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2026.10.13

空圧レギュレータの選定|流量・圧力降下とFAT/SATの確認点

空圧レギュレータの選定|流量・圧力降下とFAT/SATの確認点

空圧レギュレータの選定では、接続口径と設定圧力だけを合わせても、シリンダが同時に動く瞬間の圧力低下を防げません。タイ工場で自動機を新設・改造する担当者に向け、供給圧、設定圧、ピーク流量、リリーフ、フィルタ一体型、精密型をどう比較し、発注仕様と受入試験に落とすかを整理します。ここでの数値例は計算手順を示す架空条件です。特定メーカーの保証値ではありません。

空圧レギュレータ選定の結論:負荷端で必要圧力を満たす

レギュレータは入口の圧縮空気を絞り、下流の圧力を設定値付近に保つ部品です。しかし一定値を無条件に作る装置ではありません。上流圧力が不足すれば設定値を保てず、流量が増えれば本体、フィルタ、配管、継手、弁の抵抗で下流圧力が落ちます。したがって採否は「静止中に圧力計が設定値を示すか」ではなく、「最も厳しい動作時にアクチュエータ入口で必要圧力を下回らないか」で決めます。

最初に確認する値は六つです。①供給圧の実測範囲、②負荷が必要とする圧力範囲、③通常とピークの流量、④許容する動作時の圧力降下、⑤空気品質と環境、⑥停止・残圧排出の要求。最大供給圧と通常供給圧を混同せず、低圧側の条件でも成立させます。装置の動作に安全上の機能がある場合、空圧回路全体で別途リスク評価を行います。ISO 4414は機械の空圧システムと構成品に関する一般則と安全要求を扱いますが、個別機械の適合をレギュレータ単体だけで保証するものではありません。ISO 4414の概要。

決める項目設計者が記入する値受入時の確認
供給条件入口圧の最小・通常・最大、温度、空気品質圧縮機の運転周期を含む実測
負荷条件設定圧、負荷端の下限・上限同時動作中の負荷端圧
流量条件通常流量、最大瞬時流量、継続時間実サイクルでの波形
圧力損失本体と前後配管の許容降下清浄時と保守前の状態
保守・安全排水、交換、隔離、残圧確認作業手順と異常試験

発注時にはこの表をRFPの入力欄にし、FATでは工場模擬条件、SATでは現地の空気供給と実機サイクルで同じ項目を照合します。定格の数字だけでモデルを決めるより、条件と検証方法を一緒に固定する方が、据付後の「思ったより力が出ない」を減らせます。

供給圧と設定圧は違う:どの圧力を測るか

供給圧はレギュレータ入口の圧力、設定圧は二次側を狙う値です。負荷端圧はシリンダやグリッパなど、実際に仕事をする機器の入口で測る値です。配管を長くし、同時動作を増やすほど、レギュレータ出口と負荷端の差が無視できなくなります。一次側、二次側、負荷端の三点で圧力を記録すれば、供給不足と機器選定不足と配管損失を切り分けやすくなります。

例えば設計例として、あるクランプ機構が動作中に負荷端0.50 MPa以上を必要とし、レギュレータ後の配管・弁で最大0.05 MPaの損失を見込むなら、二次側は動作中0.55 MPa以上が必要です。この0.05 MPaは実測または設計見積で決める値で、すべての設備に使える推奨値ではありません。さらにレギュレータ自身の流量による低下を見込み、入口圧の下限でもメーカーの流量曲線上で二次側0.55 MPaを維持できるか確認します。静止時に0.55 MPaを設定して終わり、という読み方では不足します。

供給圧が高いほど必ずよいわけでもありません。部品の最大使用圧力、ホース、ボウル、圧力計、弁、負荷の許容範囲を同時に守る必要があります。Parkerの選定資料には、一次圧の最大定格を超えないこと、用途外のボンベガスを接続しないことなどの注意が明記されています。メーカー資料の注意は対象製品に適用し、実機の媒体と設備規則も確認します。Parker Engineering Data。

空圧レギュレータの選定|流量・圧力降下とFAT/SATの確認点 - figure 1

流量と圧力降下:ポート径だけで選ばない

必要流量は、平均の空気消費量だけで表せません。複数シリンダが同時に前進する瞬間、真空エジェクタが立ち上がる瞬間、エアブローが開く瞬間には短いピークが生じます。定常流量で余裕があってもピーク時に二次圧が落ちれば、位置決め時間、クランプ力、検査再現性に影響します。逆に短いピークだけを見て過大な機器を置くと、低流量域の調整性や設置・保守費が課題になることもあります。

カタログの「標準流量」を比較する際は、測定時の一次圧、二次圧、許容圧力低下、温度と流量単位を読みます。単に L/min と書かれていても、ANRや標準状態などの基準が違えばそのまま比較できません。Festoの精密レギュレータ資料では、標準公称流量の値に測定条件が注記されています。数字だけ抜き出して機種間ランキングに使わないでください。Festo LRP資料。

Parkerはフィルタレギュレータについて、最大流量を決め、定格流量で許容する圧力降下を決め、流量曲線上で候補を選ぶ順序を示しています。曲線は一次圧と二次圧の条件ごとに読み、選定点が要求流量と許容降下を両方満たすか確かめます。Parkerの選定図。

ピーク流量の作り方

シリンダについてはボア、ストローク、サイクル時間、片側・両側の容積と同時動作数を把握します。グリッパ、ブロー、エジェクタなどは各機器のメーカー仕様と実際のON時間を加えます。体積を毎分流量に直すだけでは短時間ピークが平準化されるため、同時に開く弁をタイムライン上に重ねます。最も厳しい一瞬を数秒単位の区間で示し、余裕を設ける理由も明記します。余裕率を何%と決め打ちせず、消費量のばらつき、将来増設、供給圧変動、フィルタ汚れを別々に扱う方がレビューしやすくなります。

例えば、AシリンダとBシリンダが同時前進する0.4秒に加え、ブローが0.3秒重なる設計なら、その重複時間の合計流量を候補の流量曲線に置きます。この時間値は架空の説明例です。配管の細さが支配的な場合は大きいレギュレータへ替えても効果が小さく、継手・チューブ・弁の損失を先に改善すべきです。レギュレータ前後の圧力波形で原因を分けてから変更します。

ドロップとドリフトを分ける

ここでいうドロップは、流量増加で二次圧が下がる現象です。静止時の設定圧と動作中の圧力差を記録します。一方、時間経過で無負荷時の圧力が変わる現象は、供給変動、温度、部品の特性、下流漏れなど別の原因を調べます。単一の圧力計を作業者が目視するだけでは瞬間ドロップを見逃すので、必要なら応答速度が足りる計測器で波形を記録します。ログにはセンサー位置とサンプリング条件を併記します。

空圧レギュレータの選定|流量・圧力降下とFAT/SATの確認点 - figure 2

リリーフ型と非リリーフ型:停止・排気機能とは分ける

リリーフ型は、二次側圧力が設定値を超えたとき、機種の構造と条件に応じて空気を大気へ逃がします。非リリーフ型はその経路を持たない、または通常の調圧時に外へ逃がさない構造です。Parkerの構造説明では、リリーフ型の二次側超過圧がダイヤフラムを動かし、ベントから排出される仕組みが示されています。Parker Engineering Data。SMCのAW資料にもリリーフ型と非リリーフ型の選択肢が示されています。SMC AWカタログ。

リリーフは「設定圧を下げたときの二次側調整」に関わる機能であり、非常停止時に配管全体を所定時間内に排気する安全機能と同義ではありません。逆流、チェック弁、閉じたアクチュエータ室、長い下流容積があれば残圧が残り得ます。非常停止、メンテナンス、停電復旧でどこに残圧があるかを回路図で洗い出し、必要な遮断弁・排気弁・圧力確認を別途設計します。停止時にシリンダが意図せず動かないかも確認します。安全上の設計・検証はISO 4414の適用範囲を踏まえて設備単位で行います。ISO 4414。

また、リリーフ時の空気が作業環境へ排出されることを嫌う用途、特殊な媒体、清浄室、音・油分の管理が必要な用途では、排気経路とメーカーの適用範囲を確認します。SMCのARシリーズ資料は媒体、最大使用圧力、設定圧範囲、リリーフ圧を機種条件として区別しています。掲載値を他シリーズに流用しないでください。SMC ARカタログ。

フィルタ一体型と単体型:空気品質と保守を同時に選ぶ

フィルタレギュレータは、粒子や液体の管理と減圧を一体にした製品です。省スペースで配管点数を減らせる一方、フィルタエレメントの汚れが進むと、その部分の圧力損失も変わります。必要なろ過等級、ドレン処理、ボウル材質、設置方向、交換スペース、前後の元弁と圧力計の位置を確認します。SMCのAW資料では機種ごとにポート径、設定範囲、ろ過仕様、ドレン量、ボウル材質などが分かれており、同じAWの名前でも型番末尾まで確定する必要があります。SMC AW資料。

特にタイ工場では、昼夜の温湿度差や供給配管の状態を机上だけで仮定せず、実際のドレン発生と供給品質を点検します。ただし地域名だけで結露を断定することはできません。乾燥機、主管フィルタ、配管勾配、最末端の用途によって状況は変わります。精密計測や食品・電子部品などで求める空気品質は、使用機器のメーカー条件と顧客仕様から逆算します。フィルタ一体型を一つ入れれば全ての汚染要求を満たす、と考えないことが重要です。

フィルタを選ぶ時は、清浄な新品状態だけでなく、交換直前の圧力差も管理値として決めます。差圧が指定値に達したら交換するのか、定期交換するのか、現場が実行できる方法で決め、保守後に設定圧と動作時圧を再確認します。透明ボウルの損傷、薬液との適合、ドレン排出方法などは型番別の注意書きを確認します。設置スペースに入るだけでなく、ボウルを実際に外せる空間を図面に取ります。

精密型を選ぶ条件:必要な再現性から逆算する

微小な押付力、塗布圧、測定治具、リーク試験など、わずかな二次圧変化が品質に影響する工程では精密レギュレータが候補になります。標準型に比べて「精密」という名称が付くから採用するのではなく、許容する圧力変動、ヒステリシス、応答、流量、供給品質を仕様にします。FestoのLRP/LRPS資料は、対象機種について最大圧力ヒステリシス0.02 barや二次側排気を示しています。これは当該シリーズの仕様であり、全精密型の保証値ではありません。Festo LRP/LRPS資料。

重要なのは、精密型でも流量条件を外せないことです。小流量で優れた調圧をしても、複数の大径シリンダへ同時供給する主配管にそのまま使えるとは限りません。精密にしたい負荷だけを専用の枝に分ける、上流を一般型で粗く調整する、貯気や配管を見直すなど、回路全体で比較します。出力圧の許容帯、安定までの時間、繰り返し運転時のばらつきは工程の合格判定と結びつけます。

SMC ARの一般的な機種資料とFesto LRPの精密機種資料を見比べると、ポート径や設定範囲だけでは用途が決まらないことが分かります。見積比較では同一の一次圧・二次圧・流量条件での曲線と、保守条件を提出してもらいます。カタログに同じ条件のデータが無ければ、サプライヤーに試験条件を問い合わせ、差分を空欄のまま価格だけ比較しない方が安全です。

自動機の回路設計:センサー・弁・負荷との役割分担

レギュレータは圧力を調整し、電磁弁は流路を切り替え、圧力センサーは状態を検出します。互いの役割を置き換えられません。設定ノブの位置やレギュレータ出口の圧力計だけで、クランプ完了やワーク保持を証明することもできません。検知が必要な場合はセンサー位置、閾値、遅延、異常時の機械動作を制御仕様に記します。センサーの選び方と信号設計は別記事、空圧電磁弁の選定も合わせて確認できます。

主管に一台の大型レギュレータを置く構成と、負荷群ごとに分岐調圧する構成は、コスト・保守・異常の影響範囲が異なります。必要圧が異なる負荷を一つの設定圧にまとめると、低圧で十分な負荷まで高圧で動かすことになります。逆に枝を増やしすぎると設定点が増え、誤調整や点検負荷が増えます。工程ごとに必要圧、同時流量、動作順、停止時の状態を表にし、独立調圧の理由がある枝だけを分けます。

IoTで圧力を常時監視する場合も、データ収集と調圧を混同しません。圧力の下振れが起きた時刻に、サイクル、電磁弁ON、コンプレッサ側圧、ブローの使用状態を合わせて記録すれば、漏れや過負荷の候補が絞れます。設備の圧縮空気の使用量と電力を併せて見る方法は、圧縮空気のデータ収集の記事でも扱っています。この記事では末端のレギュレータ選定と受入条件に焦点を絞ります。

RFPに書くべき仕様:候補を同じ条件で比較する

選定表に残す計算の前提

選定表には「必要二次圧0.55 MPa」のような結果だけではなく、誰がどの負荷からその値を出したかを書き残します。シリンダの必要推力は、機構の摩擦、姿勢、加速、ワークの重量、許容されるサイクル時間に左右されます。レギュレータの出口を高くすれば必ず問題が解決するわけではなく、負荷機器の許容圧を超える場合もあります。推力計算に使ったボア、ロッド径、機械効率の仮定、余裕の置き方は機械設計者と確認します。実際のワークで押付力や保持を試し、圧力の目標を品質要求へ接続します。

流量計算の単位も記録します。標準状態へ換算した自由空気流量と、配管内の実体積流量、コンプレッサの吐出量、部品カタログの「公称流量」を同じ数字として扱うと、候補が過小にも過大にもなります。カタログ曲線の軸、供給圧、設定圧、測定基準を引用し、当社のタイムチャート上のピークを同じ基準へ換算してから重ねます。換算係数を資料に残せば、後から型番を変更する際にも再計算できます。

一次供給の最低値は、コンプレッサ室の計器ではなく装置入口で決めます。主管、分岐、同時稼働設備、乾燥機や主管フィルタを通過した後でどれだけ残るかが重要です。圧力を記録する日は通常運転だけでなく、生産品種やシフトによって空気使用が多い条件を含めます。測定記録が短く供給の下限が分からない場合は、その不確かさをRFPで明示し、SATで再確認する項目に移します。

候補の比較で落としやすい条件

配管接続が同じ呼び径でも、内部流路と流量曲線は一致しません。ボウルの材質や自動ドレンの有無、圧力計の取付位置、ロック可能なノブ、逆流機能の有無も型番枝番で変わります。SMC AWの資料が示すように、シリーズ名だけでは仕様を確定できません。見積の型番と図面の型番を一字ずつ照合し、代替品を承認する条件を明記します。現地で「同等品」として交換される際には、少なくとも最大一次圧、設定範囲、流量曲線、排気方式、媒体、配管方向を再確認します。

保守の手間も比較に入れます。フィルタ一体型は配管点数を減らせる一方、エレメント交換時のアクセスや交換品の在庫が問題になる場合があります。単体型とフィルタ分離型なら、異なる清浄度を要する枝への展開や部分交換が容易な場合もあります。どちらが優れるかは設備の配置と保守体制次第です。交換作業で止める範囲、圧力を抜く手順、復帰後の再設定を含めた運用コストで判断します。

サプライヤーに「圧力が安定する」と回答されたら、静的な入口圧変化に対する変動なのか、流量変化時のドロップなのか、調整を上げ下げした時のヒステリシスなのかを分けて質問します。これらは同じ「安定」の語でまとめられますが試験方法が異なります。設備品質に効く指標だけを数値化し、不要な高仕様への投資を避けます。測定条件を共有すれば、標準型で足りる枝と精密型が必要な枝の判断も明瞭になります。

RFPには型番指定だけでなく、サプライヤーが同一条件で回答できる入力値と提出資料を記載します。まず設備の回路図、負荷一覧、一次圧の最低・通常・最高値、必要二次圧、同時動作のタイムチャートを渡します。次に候補に求める許容圧力降下、調整範囲、一次圧・流量変化に対する二次圧の挙動、リリーフ要否、空気品質、温度、接続ねじ、設置方向、ゲージ、ロック、保守スペースを記載します。特定の圧力値を掲げる場合、その測定場所を必ず書きます。

提出を求めるものは、型番構成表、メーカーの現行データシート、対象条件の流量曲線、圧力特性、フィルタ交換品、推奨メンテナンス、外形寸法、配管方向、使用媒体の適合、予備品と納期です。曲線が基準一次圧だけで測られているなら、自社の供給圧下限での成立根拠を求めます。タイ国内での交換部品と技術支援の手配も、停止時間に直結するため評価項目です。

例:RFPの受入条件を文章にする

「一次圧が設備で定義した下限、指定した最大同時動作時、負荷端圧力が設備の要求下限を下回らないこと。測定点、計器の精度と記録間隔を双方で合意すること」と記します。具体的な合格数値は負荷・安全要求・計測誤差を含めて設備ごとに設定します。さらに「設定値を変更した後の安定時間」「ドレンがある場合の処理」「停止後の残圧確認方法」を追記します。

次に、見積比較表を作ります。価格欄の横に、同一条件での根拠資料と逸脱欄を置きます。単に「流量十分」「高精度」「安全」と書かれた回答は判定不能です。どの負荷で、どの流量と入口圧で、二次圧がどうなるかを数字・曲線・試験方法で示した提案を評価します。RFPの段階でデータが欠けていれば、発注後に部品を替える議論が起きやすくなります。

空圧レギュレータの選定|流量・圧力降下とFAT/SATの確認点 - figure 3

発注前レビューの具体例

最後に、発注前のレビューを一つの回路で想定します。自動機のクランプシリンダとエアブローが同じ枝から供給され、クランプの保持中にブローが開く工程です。設計者は、クランプが動き始める時だけでなく、保持中にブローが重なった時の負荷端圧も確認します。ブロー開始で圧力が下がり、保持力の余裕が減るなら、レギュレータの流量曲線に加え、枝配管の内径、弁の流量特性、ブローのノズル条件を見直します。圧力計をレギュレータ出口に一つ付けただけでは、シリンダ入口の下振れを証明できません。

サプライヤーには、通常供給圧だけでなく、装置入口で観測した最低供給圧でのデータを要求します。カタログの曲線がその条件を含まない場合は、補間の前提と試験案を示してもらいます。初期試験で合格しても、フィルタが保守直前の状態になった時に余裕が消えるなら、交換差圧の管理値を決めるか、上流の空気処理を見直します。これにより、部品の型番を一つ変えるだけの対策と、供給・配管を含めた対策を区別できます。

仮に精密型を候補に加える場合も、保持力の変動が実際に品質へ影響することを先に示します。精密型のヒステリシス値が小さくても、ピーク流量で圧力が落ちるならクランプには合いません。一方、少量の空気で微小な押付力を制御する別の枝には適するかもしれません。二つの用途を一つの「高性能」部品でまとめず、負荷ごとに必要な指標を定めます。

このレビューの議事には、採用した候補、除外した候補と理由、一次圧の根拠、流量曲線の読み取り点、FATで再現できる条件、SATへ持ち越す条件を残します。タイ側保全担当者が交換部品を調達できるか、図面と現物の流れ方向が一致するかも確認します。数年後の改造時に同じ検討をやり直さずに済むよう、計算ファイルだけでなく合否を決めた観測条件まで引き渡します。

FATとSAT:据付後に測る場所まで決める

合格記録の残し方

受入記録には、測定した日時、機械番号、ワーク、サイクル、設定圧、供給圧、測定点、計器型番、校正状態、圧力波形、最大負荷時の最低値を残します。合否の一行だけでは、後に季節や生産品種が変わったときの比較ができません。設定ノブにマーキングした位置も補助情報にはなりますが、圧力を代替する証拠にはしません。調整者が誰で、どの手順でロックしたかを残し、保守後の再現を容易にします。

SATでは建屋の空圧源が安定している時間だけ選んで試験すると、厳しい条件を見落とします。隣接ラインが立ち上がる瞬間、ブローを多用する製品、昼休み明けの再起動など、供給が変わる時間を設備担当者から聞きます。その条件を実際に再現できなければ「試験できなかった条件」として記録し、必要な監視期間と再試験の担当を決めます。将来の増設を仮定している場合も、現時点の合格と増設後の再確認を分けます。

さらに、不合格の原因を測定前から一つに決めないことが大切です。レギュレータの容量不足に見える症状でも、フィルタの汚れ、一次側の落ち込み、継手の絞り、電磁弁の流量不足、シリンダの漏れが同じような遅れを起こします。一次・二次・負荷端の同時記録、弁信号、実際の動作時間を合わせれば、圧力がどこから落ちたかを順序立てて追えます。交換した部品だけでなく、変更前後の同じ条件での波形を残して効果を確認します。

受入後の運用基準もSATの成果物です。許容する設定圧の範囲、異常アラームの閾値、フィルタの交換条件、ドレンの点検周期、停止作業時の隔離点と残圧確認場所を保守手順に写します。製造、保全、品質の担当者が同じ図面の測定点を使えば、故障時に「圧力は正常」と言う位置の食い違いを避けられます。取扱説明書の一般記述だけに頼らず、実機で測った合格条件を引き渡すことが重要です。

FAT(Factory Acceptance Test)は製作・組立側で行う受入確認、SAT(Site Acceptance Test)は据付先の実供給と実負荷で行う確認です。FATで同等条件を再現できない項目は、未検証としてSATへ引き継ぎます。「FATで通ったから現地での流量・圧力測定は不要」とはしません。特に建屋の配管、隣接設備との同時使用、長い末端配管は現地で初めて条件が揃います。

試験項目FATの確認SATの確認
型番・取付型番末尾、方向、設定ロック、ゲージ配管方向、保守空間、表示
静止圧一次・二次の設定と保持供給圧の低高条件
動作時圧模擬ピークでの出口圧波形実サイクル中の負荷端圧波形
同時動作最悪タイミングの模擬他設備と併用した下限確認
排気・残圧設計上の停止シーケンス現地の隔離・排気・残圧確認
保守フィルタ・ボウルの交換手順ドレン処理、交換品、担当者教育

圧力計の読み取りには計器の誤差と応答遅れがあります。SATで瞬間的なドロップを判定するなら、位置と応答が適切なトランスデューサを使い、タイムスタンプと弁信号を同時に記録します。連続運転、コールドスタート、停止・再起動、一次圧の低下を含む代表シナリオを決めます。製品品質に関わるクランプ力や位置決め時間も、圧力だけでなく実測して紐づけます。

不合格時は、レギュレータ出口も低いのか、出口は保たれるが負荷端だけ低いのかをまず分けます。前者なら一次供給、レギュレータ流量特性、フィルタ差圧を見ます。後者なら配管、継手、弁、チューブ内径、負荷漏れを確認します。一次圧自体が周期的に下がるなら上流の圧縮空気設備と他負荷の影響を調べます。交換部品の結論を急がず、測定点を増やして再試験します。

よくある質問

空圧レギュレータは口径が同じなら交換できますか?

交換可否は口径だけで決まりません。最大一次圧、設定範囲、流量曲線、リリーフ方式、媒体、温度、接続ねじ規格、ゲージやボウルの材質、取付寸法を比較します。機能安全や停止時の排気に関わる回路なら、変更後のリスク評価と再試験も必要です。旧機種の二次側設定値をそのまま新機種へ写すだけでは動的圧力を保証できません。

フィルタ一体型なら追加のエアフィルタは不要ですか?

必要な空気品質と供給状態によります。フィルタレギュレータの粒子ろ過、ドレン容量、圧力損失と、負荷機器が要求する水分・油分・粒子の条件を照らし合わせます。主管側の乾燥や油分対策が必要なら、末端の一体型だけでは足りません。FAT/SATの受入条件にフィルタ保守後と交換前の差圧も含めます。

リリーフ型なら非常停止で残圧がなくなりますか?

なりません。リリーフは設定圧超過に対する二次側の調圧機能です。停止時の遮断・排気、逆止弁の先やシリンダ室の残圧確認は別の設計事項です。危険な動きがないことを回路全体と実機で評価してください。

精密レギュレータなら圧力ドロップを防げますか?

精密型にも流量の上限と測定条件があります。許容流量を超えたり一次圧が不足したりすれば、必要な二次圧を保てません。品質上必要な再現性とピーク流量を分けて定義し、メーカー曲線と実機試験の双方で確認します。

タイ工場のFAT/SATで何を優先しますか?

供給圧が低い時間帯、同時動作が最大になる工程、保守前のフィルタ状態、現場の配管長、停止後の残圧確認を優先します。タイという場所だけで数値を決めず、その工場の実測値をRFPの前提に反映します。測定点と合格基準は日本側・タイ側の設備担当者で同じ図面に記入しておくと、引き渡し後の解釈違いを減らせます。

まとめ

空圧レギュレータは、供給圧の下限とピーク流量を前提に、負荷端の圧力で選定します。標準型、フィルタ一体型、精密型、リリーフ方式を用途ごとに比較し、停止時の安全は別の回路機能として設計します。RFPで測定条件とメーカー資料を揃え、FATでは模擬、SATでは現地実測で圧力・動作・保守性を確認すれば、価格と口径だけに依存しない発注判断ができます。

タイ工場の自動機で、既設の空圧回路の圧力低下や新規ラインの部品選定を整理したい段階から、TOMAS TECHへご相談ください。負荷一覧、回路図、供給圧の記録があれば、RFPとFAT/SATの確認点を一緒に具体化できます。

参考情報

製品仕様と規格の状態は参照時点の公開資料に基づきます。採用時には対象型番の最新版資料と設備の適用要求を確認してください。