や使用中に発覚すると大きなスクラップ損失につながりうるという課題認識を示しています。2液材料を使う工程では、「吐出量」と「形状」に加えて「混合」を工程内でどう保証するかを、選定の論点に入れておくべきでしょう。

後工程のリークテストとの役割分担

シール材の場合、塗布検査で見逃したものは、後工程のリークテストで見つかることが多くあります。ただし、リークテストで見つかった時点では、すでに部品の組立と硬化が終わっており、手直しや廃棄の損失は大きくなります。塗布検査で「早く・安く」はじき、リークテストで「最終の保証」をする、という役割分担を設計しておくと、両方の装置の仕様を決めやすくなります。リークテスト装置の選び方は「工業用リークテスト装置の選定」で整理しています。

DIN 2304-1と「安全クラス」の考え方

構造用(荷重を伝える)接着については、ドイツの規格DIN 2304-1が、開発から生産、補修までの接着プロセスチェーン全体の品質要求を定めています。この規格は、対象となる接合部をそれぞれ安全クラスに分類することを求めており、4段階の安全クラスが設けられていると紹介されています。

タイの工場がこの規格の認証を直接求められる場面は限られるかもしれません。それでも、「接合部ごとに、壊れたときの影響の大きさで分類し、それに応じて検査と記録の厳しさを変える」という考え方は、検査をどこまで求めるかを決める物差しとして役に立ちます。すべての塗布に3D検査を付けるのではなく、影響の大きい接合部に絞って厳しくする、という判断の根拠になります。

材料供給・温調・清掃:日々の安定を決める裏方

方式と検査が決まっても、材料が安定した状態で吐出部に届かなければ、塗布量はぶれます。導入後のトラブルの多くは、この「裏方」で起きます。

カートリッジかペール缶か

材料の荷姿によって、供給装置の構成が変わります。カートリッジやシリンジは交換が簡単ですが、交換頻度が高く、交換のたびに気泡の混入や吐出量の変化が起きやすくなります。ペール缶やドラムからポンプで供給する方式は、交換頻度を下げられますが、ポンプや配管の費用がかかり、配管内の材料の温度管理や、長期停止時の材料の扱いを考える必要があります。生産量と材料の消費量から、交換頻度と交換にかかる時間を見積もり、どちらが合うかを決めます。

材料温度の管理

粘度は温度で変わるため、材料の温度が動けば吐出量も動きます。空調のないエリアでは、朝と昼、乾季と雨季で材料温度が変わります。材料タンクや配管、ノズルの温調をどこまで入れるかは、材料の粘度の温度特性と、求める吐出量の許容差によって決まります。少なくとも、「材料温度を測って記録する」ことは、どの方式でも入れておきたい項目です。

パージ・ノズル管理・清掃

湿気硬化型のシール材や2液材料は、ノズルの先端で硬化して詰まりの原因になります。待機中にノズルをどう保護するか、どのタイミングで捨て打ち(パージ)をするか、ライン停止が長引いたときに配管やミキサーをどう清掃するかを、手順として決めておきます。これらの手順は、装置メーカーと材料メーカーの意見が食い違うこともあるため、条件出しの段階で両者に確認し、文書にしておくと後のトラブルを防げます。

清掃と段取り替えの時間は、タクトの計算にも効いてきます。1日のうちパージと清掃に何分かかり、そのあいだ何個の生産が止まるのかを、見積もりの段階で確認しておきましょう。

費用とROI:モデル工場で試算する

ここからの数値は、すべて本記事が独自に置いた仮置き値です。業界平均でも調査値でもありません。

共通前提(モデル工場D)

項目前提(仮置き値)
工場タイ東部(チョンブリ)の日系自動車電装部品工場。ECUケースの液状シール材(1液・湿気硬化型)塗布工程
生産1日4,000個(2交替×各2,000個)、稼働300日/年 → 年1,200,000個
現状の方式作業者が手持ちのエア式(時間・圧力式)ディスペンサーで塗布
人員塗布作業者 1交替3名×2=6名、目視検査 1交替1名×2=2名、計8名
1名あたり年間人件費240,000 THB(社会保険・手当込み)
塗布量狙い2.0 g/個に対し、手作業の実績平均2.6 g/個(過剰塗布)
材料単価1.2 THB/g
塗布起因の不良後工程のリークテストで発見、0.8%=年9,600個、1個あたり手直し・廃棄損失150 THB
顧客への流出クレーム年2件×1件500,000 THB

この前提では、現状の人件費は年1,920,000 THB(8名×240,000 THB)、塗布起因の不良による損失は年1,440,000 THB(9,600個×150 THB)、流出クレームの損失は年1,000,000 THB(2件×500,000 THB)です。

構成A:エア式(時間・圧力式)+卓上ロボット+塗布後2Dビジョン

初期投資は、卓上ロボット・ディスペンサー・治具1,800,000 THB、2Dビジョン600,000 THB、安全柵・制御盤・SI 900,000 THB、材料試験・条件出し300,000 THB、FAT/SAT 200,000 THBで、合計3,800,000 THBです。年間運用費は、保守・消耗品(ノズル・シリンジ等)で250,000 THB/年とします。

効果(想定値)は次のとおりです。

  • 人員:塗布作業者6名→2名(1交替1名で投入・監視)、目視検査2名→1名で、5名削減×240,000 THB=1,200,000 THB
  • 材料:2.6 g/個→2.3 g/個(エア式は粘度変化の余裕を残すため、狙い値まで下げきれない)で、0.3 g×1,200,000個×1.2 THB=432,000 THB
  • 不良:0.8%→0.4%(9,600個→4,800個)で、減った4,800個×150 THB=720,000 THB
  • 流出クレーム:年2件→1件で、500,000 THB

効果合計は2,852,000 THB/年、運用費を差し引いた年間純便益は2,852,000−250,000=2,602,000 THB/年、単純回収期間は3,800,000÷2,602,000=約1.5年です。

構成B:容積式(一軸偏心ねじ)+ロボット+3Dビード検査+材料温調・ペール缶供給

初期投資は、容積式ディスペンサー・ロボット・治具2,600,000 THB、3Dビード検査1,400,000 THB、安全柵・制御盤・SI 1,000,000 THB、材料温調・ペール缶ポンプ供給500,000 THB、材料試験・条件出し400,000 THB、FAT/SAT 300,000 THBで、合計6,200,000 THBです。年間運用費は400,000 THB/年とします。

効果(想定値)は、構成Aの効果を置き換えるものとして計算します(構成Aの効果に足し算はしません)。人員削減の6名も、構成Aの5名を含んだ数です。

  • 人員:塗布作業者6名→2名、目視検査2名→0名で、6名削減×240,000 THB=1,440,000 THB
  • 材料:2.6 g/個→2.1 g/個で、0.5 g×1,200,000個×1.2 THB=720,000 THB
  • 不良:0.8%→0.15%(9,600個→1,800個)で、減った7,800個×150 THB=1,170,000 THB
  • 流出クレーム:年2件→0件で、1,000,000 THB

効果合計は4,330,000 THB/年、年間純便益は4,330,000−400,000=3,930,000 THB/年、単純回収期間は6,200,000÷3,930,000=約1.6年です。

項目構成A(エア式+2D)構成B(容積式+3D+温調・ペール缶)
初期投資3,800,000 THB6,200,000 THB
年間運用費250,000 THB400,000 THB
人員削減の効果1,200,000 THB(5名)1,440,000 THB(6名)
材料削減の効果432,000 THB720,000 THB
不良削減の効果720,000 THB1,170,000 THB
流出クレーム回避の効果500,000 THB1,000,000 THB
効果合計(年)2,852,000 THB4,330,000 THB
年間純便益2,602,000 THB3,930,000 THB
単純回収期間約1.5年約1.6年
5年累計(純便益×5−初期投資)9,210,000 THB13,450,000 THB

読みどころ1:回収年数はほぼ同じ、5年累計ではBが多い。差を生むのは人ではなく品質

5年累計で見ると、構成Aは2,602,000×5−3,800,000=9,210,000 THB、構成Bは3,930,000×5−6,200,000=13,450,000 THBで、構成Bが4,240,000 THB多くなります。

構成Bの上乗せ分だけを取り出すと、追加の初期投資は6,200,000−3,800,000=2,400,000 THB、追加の年間純便益は3,930,000−2,602,000=1,328,000 THB/年で、上乗せ分の回収は約1.8年です。

この上乗せ純便益1,328,000 THBの内訳を見てください。

内訳構成A→構成Bの差
人員240,000 THB
材料288,000 THB
不良450,000 THB
流出クレーム500,000 THB
運用費の増加−150,000 THB
合計1,328,000 THB

AからBへの差のうち、人員削減によるものは240,000 THBにすぎません。差の大半は、材料・不良・流出クレームという、方式と検査が生む品質の差です。もし「何人減らせるか」だけで構成AとBを比べると、Bは初期投資が2,400,000 THB多いのに1名しか多く減らせない、という見え方になり、方式や検査に投資する理由が見えなくなります。自動塗布装置の選定で比べるべきは、省人化の人数ではなく、塗布量のばらつきと不良・流出がどれだけ減るかです。

読みどころ2:流出クレームの想定を外すと結論はどう変わるか

この試算で最も不確かな項目は、流出クレームの回避効果です。顧客への流出は件数が少なく、1件あたりの損失も事案によって大きく変わります。そこで、流出クレームの回避効果をゼロと置いて計算し直してみます。

項目流出クレーム効果あり流出クレーム効果ゼロ
構成Aの年間純便益2,602,000 THB2,102,000 THB
構成Aの単純回収期間約1.5年約1.8年
構成Bの年間純便益3,930,000 THB2,930,000 THB
構成Bの単純回収期間約1.6年約2.1年
Bの上乗せ分の純便益1,328,000 THB828,000 THB
上乗せ分の回収期間約1.8年約2.9年

流出クレームの効果を外しても、どちらの構成も回収はできます。しかし、Bの上乗せ分の回収は約1.8年から約2.9年に延びます。つまり、構成Bを選ぶ根拠の一部は「流出をどれだけ止めたいか」という品質方針そのものです。

ここから言えるのは、発注の前に、過去1〜2年の塗布起因の不良率、流出件数、1件あたりの損失を実測(集計)することが最初の仕事だ、ということです。この数字がないまま見積もりを比べると、安い構成Aに流れるか、根拠なく高い構成Bを選ぶかのどちらかになりがちです。後述の90日計画では、これを最初の30日に置いています。

RFPに書く12項目

ディスペンサーメーカーやSIerに見積もりを依頼する際、RFP(提案依頼書)に最低限書いておきたい項目です。

No.項目書く内容の例
1材料情報とSDSの提出材料名、メーカー、技術資料、SDS(タイ語版を含む)、粘度と温度特性、フィラーの有無、1液/2液、硬化の仕方
2塗布量と許容差1個あたりの狙い塗布量と許容差、測り方(重量・体積)
3ビード形状幅・高さ・位置の狙い値と許容差、始点・終点の重なりの扱い
4タクト1個あたりのサイクルタイム、交替あたりの生産数、段取り替え時間
5吐出方式の指定または提案理由方式を指定するか、提案させる場合はその方式を選んだ理由と試験結果
6材料温度範囲と温調想定する現場温度の範囲、材料・配管・ノズルの温調の有無と範囲
7供給荷姿と交換時間カートリッジ・ペール缶等の荷姿、交換頻度、交換にかかる時間と手順
8検査方式と判定基準2D/3Dの別、検査項目、OK/NGの判定基準、NG品の排出方法
9トレーサビリティ個体ごとの塗布データ(吐出条件・材料ロット・検査結果・材料温度)の保存項目と期間
10清掃とパージ手順待機時のノズル管理、捨て打ちの条件、長期停止時の清掃手順
11消耗部品と現地在庫ノズル・ステーター・ミキサー等の交換周期、タイ国内の在庫と納期
12FAT/SAT基準試験項目、合格基準、使う材料(実材料)、試験データの準備者

特に見落とされやすいのが、5の「提案理由」と9のトレーサビリティです。方式を提案させる場合、「なぜその方式なのか」を、自社の材料での試験結果とともに説明してもらうと、提案の比較が容易になります。トレーサビリティは、流出が起きたときに影響範囲を絞り込むための仕組みです。個体ごとに、いつ、どの材料ロットで、どの条件で塗り、検査結果はどうだったかを残せるよう、最初から仕様に入れておきます。生産設備のデータを個体単位で残す設計は「生産設備のトレーサビリティ」で解説しています。

FAT/SATで確認すること

FAT(工場出荷前試験)とSAT(現地据付後試験)では、「きれいに塗れた」ことではなく「量産の条件で安定して塗れる」ことを確かめます。

確認項目確認の方法
実材料での吐出量の繰り返し量産で使う実材料で連続して吐出し、重量のばらつきが許容差に入るかを確認
材料温度を振った試験現場で想定する温度の範囲で材料温度を変え、吐出量とビード形状の変化を確認
ノズル詰まり・待機後の再開昼休みや段取り替えを想定した待機のあと、パージ手順どおりに再開して初品から規格内に入るかを確認
ビード途切れの検出率と過検出意図的に途切れ・位置ずれ・痩せを作ったサンプルで見逃しがないか、良品を不良と判定しすぎないかを確認
2液の混合比確認2液材料の場合、規定の方法で混合比を確認し、混合不良の検出手段が働くかを確認
材料交換後の立上げ時間カートリッジやペール缶の交換後、規格内の塗布に戻るまでの時間と捨て打ち量を測定
リークテストとの突合塗布検査の判定結果と、後工程のリークテストの結果を個体単位で突き合わせる

なかでも重要なのが、最後のリークテストとの突合です。塗布検査で合格した個体がリークテストで不合格になっていれば、検査の判定基準か方式のどこかに見落としがあります。SATの段階から、塗布データとリークテストの結果を同じ個体番号で照合できるようにしておくと、量産開始後の改善も速くなります。

また、FATは装置メーカーの工場で行うため、室温がタイの現場と違うことがあります。材料温度を振った試験はFATで一度行い、SATで現場の温度条件のもと再確認するのが確実です。

タイ・ASEAN固有の論点

気温・湿度と材料の粘度

空調のないエリアでは、材料の温度が日中と夜間、季節によって変わり、粘度が動きます。粘度が動けば、とくにエア式では吐出量が変わります。湿気硬化型の材料は、湿度が高いとノズル先端の硬化や詰まりも起きやすくなります。材料の温調、待機時のノズル管理、パージ手順を、RFPに具体的に書き込んでおくことをおすすめします。

材料の現地調達と承認

顧客が承認した材料(日本で指定された材料)が、タイで同じ荷姿(カートリッジかペール缶か)で入手できるかを確認します。荷姿が違えば、供給装置の構成も変わります。あわせて、調達のリードタイムと、冷蔵などの保管条件も確かめておきます。材料を変更する場合は顧客の再承認が必要になることが多く、時間がかかるため、装置の選定と並行して進めるのが現実的です。

化学物質規制とSDS

タイの有害物質法では、有害物質が第1種から第4種に区分され、区分によって届出・登録・許可などの扱いが異なると、化学規制の情報サイトで整理されています。工業用化学品の所管は工業省工場局(DIW)とされ、GHSに基づく分類・表示も単一物質と混合物の順に施行されています。接着剤やシール材の個々の成分がどの区分に当たるかは、製品ごとのSDSと公的なリストで確認する必要があります。本記事では個別の材料の区分は判断できないため、SDS(タイ語版を含む)と有害物質区分の確認を調達の手順に組み込み、具体的な扱いは所轄機関や専門家に個別に確認してください。

BOI案件での設備調達・変更

BOIの投資奨励を受けている案件では、設備の調達や変更の扱いに条件が付いていることがあります。自動塗布装置の導入に伴う機器の追加や既存設備の改造が、恩典の条件にどう関わるかは案件ごとに異なります。本記事では判断できないため、所轄のBOIや専門家に個別に確認してください。

保守体制と立上げの立会い

容積式ポンプのステーターや、2液用のミキサー、ノズルなどの消耗部品は、交換が遅れると生産が止まります。タイ国内に在庫があるか、メーカーや代理店の現地サービスがあるかを確認します。また、立上げ時の条件出しに誰が立ち会うのか(ディスペンサーメーカー、材料メーカー、SIerのどこが責任を持つのか)を、発注前に決めておきます。条件出しは材料と装置の両方の知識が要るため、立会いの範囲が曖昧だと、量産開始が遅れる原因になります。

なお、塗装のように可燃性の溶剤を含む材料を扱う場合は、防爆の要求が加わることがあります。その場合の考え方は「防爆協働ロボットの塗装導入」を参照してください。

市場にある選択肢の例

参考までに、本記事の調査で確認できた範囲の選択肢を挙げます。吐出ではNordson EFD(オーガバルブ、ジェットバルブ)、ViscoTec(一軸偏心ねじ式の容積式ポンプ)、Graco(2液計量混合吐出機)、GPD Global(半導体・PCB向けディスペンサー)があります。検査ではAtlas Copco(SCA、Scheugenpflugの塗布装置と、2D/3Dのビード検査)や、3Dビード検査を手がけるCoherix、3Dカメラを提供するBaslerが紹介されています。材料と工程監視では、3M(2液の混合状態モニター)、DELO(接着剤)、RAMPF(バッテリー向けのシール・ポッティング材と自動混合吐出システム)、Wevo-ChemieとParker Chomerics(ギャップフィラー)などがあります。いずれも中立的な例示であり、推奨や優劣の評価ではありません。

90日計画

自動塗布装置の選定|接着剤・シール材の方式比較とタイ工場のRFP - figure 3

0〜30日:塗布起因の不良・流出・材料使用量の実測と材料情報の整理

過去1〜2年分の、塗布起因の不良率、顧客への流出件数、1件あたりの損失額を集計します。あわせて、実際の材料使用量を計り、1個あたりの平均塗布量が狙い値からどれだけずれているかを把握します。並行して、使っている材料の技術資料とSDSを集め、粘度・フィラー・1液/2液・ポットライフ・硬化の仕方・荷姿を一覧にします。この段階で、モデル試算の前提を自社の数値に置き換え、構成Aと構成Bのどちらの方向が合うかの見通しを立てます。

31〜60日:実材料での方式比較テストと検査基準案

ディスペンサーメーカーのテストラボを活用し、自社の実材料とワーク(またはその一部)で、候補となる方式を比較試験します。吐出量の繰り返し、材料温度を変えたときの変化、待機後の再開を確認します。同時に、接合部ごとの重要度を整理し、2Dで足りる部位と3Dが必要な部位を分けて、検査の判定基準案を作ります。

61〜90日:RFP・FAT/SAT基準・発注判定

試験結果をもとに、RFPの12項目とFAT/SATの試験項目・合格基準を確定し、複数社から同じ条件で見積もりを取ります。見積もりと自社版の試算を突き合わせ、発注するかどうか、どの構成で発注するかを判定します。

90日の終わりに手元にそろえておきたい成果物は、①塗布起因の不良・流出・材料使用量の集計表と、それを反映した自社版の投資試算、②材料情報とSDSの一覧、③実材料での方式比較試験の結果、④接合部ごとの検査基準案、⑤RFPとFAT/SAT基準、の5点です。逆に、①の集計で塗布起因の不良や流出がほとんどないと分かった場合は、検査を2Dにとどめる、あるいは材料使用量の削減を主な目的に据えるなど、投資の範囲を絞る判断も合理的です。

よくある質問

自動塗布装置とは? ディスペンサーと塗布ロボットの違いは?

自動塗布装置は、材料を押し出す吐出部(ディスペンサー)、ノズルを動かす軸(ロボットや直交軸)、塗れたかを確かめる検査、材料を届ける供給系の4つの要素の組み合わせです。ディスペンサーは吐出を担う部分、塗布ロボットはそれを持って動く部分を指すことが多く、塗布量の安定はおもにディスペンサーの方式と材料供給の側で決まります。

エア式(時間・圧力式)と容積式はどちらを選べばよいですか?

材料と許容差で決まります。エア式は安価で扱いやすい一方、シリンジ残量や粘度の変化で吐出量がぶれやすいと一般に説明されています。粘度が温度で大きく変わる材料や、塗布量の許容差が狭い工程、高粘度のシール材では、容積式が候補になります。最終的には、自社の実材料で両方を試験して決めることをおすすめします。

2液の接着剤を自動で混合・吐出するときの注意点は?

主に3つあります。1つ目は、必要なショット量と混合比に合う計量混合吐出機を選ぶこと。2つ目は、ポットライフが温度で短くなることを踏まえ、ライン停止時のパージ手順を決めること。3つ目は、混合比が正しいことを工程内でどう確かめるかを決めることです。吐出中に混合状態を監視する装置も登場しています。

塗布検査は2Dビジョンで十分ですか? 3Dが必要なのはどんなときですか?

2D検査で分かるのは幅・位置・途切れで、高さと体積は見えません。防水シールや構造用接着のように、ビードの断面形状が性能に直結する部位では3D検査を検討します。接合部ごとに、壊れたときの影響の大きさで重要度を分け、重要な部位に絞って3Dを使うのが費用対効果の面で現実的です。

自動塗布装置の費用と回収期間は?

本記事のモデル試算(すべて仮置き値)では、エア式+卓上ロボット+2Dビジョンの構成Aが初期投資3,800,000 THB・単純回収約1.5年、容積式+ロボット+3D検査+温調・ペール缶供給の構成Bが6,200,000 THB・約1.6年でした。ただし、流出クレームの回避効果をゼロと置くと、構成Aは約1.8年、構成Bは約2.1年に延びます。自社の不良率・流出件数・材料使用量で計算し直すことが前提です。BOI案件での設備投資の扱いや税務は、所轄機関・専門家に個別に確認してください。

EV電池のギャップフィラー塗布で気をつけることは?

ギャップフィラーなどの熱界面材料は無機フィラーを多く含むため、ポンプやスクリューの摩耗と供給方式の選び方が論点になります。標準的なドージング装置で処理できるとうたう材料や、事前の脱泡が不要とうたう2液材料も出ていますが、いずれもメーカーの説明であり、実材料での試験で確かめる必要があります。材料のSDSと有害物質区分の確認も、所轄機関・専門家に確認しながら調達手順に組み込んでください。

まとめ

  • 自動塗布装置の選定は「ロボットを付けるかどうか」では決まらない。材料が決める吐出方式、塗布検査の範囲、材料供給と温度・清掃の管理の3つで決まる。
  • エア式は安価だが残量と粘度の変化に弱い。高粘度・フィラー入りにはオーガ式、吐出量の再現性が問われるシール材には容積式、凹凸面や狭い場所にはジェット、2液材料には計量混合吐出機が候補になる。
  • 2D検査では高さと体積は見えない。接合部の重要度で分け、重要な部位には3D検査や混合状態の監視を検討する。
  • モデル試算(仮置き値)では、構成AとBの回収年数はほぼ同じだが、5年累計ではBが4,240,000 THB多い。差の大半は人員ではなく、材料・不良・流出という品質の差だった。
  • 流出クレームの想定を外すと、Bの上乗せ分の回収は約2.9年に延びる。発注前に、塗布起因の不良率・流出件数・損失額を実測することが最初の仕事。

TOMAS TECHでは、タイの日系工場を対象に、塗布起因の不良や流出の集計、材料情報の整理、メーカーのテストラボでの方式比較テストの段取りといった準備の段階から、RFPの作成やFAT/SATの立会いまでご相談を承っています。「まず今の不良と材料ロスがどのくらいかを整理したい」という段階でも構いませんので、お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

参考情報