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2026.10.14

ライン供給 自動化 RFP・FAT/SAT受入試験票|タイ工場向け

ライン供給 自動化 RFP・FAT/SAT受入試験票|タイ工場向け

タイ工場でライン供給を発注する担当者が、そのまま複製して使えるRFPとFAT/SAT受入試験票です。品番、箱数、搬送時間などの値は工場ごとに記入し、空欄を残したまま「対応可能」という回答だけで発注しないでください。調達範囲は補充要求からラインでの現物受領、在庫移管、空箱戻りまで。方式は牽引車、AMR、固定搬送、人手の組合せから提案可能とします。ライン供給自動化の方式選定や全体設計を先に整理したい場合は、既公開の総合ガイドを参照してください。本稿は、その次の発注と検収で何を記入し、何を証拠として残すかに絞ります。

このテンプレートの使い方と版管理

まず発注者が「入力値・単位」「前提」「合否閾値」を実測値で埋めます。空欄の値は契約値ではありません。見積先には同じ版の資料を渡し、「ベンダー回答」には対応可否、標準機能か追加開発か、見積範囲、除外事項、根拠資料の番号を記入してもらいます。複数社比較時に前提を変更する場合は全社に同じ追補を配布してください。FATとSATではRFPの要件IDを試験IDへ紐付け、提案時の値を検収時に読み替えないようにします。

記入用の表にある [ ] は実案件の値を入れる欄です。例示した閾値は普遍的な推奨値ではなく、発注者とベンダーが測定条件込みで合意するための書式です。値を決める前に、対象シフト、品番構成、現場のピーク、段替え、休日稼働、無線状況を観測します。試験票は版番号、日付、対象ライン、設備とソフトウェアの版、立会者、未解決事項を記録して保管します。

文書ヘッダー記入欄:案件名 [ ]/工場・建屋 [ ]/対象ライン [ ]/対象期間 [ ]/RFP版 [ ]/FAT版 [ ]/SAT版 [ ]/発注責任者 [ ]/ベンダー責任者 [ ]/通貨と税区分 [ ]。図面、品目マスター、ルート、I/O一覧を別紙として同じ版で添付します。

RFPに添付する現場データ

搬送能力は車両の最大走行回数ではなく、要求が発生してから正しい箱がラインの指定位置で受領されるまでで定義します。発注者は、品番・改訂・ロット要件・箱入数・満箱重量・容器外寸・置場容量・供給元・届け先・消費の時間分布を品番表へ記入します。段替え時の需要波形、緊急要求の頻度、ピーク時の交差通路、夜勤の人員、空箱の発生点と返却先も渡します。実測がなければ「未測定」と記し、測定方法、担当、期限を設定します。仮値を実績値として扱うと、台数と棚容量の見積が比較できません。

ライン供給 自動化 RFP・FAT/SAT受入試験票|タイ工場向け - figure 1

RFP回答表:同じ行で比較する

以下の表を表計算へ転記して使えます。要件ID は変更しない識別子です。入力値・単位 は発注者が記入し、ベンダー回答 には数値、方式、標準/追加開発、費用、工程を記入してもらいます。証拠 は提案図、能力計算、仕様書の版とページ、実績試験、デモのいずれかを特定します。責任者欄は発注者と受注者の双方を記入します。

要件ID/要求入力値・単位前提・除外ベンダー回答証拠責任者
R01 対象品番・容器[品番数 ] 件、[箱入数 ] 個/箱、[最大重量 ] kg改訂、ロット、混載禁止を別紙へ[方式・可否・差分 ][品目表版・搬送試算 ][生産技術/供給者 ]
R02 要求生成[信号源 ]、[最大遅延 ] 秒重複スキャンと取消を含む[ID採番・再送処理 ][状態遷移図 ][生産/IT・供給者 ]
R03 ピッキングと誤品番防止[照合対象 ]、[許容誤投入 ] 件品番・版・ロットの照合点[スキャン位置・拒否処理 ][画面・I/O仕様 ][物流/品質・供給者 ]
R04 ピーク配送能力[要求波形 ] 箱/時、[期限 ] 分シフト、歩行者交差、充電を含む[必要台数・余力・遅延分布 ][計算書・シミュレーション ][物流・供給者 ]
R05 ライン受領[置場ID ]、[棚容量 ] 箱到着と受領を別イベントにする[満杯時待機・再試行 ][レイアウト・シーケンス ][生産・供給者 ]
R06 在庫・上位系連携[ERP/WMS/MES名・版 ]、[応答 ] 秒通信断・再送・重複イベント[IF方式・補正権限 ][項目定義・API仕様 ][IT/OT・供給者 ]
R07 空箱戻り[発生 ] 箱/時、[滞留上限 ] 箱満箱搬送との混載可否[回収方式・返却先 ][復路能力計算 ][物流・供給者 ]
R08 安全・復旧[走行区域・停止条件 ]交差、非常停止、停電、手動搬送[リスク低減・再起動権限 ][リスク評価・試験案 ][EHS/保全・供給者 ]
R09 保守・引渡し[稼働時間 ] 時/日、[復旧目標 ] 分予備品、教育、保守窓口[SLA・ライセンス・費用 ][保守計画・見積内訳 ][保全/購買・供給者 ]

比較時の判定欄:R01〜R09ごとに 必須/望ましい/対象外、標準/追加開発/未対応、見積に含む/別見積、要追加確認 を付けます。合計点だけで決めず、ライン停止や安全に関わる必須項目の未回答は照会票へ戻します。ベンダーが「可」と答えた場合でも、対象品番や重量、台数などの条件が異なれば同等回答として扱いません。

受渡しの業務境界を図面と信号で確定する

スーパーマーケットの引当、箱の積込み、車両の出発、停車、荷下ろし、ライン受領を別イベントとして定義します。図面には停車位置、受渡し高さ、棚段、箱の向き、検知線、歩行者動線、待機場所、空箱置場を記載します。情報設計では要求ID、箱ID、品番、ロット、供給元、届け先、状態、時刻、操作した人または設備を相関させます。GS1の追跡標準は識別粒度の参考になりますが、工場内のID体系は既存ERPや取引先要件と整合させて決めてください。

ライン供給 自動化 RFP・FAT/SAT受入試験票|タイ工場向け - figure 2

受領は「車両が停車した」ではなく、指定棚で正しい現物が確認され在庫イベントが確定した時点です。棚満杯で降ろせない、品番が異なる、部分欠品で箱数が不足する場合は完了扱いにせず、現物の所在と次の担当を残します。通信断中の紙運用は注文IDと紙の通番を結び、復旧後の二重計上を防ぎます。VDA 5050はVDMAの説明にある車両とマスター制御の通信仕様に関する参照であり、受領や在庫移管の業務仕様を代替しません。

FAT/SAT受入試験票:現物とログを一対で残す

FATは供給者環境でソフトウェア、インターフェース、実容器、センサー、異常処理を確認します。SATはタイ工場の実通路、棚、無線、上位システム、作業シフトで再現します。両試験で同じ注文IDと箱IDを追い、現物写真、端末画面、信号ログ、在庫履歴を一件ごとに紐付けます。試験開始前に、安全責任者と現場責任者が障害注入の場所と時刻を承認してください。安全機能を試験のために無効化せず、停電や通信断は対象範囲を限定して行います。

試験ヘッダー記入欄:試験票版 [ ]/FATまたはSAT [ ]/日付・シフト [ ]/ラインと置場 [ ]/設備版 [ ]/アプリ版 [ ]/マスター版 [ ]/試験用注文ID範囲 [ ]/立会者 [ ]/中止条件 [ ]。各ケースを 未実施/合格/不合格/条件付 とし、実測値、欠陥番号、再試験日を追記します。

試験ID・ケース手順期待現物・ログ合否閾値証跡担当
T01 正常配送[箱ID ] を要求、引当、積込、配送、指定棚で受領正しい品番・箱数が棚にあり、各状態と在庫移管が注文IDでつながる[要求→受領 ] 分以内、数量差 0[写真・スキャン・イベント時刻 ][物流/生産/供給者 ]
T02 誤品番似た品番または旧版の箱を積込・受領点で提示誤品番を拒否し、箱は隔離位置に残り、誤受領・在庫移管なし誤受領 0 件、警報 [ ] 秒以内[箱ラベル・拒否画面・在庫履歴 ][品質/生産/供給者 ]
T03 棚満杯指定棚を満杯にして配送する荷下ろしを保留し安全な待機位置へ、二重配送せず空き後に再試行あふれ 0 箱、再試行 [ ] 分以内[棚写真・満杯信号・車両ログ ][生産/物流/供給者 ]
T04 重複要求同じ要求IDを再送し、空箱を二度スキャン新しい補充を増やさず同一要求の状態を返す二重引当・配送 0 件[要求ログ・箱ID一覧 ][IT/OT/物流/供給者 ]
T05 部分欠品要求 [ ] 箱に対し在庫 [ ] 箱で引当出せる数、残数、代替品承認、次回予定を記録し、全量完了にしない未供給数の消失 0、通知 [ ] 分以内[棚残数・注文分割履歴 ][物流/生産計画/供給者 ]
T06 通信断承認された試験窓で上位系または無線を遮断・復帰現物を安全位置に止め、未確認注文を保持し、復帰後再照合重複・消失 0 件、復旧 [ ] 分以内[遮断時刻・待機写真・再送ログ ][IT/OT/保全/供給者 ]
T07 停電復帰対象設備を安全手順で停止・再投入走行を勝手に再開せず、箱位置と注文状態を照合して承認後に再開意図しない起動 0、照合未了の移管 0[停止記録・起動承認・在庫差分 ][EHS/保全/供給者 ]
T08 空箱戻り消費済み箱を回収要求し返却先で受領空箱IDと復路状態が残り、満箱の次便を妨げない滞留 [ ] 箱以下、返却 [ ] 分以内[返却写真・往復ログ ][物流/生産/供給者 ]
ライン供給 自動化 RFP・FAT/SAT受入試験票|タイ工場向け - figure 3

試験結果の記入例と判定の仕方

T03棚満杯を例にすると、前提に「棚容量2箱、試験開始時2箱」、手順に「3箱目の注文を投入」、期待現物に「車両は安全な待機場所で箱を保持し、通路をふさがない」、期待ログに「満杯信号、待機、再試行、受領」を書きます。実績欄には時刻、箱ID、車両ID、棚状態を入れ、写真とログの保存先を証跡欄へ記録します。空き箱を取り除いて受領した場合、元の注文IDが維持されているか、在庫移管が一回だけかを確認します。単に警告灯が点いたことは合格の十分条件ではありません。

T06通信断は「Wi-Fiを切った」だけでは試験になりません。どの区間を切断し、最後に確認済みの注文状態が何で、現物がどこにあるかを固定します。復帰時は同じイベントの再送で二重在庫が生じないことを示し、手作業で運んだ箱があれば紙の通番から突合します。停止から復旧までの実測時刻を記録し、合意した閾値と比較します。条件を変えた再試験は別行にして履歴を残してください。

重大不具合の例は、誤品番が受領される、棚から箱があふれる、安全停止後に無承認で再起動する、在庫が二重計上される、欠品が完了扱いになる、というものです。これらは未解決のまま本番稼働へ移さず、是正、再試験、発注者の署名を必要とする条件として契約文書に明記します。軽微な画面表示の不具合も、暫定手順と是正期限を付けて条件付合格にするか判断します。「FAT合格」だけでSATの現場検証を省略しないでください。

見積書と契約へ転記する条件

見積内訳には車両、台車、棚、センサー、端末、充電器、床・電源・ネットワーク工事、ERP/WMS/MESインターフェース、ライセンス、マスター整備、教育、FAT/SAT、予備品、保守を分けます。どの作業を発注者が実施するか、夜間・休日試験を含むか、現場変更による再試験の費用を明記します。タイ工場では輸入・現地調達・現地施工の責任と工程も分けてください。価格比較は同じ能力波形、対象品番、稼働時間、稼働開始条件で行います。

成果物の引渡し条件には最新版の配置図、I/O表、API項目定義、状態遷移図、バックアップと復元実演、操作権限、保守マニュアル、教育記録、交換部品リスト、オープン不具合表を含めます。機能の「対応可」と契約上の「納入範囲内」は別欄で確認します。検収後の品番追加、棚移設、ルート変更、ソフトウェア更新に対して、どの範囲の再評価と再試験が必要かも合意しておきます。

運用へ引き継ぐ三つの台帳

第一は部品・容器・置場の台帳です。品番と改訂、ロット、箱入数、容器重量、供給元、届け先、棚容量、代替品を同じID体系で管理します。第二は設備と信号の台帳です。センサー、端末、車両、充電器、通信、ソフトウェア版、信号の送受信先、タイムアウト、再送、手動時の意味を記します。第三は例外と復旧の台帳で、欠品、誤品番、棚満杯、通信断、停電、車両故障、空箱滞留ごとに現物位置、注文状態、通知先、再開承認者を残します。検収の証拠をそのまま台帳へつなぐと、稼働後の障害を再現しやすくなります。

安全面では、無人産業車両を採用する場合にISO 3691-4:2023の適用範囲を確認します。規格名を記載するだけで現場の交差点、扉、積荷、牽引トレーラーのリスクが評価済みにはなりません。設備と走行区域のリスクアセスメント、残留リスク、手動切替、保守モード、再開権限を試験票と引渡し書類へ反映してください。

別紙A:能力計算の入力票と照会手順

見積先が「毎時何箱」と回答しても、箱の発生分布と補充締切が違えば同じ能力を意味しません。別紙Aには、対象ライン、シフト、品番群ごとに要求発生時刻を時系列で入れます。少なくとも平常日、需要が集中した日、段替え日、欠員や保全で作業が遅れた日を区別します。各要求には、要求ID、品番、箱数、要求発生時刻、必要受領時刻、供給元、届け先を付けます。実績値を匿名化して渡す場合でも、同じ要求がどの時間帯に重なったかは残してください。平均箱数だけではピーク時の待ち行列と必要な余力を見積もれません。

入力欄:対象期間 [開始日 ]〜[終了日 ]、実働 [ ] 時間/日、ピークの定義 [ ]、要求件数 [ ] 件/日、箱数 [ ] 箱/日、最大15分要求 [ ] 箱、段替え回数 [ ] 回/日、緊急要求 [ ] 件/日、歩行者横断による待機 [ ] 分/回、充電・点検時間 [ ] 分/日、空箱回収 [ ] 箱/日。ピーク15分などの測定幅は工場側が決めた値に揃え、見積先が勝手に1時間平均へ換算しないようにします。

各社の能力回答には、注文の発生から引当、ピッキング、積込み、移動、受渡し、ライン受領までの時間を工程別に分けてもらいます。車両台数だけでなく、積載制限、荷待ち、通路の占有、充電、棚満杯、空箱復路を計算へ入れたか確認します。ピーク需要を満たすという回答には、どの割合の注文が締切内に届くか、締切超過がどの時間帯に集中するか、欠品時の手動バックアップが何人何分必要かまで説明を求めます。合格目標の割合は製造部門と物流部門が発注前に決め、後から単純平均へ変更しないでください。

照会票の書式:照会番号 [ ]/関連要件ID [ ]/図面または仕様の版 [ ]/質問 [ ]/発注者回答 [ ]/全見積先への配布日 [ ]/価格・納期への影響 [ ]/RFP追補版 [ ]。一社だけとの口頭合意を有効な仕様として扱わず、回答内容を各社へ同時に共有します。条件変更の影響で見積提出日を見直す場合も、同じ期限を適用します。曖昧な「通常運用時に対応」は、対象シフト、品番、満箱重量、ピーク、障害時の扱いを再質問してください。

別紙B:インターフェースと在庫移管の記入票

上位システムとの連携は「APIあり」で終わりません。メッセージごとに、発信側、受信側、トリガー、必須項目、確認応答、タイムアウト、再送回数、重複判定キー、エラー通知先、手動復旧方法を記入します。たとえば補充要求では要求IDが一意でも、品番変更後に同じ容器IDが再利用されることがあります。注文IDと容器IDを混同せず、箱の中身が変わる時刻と承認者を履歴に残します。通信断の間に人が運んだ箱は、紙伝票の通番を元の注文IDへ紐付けて復旧時に突合します。

メッセージID/イベント発信→受信必須項目応答・タイムアウト重複・復旧所有者
I01 補充要求[MES/端末 ]→[搬送管理 ]要求ID、品番、数量、届け先、期限[ACK ]、[ ] 秒同一ID再送は新規注文にしない[IT/生産 ]
I02 引当結果[WMS ]→[搬送管理 ]要求ID、箱ID、数量、残数[ACK ]、[ ] 秒部分欠品は未供給数を保持[物流/IT ]
I03 配送・到着[車両管理 ]→[上位系 ]車両ID、箱ID、位置、時刻[ACK ]、[ ] 秒到着は受領と区別[設備/IT ]
I04 ライン受領[端末/棚 ]→[在庫系 ]受領者、箱ID、品番、置場、時刻[ACK ]、[ ] 秒同じ受領を二重移管しない[生産/IT ]
I05 空箱返却[回収端末 ]→[容器管理 ]箱ID、回収元、返却先、時刻[ACK ]、[ ] 秒箱の中身を空へ変更した履歴[物流/IT ]

在庫の所有点は「スーパーマーケットで引当」「車両へ積込」「ラインへ降ろす」「ライン担当が受領」のどれかを契約前に選び、例外時にも一貫させます。たとえば車両が到着した時点で在庫を減らす仕様なら、棚満杯で荷下ろしできなかった箱をどの在庫区分へ戻すかを決める必要があります。選択した所有点をR06とT01〜T07へ共通の前提として記載し、実績ログで一回だけ移管したことを示します。ロット管理品では、容器だけではなく受領したロットと数量の一致も確認してください。

別紙C:試験の証拠フォルダーと署名欄

検収時は「合格」のチェックだけでなく、別の担当者が同じ操作を再現できる資料を残します。試験IDごとに、試験開始時の棚と在庫状態、投入した注文データ、試験に使った現物ラベル、操作時刻、センサー値、画面、ログ、最終の在庫差分を保存します。ファイル名には試験ID、FAT/SAT、実施日、設備版、再試験番号を含めます。写真撮影が制限される工程では、撮影可能な範囲と代替証拠を事前に品質・情報管理担当と合意します。

一件の記録欄:試験ID [ ]/要件ID [ ]/事前条件 [ ]/使用する注文ID [ ]/箱ID [ ]/担当操作 [ ]/開始時刻 [ ]/終了時刻 [ ]/実測値 [ ]/現物の最終位置 [ ]/在庫差分 [ ]/画面とログの保存先 [ ]/判定 [合格・不合格・条件付・未実施]/不具合番号 [ ]/是正期限 [ ]/再試験日 [ ]。ログの時刻系が設備間でずれている場合は時差を記録し、根拠のない補正で結果を良く見せないでください。

FATの立会署名 [発注者 ]/[供給者 ]/日付 [ ]。SATの立会署名 [生産 ]/[物流 ]/[品質 ]/[保全 ]/[IT/OT ]/[供給者 ]/日付 [ ]。署名の意味は「対象試験の結果と未解決事項を確認した」で統一し、契約上の最終検収とは別に定義します。未解決事項は重大度、現物への影響、暫定運用、責任者、期限、再試験予定を一行ずつ記録します。引渡し時に誰がどの不具合を引き取るか明記し、保守開始日と保証開始日を契約条件と照合します。

稼働後の変更に備える再試験判定

品番の追加、箱入数の変更、容器メーカーの変更、棚位置の移設、ルートの変更、無線アクセスポイントの変更、上位系の改修は、元の能力計算と試験条件を変え得ます。変更申請票には変更前後の図面とマスター版、影響する要件IDと試験ID、安全評価の要否、稼働切替時刻、ロールバック方法を記入します。たとえば棚を一段増やした場合、容量だけでなくセンサーの検知線、作業者の手の届き方、誤品番防止、車両の停止位置を見直します。上位系が注文IDを再利用する変更なら、T04とT06を再試験します。

再試験の範囲は「全件」か「不要」の二択で機械的に決めず、変更で影響するイベントと現物の流れから選びます。ただし安全停止、誤品番、二重在庫に関わる変更は、影響範囲の証拠を必ず取り直してください。稼働後の例外記録も注文IDと箱IDで追い、初期の試験条件と現場条件の違いを確認します。納入時の証拠が後から読める形式で残っていれば、障害の原因を車両、棚、通信、マスターのどこから調べるべきか絞れます。

記入例:同じ条件で二社の提案を照合する

次は表の使い方を示す架空の記入例です。数値は採用基準ではなく、実案件では必ず現場の記録に置き換えてください。対象ラインを一つに限定し、昼夜二交代、標準容器を使用する部品群を設定したとします。発注者は、要求が集中する時間帯の時系列データを別紙で渡し、ライン受領までの期限、棚に置ける箱数、空箱の返却先を指定します。A社は車両の走行能力を、B社はライン受領までの能力を回答した場合、そのままでは優劣を判定できません。A社には積込み、待機、荷下ろし、受領確認を含めた再計算を依頼し、B社には同じ交差通路と充電条件を計算へ含むか確認します。質問と回答を照会票に残し、全見積先へ同じ修正条件を配布します。

R04の「期限内に届く」という回答を比較するときは、要求件数の分母、測定開始点と終了点、除外した異常、遅延分布の集計幅を照合します。試験用データから段替え時の緊急要求を外した案と、含めた案は同じ能力ではありません。車両が停止点に着いた時刻で集計した案と、棚で受領した時刻で集計した案も同じ値として扱えません。提出された能力計算書には、入力データの版、使用した需要波形、稼働する車両と待機車両の数、箱の積載数、充電時間、受渡し時間、歩行者優先時の停止時間を記入してもらいます。計算式やシミュレーションの設定が開示できない場合も、入力条件と出力指標を示して再現可能な比較にしてください。

R05の棚容量が不足しているなら、棚を増やす案、配送頻度を上げる案、一部を人手で運ぶ案を別案として回答してもらいます。それぞれで床面積、作業者の取出し姿勢、欠品リスク、空箱の滞留位置が変わります。ベンダーの価格表では、代替案の棚工事や安全柵だけが別見積になっていないか確認します。購買部門は合計金額だけでなく、要件IDごとの包含範囲と例外時の責任範囲を比較し、金額差が生じた理由を議事録へ残してください。

責任分担の記入例:異常時に誰が現物を動かすか

通常配送の担当だけを決めても、検収時の不具合は解決しません。次の例はRFP添付用の責任分担表です。部署名を現地工場の実組織へ置き換え、通知を受けるだけの人と復旧を承認する人を区別してください。夜勤、休日、委託物流がある場合は、その時間帯の代行者と連絡手段も記入します。「ベンダー対応」とだけ書くと、現物を安全な場所へ移す判断者やライン停止の決定者が不明になります。

発生した事象現物を保全する担当システム状態を確認する担当生産判断・再開承認供給者の対応・証拠
誤品番を棚で検出[品質・物流の氏名 ] が箱を識別し隔離[IT/OTの氏名 ] が受領と在庫を確認[生産責任者 ] が使用禁止と再供給を決定[担当 ] がスキャンと拒否ログを提出
指定棚が満杯[生産の氏名 ] が空きと安全な置場を確認[物流の氏名 ] が待機中の注文を確認[ライン責任者 ] が受領再開を指示[担当 ] が満杯信号と再試行履歴を提出
部分欠品[物流の氏名 ] が実在庫を再点検[計画の氏名 ] が未供給数を照合[生産・品質の責任者 ] が代替または順序変更を承認[担当 ] が残数と注文分割の履歴を提出
通信断後に手運び[物流の氏名 ] が箱と紙通番を保持[IT/OTの氏名 ] が復旧後の注文を突合[生産責任者 ] が二重供給なしを確認[担当 ] が切断・再送ログを提出
停電後の再起動[保全の氏名 ] が車両と積荷を確認[IT/OTの氏名 ] が状態と在庫を照合[安全・設備責任者 ] が再起動を承認[担当 ] が起動条件と点検記録を提出

責任分担表の承認者欄には肩書だけでなく、対象設備について実際に権限を持つ人を記入します。試験中の担当者が不在なら、代行権限が確認できるまで障害注入を始めません。ベンダーは不具合解析を担っても、工場の作業者や歩行者に危険が及ぶ現物移動を単独で指示できるとは限りません。現場責任者が一時停止を判断できる条件を作業手順へ明記します。責任が複数社にまたがる場合は、信号の送信元・受信先・物理設備の保守者を分けて記録してください。

FAT/SATの判定会議で残す決定記録

各試験の「合格」は、その場で画面が期待どおりに見えたという感想ではなく、現物、ログ、実測値が試験票の条件に一致したという判定です。判定会議ではT01〜T08の各行について、試験前提がRFPの版と一致するか、手順を省略していないか、証跡が後で開けるか、閾値の分母と測定時刻が合意どおりかを確認します。試験中に棚を一時的に別の位置へ動かしたり、要求のピークを下げたりした場合は、その結果を契約条件の達成証拠にはできません。変更した条件を記録して再試験するか、発注者が正式な仕様変更として承認します。

判定会議の記入欄:会議日 [ ]/対象試験票版 [ ]/対象ケース [ ]/試験環境と本番環境の差 [ ]/証拠フォルダー [ ]/実測値 [ ]/合意閾値 [ ]/判定理由 [ ]/未解決事項 [ ]/暫定運用の期限 [ ]/再試験担当 [ ]/次回判定日 [ ]。会議の出席者だけを記録するのではなく、各不具合の是正責任者と受入判断者を残してください。

条件付合格を使う場合は、残した不具合がライン停止、誤品番、二重在庫、安全停止に波及しないことを確認し、暫定手順の訓練を済ませます。例として表示文言の翻訳誤りを条件付とする場合でも、作業者が誤操作する恐れがあれば重大度を上げます。欠品通知が届かない不具合を「画面だけの問題」と分類してはいけません。未解決項目ごとに、発生条件、現物への影響、代替監視、修正期限、再試験IDを記録し、期限を過ぎたときの稼働継続判断者を決めておきます。

最終検収に進む前に、FATからSATへ持ち越した項目、SATで新たに見つかった項目、運用で監視する項目を一覧にします。供給者の署名は試験結果の承認、生産部門の署名は現場での受領と運用、保全の署名は設備・復旧、IT/OTの署名は連携とデータの確認として、それぞれ意味を定義します。購買が契約上の最終検収を行う日と、保守・保証の開始日が異なる場合は、両日付と未完了作業への対応を契約書へ反映します。試験を通過した設定ファイルとマスターの版を引渡し時に再確認し、試験後に無記録で変更された設定を本番へ持ち込まないようにします。

よくある質問

RFPで車両台数を指定すべきですか?

台数を先に固定すると、容器、棚、ピッキング、交通、充電の違いを比較しづらくなります。まず要求から受領までの期限、ピーク波形、許容遅延、復路を記入し、各社に必要台数と余力の根拠を示してもらいます。既設車両との共用が必須なら、その条件だけを別に指定します。

FATだけで検収できますか?

実通路、実棚、無線、上位システム、シフトの影響は工場で確かめる必要があります。FATでは機能と異常処理を固め、SATで現場の現物受領とログを通してください。工場で再現できない危険な故障は、安全責任者と代替試験方法を合意します。

受領の合否時点はどこですか?

車両到着ではなく、指定棚で正しい箱を確認し、業務で決めた在庫移管イベントが成立した時点です。手作業で棚へ置く方式でも、スキャンと現物照合の証拠が必要です。満杯で降ろせなければ未受領として残します。

ベンダー回答が「標準機能」の場合も試験しますか?

します。標準機能でも、実際の品番、容器、上位系、信号、権限、ネットワーク条件で同じ結果になるとは限りません。仕様書の版と見積範囲を確認し、T01〜T08のうち適用するケースを合意して証拠を残します。

まとめ

ライン供給自動化の発注では、設備の名称より、現物がどの条件で受領され、例外時にどこへ残るかを記入します。RFPのR01〜R09を同じ条件で回答してもらい、FAT/SATのT01〜T08で現物とログ、合否閾値を照合してください。空欄と未回答を契約前に解消し、検収後も再現できる証拠として保管します。TOMAS TECHはタイ工場の現状調査、RFP整理、ベンダー比較、FAT/SAT試験票づくりを支援します。相談窓口はこちら。

参考資料