タイ工業団地はIEAT(タイ工業団地庁)が所管です。入居区分はGIZとEPZ(IEAT Free Zone)に分かれ、EPZでは関税やVATなどの免除が適用されます。EEC(東部経済回廊)やバンコク近郊、北中部など地域ごとの強みも公式情報で確認できます。
本記事では、区分の違い・手続き・主要団地の特徴を整理し、はじめの比較検討をしやすくまとめました。
タイ工業団地の全体像と地域軸

IEATの区分や手続きの流れ
タイの工業団地はIEAT(タイ工業団地庁)が管轄しており、入居企業はまず区分を確認する必要があります。区分は主に次の二つです。
GIZ(General Industrial Zone/一般工業区)とは、国内販売を含む一般製造・サービス拠点向けの区分です。国内市場へのアクセスを前提とした事業に適します。
参照元:IEAT “Types of Industrial Estate Zone”
EPZ(Export Processing Zone/輸出加工区、IEAT Free Zone)とは、輸出を前提とする製造拠点向け区分です。原材料や機械の輸入時に関税・VAT・物品税の免除が受けられます。輸出比率の高い企業にはコスト削減効果が大きい一方、在庫管理や通関報告など厳格なルールが求められます。
GIZは国内販売を含む一般製造拠点向け、EPZは輸出を前提とした拠点向けで関税・VATの免除がある区分です。
入居の手続きは大きく4段階に整理できます。
- 区分の選定:事業内容や輸出比率を基に、GIZかEPZのどちらに入居するかを決定。
- 申請書提出:IEATまたは工業団地管理会社を通じて入居申請。必要な会社登記、事業計画、環境関連書類を準備。
- 許可の取得:建築許可や工場操業ライセンスを取得。団地によってはワンストップで支援される場合もある。
- 操業開始:EPZに入居する場合は、税関システムに基づく在庫管理・搬出入記録を整備し、定期報告を行う。
参照元:IEAT “Industrial Estate Establishment Process”
北中部・東部・バンコク近郊の地理的メリット
北中部・東部・バンコク近郊の地理的メリットについては、以下の表にまとめました。
地域 | 特徴・メリット | 向いている企業・人 |
北中部(アユタヤ・ナコンラチャシマなど) | ・バンコクから近く、自動車・電機系の日系企業が集積・洪水対策が整備されつつあり安定性が向上 | 既存の日系サプライチェーンに入りたい企業/完成品メーカーと取引を深めたい企業 |
東部(EEC)(チョンブリ・ラヨーンなど) | ・深海港(レムチャバン)、国際空港、EEC開発の中心地・自動車・電子部品の輸出ハブとして成長 | 輸出志向の製造業/グローバルサプライチェーンを短納期で構築したい企業 |
バンコク近郊(パトゥムターニ・サムットプラカーンなど) | ・首都市場に直結し、物流・研究開発に適する・大学や研究機関との連携が容易で人材確保もしやすい | 消費財や物流関連企業/R&D拠点やデータセンターを設けたい企業 |
北中部(アユタヤ・ナコンラチャシマなど)は、バンコクからの距離が近く、既に日系製造業の集積が進んでいます。自動車・電機系企業が多く進出しており、サプライチェーンの厚みが強みです。洪水リスクへの対策が整備されつつある点も安心材料です。
参照元:IEAT – Industrial Estate List(Central Region)
東部(チョンブリ・ラヨーン=EEC)は、深海港(レムチャバン港)、国際空港、東部経済回廊(EEC)の開発が集中する戦略的地域です。自動車・電子部品の輸出ハブとして成長しており、政府の優遇政策も集中しています。港・空港との距離が短く、輸出型産業には最適な立地です。
参照元:Eastern Economic Corridor Office(EECO)
バンコク近郊(パトゥムターニ、サムットプラカーンなど)は、首都市場に直結し、消費財や物流、研究開発拠点として適しています。労働力の確保や大学・研究機関との連携がしやすく、近年はデータセンターやハイテク関連施設の立地も進んでいます。
参照元:Navanakorn Industrial Zone – Investor Relations
タイ工業団地の主要候補一覧
タイにはIEAT(工業団地庁)直轄と民間ディベロッパー運営を合わせ、60以上の工業団地があります。そのなかでも日系企業の進出が多く、インフラ面で信頼性の高い団地を選ぶことが、進出の成否を左右します。ここでは代表的な工業団地を一覧に整理しました。
団地名 | 所在地 | 得意分野 | 港・空港への距離 | ユーティリティ | 主な日系進出例・参考リンク |
Amata City Chonburi | チョンブリ(EEC) | 自動車・電子 | レムチャバン港まで約35km | 電力・ガス・用水完備 | Amata公式:https://www.amata.com |
Amata City Rayong | ラヨーン(EEC) | 製造クラスター(自動車・化学系) | レムチャバン港まで約45km | 電力・ガス・水処理 | Amata公式:https://www.amata.com |
WHA Eastern Seaboard IE(Rayong/Chonburi) | 東部EEC | 自動車・電子・スマートエコ団地 | レムチャバン港まで約40km | スマートユーティリティ導入 | WHA公式:https://www.wha-industrialestate.com |
Rojana Ayutthaya | アユタヤ(中部) | 電機・自動車部品 | バンコク港まで約70km | 洪水対策インフラあり | Rojana公式:https://www.rojna.com |
Navanakorn Pathum Thani | バンコク北部 | 老舗団地・近年はデータセンター進出 | スワンナプーム空港まで約50km | 電力・通信強化 | Navanakorn公式:https://navanakorn.co.th |
Map Ta Phut Industrial Estate | ラヨーン(EEC) | 石化・重化学 | Map Ta Phut港に直結 | ガス供給・石化ユーティリティ完備 | IEAT公式:https://www.ieat.go.th |
この表からも分かるとおり、東部EECの団地は輸出・製造集積に強く、中部やバンコク近郊の団地はサプライチェーンや市場アクセスに優れる傾向があります。進出企業は、輸出志向か国内市場志向かによって選択肢が変わるでしょう。
Amata City Chonburi

Amata City Chonburi は、タイ東部経済回廊(EEC)のチョンブリ県に位置する代表的な工業団地です。レムチャバン深海港まで約35km、スワンナプーム国際空港からも1時間半圏内にあり、輸出型製造業にとって利便性の高い立地です。
団地内には自動車・電子機器関連企業が多数進出し、完成車メーカー系列の部品供給網が形成されています。電力・ガス・用水・廃水処理などのインフラも整い、安定した操業が可能です。また、住宅や学校、病院といった生活インフラも併設されており、駐在員・労働者双方にとって住みやすい環境が整備されています。
Amata City Rayong
Amata City Rayong は、EEC(東部経済回廊)のラヨーン県に位置する大規模工業団地です。レムチャバン港まで約45kmと港湾アクセスに優れ、輸出型製造業の集積地として機能しています。
団地の得意分野は自動車、化学、機械関連で、タイを代表する完成車メーカーやサプライヤーが拠点を構えています。電力や用水、ガス供給、排水処理などのユーティリティも整備されており、安定した生産活動が可能です。近年は、環境配慮型インフラや省エネ型設備の導入も進められ、持続可能な製造拠点として注目を集めています。
参照元:Amata Corporation Public Company Limited – Amata City Rayong
WHA Eastern Seaboard Industrial Estate(Rayong/Chonburi)

WHA Eastern Seaboard Industrial Estate は、ラヨーン県とチョンブリ県にまたがるEEC(東部経済回廊)の主要工業団地です。レムチャバン港やウタパオ国際空港に近く、輸出志向の製造業にとって物流効率の高い立地が強みです。
主力分野は自動車・電子部品で、多くの日系・外資系メーカーが集積しています。また、団地全体で「スマートエコ・インダストリアルエステート」を掲げ、省エネ型ユーティリティ、再生可能エネルギーの導入、廃水のリサイクルといった取り組みを進めています。こうした持続可能性への配慮は、グローバル企業のサプライチェーン要件にも合致しています。
Rojana Ayutthaya

Rojana Ayutthaya は、バンコク北方のアユタヤ県に位置する工業団地で、中部地域における代表的な製造拠点です。バンコク港やスワンナプーム国際空港にアクセスしやすく、国内市場と輸出の双方をカバーできる立地が評価されています。
団地には電機・自動車部品関連の企業が多く進出しており、成熟したサプライチェーンが形成されています。2011年の大規模洪水で被害を受けた経験から、団地全体で洪水対策インフラが強化されており、安定操業に向けた環境整備が進められています。
Navanakorn Pathum Thani

Navanakorn Industrial Estate は、バンコク北方のパトゥムターニ県に位置するタイ最初期の工業団地の一つであり、老舗団地として知られています。首都バンコクに近接しているため、消費市場へのアクセスや労働力の確保がしやすく、物流面でも優位性があります。
進出企業は電機・電子部品、食品加工など幅広く、近年ではデータセンターやハイテク関連施設の立地が相次いでいます。都市圏に近いことから、生活インフラ(住宅・病院・教育機関)も充実しており、駐在員や技術者の定着にも適した環境が整っています。
Map Ta Phut Industrial Estate
Map Ta Phut Industrial Estate は、ラヨーン県に位置し、タイ最大の石油化学・重化学工業団地として知られています。団地は深海港「Map Ta Phut港」に直結しており、原材料の輸入から製品の輸出までを効率的に行える点が大きな強みです。
ここには石化プラント、製油所、化学素材メーカーなどが多数集積し、タイ国内外の大手企業が拠点を構えています。電力供給、ガス、用水・廃水処理といったユーティリティも充実しており、重工業に求められる大規模インフラを備えています。EEC開発の重点エリアにも含まれており、政府の支援策の対象となっています。
タイ工業団地選定の判断軸

工業団地の候補は数多く存在しますが、どこに進出するかによって操業コストや物流効率、人材確保のしやすさが大きく変わります。特にタイでは、輸出志向か国内市場重視か、どの業界に属するかによって最適な団地が異なります。
進出検討時に押さえるべき判断軸は、大きく以下の5点です。
- サプライチェーン上の位置づけ(供給網・主要顧客までの距離)
- インフラ条件(電力・ガス・用水・廃水・通関)
- 人材確保と周辺の生活環境
- 許認可や環境影響評価(EIA)の要件
- 地代・建屋費用・ユーティリティ単価・税制優遇の比較
これらの判断軸を踏まえて団地を比較すれば、自社に合う進出地を絞り込みやすくなります。次の小見出しでは、それぞれの要素を詳しく見ていきます。
供給網と主要顧客までの距離
工業団地を選ぶ際に欠かせないのが、供給網と主要顧客までの距離です。物流効率やリードタイム、納期の安定性に直結するため、立地の優劣が事業の成否を分けます。
具体的には以下のように整理できます。
- EEC(チョンブリ・ラヨーン):自動車・電子機器の完成車メーカーや大手電機企業が集中。短距離での部品供給が可能。
- バンコク近郊:大都市市場や流通網へのアクセスが容易で、食品や消費財など国内販売型に有利。
- Map Ta Phut(ラヨーン):港湾に直結し、重化学工業や資源加工に適する。大量輸入や輸出比率の高い業種に強み。
このように、自社が「誰に納め、どこから調達するのか」を基準に団地を選定することが重要です。
電力・ガス・用水・廃水・通関の要件
工業団地を選ぶ際には、製造活動を安定的に支えるインフラ条件を確認することが欠かせません。どれだけ立地が優れていても、電力や用水が不安定であれば操業リスクが高まり、輸出入の通関が滞れば納期遅延につながります。
代表的な要件は次の通りです。
- 電力・ガス:24時間稼働が前提となる製造業では、電力の安定供給とガスパイプラインの有無が最重要。EECの大規模団地は発電所やガス供給網と直結しているため信頼性が高い。
- 用水・廃水処理:電子・化学系産業では水使用量が多いため、工業団地内に浄水施設と廃水処理設備が整備されているかが必須条件となる。洪水リスクのある地域では、排水能力も重要な判断材料。
- 通関設備:輸出入型企業にとって、団地内に税関窓口や保税倉庫があるかどうかで手続き時間が大きく変わる。Free Zone区画を選べば、関税やVAT免除とあわせて物流効率を高められる。
このようにインフラの充実度は業種ごとに必要水準が異なります。自動車や電子産業なら電力と水の安定性を最優先に、食品や消費財なら冷蔵倉庫や迅速な通関体制を重視するなど、自社の操業条件と照らし合わせて確認することが重要です。
参照元:IEAT – Industrial Estate Services
人材確保と生活環境(通勤・住宅・病院・学校)
タイでの拠点運営を安定させるには、インフラだけでなく「人材確保」と「生活環境」も大きな判断軸になります。工場がどれほど整っていても、必要な人材が集まらなければ操業は成り立ちませんし、駐在員や現地従業員の生活環境が不十分であれば、定着率の低下や離職につながります。
地域ごとに特徴を整理すると次のようになります。
- EEC(東部チョンブリ・ラヨーン):製造業の人材プールが厚く、技能工やエンジニアが確保しやすい。工業団地内や周辺には住宅開発が進み、病院・学校も拡充されている。
- バンコク近郊(パトゥムターニ・サムットプラカーン):首都圏に直結し、高学歴人材の採用がしやすい。国際学校や病院が充実しており、駐在員家族にも適した環境。
- 北中部(アユタヤなど):自動車・電機系の工場が多く、熟練技能工が集まる。通勤圏内に住宅や商業施設が整備されており、工場労働者の定着率が比較的高い。
このように、工業団地選定では 「必要とする人材像」 と 「従業員や駐在員の生活環境」 の双方を評価基準に含めることが重要です。とくに日本企業の場合、エンジニアやマネジメント層の長期滞在を考えるなら、教育・医療インフラの有無も必ず確認すべきポイントになります。
環境影響評価やIEAT関連許認可
タイの工業団地に進出する際は、操業許可に加えて 環境影響評価(EIA) の承認が必要です。化学・電子・自動車関連などの大規模工場では、建設段階から排水や排ガス、廃棄物処理に関する影響を調査し、報告書を作成したうえで政府機関の審査を受けます。承認が下りなければ、建設や操業は開始できません。
EIAのプロセスは以下の通りです。
- 事業計画をIEATへ提出
- 認定コンサルタントによる環境調査と報告書作成
- 天然資源・環境省(ONEP)やIEATによる審査・承認
- 承認後に建設・操業を開始し、定期的なモニタリング報告を実施
さらに、工業団地で操業するには 工場ライセンス(Ror.Ngor.4 License)や建築許可 が必要です。これらは団地のワンストップ窓口で手続きができ、外国企業にとって事務負担が軽減されています。
つまり、タイでの進出は「立地やコスト」だけでなく、環境基準を満たせる体制を整えられるかどうかがカギになります。ここを軽視すると、許可が下りず事業開始が大幅に遅れるリスクがあるため、初期段階から確認することが不可欠です。
参照元:Ministry of Foreign Affairs of Thailand – Investment and Regulatory Framework
地代・建屋・ユーティリティ単価・税制優遇
工業団地を選ぶ際には、インフラや立地条件と同じくらい「コスト構造」を把握することが重要です。地代や建屋費用、ユーティリティ単価は団地ごとに異なり、長期的な固定費として経営に大きく影響します。
一般的に バンコク近郊は地代が高く、EECや中部は相対的に割安 とされています。輸出型企業が集まるEECでは、土地単価はやや高いものの港湾アクセスや優遇制度を加味すると総合的なコストメリットが生じるケースも多いです。
建屋については、団地によって 標準工場のレンタル(Ready-Built Factory) や オフィス併設型の賃貸スペース が提供されています。初期投資を抑えたい企業はレンタル建屋を活用し、需要拡大に合わせて増設していく手法を選ぶことが一般的です。
ユーティリティ単価(電力・水・ガス)はIEATの基準料金をベースにしつつ、団地や契約条件によって細かく変動します。特に電子部品や化学関連は水・電力消費が多いため、ユーティリティ単価と安定供給の両立が立地選定の決め手になります。
さらに、BOI(投資委員会)の奨励措置を活用すれば、法人税免除や輸入関税の減免などの優遇が受けられます。EEC対象分野(次世代自動車、電子、バイオ、デジタルなど)であれば、土地コスト以上の税制メリットを享受できる可能性があります。
つまりコスト面の評価は「土地・建屋の表面的な安さ」ではなく、インフラ条件や税制優遇まで含めた総合コストで比較することが重要です。
参照元:BOI Thailand – Investment Promotion
DX・スマートファクトリー化が進む注目団地

タイでは一部の工業団地で、従来の製造拠点から一歩進んだ「スマートファクトリー化」が進んでいます。再エネの導入やユーティリティの高度管理、IoTやAIを活用した効率化など、グローバル企業のサステナビリティ要件に応える仕組みが整備されつつあります。
この章では、具体的な事例として WHA ESIE 5、Amata Smart City、Navanakorn の3つを取り上げます。
WHA ESIE 5のスマートエコ団地
WHA ESIE 5 は、ラヨーン県に位置する新しい工業団地で、WHAグループが「スマートエコ・インダストリアルエステート」として開発を進めています。従来の製造拠点と異なり、環境配慮とデジタル技術の導入を特徴としています。
具体的には以下のような取り組みが導入されています。
- スマートユーティリティ:電力・水・ガスの使用量をIoTでリアルタイム管理し、効率的な配分を実現。
- 再生可能エネルギー:太陽光発電を団地内で利用し、企業のCO₂排出削減ニーズに対応。
- エコインフラ:廃水のリサイクルや省エネ型設備を採用し、国際基準に適合するサステナブルな操業をサポート。
このような環境配慮型の設計は、グローバルサプライチェーンに求められる「ESG要件」や「脱炭素目標」に対応するものであり、進出企業にとっては取引先からの評価を高める要素となります。
参照元:WHA Industrial Development – WHA ESIE 5
Amata Smart City構想
Amata Smart City は、アマタ社がチョンブリやラヨーンの工業団地を基盤に進めている次世代型の都市・団地開発プロジェクトです。従来の「製造拠点」にとどまらず、産業・生活・環境を統合したスマート都市機能を持たせることを目指しています。
中心となる取り組みは以下の通りです。
- スマートエネルギー:再生可能エネルギーの導入、マイクログリッドや電力最適化システムを整備。
- スマートモビリティ:電気バスや自動運転シャトルの導入、物流の効率化。
- デジタルインフラ:高速通信網、クラウドサービスやIoT基盤を団地内に整備。
- 住環境・教育:住宅エリア、病院、国際学校の併設により、産業拠点でありながら生活拠点としても機能。
Amata Smart City は、単なる工場集積地ではなく「働く・住む・学ぶ・暮らす」が一体化したスマート都市を目指しており、進出企業にとってはDX推進と人材定着を同時に実現できる場となります。
参照元:Amata Corporation – Amata Smart City
データセンターや検査拠点
近年のタイ工業団地では、製造業だけでなく データセンターや品質検査拠点 の立地も進んでいます。特に注目されるのが、バンコク北部にある Navanakorn Industrial Estate(ナワナコン工業団地) です。
この団地は老舗の製造拠点でありながら、近年はデジタル関連の投資が加速しています。国際的なIT企業がデータセンターを設置し、クラウドサービスや金融・EC事業を支えるインフラ拠点としての役割を担うようになりました。また、国際規格に対応した試験・検査施設の誘致も進んでおり、自動車・電子部品などで必要とされる 品質認証や安全試験 を現地で行える環境が整いつつあります。
バンコク中心部からのアクセスが良いことに加え、大学や研究機関とも連携しやすい点が強みです。そのため、製造企業にとっては「生産+検査+データ活用」を同一エリアで完結できる拠点として活用できます。
タイ工業団地での拠点DX・システム化・課題分析はTomastechにご相談ください

タイの工業団地は進出後の生産拠点として大きな魅力がありますが、「拠点を構えた後にどう運営を最適化するか」 が成果を左右します。多くの企業が直面するのは、生産管理の属人化や在庫情報の分断、監査対応の遅れといった課題です。こうした運用フェーズの課題こそ、Tomastechが強みを発揮する領域です。
MES・在庫/実績収集・トレーサビリティ設計を現場要件から定義する
Tomastechは、工業団地内の現場で必要となる MES(製造実行システム)、在庫・実績収集、トレーサビリティ設計を「現場要件」から定義します。単なるシステム導入ではなく、
- 「どの工程で」「誰が」「どの資材を」扱ったかをリアルタイムで記録
- 在庫と生産実績を一元管理し、工程ごとの遅れや不良を即時に可視化
- 顧客や監査対応に必要なデータをワンクリックで提示
といった仕組みを整えることで、品質保証・納期遵守・コスト最適化を同時に実現します。
短期PoCと段階移行で停止時間と初期投資のリスクを抑えられる
DX導入で懸念されやすいのが「ライン停止による機会損失」と「初期投資の大きさ」です。Tomastechはこれを避けるために、短期PoC(概念実証)から段階的に本番移行する方法を採用しています。
- PoC段階:小規模ラインでの試験導入により効果を検証
- 段階的展開:成功モデルをもとに、対象工程や工場全体へスケールアップ
- 定着フェーズ:教育支援とKPI管理で、現場に根付く仕組みに発展
このステップにより、導入初期のリスクを抑えつつ、現場改善を着実に進めることができます。
タイで工業団地への進出を検討している、あるいはすでに拠点を持つ企業の皆さまへ。
「現地の生産管理をどう効率化するか」「監査に耐えるトレーサビリティをどう作るか」 と悩まれていませんか?Tomastechは、製造業に特化したDX・生産管理・トレーサビリティ設計の専門チームとして、工場の立ち上げから定着まで伴走します。
進出前の検討段階でも、拠点運営の最適化を視野に入れたい企業様は、ぜひ一度ご相談ください。