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タイ進出の手順と支援制度|BOI優遇や補助金、立ち上げ方法を解説 - TOMAS TECH CO.,LTD.|タイの製造業・物流業のDX化を支援

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2025.08.01

タイ進出の手順と支援制度|BOI優遇や補助金、立ち上げ方法を解説

タイはASEANの地理的要所に位置し、中国・インドとの距離やFTA網を活用できる利点から、製造業を中心とした進出先として注目を集めています。法人税20%、労働力豊富、最低賃金も抑えられており、コスト競争力を重視する企業にとって大きな魅力です。

さらに、BOI(タイ投資委員会)制度を活用すれば、法人税免除・関税免除・外資出資規制の緩和など、進出コストを大幅に削減できます。

本記事では、タイ進出を検討する企業向けに、支援制度の概要と活用のポイント、実際の申請手順や注意点、現地法人設立から拠点立ち上げに至るまでの具体的なステップを整理して解説します。

なぜ今、タイ進出が注目されているのか

近年、コロナ後の経済回復でASEAN戦略の要地としての地理的優位が再評価されています。タイの進出により、単一市場だけでなく、RCEPを通じた約23億人規模の広域市場にもアクセスが可能です。貿易利便性の高さが、製造拠点や新規事業を展開する企業にとって大きな後押しとなります。

※ 現在の為替レート:1 THB = 約 4 JPY  

  • タイはアセアンの中心的存在  
  • 人口:約6,600万人  
  • 労働力:約4,000万人  
  • 最低賃金:400THB/日前後  
  • 通常の法人所得税率:20%  
  • 中国とインドに近く、製造業を中心とした東南アジアハブを志向。 

上記のとおり、タイは人口・労働力ともに豊富で、地理的にも中国やインドに近い製造ハブとして機能します。安価な労働力と税率20%の法人税水準がコスト最適化の大きな魅力です。

タイ進出時に検討すべき支援制度とは?

タイ進出を成功させるには、BOI制度と各種補助金制度を組み合わせることが不可欠です。ここでは、両制度の概要と活用ポイントを解説します。

BOI制度とは(税制・税制以外の恩典)

「BOI(タイ投資委員会)制度は、法人税の大幅免除だけでなく、機械設備の輸入関税がゼロになる特典を備えています」(BOIセミナー Ver1 資料 p.9)。この優遇措置を活用すれば、タイ進出の初期投資を大幅に抑えられるのが大きなメリットです。

  • 法人税免除:投資額の50~100%を上限に、最長3年間の免税が許可される。
  • 輸入関税免除;製造用機械や設備の輸入時に発生する関税が全額免除されるため、最新鋭のライン構築が進めやすくなる。
  • 外資100%出資・土地取得許可:日本企業でも100%出資でタイ法人を設立でき、土地取得のハードルが下がる。
  • 労働許可の緩和:ワークパーミット発行要件の一部が緩和され、人材確保の面でも恩恵を受けらる

これらの特典を得るには、申請資料の精緻な準備と、雇用計画・設備導入計画の的確な提示が不可欠です。特に、BOI奨励証の取得までには2~3ヶ月の審査期間が想定されるため、早めの着手が求められます。

補助金制度との併用可能性

BOI制度単独でも大きな効果がありますが、さらにものづくり補助金やIT導入補助金など国の補助金を併用することで、コスト削減とDX推進を両立できます。

「ものづくり補助金は、自動化ロボットやMES、エネルギー管理システムなどへの投資に対し、最大4,000万円を支援します」

このように、最新の生産設備を導入する際には補助金を活用し、残りの部分をBOI制度でカバーする設計が理想的です。さらに、IT導入補助金(最大450万円)で生産管理システムの導入を支援してもらえば、製造ラインの可視化や遠隔監視などDX化も加速します。

どんな制度にも適用条件があります。たとえば、BOI制度の土地取得優遇は「払込資本金」や「雇用人数」の要件を満たす必要があり、事前に人員計画を固めておかないと優遇措置を受けられないことがあります。また、補助金についても公募タイミングや事業計画書のフォーマットが細かく規定されているため、申請書類の書き方を専門家に依頼するのが賢明です。

法人設立・拠点構築までの実務ステップ

タイ 進出においては、現地法人の設立からBOI申請、拠点立ち上げまで一連の手続きをスムーズに進めることが重要です。以下の流れで準備を進めましょう。

タイ法人化のために形態を選択する

タイで会社を立ち上げる最初の悩みは、“どの形態を選ぶか”です。

  • 合弁企業(Joint Venture)にするのか
  • 自社100%出資の外資法人にするのか

BOIのIBC(国際ビジネスセンター)を活用する場合は「投資金額100万バーツ以上、払込資本金1,000万バーツ以上、従業員10名以上」という要件を満たせば、BOI特典と税制以外の恩典を同時に申請できます。

IBCは、商業登記やワークパーミット手配といった幅広いサポートをワンストップで提供します。まずはこの要件をクリアし、どの形態が自社戦略に最適かを内部で議論しましょう。

商業登記(DBD)とBOI事前相談

法人形態が決まったら、Department of Business Development(DBD)で商業登記を進めます。定款作成、払込資本金の証明、取締役名簿など、書類は意外と多岐にわたります。

登記完了後、BOIに「事前相談」を申請しましょう。ここで事業計画や設備投資計画を提示し、正式申請までのガイドラインを得られる点がポイントです。

BOI奨励証書の発行には通常2~3ヶ月かかるため、書類審査から奨励証書交付まで約8週間程度の時間を見込む必要があります。

余裕を持ったスケジューリングをおすすめします。

人員・設備計画の固め込み

BOI優遇を受けるには、人員計画と設備計画がカギになります。労働許可(WP)は「200万バーツの資本金ごとに外国人労働者1名分」が基本ですが、BOI取得で緩和される仕組みがあります。

また、土地取得許可もBOI優遇がないと原則できません。外国人(法人含む)は通常土地取得不可ですが、BOI奨励取得により外資比率に関わらず土地所有が可能となります。

このため、初期段階で資本金配分と雇用計画を具体化し、BOI審査に備えておきましょう。

製造業立ち上げに活用できる補助制度とTOMASTECHの支援領域

タイでの製造拠点立ち上げには、最新設備導入を後押しする補助金制度と、専門家による実行支援がセットで不可欠です。ここでは、製造業が活用できる代表的な補助制度と、TOMASTECHが果たす役割を解説します。

補助金対象となる設備・システム

ものづくり補助金やIT導入補助金など、日本の中小企業向け制度では、以下のような自動化・DX関連設備が重点的に支援されます。

  • 自動化ロボットや産業用ロボット
  • MES(製造実行システム)
  • エネルギー管理システム
  • クラウドベースの生産管理ツール 

これらの設備は、BOI制度による輸入関税免除と組み合わせることでコスト負担を大きく軽減できます。

TOMASTECHの支援可能範囲

単に補助金を申請するだけでは、現地要件の細かな違いや申請書類の書き方でつまずきがちです。TOMASTECHでは、以下のステップで御社のタイ進出を一貫支援します。

  1. 制度適合性の要件整理:BOIおよび補助金の適用条件をマトリクス化し、投資計画や雇用計画との整合性を担保。
  2. システム設計+RFP作成:補助対象設備を含めた全体システムの要件定義と、タイ側設計会社への発注仕様書(RFP)を整備。
  3. 申請書類のレビューと提出代行:制度ごとに異なる事業計画書や技術説明書を分かりやすくブラッシュアップし、申請提出を代行。
  4. 現地実装サポート:機器据付から稼働試験、社内トレーニングまで、タイ側パートナー企業と密に連携。
  5. フォローアップ報告書作成:補助金交付後の実績報告に必要なデータ収集と報告書を一貫作成し、返還リスクを排除。

設備投資とDX化を同時に進めるには、補助金の知識と現地で動く技術・組織のノウハウを掛け合わせることが成功の鍵です。TOMASTECHは、制度選定から現場実装まで「丸ごと支援」を提供し、御社のタイ進出を強力に後押しします。

タイ進出時に起こりやすい課題と失敗例

タイ進出には大きなチャンスがありますが、制度の適用条件や現地パートナーとの連携を誤ると、計画通りに進まないケースが少なくありません。ここでは、特に多く見られる“落とし穴”と代表的な失敗例を解説します。

制度への誤解(BOI=すべて優遇ではない)

多くの企業が「BOI認定=全ての優遇措置が無条件で適用される」と誤解します。しかし、実際には以下のような要件があります。

  • 土地取得要件:BOI優遇を受けても、土地所有は「払込資本金」や「雇用人数」など一定の基準を満たす必要がある。
  • 申請対象外事業での申請:規制産業(外国資本比率制限業種)を事前確認せず申請すると、書類不備で長期の審査遅延が発生する。

これを把握せずに土地契約を進めると、後から許可が下りず取引が白紙になるリスクがあります。 

自動車部品の加工設備導入でBOIを申請したものの、「対象外事業」に該当し、3ヶ月以上書類補正に追われた事例も。

取引前に土地取得・申請対象事業をチェックしましょう。

現地企業との認識差/設備仕様の不一致

現地パートナーと仕様確認を怠ると、導入予定の機器が実態に合わず、追加改修や再発注が必要になります。

  • 補助金対象外となった設備:ロボット導入を補助金で賄おうと計画したが、仕様が公募要件(省力化投資補助金の対象)に合致せず、自己負担が発生。
  • 契約トラブル:英語・タイ語双方での契約書が翻訳ミスで食い違い、保証範囲を巡る交渉が長引く

MESパッケージ導入時に、「クラウド運用」と「オンプレミス運用」の前提が食い違い、追加ライセンス料10万USDの支払いを余儀なくされたプロジェクトがあります。

  • 設備仕様がBOI補助対象外だった事例
  • 契約トラブル・言語壁による意思疎通の課題

手続き・契約・技術要件の各フェーズで専門家を入れることで、思わぬ時間ロスや追加コストを防げるでしょう。

TOMASTECHが提供する「タイ進出まるごと支援」

タイ進出の成功には、制度理解だけでなく設計から実行までの一気通貫サポートが欠かせません。TOMASTECHでは、御社の立ち上げ計画に合わせて以下の3つをワンストップで提供します。

1. 制度設計からスタート

進出計画を練る初期段階で、BOI・補助金制度の要件を整理します。

  • 申請タイミングを見越したスケジュール策定
  • 資本金や雇用計画を織り込んだ最適スキーム設計

「早めに要件をクリアしておくことで、法人設立後すぐに優遇措置を活用できます」

2. 設備・システム要件のマトリクス化

生産ライン全体を俯瞰し、BOI認定を見据えたシステム構成を定義します。

  • 自動化ロボットやMES、エネルギー管理ツールの組み合わせ
  • タイ側設計会社へ渡す発注仕様書(RFP)の整備

導入計画段階で仕様を固めるため、後からの手戻りを大幅に削減できます。

3. 現場実装と定着支援

据付から稼働テスト、トレーニングまで、現地実装を徹底サポート。

  • 技術ドキュメントの多言語化(日本語/英語/タイ語)
  • スタッフ向け教育カリキュラムと報告書作成

現場スタッフが自信を持って運用できる体制を整え、持続的成長を実現します。

タイ進出に関するよくある質問

ここからは、タイに進出することを考えている方からのよくある質問にお答えします。


タイへの進出の際、審査でよくある失敗は?


BOIや補助金の審査では、要件誤認による書類提出ミスが最も多い失敗例です。たとえば土地取得や設備スペックの条件を満たさずに申請すると、後から追加資料を求められて審査が長引きます。また、事前相談を怠って公募要領の細かな仕様確認をしないまま提出すると、要件ズレによる却下リスクが高まります。


補助金とBOI併用時の手続き順序は?


まずBOI窓口で事前相談を行い、投資奨励証明書(Promotional Certificate)を取得します。次に、その証明書をもとに補助金事前相談を経て正式申請書類を提出すると、審査がスムーズになります。最後に設備導入・報告フェーズを進めることで、両制度の優遇を最大限活かせます。


申請の具体的スケジュール感は?


BOI事前相談は約2週間、申請~奨励証交付までに約8週間程度かかります。補助金側は事前相談1~2週間+書類審査・現地調査で約8~12週間程度が目安です。全体では準備から交付まで6〜9ヶ月程度を見込むと安心です。

まとめ:制度・技術・現地実行まで一気通貫で考えるのが成功の鍵

タイ進出を成功に導くには、BOI制度や補助金を単に組み合わせるだけでは不十分です。以下の一連の流れを一貫して設計することが、まさにタイの進出の成否を分けるポイントとなります。

  1. 制度適用のタイミングを見極める
  2. 技術設計で手戻りを減らす
  3. 現場実装まできめ細かくサポートする

BOI制度と補助金の優遇を同時に活用することで、初期投資コストを大幅に抑制できます。一方で、要件を満たす資本金・雇用計画を前倒しで準備しなければ、思わぬ書類補正や審査遅延に足をすくわれるリスクもあります。

自動化ロボットやMESシステムなどの設備を、BOI優遇要件に合わせてシステム要件定義の段階から固めておくことが重要です。これにより、現地パートナーとの仕様すり合わせで生じる手戻りや追加コストを未然に防げます。

最後に、現場での稼働立ち上げからスタッフ教育、フォローアップ報告書の作成までを一気通貫で支援することで、技術移転と組織定着を確実にします。TOMASTECHなら、計画設計から現場実装・教育までをワンストップでサポートし、御社のタイ進出を着実な成果へと導きます。