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2026.09.02

搬送 コスト削減|タイ工場の90日改善ガイド

搬送 コスト削減|タイ工場の90日改善ガイド

タイの製造現場で「搬送 コスト削減」を検討すると、すぐにAGV、AMR、コンベヤの比較へ進みがちです。しかし、設備を入れる前に、何を、どこからどこへ、何回、どれだけ待って運んでいるかを測らなければ、速い設備でムダを自動化するだけになりかねません。本稿では、工場内物流 改善を、人件費だけでなく空走、待ち、仕掛、欠品停止、安全リスク、管理工数まで含めて捉えます。7〜14日の現状計測から、運搬 ムダ 削減、動線 改善 工場、フォークリフト 削減の優先順位、方式比較、90日PoC、RFPと受入試験まで、タイ工場で投資判断に使える形に落とし込みます。

搬送 コスト削減は「人件費を減らすこと」だけではない

搬送は製品に価値を直接付けませんが、部材を必要な場所へ必要な時に届けなければ生産は成立しません。Toyotaの公式資料が示すJust-in-Timeの基本は「必要な物を、必要な時に、必要な量だけ」運ぶことです。したがって、良い搬送は最速の搬送ではなく、生産の要求を満たしながら、過剰な移動、在庫、待ち、取り扱いを最小化する搬送です。

搬送コストを直接作業者の賃金だけで計算すると、次の損失が見えなくなります。

  • 空荷で戻る時間、積載率の低い運行、同じ場所への小口多頻度搬送
  • 部材待ち、フォークリフト待ち、呼出後の配車待ち、荷受け側の受入待ち
  • 余分な仕掛品、仮置き、積み替え、探索、ラベル再確認
  • 欠品による設備停止、段取り遅延、特急運搬、残業
  • 通路混雑、交差点リスク、手持ち運搬、押引き、持上げによる安全・人間工学リスク
  • 配車調整、電話、紙伝票、Excel転記、実績集計、原因調査などの管理工数
  • 台車、フォークリフト、充電器、バッテリー、保全、保険、エネルギー、予備品

タイの最低賃金は2025年7月1日から地域・業種別に337〜400バーツ/日です。400バーツはバンコク、プーケット、チャチュンサオ、チョンブリ、ラヨーン、サムイ島などの対象地域・業種に適用され、タイ全土の製造業が一律400バーツという意味ではありません。また、実際の雇用コストには手当、社会保険、残業、採用、教育、交代要員が含まれます。投資計算には自社の総雇用コストを用い、最低賃金だけを人件費単価にしないことが重要です。

最初に固定するのは設備名ではなくサービス水準

改善チームが最初に合意すべき問いは「AGVを何台入れるか」ではありません。次のサービス水準です。

  1. どの品目を、どの供給点から、どの消費点へ届けるか
  2. 1時間または1シフト当たりに必要な搬送量はいくつか
  3. 最遅到着時刻、許容待ち時間、欠品を起こさない安全在庫はいくつか
  4. 容器、重量、寸法、積み方、温湿度、静電気などの制約は何か
  5. 通常時、ピーク時、段取り替え時、異常時で要求がどう変わるか

この要求を数値化すると、人手、ミルクラン、呼出配車、コンベヤ、AGV、AMRを同じ物差しで比較できます。逆に要求が曖昧なままでは、ベンダーごとの得意方式を比較しているだけになり、工場に最適な方式を選べません。

工場内物流 改善の出発点:7〜14日で現状基線を作る

改善前の測定は大規模なシステム導入を必要としません。既存レイアウト、紙のチェックシート、ストップウォッチ、スマートフォン、Excelでも開始できます。大切なのは、平均だけでなく時間帯・シフト・品種・ルート別のばらつきを残すことです。通常日だけでなく、月末、段取り替え、材料入荷の集中、残業帯など、負荷が変わる日を含む7〜14日を推奨します。

From-to表で「どこからどこへ」を揃える

各搬送を、供給点From、消費点To、品目群、容器、1回量、回数、距離で記録します。始点と終点の名称は現場の呼び名ではなく、レイアウト図と一致する一意なコードにします。例えば「倉庫」「ライン横」ではなく、WH-A-03LINE-2-KIT-INのように定義します。これにより、同じ運行の二重集計と、似た名称の取り違えを防げます。

最低限、次を1搬送イベントまたは1運行ごとに記録します。

データ定義例判断に使う目的
要求時刻呼出、かんばん発行、定時便の予定時刻需要の山と平準化余地
出発・到着時刻実際に動き始めた時刻と荷降ろし完了走行・待ち・荷役の分解
From / To一意な場所コード距離、交差点、重複経路の把握
搬送単位パレット、箱、台車、キットまとめ方と設備適合性
数量・重量実数量、総重量、容積積載率、能力、安全条件
積載可能量容器・車両の上限積載率の分母
空荷区間荷なしで走った距離・時間空走率と往復統合余地
待ち理由品待ち、車両待ち、通路、受入、書類改善責任の切り分け
欠品停止開始、終了、対象設備、原因停止損失と供給品質
異常・危険急停止、接近、荷崩れ、床面、交差点安全設計とルート変更
搬送 コスト削減|タイ工場の90日改善ガイド - figure 1

KPIの定義を先に決める

データを集める前に式を決めます。後から都合のよい定義へ変えると、改善前後を比較できません。

  • 積載率 = 実積載量 ÷ 搬送可能量
  • 空走率 = 空荷走行距離 ÷ 総走行距離
  • 呼出応答時間 = 搬送開始時刻 − 搬送要求時刻
  • 搬送リードタイム = 荷役完了時刻 − 搬送要求時刻
  • 供給達成率 = 約束時刻内に完了した搬送件数 ÷ 要求搬送件数
  • 欠品停止時間 = 搬送起因で設備が停止した時間の合計
  • 手作業時間 = 呼出、探索、積替え、運転、荷役、実績記入に使った時間

重量で積載率を出すと軽い大型品が過小評価されるため、重量制約と容積制約の厳しい方を使います。空走率も距離だけではなく、時間ベースを併記すると渋滞や待ちの影響が見えます。欠品停止は「物流起因」「生産計画変更」「品質保留」など原因コードを分け、搬送チームに制御できない損失を混ぜないようにします。

観察で見つけたい8つの兆候

  1. 同じFrom-toを複数部署が別々に走っている
  2. 往路は満載だが復路が常に空である
  3. 1時間の中で呼出が集中し、残り時間は車両が待機している
  4. 荷が揃う前に車両を呼び、車両側が待っている
  5. 到着後に置場が決まらず、仮置きと再搬送が発生する
  6. 長距離ルートに小口搬送が混ざっている
  7. フォークリフトでなくても運べる荷をフォークリフトで運んでいる
  8. 欠品を恐れてライン横在庫が増え、通路と見通しを悪化させている

これらは設備能力より運用ルールの問題です。まずルールとレイアウトを直せば、必要設備台数そのものを減らせます。

搬送コストの計算式と仮想ケース

搬送コストは少なくとも次の5項目に分けます。

月間搬送総コスト = 直接作業コスト + 設備保有コスト + 保全・エネルギー + 管理コスト + 搬送起因停止損失

設備投資案を比較する場合は、初期費用を任意の月数で割った単純値だけでなく、資本コスト、残存価値、契約期間を含む自社ルールで年換算します。さらに、ソフトウェア、マップ変更、無線、床補修、安全柵、充電設備、インターフェース、予備機、教育も含めます。

仮定に基づく計算例

以下は実績でも見積価格でもなく、計算方法を示すための仮想例です。

あるタイ工場で、搬送に関わる直接作業が1日72人時、年間稼働日が300日、総雇用コストが1人時当たり120バーツと仮定します。フォークリフト等の保有・保全・燃料等を年間1,200,000バーツ、配車と集計の管理工数を年間480,000バーツ、搬送起因停止を年間40時間、停止損失を1時間当たり25,000バーツと仮定します。

  • 直接作業コスト:72人時/日 × 300日 × 120バーツ = 2,592,000バーツ/年
  • 設備関連:1,200,000バーツ/年
  • 管理工数:480,000バーツ/年
  • 停止損失:40時間 × 25,000バーツ = 1,000,000バーツ/年
  • 仮想の現状総コスト:5,272,000バーツ/年

改善後に、直接作業時間を25%、設備関連費を10%、管理工数を40%、停止時間を50%減らせると仮定すると、便益は次の計算です。

  • 直接作業:2,592,000 × 25% = 648,000バーツ/年
  • 設備関連:1,200,000 × 10% = 120,000バーツ/年
  • 管理:480,000 × 40% = 192,000バーツ/年
  • 停止損失:1,000,000 × 50% = 500,000バーツ/年
  • 仮想の年間便益:1,460,000バーツ

仮に初期投資が2,800,000バーツ、追加運用費が年間360,000バーツなら、単純回収年数の計算例は 2,800,000 ÷ (1,460,000 − 360,000) = 約2.55年です。これは保証値ではありません。削減率、停止損失単価、稼働日、残業の扱い、設備寿命を変えた感度分析を行い、悲観・基準・楽観の3ケースで判断します。

「削減した時間」と「削減できた費用」を分ける

1日18人時を減らしても、人員を即座に18時間分削減できるとは限りません。その時間を欠員補完、増産、教育、品質改善へ再配置する場合は、現金支出の削減ではなく能力創出です。投資申請書では、便益を次の3種類に分けます。

  • 現金便益:残業、外注、燃料、リース、保全契約、追加採用の回避
  • 能力便益:同じ人数で処理量増加、応援削減、変動対応力向上
  • リスク便益:欠品停止、安全事象、品質混入、納期遅延の確率または影響低減

この区分が、過大なROI説明を避け、導入後の効果検証を容易にします。

運搬 ムダ 削減の優先順位:自動化は7番目

効果が安定しやすい順序は、次の通りです。

1. 運ばない

工程間の受け渡しをなくす、材料保管点を消費点へ寄せる、検査や梱包を工程内へ統合する、情報転記のための現物移動をやめるなど、搬送要求そのものを消します。製品設計、工程設計、購買ロットにも踏み込むため調整は必要ですが、消えた搬送は設備故障も運行管理も発生させません。

2. 距離を短くする

高頻度のFrom-toを隣接させ、交差点を減らし、一方通行を設定します。動線 改善 工場では、直線距離だけでなく、実際の安全通路、旋回、扉、エレベータ、渋滞を含む実走距離で比較します。大型レイアウト変更が難しければ、スーパーマーケット位置や入出庫口の向きを変えるだけでも効果があります。

3. まとめて運ぶ

同一方面の小口要求を時間窓で束ね、容器と台車を標準化します。ただし「満載になるまで待つ」と欠品が増えるため、最大待ち時間を決めます。積載率だけでなく供給達成率との両立を見る必要があります。

4. 呼出を平準化する

生産計画、かんばん回収、完成報告のタイミングを揃え、毎時の山をならします。定時ミルクランと例外呼出を分けると、通常便の運行が安定し、緊急便が本当に異常なのか見えます。

5. 補助具と標準作業を改善する

低摩擦台車、リフター、ローラー、牽引台車、適切な取手、容器高さの標準化で荷役を短縮します。OSHAは倉庫作業における持上げ、押引き、反復、無理な姿勢を筋骨格系障害のリスクとして挙げ、距離・重量・頻度の低減やコンベヤ・台車等の工学的対策を推奨しています。これはタイ法そのものではなく、設計上の参考原則として利用します。

6. 小規模にデジタル化する

呼出ボタン、バーコード、電子かんばん、配車画面、完了記録を導入します。目的は見栄えの良い画面ではなく、要求時刻、着手、到着、異常理由を残すことです。Excelでも運用できますが、時刻の自動取得、一意ID、重複防止、オフライン時の再送が重要です。

7. 半自動化・自動化する

ここで初めてコンベヤ、AGV、AMR等を比較します。前段で需要を平準化し、容器、ルート、受渡しを標準化していれば、設備台数とインターフェースが減り、PoCの合否も明確になります。

人手・ミルクラン・コンベヤ・AGV・AMRの比較

方式は優劣ではなく適用条件で選びます。

方式向く条件強み主な弱点導入前に必要なデータ
人手・台車少量、多品種、頻繁な変更、短距離柔軟、初期費用が小さいばらつき、身体負荷、実績が残りにくい重量、頻度、距離、姿勢、ピーク
ミルクラン複数工程への定時補給、容器標準化集約しやすい、運行が見える時刻表設計が悪いと在庫・欠品増周回時間、需要窓、積載、停車時間
呼出配車需要変動があり、複数車両を共有優先度制御、待ち可視化呼出乱発、通信・運用ルール依存要求分布、優先度、応答時間、例外
コンベヤ高頻度、固定経路、安定した形状高い処理能力、流れが明確レイアウト柔軟性が低い、迂回困難能力、形状、詰まり、保守アクセス
AGV標準化された固定・準固定ルート再現性、牽引・パレット搬送に適合経路変更や障害物対応に制約ルート、交差点、床、停止点、充電
AMR変動ルート、人・設備との共有空間経路柔軟性、迂回性交通設計、ソフト依存、混雑で能力低下地図、障害物、通信、交通量、API

機器選定、RFP、FAT/SAT、TCOを詳しく比較したい場合は、タイ工場向けマテハン機器の選び方も参照してください。AGVを複数設備や上位システムとつなぐ際の責任分界は、AGVシステムインテグレーション実務ガイドで整理しています。

搬送 コスト削減|タイ工場の90日改善ガイド - figure 2

フォークリフト 削減は「ゼロ台」ではなく用途分離で考える

フォークリフトは重量物、段積み、トラック荷役に有効です。一方、軽量箱の定時供給までフォークリフトが担うと、歩行者との交差、免許者待ち、燃料・充電、過剰能力が問題になります。まず用途を次のように分けます。

  • 入荷・出荷、棚への格納:フォークリフト
  • 長距離の定時箱供給:牽引車+台車のミルクラン
  • 固定二点間の高頻度搬送:コンベヤまたはAGV
  • 変動経路の小口搬送:AMRまたは呼出台車
  • 工程内の数メートル:重力ローラー、台車、リフター

台数削減をKPIにすると、残った車両の稼働率が上がりすぎ、ピークや故障に弱くなる場合があります。交差回数、フォークリフト走行距離、歩車分離、待ち時間を主KPIにし、必要な予備能力を残します。

タイ工場で搬送自動化を実装する10の論点

1. 多言語と権限

画面はタイ語を基本に、必要に応じて英語・日本語を併記します。翻訳だけでなく、異常復帰、手動介入、優先度変更を誰が実行できるかを役割で分けます。色だけに依存せず、アイコン、状態名、音、ランプの意味を標準化します。

2. 床面と段差

床のひび、継ぎ目、排水溝、傾斜、油、水、粉塵は、カタログ上の走行能力より実運用を左右します。最悪条件を含むルートを実機で走らせ、積載時の停止距離、振動、荷崩れを確認します。

3. 交差点と歩車分離

交差点は地図上の一点ではなく、見通し、歩行者流量、フォークリフト、扉、騒音を含むリスク地点です。優先権、速度、停止、警報、ミラー、柵、横断帯を組み合わせます。能力試験も空いた休日だけでなく、通常シフトの交通条件で行います。

4. 停電・通信断・上位停止

無線が切れた時に車両が即停止するのか、安全な地点まで退避するのか、搬送要求を保持するのかを決めます。電源復帰時の二重搬送、古い指示の再実行、位置不整合を防ぐ手順をFAT/SATで検証します。

5. 保守と予備品

タイ国内での応答時間、遠隔支援、オンサイト訪問、予備バッテリー、駆動輪、センサー、充電器、コントローラの在庫を確認します。ソフトウェア更新による停止時間、ライセンス終了後の動作、ログの取り出しも契約に含めます。

6. シフトと充電

平均稼働率だけで台数を決めず、休憩、充電、バッテリー劣化、ピーク、保全停止を含めます。機会充電は便利ですが、休憩時間に全車が集中すると充電待ちが発生します。充電場所の防火、換気、歩車動線も設計対象です。

7. 請負と責任境界

物流請負会社、設備ベンダー、システム会社、工場IT、生産部門の責任を分けます。搬送要求が発行されない、車両は到着したが荷がない、設備が受入信号を返さない場合に、誰が一次切り分けを行うかをRACIで明確にします。

8. 安全規格と地域法規

ISO 3691-4:2023は無人産業車両およびシステムの安全要求と検証を扱う現行公開規格です。ISOサイトでは改訂予定とされ、次版DISも開発中です。調達・受入時点で適用版を確認し、タイの法令、消防、労働安全、建屋ルール、保険要件と合わせて専門家・所管機関へ確認してください。規格適合宣言だけで、実際のレイアウトにおけるリスクアセスメントを省略してはいけません。

9. BOI恩典は最新条件を個別確認

Thailand BOIはAutomation and Roboticsに関する情報を公開していますが、対象活動、投資額、国産設備比率、申請期限などは措置・年度で変わります。過去に2025年末が申請期限だった措置を2026年も利用できると仮定せず、案件時点の条件をBOIへ確認します。恩典がなくても成立する基準ケースを作り、恩典は上振れとして扱う方が安全です。

10. サイバーセキュリティとログ所有権

車両管理、配車、WMS/MES連携は工場ネットワークの一部です。アカウント、遠隔保守、更新、バックアップ、API、時刻同期、監査ログを設計します。障害解析に必要なログを顧客がエクスポートできるか、契約終了時に設定・地図・履歴を取得できるかも確認します。

90日PoCで投資判断まで進める

PoCは「車両が動いた」ことを確認するデモではありません。現状基線に対してサービス水準、コスト、安全、復旧性が改善したかを検証する小規模運用です。テーマは1本に絞ります。例えば「倉庫から組立2ラインへの定時キット供給」「完成品呼出の応答時間短縮」など、境界を明確にします。

0〜2週:測定と対象ルート決定

  • 7〜14日のFrom-to、回数、距離、積載、空走、待ち、欠品停止を取得
  • 現場観察と作業者ヒアリングを実施
  • 通常、ピーク、異常の3シナリオを定義
  • 現状KPIとデータ取得責任者を確定
  • 安全上の即時対策はPoCを待たず実施

3〜4週:運用・レイアウト・システム設計

  • 「運ばない、短くする、まとめる、平準化」の案を先に評価
  • 搬送方式、容器、受渡し点、優先度、例外フローを決定
  • ネットワーク、電源、充電、床補修、上位連携を設計
  • リスクアセスメントと暫定安全対策を作成
  • テストケース、合格基準、停止条件を承認

5〜8週:限定実証

  • 1ルート、1シフト、限定品目から開始
  • 毎日、要求件数、達成率、応答、空走、手作業、停止をレビュー
  • 通信断、障害物、満車、荷なし、設備停止、手動介入を試験
  • 異常理由を自由記述で終わらせずコード化
  • 改善前の基線と同じ定義でデータを保存

9〜12週:検証と投資判断

  • 通常・ピーク・異常で受入KPIを評価
  • 現金便益、能力便益、リスク便益を分離
  • 全体展開時の台数、ライセンス、工事、保守、予備品を見積
  • 悲観・基準・楽観ケースでTCOと回収性を比較
  • 継続、修正後継続、拡張、中止の判断と未解決条件を記録
搬送 コスト削減|タイ工場の90日改善ガイド - figure 3

RFP・FAT・SATへ入れる受入KPI

RFPでは機能一覧だけでなく、測定可能な結果と証拠形式を要求します。FATは供給元または模擬環境、SATは実際の工場条件で行い、同じKPIでも試験境界を区別します。

KPI定義例証拠注意点
供給達成率約束時刻内完了 ÷ 全要求要求・完了時刻ログキャンセルと重複を除外
呼出応答時間着手 − 要求イベントID付きログ平均だけでなくP95を見る
空走率空荷距離 ÷ 総距離車両・運行ログ充電・退避を別分類
欠品停止搬送起因の停止分MES、Andon、理由承認原因コードを合意
手作業時間人が介入した正味時間観察、作業ログ監視待機を定義
安全停止復帰検知から安全な再開まで安全イベントと復帰記録自動再開条件を限定
ログ完全性必須イベントの記録率エクスポートファイル時刻同期・欠番を検査

最低限の受入シナリオ

  • 最大想定荷重と偏荷重での発進、停止、旋回、受渡し
  • ピーク要求が一定時間集中した場合のキューと優先度
  • 通路閉塞、歩行者、フォークリフト、扉の開閉
  • 無線断、サーバー停止、停電、非常停止、復旧
  • 荷がない、荷がずれる、受渡し設備が応答しない
  • バッテリー低下、充電器停止、車両1台故障時の縮退運転
  • 上位システムからの重複指示、遅延指示、取消、再送
  • 日本語・タイ語の異常表示と現場の復旧手順

合格基準は「問題なく動く」ではなく、例えば「通常シフトで供給達成率99%以上」など数値化します。ただし99%はここでの記述例であり、推奨値や保証値ではありません。製品、在庫バッファ、停止影響から自社値を設定します。

改善が失敗しやすいパターン

平均値だけで台数を決める

平均搬送量を満たしても、ピーク15分に要求が集中すれば欠品します。時間帯別分布、P95応答、最長待ちを確認します。

現状のムダなルートをそのまま自動化する

空走、仮置き、小口運行を残したままAGVに置き換えると、車両台数と交通制御が増えます。先にFrom-toと容器を整理します。

PoCだけ特別な床・人・運用にする

休日、空荷、ベンダー常駐で成功しても量産条件の証明になりません。実シフト、実荷重、実交通でSATを行い、工場担当者だけで復旧できるか確認します。

削減人時をそのまま人件費削減にする

再配置時間と現金支出削減を混同すると、導入後にROIが合いません。便益の種類を明記します。

安全を設備証明書だけに任せる

車両単体の適合と、工場レイアウト全体の安全は別です。交差点、受渡し、保全、手動介入までリスクアセスメントします。

FAQ:搬送 コスト削減の実務でよくある質問

搬送 コスト削減の費用はどのくらいですか?

対象ルート、荷姿、処理量、床、通信、上位連携、安全設備、車両台数で大きく変わるため、一律価格は出せません。まず7〜14日の基線計測を行い、運用改善のみ、小規模デジタル化、設備投資の3案でTCOを比較します。BOI等の恩典は案件時点の条件を個別確認し、恩典なしでも成立する案を基準にします。

工場内物流 改善にはAGVが必ず必要ですか?

必要ありません。搬送要求の廃止、レイアウト短縮、ミルクラン、容器標準化、呼出平準化で目標を達成できる場合があります。固定・反復・標準化された搬送量があり、人手方式より安全・サービス水準・TCOが良い場合にAGV/AMRを候補にします。

運搬 ムダ 削減の効果はどう測りますか?

積載率、空走率、呼出応答、供給達成率、欠品停止、手作業時間を改善前後で同じ定義により測ります。人時削減は現金便益、能力便益、リスク便益に分けます。平均だけでなくピーク、P95、異常時も評価します。

動線 改善 工場でデータが不足している場合は?

まず1ルートを選び、紙や表計算で7〜14日記録すれば十分に開始できます。要求、着手、到着、From-to、数量、待ち理由、空荷、停止を一意IDで結びます。精密な位置追跡を先に導入するより、定義と記録責任を揃えることが先です。

フォークリフト 削減は何をKPIにすべきですか?

台数だけでなく、フォークリフト走行距離、歩行者との交差回数、免許者待ち、軽量品運搬比率、ピーク余力を見ます。ゼロ台を目標にせず、入出荷・段積みなど必要用途へ集中させます。

タイでAGV・AMRを導入する際の安全規格は?

ISO 3691-4:2023が無人産業車両システムの安全要求と検証を扱う現行公開規格ですが、改訂予定で次版DISが開発中です。調達時点の適用版を再確認し、タイの法令、建屋、消防、労働安全、保険要件と合わせて個別のリスクアセスメントを実施してください。

まとめ:測ってから、運ばない順に改善する

搬送 コスト削減の本質は、安い設備へ置き換えることではありません。必要な物を、必要な時に、必要な量だけ届けるサービス水準を守りつつ、運ばない、距離を短くする、まとめる、呼出を平準化する、補助具と標準作業を直す、小規模にデジタル化する、最後に自動化するという順序でムダを除くことです。7〜14日の基線でFrom-to、積載率、空走率、待ち、欠品停止を見える化し、90日PoCで通常・ピーク・異常を検証すれば、設備名ではなく事業成果で投資を判断できます。

現状計測の設計、改善テーマの絞り込み、コンベヤ・AGV・AMRを含む方式比較、90日PoCやRFPの要件整理から相談したい段階でも、TOMAS TECHへお問い合わせいただけます。特定製品の導入を前提にせず、タイ工場の運用・安全・保守条件に合わせて検討範囲を整理します。

参照した一次情報・公式資料

※本稿のROI、工数、距離、削減率、費用に関する数値は、明示した仮定に基づく計算例であり、TOMAS TECHまたは機器メーカーの実績値、見積価格、効果保証ではありません。