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2026.10.12

カムフォロアの選定|荷重・寿命・取付・潤滑を見積前に確認

カムフォロアの選定|荷重・寿命・取付・潤滑を見積前に確認

カムフォロアの選定で、外径とスタッド径だけを合わせて交換品を発注していないでしょうか。自動機のカム板やガイドレールに接するローラーは、内側の転がり疲労より先に、相手材の摩耗、片当たり、潤滑不足、スタッドの曲げで使えなくなることがあります。タイ工場の新設・改造案件を念頭に、荷重条件の整理からスタッド型とヨーク型の比較、見積依頼、FAT・SATでの確認まで、発注側が判断できる順序を示します。

カムフォロアの選定は「軸受」と「接触面」を一緒に決める

カムフォロアは厚肉の外輪がカム、レール、ストッパなどの相手面を転がる軸受です。スタッド型はねじ付きの軸を一体化し、ブラケットへ比較的容易に取り付けられます。ヨーク型のトラックローラーは内輪または取付軸を別に用意し、両側から支える構造を組めます。外輪内の転動体が同じように見えても、取付部の剛性と荷重経路は異なります。Schaefflerの技術資料は、両形式とも厚肉外輪で相手軌道を走ること、スタッド型は内輪の代わりに一体のローラースタッドを持つことを説明しています。

見積書の型番を比較する前に、ローラーが何に接触し、力がどこからブラケットへ抜けるかを図にします。垂直方向の搬送重量だけでは、押付ばね、カム加減速、衝突、ワークの偏心、レール継ぎ目の段差を表せません。同じ軸受定格でも、片持ちの長いスタッドと両持ちの短い軸では取付側の変形が違います。カム輪郭やレール材まで含めた組立体が選定対象です。

カムフォロアの選定|荷重・寿命・取付・潤滑を見積前に確認 - figure 1

まず固定すべき入力条件

発注側は、ローラー径と幅、個数、回転方向、運転速度、1サイクル中の接触時間、目標稼働時間を記録します。正常運転、起動・停止、非常停止、ジャム解除、段取り中の手動操作を荷重ケースとして分けます。ラジアル荷重と軸方向の横力は混同しません。偏心量、ブラケット板厚、穴径・穴の直角度、支持面の径、ナットを回せる空間、グリースに手が届くかも必要です。相手軌道については材質、硬さ、表面粗さ、幅、継ぎ目、油や切粉の付着を記します。どれかが未確定なら、最大値と通常値を分けて仮定し、見積依頼書に未確定と明記します。

カムフォロアとリニアガイド、ボールねじの境界

カムフォロアはカム輪郭を追従したり簡易なレールを転がったりする局所接触部品で、直線軸全体の姿勢や位置決め精度を単独で保証しません。直線運動の荷重、モーメント、取付基準面を設計する場合はリニアガイドの選定も確認してください。送り力・速度・精度を作る駆動側はボールねじの選定の問題です。ローラー、案内、駆動をそれぞれ別の定格で評価し、最終的には組立軸の動作で検証します。

カムフォロアの荷重と寿命は四つの評価軸で見る

部品表にある「負荷容量」は一つの数字ではありません。THKのカムフォロア選定資料は、基本動定格荷重Cから求める転がり疲労寿命、基本静定格荷重C0に対する安全率、スタッド強度で決まる許容荷重F0に対する安全率を別に扱います。さらに外輪と相手材の繰り返し接触に対する軌道負荷容量があります。Cが十分でもスタッドが曲がる、相手レールが摩耗する、という不具合は矛盾しません。

最大荷重と寿命計算用荷重を分ける

最悪条件での最大ラジアル荷重P0は、C0とF0の両方に対して確認します。THKの資料では静的安全率の目安は通常荷重で1~2、衝撃荷重で2~3ですが、適切な潤滑と良好な取付を前提としたメーカー資料の下限目安です。すべての設備へ一律に適用する保証値ではありません。軽い平均荷重で長時間回る区間と、短いが大きい衝撃を受ける区間は別の判定です。荷重波形を得られるなら、位置、速度、ローラー荷重を対応付けてサイクル内の区間ごとに整理します。得られない場合は、ばね力、質量、加速度、カム勾配から計算した仮定の幅を示し、試運転で見直します。

THKが示すニードルローラー型カムフォロアの基本定格寿命は、カタログの条件ではL10=10^6×(C/Pc)^(10/3) 回転です。ここでPcは寿命評価に用いるラジアル荷重、Cは候補型番の基本動定格荷重です。一定荷重を想定した式を、そのまま交換時期と読んではいけません。周期的に荷重が変わるなら区間ごとの等価荷重をメーカーの方法で求め、温度、潤滑、汚染、ミスアライメントも別途確認します。L10は同一群の統計的な転がり疲労指標であり、個々の部品が必ずその回転数まで使えるという意味ではありません。

軌道負荷容量と相手材の硬さ

外輪が走るレールやカム板が柔らかければ、軸受本体の定格を満たしても相手面が先に圧痕・摩耗を起こします。THKは軌道負荷容量を、外輪と相手面が繰り返し使用に耐えられる許容荷重として示し、表値が特定の相手材強度を前提とすること、相手材の硬さに応じて係数を掛けることを説明しています。したがって「Cが何kNだからレールも同じ荷重まで大丈夫」とは書けません。図面には材質名だけでなく、熱処理後の接触面硬さ、硬化層、平面度、表面粗さ、交換可能なレール構造を記入します。焼入れ前の試作レールで走らせた結果を、そのまま量産レールの受入証拠にもできません。

計算例で見積の抜けを探す

仮に最大荷重1.2 kN、通常の等価荷重0.6 kNを社内設計入力とします。候補のC、C0、F0、軌道負荷容量は、必ずその型番と接触面条件の現行表から入れます。見積比較では、各社に「最大荷重1.2 kNとC0、F0の照合」「等価荷重0.6 kNとCを使った寿命」「指定レール材・硬さで補正した軌道負荷容量」を同じ表に返してもらいます。この1.2 kNと0.6 kNは説明用の仮定であり、TOMAS TECHの実測値や汎用設計値ではありません。計算書には型番、カタログ版、単位、荷重ケース、式、係数、結果、設計余裕、承認者を残します。数字だけの「寿命20,000時間」は比較不能です。

カムフォロアの選定|荷重・寿命・取付・潤滑を見積前に確認 - figure 2

スタッド型とヨーク型は取付構造で比較する

スタッド型は取付部品を減らしやすく、スペースの限られたカム機構で有利です。一方、スタッドは片持ち曲げと締結状態の影響を受けます。ヨーク型は別軸と両側支持を設計でき、高いラジアル荷重や剛性が必要な装置の候補になりますが、軸・スペーサ・支持板・組立公差を含む費用と作業が増えます。「スタッド型は軽荷重、ヨーク型は重荷重」と一語で決めず、許容荷重と取付剛性、保守アクセス、加工費を含む総額で比較します。Schaefflerの資料はヨーク型の内輪有無、軸方向案内、シール、外輪形状に複数の選択肢があることも示します。

円筒外輪とクラウニング外輪

円筒外輪は正しく平行に取り付けた平らな軌道で広い接触を期待できますが、傾きがあると端部へ荷重が集中します。球面状にクラウニングした外輪は小さな傾きによる片当たりを緩和しやすい一方、相手面との接触幅・面圧を評価する必要があります。THKは外輪が相手軌道へ不均一に接する場合、球面研削したモデルを推奨しています。クラウニングを「取付誤差をすべて吸収するもの」と見なさず、実機で接触痕の位置、外輪端部の摩耗、ローラーの傾きを確認します。線接触を点接触に近づければ、相手材の硬さの重要性も増します。

偏心スタッドと調整機構

偏心型は外輪の位置を微調整し、レールとのすきまや押付を合わせる用途に便利です。しかし締結で偏心角が動けば、設定した予圧は再現しません。基準面、調整方向、調整量、締付順序、最終すきま、ロック方法を図面と作業標準に残します。Schaefflerは偏心カラーで相手軌道への位置合わせができると説明します。調整しろでブラケット加工不良を隠す設計にすると、交換時に再調整が難しくなります。複数ローラーで1本のレールを挟む場合は、過大な押付で軸受内部荷重と摩擦熱を増やさないよう、現物の駆動電流と温度を観測します。

シールと保持器をどう選ぶか

切粉、粉じん、洗浄液、ミストが飛ぶ場所では、シールの有無と周辺カバーの両方を検討します。シールがあっても外輪と相手軌道の表面は露出しており、その接触面にも潤滑と清掃が必要です。保持器付きと総ころ型では、同じ外形でも内部構造、定格、許容回転、給脂条件が異なります。IKOのカタログは標準・偏心・総ころ・シール付きなどを区別しており、THKの保守資料も給脂周期の目安を保持器付きと総ころ型で分けています。仕様書で「同等品可」とするなら、外径だけでなく内部形式と給脂方法も同等性の条件にします。

取付誤差が寿命を縮める経路

THKはスタッド取付穴と取付面の直角度を確保し、穴口に面取りを設け、支持面径を規定寸法以上にすることを勧めています。穴が傾くと外輪がレールへ斜めに当たり、設計上のラジアル荷重が片側の局所面圧になります。薄い板にねじだけで固定したり、ブラケットからローラーを大きく張り出したりすると、スタッドの曲げが増えます。ブラケット剛性と溶接後のひずみを検討し、加工後に直角度と位置を測ります。量産設備では交換用の基準治具を残しておくと、現場が感覚で偏心位置を戻す作業を減らせます。

締付トルクは型番のカタログ値を使い、ねじの潤滑状態と工具の校正条件をそろえます。ローラー外輪をつかんで回して締める、スタッド頭部をハンマーで打つ、ねじを過大に締めて曲げを補う、といった作業を避けます。THKは標準型を適切なナットで固定する注意点を示し、簡易取付型を振動・衝撃荷重へ無条件に適用しないよう案内しています。IKOもスタッド頭部を直接打撃しないことと、油穴を高荷重域へ置かないことを示します。取付後に無負荷で回ることだけでなく、代表荷重を掛けた状態で円滑に動くかを見ます。

潤滑は「内部」と「外部接触面」を分けて設計する

カムフォロアの内部転動面と、外輪が走るレール・カムの接触面は潤滑経路が別です。THKは出荷時グリースの説明と併せ、使用前にカムフォロアと転がり接触面の間へも潤滑剤を塗るよう案内します。密封型なら何もしなくてよいという理解は危険です。周辺に食品や電子部品がある場合は、飛散や漏れを許容するかを製造品質側と相談し、覆い・受け皿・拭き取り手順を決めます。水、洗浄剤、切削液がかかる環境では、グリースの互換性、シール材、腐食、再給脂経路を品番単位で確認します。

一部の小径モデルには給脂穴がなく、初期封入のみで補給できないものがあります。THKは同社製品の目安として、保持器付きで6か月~2年、総ころ型で1~6か月の補給間隔を示しますが、運転条件で変わると明記しています。これを全メーカーの保守周期へ転用しません。Schaefflerの据付資料は、初期給脂剤と補給剤の混和性、給脂路の充填、古いグリースが排出できる経路を重視します。保守計画には、品番、グリース名、給脂位置、量、周期の決め方、交換時の汚れ検査を記録し、稼働初期の温度と摩耗から周期を調整します。

カムフォロアの選定|荷重・寿命・取付・潤滑を見積前に確認 - figure 3

タイ工場での見積依頼書には何を書くか

複数社に相見積を出す前に、機能と受入証拠を統一します。設備名、工程、ワーク、カム図、レール図、1サイクルの荷重・速度、年間稼働、温度、湿気、粉じん、洗浄条件を添付します。交換工事なら既設品の型番だけでなく、故障品の摩耗写真と発生位置、稼働時間、給脂履歴、レール硬さ、取付寸法の実測値を渡します。原因が軌道材やブラケットにあるのに軸受だけを大径化する見積は比較対象から外せます。タイでの調達では型番末尾、グリース・シール仕様、現地在庫、交換工具、納期、代替品承認手順を確認します。輸送費を含む初期単価より、停止時に同じ仕様を再入手できることが重要な場合があります。

回答票には候補の構造、C・C0・F0、指定相手材での軌道負荷容量、最大荷重に対する静的安全率、寿命計算条件、外輪形状、給脂方法、取付寸法、許容締付トルク、引用カタログ版、図面を並べます。メーカーが異なる場合に記号や定格の定義が同じとは限らないため、単純に大きい数値順にしません。「代替可」の判断は、相手面と取付構造を含む実装試験を条件にします。型番が決まる前の見積でも、未確定の設計入力とそれを誰がいつ確定するかを明記すれば、後から追加費用が生じる境界が見えます。

FATで確認すること

工場出荷前のFATでは、型番と製造ロット、図面寸法、ブラケットの直角度、締付記録、油穴方向、給脂路をまず照合します。無負荷、通常荷重、最悪荷重に相当する運転で、ローラーの引っ掛かり、外輪とレールの接触痕、駆動電流、振動・騒音、温度を記録します。数値の合格基準は部品カタログから一律に作らず、機械の要求と初期測定値で合意します。潤滑が届かない箇所や分解できないカバーは、この段階で直します。FATの短時間運転は定格寿命の実証ではありません。荷重計算と組立品質の証拠をそろえる試験です。

SATで確認すること

現地据付後のSATでは、実際の電源、周囲温度、湿気、ワーク変動、量産速度、清掃方法で運転します。搬送レールの継ぎ目、据付水平、フレーム固定で接触条件が変わるため、FATの合格だけで終えません。最初の運転期間に同じ位置で接触痕と温度を再測定し、給脂後の漏れや周辺汚染も確認します。異常時の停止・復旧でローラーがレールから外れたり、衝突荷重が想定を超えたりしないかを観察します。受入記録は測定位置、運転条件、写真、工具、担当者を残し、交換時の基準として使います。

交換・改造案件では故障位置から逆算する

既設のカムフォロアが短期間で壊れた場合、同じ型番を再発注する前に故障位置を地図のように記録します。外輪の片側だけが磨かれているなら、取付穴の直角度、ブラケットの曲げ、カム板の面外変形、ローラーの軸方向位置を測ります。軌道面に周期的な圧痕があれば、ジャム時の停止位置、ワークの衝突、カムの継ぎ目を調べます。内部に変色や焼付きがあれば、グリース量だけでなく給脂路の詰まり、油種の混合、シール破損、過大な押付を確認します。外輪だけを新品にすると接触痕が一時的に消え、根本原因を見失うことがあります。

故障解析の最低限の記録は、取り外す前の全景写真、接触位置を示すマーキング、取り外した部品の表裏写真、ブラケット穴と軌道の実測、直近の稼働履歴、異常発生時の機械状態です。左右対称に配置された複数個のうち一個だけ壊れたなら、その個体だけの製造差と決めつけず、支持板のねじれや荷重配分を比較します。全個体が同じサイクルで摩耗するなら、潤滑方式、相手材、運転速度など共通条件を先に見直します。原因の候補と確認結果を残しておけば、サプライヤーが新型番を提案したとき、どの故障経路を減らせるのかを検証できます。

改造ではローラーだけを大型化すると、カム形状、ストローク端、隣の部品とのすきま、必要な押付力が変わることがあります。外径変更はカムの有効プロフィールと機械のタイミングを再計算する案件です。スタッド径変更はブラケット穴・座面・締結工具の変更を伴います。異なるメーカーの同一呼び径でも外輪幅、全長、肩の位置、シールの出っ張りが違うことがあります。代替品の「取付互換」は図面上の寸法照合で確認し、「機能互換」は荷重・速度・潤滑・試運転の証拠で確認します。

調達後の保守を設計段階で決める

タイ工場で輸入軸受を使う場合、調達リードタイムだけでなく、現地で保守できる設計かが停止時間を左右します。グリースニップルへ工具を真っすぐ当てられるか、ガードを外すと機械が安全に停止するか、交換時にカム板まで外す必要があるかを図面レビューで確認します。スタッド端に工具を入れる空間がない設計では、通常点検で締付を確認できません。保守窓を設けても、切粉がそこから入るなら覆い方を再設計します。保守担当が使う工具、交換品、グリース、図面版、締付記録票を設備引渡し資料へ含めます。

予備品表には商品名だけでなく完全な型番を記し、末尾記号が外輪形状、シール、材質、給脂穴、偏心仕様に関係するかを照合します。予備品を長期保管するなら防錆と保管期限もメーカーの条件に合わせます。製造ロットと交換日を記録すれば、故障が一つのロットへ偏るのか、同じ取付位置へ偏るのかを区別できます。品切れ時の代替メーカーを事前承認するなら、最初のRFPと同じ比較表を用い、接触面との組合せとFAT/SATの再確認範囲を決めます。

保守周期はカタログの一般目安だけで固定せず、立上げ直後の点検密度を高くします。最初の運転後に温度、音、外輪の接触帯、グリース漏れ、レールの傷を記録し、次の定期停止でも同じ位置・同じ運転条件で比較します。温度だけが上がったなら潤滑や押付、接触帯だけが端へ寄ったなら位置ずれ、といった仮説を立てます。ただし単一症状で断定せず、測定器や周囲温度の差も確認します。交換基準は「異音がしたら」だけでなく、誰が観察しても同じ判断に近づく写真例と許容範囲を作ります。これにより、設備メーカーが引き渡した設計計算と、工場が続ける保守判断が同じ条件を共有できます。

比較表は単価ではなく失敗モードで並べる

候補を3社から集めたら、まず必須条件を満たさない型番を外します。相手面に合う外輪形状、取付空間、最大荷重でのC0とF0、軌道負荷容量、必要なシールと給脂方法は採点で補えない条件です。その後に、取付加工費、予備品の入手性、給脂に必要な停止時間、交換のしやすさ、技術資料の再現性を比べます。単価が少し低くても、レールの熱処理追加やブラケット再加工が必要なら設備全体の費用は上がります。数値化した比較表には、点数の根拠となる図面、カタログページ、試験記録のリンクを付け、購買と設計が同じ条件で承認できるようにします。

速度も「回転できるか」だけでは判断しません。カム輪郭上のローラー速度は一定とは限らず、短い区間で加速・減速を繰り返します。外輪が相手面上を滑る局面が増えれば、理想的な転がりを前提とした寿命計算の信頼性が下がります。製品ごとの許容回転数、内部形式、給脂剤、連続運転温度を確認し、サーボ軸の速度プロファイルと重ねます。同期制御が難しい装置では、起動時や停止時の接触を動画と電流波形で確かめます。駆動側の伝達条件については軸継手の選定も参考になりますが、継手の定格を満たすことはローラー接触の成立を意味しません。

また、評価は正常運転だけに閉じません。ワークが噛み込んだとき、搬送物のサイズが上限に寄ったとき、清掃後に潤滑剤が流れたとき、予備品へ交換した直後など、現場で起こり得る条件を設計審査に含めます。ただし危険なジャムを意図的に再現するのではなく、リスク評価に沿った安全な模擬荷重と制御試験を組み合わせます。停止時の位置と接触力を検討し、必要なら機械ストッパや過負荷検知を別に設けます。カムフォロアの定格を安全機能の代用にしません。

最後に、未確認事項は「適合」と判定しない運用にします。例えば軌道硬さが未測定なら、候補メーカーの軌道負荷容量は確定できません。代替型番の給脂経路が図面に無ければ、保守性は未確認です。受注者が回答できないときは、測定・試験・図面修正を誰がいつ行い、どの段階で発注判断を止めるかを決めます。この保留欄こそ見積段階のリスクを可視化します。FATで合格しても、SATで現地のレール材やブラケット剛性が違えば、同じ判定をやり直すことを契約に書いておくと手戻りを減らせます。

図面と試験記録をつなぐ受入票の例

受入票は「測るもの」「測る条件」「判定方法」「証拠の保存場所」を一行ずつ対応させます。例として、取付穴の直角度はブラケット図面の公差と測定器を指定し、油穴方向は組立図の矢印と完成写真で照合します。締付は工具番号、校正日、設定トルク、作業者を記録します。レール硬さは熱処理ロットと測定位置を残し、ローラー接触帯は通常荷重で数サイクル走らせた後に同じ照明条件で撮影します。温度や駆動電流は運転開始直後だけでなく、代表運転を続けた後の値も取り、周囲温度とともに記録します。合格値が未設定なら、FAT直前に都合のよい値を作らず、発注者と設備メーカーが設計計算と試作測定を根拠に合意します。

一つの測定値で複数の故障モードを説明できるとは限りません。温度が低くてもレールに片当たりがあれば局所摩耗が進みます。電流が正常でもローラーの内部に給脂が届いていない可能性があります。したがって受入票には、計算、寸法、表面状態、運転状態、保守作業の五種類の証拠を配置します。特に量産ラインでは、現地据付後のSATで試験に使用したワークと実際の量産ワークの質量・外形・供給状態が同じかを確認します。異なるなら、荷重ケースを更新してC0、F0、寿命、軌道負荷容量の判断に戻します。試験結果を「合格」の一語に圧縮せず、前提の差分を残すことが改造時の再選定に役立ちます。

複数の設備で同じ部品を共通化したい場合も、最も厳しい設備条件だけで全台を承認しないようにします。荷重が小さくても速度が高い設備、洗浄液が多い設備、給脂口へ近づけない設備では制約が別です。共通化候補ごとに適用可能な機械番号、給脂剤、予備品の保管場所、交換手順を一覧化し、型番末尾の違いが混入しないよう現物ラベルを照合します。

発注側が回答を求める七つの質問

最終見積会議では、各候補について次の質問に文章で回答してもらいます。第一に、最大荷重はどの運転・異常ケースから求め、その荷重をどの方向に作用させたか。第二に、C0とスタッド許容荷重F0の安全率はいくつで、メーカー推奨の前提と差がないか。第三に、寿命計算に使う等価荷重はどのサイクル区間を含み、どの区間を除いたか。第四に、実際のカム板・レールの材質と硬さで軌道負荷容量をどう補正したか。第五に、外輪形状と取付方法で片当たりをどう防ぎ、どの寸法を加工後に測るか。第六に、内部と外部接触面へ何をどこから給脂し、保守担当が安全に作業できるか。第七に、FATとSATのどの記録を提出すれば受入完了となるか。七つの回答が候補ごとにそろって初めて、単価や納期を同じ土俵で比較できます。

質問への回答が「問題ありません」「標準仕様です」だけなら、承認の根拠になりません。例えば寿命については、CとPcの値、単位、型番、式、想定回転数、稼働時間への換算を示してもらいます。潤滑ならグリースの商品名だけでなく、給脂口、補給可否、カム面への供給、漏れの処理を確認します。FATは設備メーカーの工場で再現できる条件、SATはタイの現場で初めて分かる条件を分けます。この回答を発注仕様書の添付資料として残せば、担当者が変わっても判断をたどれます。

よくある質問:カムフォロアの選定で迷いやすい点

カムフォロアの寿命はL10時間で交換時期を決められますか?

できません。L10は所定条件の転がり疲労指標です。軌道摩耗、潤滑不足、切粉、腐食、締結ゆるみは別の故障経路です。実際の交換基準は、接触痕、回転抵抗、温度、音、給脂状態、レール寸法の変化を点検可能な形で定めます。

スタッド型とヨーク型はどう選びますか?

要求荷重だけでなく、片持ち・両持ちの支持剛性、ブラケット厚、軸加工、分解方法、給脂アクセスを比べます。スタッド型でも型番ごとのC0とF0を満たす必要があり、ヨーク型でも取付軸と相手面の設計は必要です。

シール付きならカム面への給油は不要ですか?

いいえ。シールは主に軸受内部の保護を担います。外輪と相手軌道の接触面は別に潤滑条件を確認します。油やグリースが製品へ飛ぶ工程では、潤滑方式と汚染対策を一緒に決めます。

クラウニング外輪なら取付誤差を気にしなくてよいですか?

いいえ。軽い傾きによる端部の片当たりを緩和できても、過大な傾きや軟らかい軌道材まで補償しません。現物の接触痕と温度で検証し、ブラケットの直角度も測ります。

見積依頼の段階で最低限必要な資料は?

荷重ケース、速度と運転サイクル、カム・レール・ブラケット図面、相手材の硬さ、環境条件、目標寿命、保守条件、FAT/SATの受入項目を共有します。不明値は未確定と明示し、誰が実測・確定するかを決めます。

まとめ

カムフォロアはカタログ上の外径やCだけで選べません。最大荷重に対するC0とスタッド許容荷重F0、寿命計算用荷重とC、外輪と相手面の軌道負荷容量を分けて確認します。そのうえでスタッド型・ヨーク型、外輪形状、取付直角度、潤滑、レール材を組立体として比較し、見積時の前提をFATとSATの証拠に引き継ぎます。

タイ工場の自動機を新設・改造する段階で、荷重やレール材がまだ確定していなくても、TOMAS TECHへのお問い合わせから図面と現場条件の整理をご相談いただけます。

参照資料

  1. THK, Cam Follower — Nominal Life
  2. THK, Cam Follower — Track Load Capacity
  3. THK, Cam Follower — Installation
  4. THK, Cam Follower — Contamination Protection and Lubrication
  5. IKO, Cam Followers Catalog
  6. Schaeffler, Technical Pocket Guide — Yoke and Stud Type Track Rollers
  7. Schaeffler, Mounting Handbook