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2026.10.02

OPC UA 1.05 移行|タイ工場のRFP・FAT/SAT要件

OPC UA 1.05 移行|タイ工場のRFP・FAT/SAT要件

OPC UA 1.05 移行を検討するタイ工場にとって、2026年は「機器を一斉に交換する年」ではありません。OPC Foundationは2026年9月、OPC UA 1.03の認証サポートを2026年末に終了し、ベンダーは1.05を目標にすべきと述べました。これは稼働中の1.03機器が年末に停止する、既存の認証が自動失効する、全製品を直ちに更新しなければならない、という発表ではありません。新しい設備やゲートウェイを買う際に、要求する版、プロファイル、試験証拠、将来の保守を契約へ落とし込む契機です。本稿はタイ工場の調達担当、保全、生産技術、IT/OTと日本本社が、RFPからFAT、SAT、運用引継ぎまで同じ判定基準を使うための実務ガイドです。

OPC UA 1.05 移行で今、何を決めるべきか

2026年9月のOPC FoundationのCompliance Cornerは、1.03に対する認証サポートの終了予定と、ベンダーが1.05を目標とする方向を明記しています。同記事は1.05.00が2021年に公開され、1.05向けの仕様、SDK、ツールキット、Compliance Test Tool(CTT)が利用可能だとも説明します。読み手がまず分けるべきは、規格の版、ベンダーの実装版、製品の認証対象版、工場内で動くアプリケーションの互換性、そして工場が運用する証明書の期限です。同じ「1.03」という数字が資料にあっても、その意味は同じではありません。

OPC FoundationのCTT公開ページには、2026年4月20日付の1.05、1.04、1.03向けツールが並びます。古い版のツールが掲載されている事実と、将来の1.03認証サポート方針を混同してはいけません。CTTで自社試験を実施した結果も、OPC Foundationの認証を受けたこととは異なります。認証手順は、公開される機能、プロファイル、相互運用性、堅牢性などの試験準備と認証ラボでの手続きを説明しています。調達では「OPC UA対応」という一語より、どの製品構成のどの機能について、誰が、何で、いつ試験したかを要求します。

工場側が決めるべきことは二つあります。第一に、今後発注する装置、セルコントローラ、ゲートウェイ、MESクライアントについて、1.05を採用条件にする範囲です。第二に、既設1.03環境のうち、すぐ改修するものと、監視と保守契約の下で残すものの境界です。両者を同じ締切で扱うと、不必要なライン停止や、逆に必要な相互運用試験の先送りにつながります。

「認証サポート終了」と「既設設備の運転」を分ける

OPC UAは工場の通信・情報モデルの仕組みであり、OPC Foundationの認証制度は製品の特定構成に対する評価です。工場のライン上にあるサーバーが1.03を実装していること、供給者の別モデルが認証済みであること、現地の組合せでMESが正しいデータを得ることは、別々の主張です。ベンダーの製品カタログに認証ロゴがあっても、見積対象の型式、ファームウェア、ライセンス、プロファイル、役割が一致するとは限りません。逆に既設設備が1.03だからといって、稼働停止を宣言する根拠にもなりません。

資産ごとに「現行版」「将来の追加発注」「セキュリティ更新」「サポート期限」「停止可能期間」を並べて判断します。例えば成形機の組込サーバーは装置保証の制約で更新しにくくても、新設ゲートウェイを1.05対応で調達し、現行サーバーとの接続を試験する選択がありえます。ただしゲートウェイを挟めばすべてのデータ意味が正しくなるわけではありません。元のノードが示す単位、品質、時刻、設備IDが不明なら、上流の表示は整って見えても誤読を残します。既設装置の保証、変更権限、安全責任を先に確認します。

「1.05対応」は最終受入条件でもありません。UAサーバーとクライアントの役割、使うプロファイル、必須のサービス、情報モデル、証明書の扱い、値の品質、再接続挙動まで指定しなければ、同じ版の製品同士でも発注者が欲しいデータ交換は成立しない可能性があります。この点はOPC UAオンライン仕様で該当Partと版を確認し、供給者から該当機能の実装範囲を文書で受け取るべきです。

タイ工場の移行対象を一枚の台帳にする

調達書より先に、現物と契約を突き合わせる台帳を作ります。設備名称だけでなく、装置メーカー、製品型式、ファームウェア、OPC UAサーバー/クライアントの役割、エンドポイント、現行仕様版、公開するノード群、現行証明書、接続先、保守担当者、変更承認者、保証条件を一行にまとめます。必要なら現地語の設備呼称と日本側の資産IDも併記します。現物確認ができていない列は空欄を推測で埋めず「未確認」とし、確認責任者と予定日を付けます。

通信経路にも台帳が要ります。PLCから内蔵UAサーバーへ、またはPLCから外付けゲートウェイへ値がどう渡るか。ネットワークスイッチのどのポートを通り、どのクライアントへ届くか。MESや品質データベースが見る値は元タグか変換後か。時刻はPLC、UAサーバー、MESのどこで付くか。証明書とユーザー権限は誰が発行・更新するか。ここまで見えると、装置更新ではなく、ゲートウェイのライセンス更新、情報モデルの修正、時刻同期、受入試験の追加で済む対象も区別できます。

OPC UA 1.05 移行|タイ工場のRFP・FAT/SAT要件 - figure 1

図1の考え方は、既設領域と新規調達領域の間に境界を置き、境界をまたぐ値と証拠を明示することです。タイ工場の装置メーカー、現地SI、日本本社、MESベンダーが「相手の範囲」と思い込む箇所を、図面と台帳の同じ識別子で示します。設備側とシステム側で同じ名称のタグを使っていても、単位やリセット条件が違えば別物です。受入試験は配線の疎通だけで終わりません。

RFPに書くOPC UA 1.05要件の粒度

RFPの冒頭に「OPC UA 1.05対応のこと」と一行だけ置くと、供給者はそれぞれ異なる機能範囲を見積もります。調達対象がサーバーなのか、クライアントなのか、ゲートウェイとして両方なのかを明示します。そのうえで、該当する製品の型式、ファームウェア、ソフトウェア版、追加ライセンス、必要なハードウェア、提供国での保守体制を指定し、回答欄を用意します。「将来対応予定」は、現時点で実装済みの機能と別欄にします。

プロファイルは機能範囲を比較する単位です。OPC UA Part 7が示すように、プロファイル、Conformance Unit、テストケースの関係をたどって必要な振る舞いを選びます。すべてのオプションを求める必要はありません。利用するデータアクセス、イベント、履歴、メソッド、PubSubなどを業務要求から選び、必須と任意を分けます。情報モデルに業界別のCompanion Specificationを使う場合も、その存在だけで対象機器への実装を推定しないでください。供給者に版と公開ノードを示してもらいます。

RFPに最低限必要な回答欄は以下です。

欄供給者に求める回答発注者が見る証拠
製品構成型式、HW/FW/SW版、ライセンス、役割見積、データシート、試験機との一致
OPC UA範囲仕様版、プロファイル、Conformance Unit、任意機能実装表、試験記録、必要なら認証情報
エンドポイントURL、ポート、セキュリティ設定、認証方式設定書とFAT実機画面
情報モデルNamespace、NodeIdの運用、型、単位、品質、時刻NodeSetまたはエクスポート、タグ辞書
接続運用切断、再起動、データ欠落、再送、重複の扱い故障注入の記録
保守証明書更新、版更新、バックアップ、復旧、権限手順書、責任分担、教育記録

この表は仕様書の代わりではなく、見積比較の共通表です。「対応済み」のチェックだけを認めず、出荷時に有効な設定、制約、追加費用、既設機器との接続条件を回答させます。製品の認証を調達条件にするかは工場の用途とリスクに応じて決めます。OPC Foundationの認証をすべての工場購入品に義務付ける法律がある、といった主張はここではしていません。認証を要求しない場合でも、契約で受入証拠を求めることはできます。

「1.05対応」の見積を比較可能にする

同じプロトコル名でも、価格差の理由が機器性能とは限りません。ある見積にはUAサーバー機能のライセンスと証明書管理画面が含まれ、別の見積ではゲートウェイ、追加通信カード、現地設定、MES接続作業が別売かもしれません。比較表では初期費用に加え、保守期間中のファームウェア更新、脆弱性修正、予備機への復元、拠点外からの支援、工場停止時の対応窓口を確認します。タイ語の運用資料や現地担当者への教育を含むかも明示します。

発注者は「最新版」を無条件に良しとせず、納入構成での再現性を見るべきです。提案書には1.05と書かれていても、FATの試験機だけが新ファームウェアで、本番の予備品には旧版が載っている場合がありえます。納入時の型式と版を固定し、変更があれば影響評価、再試験、承認を必要とする手順を契約に書きます。ノードの追加や名称変更もインターフェース変更として扱い、MES側のマッピングを更新します。

既設設備の接続をベンダーが保証する場合は、どの現物で検証するかを指定します。「OPC UAだから相互接続できる」という文言だけで責任を移しません。既設機のサーバーが公開する必要ノードのサンプル、セキュリティポリシー、証明書発行権限、最大クライアント数、負荷条件を伝え、供給者に対応できない条件を早期申告してもらいます。接続先が工場の実機でしか再現できない場合は、FATで模擬試験、SATで実接続試験を行う役割分担を決めます。

FAT前に確定する試験対象と合格基準

FATは供給者側で実施する工場出荷前の受入試験です。最初に試験対象の版、設定、ネットワーク構成、クライアントとサーバーの組合せを凍結します。FATの結果が「類似モデルで動いた」という報告なら、納入予定機を受け入れる証拠にはなりません。試験票の先頭に、製品型式、シリアル、FW/SW、ライセンス、仕様版、プロファイル、設定ファイルの版、日時、参加者を記録します。

正常系では、必要ノードを読めることに加え、値の型、単位、範囲、StatusCode、SourceTimestampとServerTimestamp、更新周期、イベント順序を比較します。MESが要求する値だけを対象にし、試験用の都合のよいタグだけで代替しません。温度が摂氏か華氏か、カウンタがいつリセットされるか、設備停止中の最終値を「現在値」と誤表示しないかを検証します。読み取りだけの要件なのに書き込み権限が広く開いていないかも確認します。

異常系には、ネットワーク断、UAサーバー再起動、クライアント再起動、証明書期限切れ、信頼リスト未登録、時計ずれ、値品質のBad/Uncertain、タグの一時不在を含めます。再接続時間や許容データ欠落量に普遍的な数値はありません。監視、品質判定、トレーサビリティなど用途ごとに発注者が合格値を決めます。故障時は単に「復帰した」ではなく、何を失い、何が重複し、誰へ通知され、復旧後にどう照合するかを記録します。

OPC UA 1.05 移行|タイ工場のRFP・FAT/SAT要件 - figure 2

OPC Foundationの2026年欧州Interoperability Workshopは、異なる供給者のクライアントとサーバーを組み合わせ、問題をデバッグして結果を記録する場として説明されています。これはタイ工場のFATで採用できる発想の参考です。イベントへの参加は工場の義務ではなく、参加しただけで製品認証を得るわけでもありません。工場のFATでは、実際に納入する組合せと運用条件で相互運用性を確かめます。

CTT結果とOPC Foundation認証の証拠を分ける

CTTは仕様への適合を調べる重要な道具ですが、テストツールの画面写真一枚を「認証済み」と読んではいけません。CTTの説明はクライアントとサーバーのテストに使えること、複数の版が維持されることを示します。一方、How to Certifyは供給者が認証ラボで試験を受けるための準備と手続きを示します。発注者は、ベンダーの自己試験、第三者との相互接続試験、OPC Foundation認証ラボによる認証を別列で管理します。

証拠の照合では、認証の有無だけでなく、対象となる製品名、版、役割、プロファイルを確認します。供給者が別世代の製品の認証を提示する場合、今回の納入構成へ自動的に引き継がれると考えないでください。認証範囲外のカスタム情報モデルやMES固有マッピングは、個別FAT/SATで受け入れます。またCTTの利用資格や再配布条件はOPC Foundationの条件に従います。発注者が「CTTファイルを納入せよ」と安易に書く代わりに、試験結果、構成、未対応項目、再現手順の提出を求めます。

認証と現場受入を分ける理由は実務的です。認証されたサーバーであっても、工場で必要な停止理由の定義、工程ID、製造指図との突合、ネットワーク切断時の運用は工場固有です。製品の適合性と、業務データが正しいことの両方を確認して初めて、投資目的につながります。

SATではタイ工場の現物と運用を受け入れる

SATは設置後の現地受入試験です。工場に持ち込んだ機器、設定、配線、ネットワーク、運用担当者がFATの前提から変わっていないかを最初に照合します。タイ側の保全担当が参加できる日時に行い、日本側システム担当が遠隔で確認する場合も、操作責任者と停止判断者を明確にします。実ラインで危険な故障を作る試験は、安全手順と設備メーカーの承認に従い、必要なら非生産時間や模擬機で代替します。

SATの中心は工場固有の意味です。装置の停止信号が「工程停止」なのか「製品投入待ち」なのか、カウンタが良品だけか全サイクルか、ロットと装置時刻の関係はどうか。MESの受信値と現場表示、PLC/装置ログを同じ時刻帯で突き合わせます。長時間の通信断後に古い値を現在値として表示しないか、欠測をゼロ件の生産と誤認しないか、再送が二重計上されないかを見ます。各異常の合格基準と手作業による復旧方法を事前に決めます。

OPC UA 1.05 移行|タイ工場のRFP・FAT/SAT要件 - figure 3

引継ぎでは、構成図、設定バックアップ、証明書の発行・更新・失効手順、アカウント権限、ログ保管、障害連絡先、復元手順、予備品の版を受け取ります。現地保全が手順書を読んで再接続と証明書更新の演習を実行できるかまで確認します。日本本社だけに秘密鍵や管理者パスワードがある設計、現地にしか分からない設定変更がある設計は、継続運用を難しくします。機密情報の保管と権限は工場のIT/OT方針に従い、共有メールや表計算へ無造作に貼り付けません。

セキュリティとデータ品質を版の議論から切り離さない

1.05へ更新しても、誤った信頼設定や過大な権限は解決しません。ネットワーク区域と通信許可、サーバーとクライアントの証明書、ユーザー認証、読み書き権限、監査ログを、誰が維持するかまで決めます。証明書の有効期限を監視し、更新前に現地で手順を試します。接続のために「すべて信頼する」「暗号化を無効化する」といった暫定設定を本番に残さないことが重要です。工場の安全制御と情報収集の境界も明確にし、MESへのデータ送信を機械安全の代替にしません。

データ品質も独立した受入項目です。NodeIdが同じでも、設備更新で単位、スケール、列挙値、リセット条件が変わることがあります。クライアントがStatusCodeや時刻を捨てれば、異常値と有効値が同じグラフに並びます。タグ辞書には、設備ID、用途、型、単位、出所、測定時刻、品質、正常範囲、変更者を含めます。変更時は版管理し、影響する帳票、アラーム、品質判定、トレーサビリティ検索までレビューします。

ネットワークの冗長化や帯域設計は別途必要です。工場LANを設計する際は工場ネットワーク構築の実務ガイドを参照してください。今回の焦点はIP配線全般ではなく、OPC UA 1.05を調達し、値の意味と証拠を受け入れることです。またOPC UA FXとTSNのタイ工場導入検討はフィールドレベルの別の検討軸であり、既存のクライアント/サーバー更新と同一の調達要件にまとめない方が比較しやすくなります。クラウド接続を含む構成はOPC UAクラウド参照ソリューションの記事で補完できます。

移行順序は停止リスクと発注時期で決める

移行ロードマップは「古い版から順に交換」ではなく、購買と停止の機会に合わせます。最初は新規発注の仕様を1.05に寄せ、これから導入する装置の実装・認証・試験証拠を揃えます。次に、既設設備のうち、保守切れ、脆弱性対応不能、障害が多い、必要データを取得できないものを優先して検討します。安定稼働中でサポートがあり、現在の用途に十分な機器は、監視と変更管理の下で残す判断もありえます。

試験環境では、現行サーバーと新しいクライアント、または新しいゲートウェイと現行MESの組合せを順に検証します。並行稼働で同じ信号を比較する場合、単純な値一致だけでなく、更新時刻と品質の違いを残します。切替前にはロールバック方法、保守窓口、予備品の版、バックアップの復元可否を確認します。タイ工場の停止可能な時間帯と日本側の支援時間帯が重なるかも調整します。

見積承認のゲートは、RFPの回答が揃った時点、FATを合格した時点、SATで現物と運用を受け入れた時点に分けます。支払い条件や検収条件は個々の契約に合わせて決めますが、技術証拠の提出タイミングを後払いにしすぎると、装置を設置した後に仕様不一致が見つかります。逆にFATだけで最終検収すると、現地ネットワーク、既設機器、現場の時刻・権限設定の問題が残ります。

調達担当と現場が共有するRFP文例

以下は発注側が案件ごとに調整するための文例です。製品認証の必須/任意は、用途と供給者市場を調べて決めてください。

納入者は、提示するOPC UA機能について、製品型式、HW/FW/SW版、必要ライセンス、Client/Server等の役割、対応するOPC UA仕様版、プロファイル、情報モデル、制約を一覧で提出する。1.05への対応を提案する場合は、見積対象の納入構成における実装状況と試験証拠を示す。OPC Foundation認証を主張する場合は、対象製品・版・プロファイルを照合できる情報を提出する。発注者が指定する既設接続先、ノード、単位、時刻、品質、証明書、権限、通信断・復旧シナリオについてFATおよびSATを実施し、未合格項目と是正計画を記録する。

この文例の「1.05」を、求めるサーバー、クライアント、ゲートウェイの範囲と結びつけることが大切です。相互運用の対象がMESかSCADAか、接続先が既設1.03機器か新設1.05機器かで試験組合せが違います。発注者が業務上必要なノードと合格閾値を別紙に具体化し、供給者が試験実施者・記録者・是正責任者を回答できるようにします。日本語、タイ語、英語の契約文が並ぶ案件では、語句の違いで「対応」と「認証」「試験済み」が混ざらないよう、証拠項目を表で固定します。

FAT/SATで未合格が出たときの是正と再試験

受入試験では、問題が見つかること自体を失敗と考えない方がよいでしょう。重要なのは、未合格を曖昧な「調整中」のまま検収しないことです。試験票ごとに期待値、実測値、再現手順、対象機器と設定の版、事業上の影響、暫定運用、是正担当者、期限を記録します。例えば、通信断後に同じ生産イベントが二度届くなら、ネットワークの再接続だけを合格にせず、MES側の二重計上を含めて未合格にします。逆に、画面の表示順だけが異なり業務判断へ影響しない場合は、発注者が許容する変更要求として扱う余地があります。分類の根拠を残すことが必要です。

是正を行った後は、変更した箇所だけを一回操作して終わりにしません。該当試験を再実施し、その変更が関連する正常系と異常系を壊していないか確認します。証明書の信頼設定を修正したなら、正常接続、未信頼証明書の拒否、更新後の再接続を再確認します。NodeIdや単位を修正したなら、表示だけでなく、履歴、帳票、アラーム、トレーサビリティ検索への影響も見ます。再試験時のファームウェアと設定ファイルを記録し、FATとSATの差分を追えるようにします。

受入保留と条件付き受入の判断者は、契約と工場の運用責任に合わせてあらかじめ指名します。供給者だけが「軽微」と判定する形にしないでください。未合格が品質判定や安全、ロットの追跡、データの完全性に関係するなら、代替運用と残余リスクを現地工場責任者が理解したうえで判断する必要があります。条件付きで先に稼働させる場合も、暫定手順、監視項目、是正期限、再試験日、最終承認者を文書化します。受入完了後に変更が入った場合は、同じ試験証拠を再利用できるか確認します。

多言語の案件では、試験項目番号と機器識別子を日本語、タイ語、英語の記録で共通にします。翻訳された説明文だけを照合すると、似た言葉の別の異常を同じ項目と誤認するおそれがあります。生データ、画面キャプチャ、ログ、時刻、試験者署名への参照を試験番号で結び、現地担当者が後から同じ条件を再現できるようにします。これが検収時の証拠であると同時に、障害が起きたときの復旧資料にもなります。

よくある質問

OPC UA 1.03機器は2026年末に使えなくなりますか?

OPC Foundationが2026年9月に告知したのは、1.03の認証サポートを2026年末に終了する予定です。稼働中の機器が自動停止する、既存認証が自動失効する、と同記事は述べていません。工場ごとの継続使用は、供給者の保守、セキュリティ、既設接続、運用リスクで判断してください。新規調達は1.05を目標とし、製品構成と証拠を確認します。

OPC UA 1.05対応とOPC Foundation認証は同じですか?

同じではありません。「対応」はベンダーの実装範囲を表す場合があり、認証は対象構成を特定したOPC Foundationの手続きです。CTTで自己試験した結果も認証の代わりになりません。認証が必要なら、製品名、版、役割、プロファイルと対象範囲を確認してください。認証の有無だけで現場のデータ意味が正しいとは判断できず、FAT/SATを別に行います。

移行費用は何で決まりますか?

機器価格だけでなく、対応ファームウェア、ライセンス、ゲートウェイ、既設機改修、試験環境、情報モデルの整理、証明書運用、現地設定、停止時間、教育、保守が範囲を変えます。製品やラインの条件が不明な段階で普遍的な金額を出すのは不適切です。現物台帳とRFP回答を作り、必須機能と任意機能を分けて比較します。

FATとSATで同じ試験をすれば十分ですか?

共通する正常系はありますが、役割が違います。FATでは納入構成と複数製品の機能・異常時挙動を、供給者側の再現可能な環境で確かめます。SATではタイ工場の既設機器、配線、時刻、ネットワーク、権限、保全手順、MESでの値の意味を確かめます。FATの合格結果をSATの省略理由にしません。

OPC UA FXやクラウド接続も同時に必須ですか?

必須ではありません。工場が求める装置間通信、上位システム連携、クラウド集約の用途を分けて判断します。1.05のクライアント/サーバー移行、FX/TSN、クラウドへのデータ公開は関連しますが、同じ機能の別名ではありません。必要な対象と受入証拠をそれぞれ指定してください。

まとめ:OPC UA 1.05移行は「版」ではなく契約と受入の設計

2026年末の1.03認証サポート終了予定は、新規調達を見直す明確な合図です。一方で、既設設備の停止期限として読まないことが大切です。タイ工場は現物台帳を作り、1.05を求める製品構成・プロファイル・データ意味・認証証拠をRFPに記載し、FATで納入構成、SATで現地運用を試験します。証明書、時刻、品質、復旧、変更管理を引き継いで、初めて移行の効果を保てます。

TOMAS TECHでは、タイ工場の既設設備を含む接続台帳、RFPの要件表、FAT/SAT試験票の整理を検討段階から支援しています。対象設備と現行の接続課題がまだ整理できていない場合も、お問い合わせからご相談ください。

参照資料

  1. OPC Foundation, Compliance Corner – September 2026 — 1.03認証サポート終了予定と1.05への方向。
  2. OPC Foundation, OPC UA Compliance Test Tool — CTTの用途、複数版の提供、2026年4月20日のリリース一覧。
  3. OPC Foundation, How to Certify — 認証試験の準備、対象機能、ラボ手続き。
  4. OPC Foundation, OPC Interoperability Workshop 2026 Europe — 異なる供給者間の相互運用試験の進め方。
  5. OPC Foundation, OPC UA Online Reference — 1.05仕様の参照入口。
  6. OPC Foundation, OPC UA Part 7: Profiles — プロファイル、Conformance Unit、テストケースの関係。