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2026.10.14

制御盤 熱設計 冷却 選定|タイ工場の方式比較と検収条件

制御盤 熱設計 冷却 選定|タイ工場の方式比較と検収条件

制御盤の熱設計と冷却方式の選定では、盤用クーラーの銘板能力だけを見て発注すると、夏場の停止、結露、フィルタ詰まり、保守費の増加を招きます。特にタイの工場では、空調された部屋の平均温度だけでなく、盤が実際に置かれる場所の最高周囲温度、湿度、粉じん、扉開閉、増設予定を確認する必要があります。本稿は、制御盤の製作・改造を発注する立場から、発熱量の集計、ファン・熱交換器・クーラーの比較、見積依頼書、FAT・SATの検収方法までを整理します。

制御盤 熱設計で最初に決める「守る温度」

盤内温度の目標は、一般的な「盤内35℃」のような一律値から始めないほうが安全です。まずインバータ、サーボアンプ、PLC、産業用PC、電源装置、UPS、通信機器など、盤内の各機器について、メーカーが指定する周囲温度範囲、必要な上下左右の空間、取付姿勢、ディレーティング条件を確認します。機器の仕様書がいう「周囲温度」は、その機器の吸気口付近や設置環境を意味する場合があり、盤の温度センサー1個が示す平均値とは同じではありません。最も厳しい機器の条件と、故障時に生産へ与える影響を合わせて設計値を決めます。

次に、盤が置かれる現場の「最高周囲温度」を決めます。設計室の空調設定値ではなく、設備の稼働ピーク、隣の炉や乾燥機、天井近くへの取付け、壁との隙間、直射日光や熱い配管の影響を含めた設置場所の実測または根拠ある上限値を使います。盤外が盤内目標温度より高くなるなら、外気を取り入れるフィルタファンだけで盤内を目標温度以下に保つことはできません。閉ループの盤用クーラーなど、外気より低い温度を実現できる方式を検討します。nVentの選定資料も、周囲温度と盤内許容温度の差、および盤表面から入る熱を冷却負荷に含めています。nVentの選定資料

「許容温度」と「警報温度」は分けます。許容温度は機器仕様と寿命を考慮した設計上限、警報温度はその上限に到達する前に保全が対応できる値です。停止しきい値は安全と設備保護の設計判断なので、クーラーの標準設定をそのまま採用せず、制御設計者と生産側で合意します。また、盤内湿度が高い場合は温度だけを下げても結露の危険があります。起動・停止時の温度変化、扉開放、洗浄工程、冷却面の露点も確認してください。

熱負荷は機器の定格消費電力ではなく損失で集計する

電気機器の「定格電力」をすべて発熱として合算すると、冷却設備が過大になりがちです。盤内で熱になるのは主に機器の損失です。インバータやサーボアンプなら運転負荷とスイッチング条件に対応した損失、電源装置なら効率を考慮した損失、変圧器なら鉄損・銅損、抵抗器なら実運転で消費する電力を確認します。メーカーが「power dissipation」「heat loss」として提示する値を優先し、複数の運転モードがある装置では同時稼働の組み合わせを記録します。Rittalは、盤内に設置した各機器の熱損失を合算し、最高周囲温度・盤内最高温度・盤寸法を使って必要冷却能力を求める考え方を示しています。Rittalの熱設計資料

損失データが見つからない場合は、型式と運転条件を添えて機器メーカーに問い合わせます。どうしても概算する場合は「仮定」と明記し、FAT前に測定値または確定仕様へ置き換えます。将来増設するサーボやIPCのための余裕は、根拠のない一律係数ではなく、追加予定の具体的な機器・損失・取付場所として別行で示すと見積が比較しやすくなります。機器を増やしても通風経路が塞がれれば、冷却能力を追加するだけでは改善しません。

盤壁からの熱の出入りも無視できません。盤内が外気より暖かいときは盤壁から放熱でき、外気のほうが熱いときは盤壁が熱を取り込みます。Rittalの資料では盤表面の熱移動を有効表面積、熱伝達係数、盤内外温度差で扱い、条件によって必要冷却能力が増減すると説明しています。壁に密着した面や隣接盤に接する面を、全て自由に放熱する面と数えると過小設計になります。屋外設置なら日射と雨・防水も別途考慮してください。

集計項目見積依頼に渡す値確認の注意点
盤内機器の損失型式、台数、運転モード別のW定格入力と損失を混同しない
周囲温度設置場所の最高値と測定条件空調室の平均値で代用しない
盤内目標温度最も厳しい機器の条件を踏まえた上限センサー位置も指定する
盤寸法・設置幅、高さ、奥行、隣接盤、壁面、屋内外放熱できる有効面を確認する
湿度・汚染結露、粉じん、油ミスト、洗浄、水滴開放型か密閉型かを左右する
将来増設追加機器と推定損失・必要空間余裕の根拠を別記する

例:概算熱負荷をどう読むか

以下は方式比較のための仮想例で、製品の定格や推奨能力ではありません。盤内機器の損失合計を600 W、設置場所の最高周囲温度を40℃、盤内目標温度を35℃とします。外気が盤内目標より5 K高いため、盤壁を通じて熱が入る方向です。仮に有効表面積3 m²、実条件に合う熱伝達係数5 W/(m²·K)と置けば、単純な盤壁熱流入は3×5×5=75 Wとなり、合計負荷の目安は675 Wです。ただし係数は盤材、配置、気流、断熱、壁への密着で変わり、日射・扉開閉・局所熱だまりもこの数字に含みません。メーカーの選定ツールで条件を再入力し、定格冷却能力を使用周囲温度で読み替えたうえで実機試験を行います。

この例で「700 W級なら必ず足りる」とは言えません。冷却ユニットのカタログ能力は試験条件に依存し、外気40℃での実能力やコンデンサ側の排熱空間を確認する必要があります。盤内機器の一部だけが35℃を超える局所熱だまりもあります。冷却方式を決める前に、負荷と空間の両方を図面で確認します。nVentの選定資料とRittalのRiThermは、こうした入力条件をそろえて比較するための一次情報です。nVent Cooling Selection Tool/Rittal RiTherm

制御盤 熱設計 冷却 選定|タイ工場の方式比較と検収条件 - figure 1

フィルタファン・熱交換器・盤用クーラーをどう比較するか

フィルタファンは、外気を取り込んで盤内の熱を排気する開放型です。外気が十分に低く、粉じんや油ミストが管理でき、必要な保護等級を維持できる場所では、構成が比較的単純です。しかし外気が盤内目標より高い場合、換気量を増やしても原理上その外気より低い盤内温度にはできません。フィルタの汚れで風量が低下するため、清掃・交換頻度と差圧または温度の監視も含めて選びます。開口を追加すると盤の保護等級に影響するため、盤とファン・フィルタの組み合わせで確認します。

空気対空気の熱交換器は、盤内外の空気を混ぜずに熱を移します。粉じんを盤内に入れたくない場合の候補ですが、外気が盤内より低いことが熱を捨てる前提です。能力は盤内外の温度差に依存するので、暑い時間帯に温度差が小さくなる現場では選定表の条件を慎重に見ます。液体冷却を検討する場合は、冷却水の品質、漏れ対策、配管と保守体制まで別途評価します。密閉性を必要とするからといって、どの熱交換器でも高温の外気から盤内を冷やせるわけではありません。

盤用クーラーは冷凍サイクルなどを使い、盤内を外気より低く制御できる方式です。高温の周囲環境や大きい発熱負荷に対応できますが、電力、排熱、設置寸法、ドレン処理、フィルタや凝縮器の清掃が必要です。盤外側の吸排気が塞がれると能力が落ちるため、壁面・隣接盤との離隔も仕様に入れます。nVentは、盤内を外気より低くする空調では盤壁から熱が入る点を明示し、Schneider Electricは電気盤向けに換気、熱交換、クーラー、結露防止ヒーターを別の選択肢として示しています。nVentの選定資料/Schneider Electricの熱管理製品

方式盤内を外気より低くできるか空気の混合特に確認すること
フィルタファンできないある外気温、粉じん、フィルタ保守、保護等級
空気対空気熱交換器原則できないない盤内外温度差、必要能力、外側の汚れ
盤用クーラーできる通常は密閉系使用周囲温度での能力、排熱、ドレン、電力

この比較表は一次選定の出発点です。実際には取付方式、盤の材質、衛生要求、腐食性雰囲気、洗浄頻度、冗長性、予備品入手、設備停止の損失も決め手になります。カタログ価格だけを比較せず、設置工事、年次保守、フィルタ・ドレン対応、故障時の復旧まで含めた総費用を提示してもらいます。数値を示す場合は、工場の電力単価と運転時間を入れた見積条件を明示してください。

盤内レイアウトと気流:冷却能力が足りても止まる理由

冷却機器の能力が計算上足りても、機器の吸気と排気が短絡すれば局所温度は下がりません。インバータやサーボアンプの上部に熱い空気が溜まる、盤内ダクトが吐出を遮る、背の高い機器が冷風を遮蔽する、温度センサーが冷気の直撃位置にある、といった状態は試運転で見逃されがちです。機器メーカーの離隔指定を守り、風の入口から熱源、排気または冷却ユニット戻りまでを矢印で示したレイアウト図を要求します。

同じ盤の中でも、温度に弱いPLCやIPCと、発熱の大きい駆動機器をどう配置するかで結果が変わります。高発熱機器の上方に温度に弱い装置を置かない、必要なら区画や別盤に分ける、配線ダクトの余裕を保つといった設計変更は、クーラー大型化より合理的なことがあります。ただし空気の仕切りが新たな熱だまりを作ることもあるため、図面と実測の両方で判断します。

扉開閉とケーブル引込口も熱設計の一部です。ガスケットが傷んでいたり引込口の封止が不完全だったりすると、密閉型を選んでも湿った外気・粉じんが入り、フィルタ負担や結露が増えます。工場で洗浄する区域では、洗浄方向と圧力、盤の開口位置、クーラーのドレン排出先を合わせて確認します。清掃担当者がアクセスできない場所にフィルタを置くと、保守計画が形だけになります。

制御盤 熱設計 冷却 選定|タイ工場の方式比較と検収条件 - figure 2

タイ工場で見落としやすい湿度・結露・粉じん

タイの現場を一律に「高温多湿」と決めつけるのではなく、盤の設置区画を調べます。空調された電子部品ライン、屋外近くの搬送設備、切削油ミストのある加工ライン、洗浄エリアでは条件が違います。最低限、稼働時と停止時の温湿度、扉開閉頻度、粉じんや油ミストの性質、水がかかる方向、夜間空調の運用を記録します。温度だけでなく露点を考える理由は、冷却面や停止後に冷えた部材が湿った外気に触れると水滴が生じうるためです。

Schneider Electricは盤内の温度管理に加え、結露防止のためのヒーターを選択肢に挙げています。これは「暑い国だからヒーター不要」という意味ではないことを示します。夜間停止や外気導入時に結露が問題となるなら、湿度センサー、ヒーター、通気方法、扉開放手順を盤全体として検討します。盤用クーラーのドレンは、受け皿があれば十分とは限りません。排水経路、詰まり時の検知、床や電気機器に水を落とさない取り回しをSATで確認します。Schneider Electricの熱管理製品/nVentの温度管理資料

粉じんが多い場所でフィルタファンを使う場合は、定期清掃だけでなく「どの状態になったら清掃するか」を決めます。フィルタ交換前後の風量または盤内温度を記録し、保守間隔を実データで調整します。油ミストで目詰まりするなら、フィルタ材と交換方法を先に確認します。粉じんを盤内に入れられない場合は密閉系を優先し、保護等級と冷却能力を両立できるか設備業者に示してもらいます。

見積依頼書(RFP)に入れるべき条件

「制御盤クーラー一式」だけでは、業者ごとに前提が違い、価格比較が成立しません。RFPには盤の用途と停止影響、機器リスト・損失、現場温湿度、盤内許容温度、盤寸法と取付制約、粉じん・水・油ミスト、必要保護等級、電源、監視信号、保守体制を明記します。候補方式を一つに固定する前に、なぜフィルタファン、熱交換器、クーラーのうちその方式を推奨するのか、選定計算と使用条件で説明してもらうと、性能と維持費を比較できます。

見積には「能力の単位と試験条件」を必ず書かせます。盤用クーラーならカタログの公称能力だけでなく、現場の最高周囲温度、盤内目標温度での正味冷却能力と消費電力、盤外の必要離隔を確認します。フィルタファンならフィルタ装着時の実風量、汚れた状態での運用方針、交換部材を確認します。熱交換器なら盤内外の温度差に対応する能力曲線を確認します。停電・冷却故障時の温度警報、停止条件、通信先も制御仕様に含めます。

RFP項目記入例ではなく、指定する内容
温度条件現場最高周囲温度、盤内目標、警報と停止のしきい値
発熱型式ごとの損失W、同時稼働、将来増設の明細
環境湿度・露点、粉じん、油ミスト、洗浄、水滴、屋内外
盤構造寸法、材質、壁・隣接盤との離隔、開口と保護等級
冷却装置使用条件での能力、電力、排熱、ドレン、騒音、保守
制御温度・湿度センサー位置、警報、故障接点、停止ロジック
引渡し計算書、回路図、部品表、FAT/SAT記録、保守手順、予備品

既設盤の改造では、新設より現地調査が重要です。銘板や図面だけでは、追加配線、予備スペース不足、盤扉の変形、古いガスケット、壁までの距離、既存電源容量が分かりません。現場写真だけで見積を確定せず、盤内外の寸法、機器の現在の温度、ケーブル引込口、保守用のアクセスを確認したうえで改造可否を判定します。盤そのものの更新が必要なら、冷却装置の後付け見積と比較してください。

費用比較は初期価格と運転・停止費を分ける

冷却方式の費用は本体価格だけでは決まりません。初期費用には盤加工、電源工事、取付、ダクト・配管、ドレン、温度監視、試験を含めます。運用費には消費電力、フィルタや凝縮器の清掃、交換部品、定期点検、故障時の出張と生産停止の影響を含めます。メーカーの省エネ率や寿命をそのまま採算表へコピーせず、自社の温度条件・運転時間・負荷率に合うかを確認します。

例えば「年間電力費=平均実消費電力kW×年間運転時間h×契約単価」という式は単純ですが、平均実消費電力を公称最大消費電力と同一視すると評価がずれます。稼働率や温度変動を見積で仮定し、試運転後に実測で更新する形が現実的です。フィルタファンではクーラーより電力が小さい場合でも、粉じんで風量が落ちたときの清掃工数と設備停止を加えます。クーラーでは高温時の実能力と排熱が重要で、単純なW当たり価格の比較では結論を出せません。

発注前に同じRFPを複数社へ提示し、能力の前提、除外範囲、予備品納期、タイ国内の保守窓口を同じ列で比較します。仕様を満たさない安値案を「同等品」と扱わないことが重要です。一方で過大能力の装置を買えば安心というものでもなく、盤内気流、結露、設置スペースの制約は残ります。価格差の理由を、性能、保守、施工範囲で説明できる見積が望まれます。

比較表には、価格に含まれない項目も書き込みます。盤の穴あけ、補強、既設配線の移設、クレーンや高所作業、休日工事、試運転中の生産立会い、図面の更新、保守教育が「別途」だと、契約後に予算が膨らみます。輸入機器を選ぶ場合は、タイ国内での交換品の入手方法と、故障時に同じ取付開口へ代替機を付けられるかを確かめます。初期見積が低い案でも、冷却停止時の復旧に数日を要するなら、生産上の評価は変わります。

もし複数の盤を一度に更新するなら、盤ごとに熱負荷を一括平均しないでください。機械に近い盤、天井近くの盤、外壁側の盤は周囲条件が違います。共通仕様を作りつつ、各盤の熱源と設置場所に応じて方式・能力を決めます。クーラーの機種を少数に揃えれば予備品管理は容易になりますが、能力不足や過大選定を招かないことを先に確認します。

FATとSATで何を検収するか

FATは出荷前に、図面と組立の一致、機器型式、配線、アラーム、温度センサー位置、冷却ユニットの起動停止、ドレン経路、保護等級に関わるシールを確認する段階です。実盤に模擬発熱を与える場合は、その熱量と位置、時間、室温を記録し、現場負荷との差を明示します。工場試験室の空調下で「盤内35℃を維持した」だけでは、タイの現場最高周囲温度での合格証明になりません。試験条件が違うことを認識して、SATの判定条件を残します。

SATは設置先で行います。設備を通常運転だけでなく、発熱が最大となる妥当な運転組み合わせで動かし、盤外、盤内の代表点、最も厳しい機器の吸気付近を測定します。周囲温度が設計最高値より低い日に試験する場合、温度差を換算して無条件に合格とせず、メーカーの能力曲線、追加試験計画、再確認の期限を取り決めます。センサー校正、測定器の型式、測定周期、安定判定の基準も記録します。

冷却能力だけでなく、故障時の動作を試します。ファン停止やクーラー異常を安全な方法で模擬し、アラームが正しい宛先へ届くか、警報から設備停止までの手順に矛盾がないかを確認します。フィルタが汚れたときに保全が気付けるか、ドレンが排出先へ流れるか、扉のガスケットとケーブル引込口に隙間がないか、盤外側の排熱が作業区域へ悪影響を及ぼさないかも検収対象です。運転後の温度ログを初期基準として保存すると、季節変化や汚れによる悪化を判断しやすくなります。

制御盤 熱設計 冷却 選定|タイ工場の方式比較と検収条件 - figure 3

FAT/SATの合格基準を数値と場所で書く

「過熱しないこと」という条件だけでは、業者と購入者で解釈が分かれます。各測定点、運転条件、継続時間、盤外温湿度、盤内温度上限、警報が出るしきい値、異常時の対応を表にします。温度上限は最も弱い機器のメーカー仕様に整合させ、センサーが測る空気温度だけで機器内部温度を推定しないようにします。試験で設定最高周囲温度を再現できない場合は、何を検証できたかと未確認項目を分けて引き渡します。

検収記録には、盤の識別番号、図面版、冷却装置型式、測定器の校正状態、測定開始・終了時刻、運転負荷、温度ログ、写真、是正事項と再試験結果を残します。委託先が変わっても同じ条件で再評価できるようにするためです。保守説明では、フィルタ・凝縮器・ドレンの点検周期、交換部材、異常時の連絡先、設定値を変える権限も引き継ぎます。

既設盤を改造するときの判断順序

既設の制御盤が暑いと分かったとき、すぐにクーラーを追加する前に、停止時と稼働時の温度を測り、熱源を特定します。盤内に後から追加したドライブ、塞がれた通風口、老朽化したファン、汚れたフィルタ、閉まらない扉、周囲設備からの輻射など原因が異なるためです。保全作業で解消できる不具合と設計容量が不足している問題を分けます。

次に、現行盤の構造が追加冷却機器を支えられるか確認します。側面取付のクーラーは盤壁の強度、開口、保護等級、扉の開閉、壁との離隔に影響します。電源容量と保護機器、停止時のアラーム配線、ドレンの安全な排出先も必要です。加工によってメーカーが保証する盤の保護等級が変わる可能性があるため、盤メーカー・冷却機器メーカー・制御設計者の責任範囲をRFPで明確にします。

既設盤の熱負荷が大きく、将来増設が多い、または内部が過密なら、盤を大きくする・熱源を別盤に分ける案も比較します。後付けクーラー1台の価格が低く見えても、保守スペースや配線余裕が無くなるなら長期的な改修余地を失います。タイ工場の制御盤設計・製作に関する記事も、盤構造と発注範囲を検討するときの参考になります。

関連する自動化設備とのつなぎ方

制御盤の熱設計は盤だけで完結しません。装置が増設されるとモータドライブと電源の損失が増え、盤内の発熱も変わります。たとえば搬送ラインを追加するときは、ローラコンベヤの選定で決めた駆動方式と同時稼働数を盤設計へ戻します。部品供給を増設するなら、自動ねじ供給機の選定で決めた制御機器やエア源の追加が盤内負荷にどう影響するか確認します。

PLCやドライブの型式を変更したら、以前の熱計算を再利用せず損失一覧を更新します。機械設計・電気設計・保全が同じ部品表とレイアウト版を参照できるようにしておくと、納入後の「なぜクーラー能力が足りないのか」という責任の押し付け合いを避けられます。熱設計の計算書は、盤図面・機器データシート・試験ログと同じ改訂管理に入れるのがよいでしょう。

計測点と保守ログを先に設計する

熱設計は納入時の一回限りの計算ではありません。盤内温度のセンサーを冷却装置の吐出口のすぐ前に置けば、表示温度は低くても発熱機器の吸気側は高温という状態を見逃します。測定点を決める際は、最も温度条件が厳しい機器、最大の発熱源、盤上部の熱だまり、冷却装置の戻り側を候補にします。全てに常設センサーが必要なわけではありませんが、FAT/SATでどこを測るかを決め、必要な常設点と一時測定点を区別します。盤外の温湿度も同時に記録しないと、季節による変化と冷却性能の劣化を切り分けにくくなります。

センサーの数値は、管理者が次の行動を取れる形で使います。警報が出たらフィルタの状態を確認する、凝縮器を清掃する、扉とガスケットを見る、周囲の熱源を確認する、といった診断順序を保守手順に落とします。故障接点をPLCへ接続しても、誰も監視しない画面に表示するだけでは意味がありません。通知先、夜間の連絡先、設備を止める権限と復旧条件を決めます。配電盤の状態監視に関する記事で扱う電気的な劣化監視とは目的が異なりますが、温度ログを設備IDと時刻に結び付ける運用は共通します。

保守履歴には温度だけでなく、フィルタ交換日、清掃前後の状態、クーラー異常コード、ドレン点検、盤内機器の追加日を残します。たとえば盤内温度が徐々に上がった場合、同じ周囲温度・同じ運転負荷で比較しなければ、フィルタ汚れなのか、生産量が増えたのか判別できません。インバータ増設後に温度が上がったなら、冷却装置の故障を疑う前に損失表を更新します。これらの記録は次の盤製作の見積精度も上げます。

冷却の故障を設備の停止へどう結び付けるか

全ての温度警報で装置を即停止させると不要な停止が増えます。一方、冷却故障を放置すれば機器の保護動作や寿命低下につながります。警報と停止の二段階を設ける場合は、どの温度を何分継続したら警報とするか、運転負荷を下げられるか、安全な停止シーケンスは何かを制御仕様に書きます。温度センサー自身の断線・通信異常も検知対象にし、「値が取れないので正常」とは扱いません。安全回路や保護機能への変更が必要なときは、盤製作業者だけで決めず設備のリスク評価に戻します。

夏のピークが来るまでSATで最高周囲温度を再現できないことは珍しくありません。その場合は「出荷時に確認した条件」「現地で確認した条件」「未確認の最高温度条件」を記録して引き渡し、再確認日と責任者を決めます。初回の暑期に温度ログと警報履歴を点検し、選定時の熱負荷仮定と実測値を比較します。この見直しまで含めると、保守担当者が異常を早めに発見でき、次の設備増設の可否も判断しやすくなります。

よくある質問

制御盤の冷却はフィルタファンだけで足りますか?

盤内の許容温度、盤の最高周囲温度、機器損失、粉じんや保護等級の条件で決まります。外気が盤内目標より高い場合、外気を取り入れるファンだけで目標以下にはできません。外気が十分低くても、フィルタ詰まりや盤内の気流短絡を考慮してください。方式を決める前に損失表と現場の最高温度を確認します。

制御盤用クーラーの容量は何Wで選びますか?

機器損失の合計だけでなく、盤壁を通る熱、屋外なら日射、現場の最高周囲温度、盤内目標温度を含めて求めます。カタログの公称Wは試験条件によるため、現場条件での正味能力をメーカーの選定表またはツールで確認してください。容量に余裕を加える理由と、盤内の気流設計を別々に示すことが重要です。

密閉型の制御盤なら結露は起きませんか?

密閉型でも、扉の開閉、ガスケット劣化、ケーブル引込口、停止時の温度変化などで湿った空気が入り得ます。冷えた面が露点を下回る状況も確認します。必要なら湿度監視、結露防止ヒーター、ドレン管理、運用手順を設計に含めてください。

タイ工場の制御盤製作・冷却改造をどう依頼しますか?

盤の型式と図面、機器損失一覧、現場の最高温湿度、粉じん・水・油ミスト、盤内目標、設置スペース、保守条件を揃えてRFPにします。候補業者には同じ条件で方式と計算根拠、施工範囲、FAT/SATの合格基準、現地の保守窓口を提示してもらいます。既設盤なら現地調査を見積工程に含めてください。

まとめ:冷却装置を買う前に盤と現場を一緒に設計する

制御盤の熱設計は、機器損失と現場の最高温湿度を確認し、盤壁からの熱移動と盤内気流を考慮して、冷却方式を選ぶ作業です。外気より低い盤内温度が必要か、粉じんを入れられるか、結露をどう管理するかで、フィルタファン、熱交換器、盤用クーラーの適否が変わります。RFPに前提と検収条件を書き、FATで組立と制御、SATで実際の設置条件を確かめれば、購入後の手戻りを減らせます。

タイ工場の制御盤新設や既設盤の冷却改造を検討中なら、機器リストと現場条件が揃う前の段階でもTOMAS TECHに相談できます。発熱の見積、冷却方式の比較、現地調査とFAT/SATの条件整理から一緒に検討します。

参考情報