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2026.10.08

代替部品の承認管理|タイ工場のBOM・MRP・実績をつなぐRFP

代替部品の承認管理|タイ工場のBOM・MRP・実績をつなぐRFP

「代替部品 承認 管理」を検討するとき、承認欄を一つ増やすだけでは不足します。購買が見つけた代替候補が製品・顧客・工場・期間に適合するか、承認前にMRPが使わないか、製造指図へどの版を渡すか、実際に投入した部品ロットを後から追えるかが一続きの課題です。本稿はタイ工場の技術、品質、購買、生産管理、現場の責任を整理し、代替部品管理システムのRFP、FAT、SATに転記できる要件と受入試験を提示します。特定製品の標準機能や導入成果を保証するものではありません。

代替部品の承認管理は「使ってよい条件」の管理である

代替部品は、元部品が不足したときに同じ棚から取り出す別品番、というだけの意味ではありません。形状、電気的・機械的特性、材料、規制物質、耐久性、顧客指定、工程条件、検査方法まで含めて、どの製品のどの版に、どの工場で、いつから、どの数量・ロットまで使えるかを決める必要があります。「形が入る」と「量産に投入してよい」の間には承認があります。元部品と候補品に同一サプライヤ品番が書かれていても、包装単位や製造拠点が違えば受入試験やトレーサビリティの条件が変わることがあります。

ここで管理する対象を五つに分けます。第一に候補は購買や設計が検討中の品目であり、まだMRPに選ばせません。第二に技術適合は図面、公差、仕様、ソフトウエア、工程治具との関係です。第三に品質適合は試験、初品、供給者証跡、顧客承認の要否です。第四に使用許可は製品、BOM版、サイト、有効日、ロット、数量、期限に結び付いた判定です。第五に使用実績は実際に払い出し・投入した品目とロットであり、許可された候補一覧とは別の事実です。この五つを一列の「承認済み」フラグに押し込むと、技術は承認したが顧客承認が未着、タイ拠点は可だが別拠点は不可、といった状態を表せません。

Microsoft Dynamics 365 Supply Chain Managementの資料は、BOM・フォーミュラの代替候補をplan groupと優先順位で扱い、計画時に優先品が使えなければ利用可能な代替候補を選ぶ設定を説明しています。一方、その機能が自社の契約、版、顧客承認、品質試験のすべてを自動判定するとは書かれていません。代替候補の登録と、その候補を特定の注文・ロットで使う許可を別の制御として設計するのが安全です。製品ごとのバージョンや設定条件も確認してください。Microsoftの代替品目の説明を製品例として参照できます。

「代替候補」「承認済み」「今回の投入許可」を混同しない

候補の登録は選択肢を持つこと、承認は条件付きで使えること、投入許可は当日の製造指図と実ロットがその条件を満たしたことです。承認済みの代替材でも、顧客A向けには不可、顧客B向けには可ということがあります。承認有効期間内でも、仕入れた特定ロットが品質保留なら投入できません。逆に緊急製造の一回限りの逸脱許可がある場合は、恒久的なBOM変更と混ぜず、対象注文、数量、承認者、期限を限定して残します。現場端末が表示する「使用可」は、この三層の判定を経た結果であるべきです。

代替と設計変更の境界を決める

設計上、元部品と代替部品を並行して認めるのか、旧品を新規品へ置き換えるのかで運用は異なります。前者は複数候補の優先順位と使用条件、後者は切替日、旧在庫の消化、開放済み製造指図と仕掛品の扱いが中心です。MicrosoftのBOM資料では、BOM版の有効性を期間、数量、サイト、製品寸法などで制約でき、承認と有効化は別の概念として扱われます。これは特定ERPの実装例です。自社RFPには「どの条件を評価し、境界日にどう判定するか」を製品名に依存しない試験で書きます。BOMとフォーミュラの版・承認も確認材料になります。

代替部品の承認管理|タイ工場のBOM・MRP・実績をつなぐRFP - figure 1

代替部品の承認フロー:技術・品質・購買・生産管理の判定を分ける

推奨するフローは、申請、技術評価、品質評価、調達評価、影響承認、発効、投入確認、失効の八段階です。部門名は会社によって異なりますが、責任を消してはいけません。承認者が不在の場合の代行権限、職務分離、後追い承認の禁止も定義します。候補申請に添付する証拠は、規格書や図面だけでなく、メーカー品番、供給者、材料宣言、試験成績、ロット識別、現行品との差分、対象顧客の制約、切替希望日です。書類を揃える前に「承認」を押せる設計は避けます。

段階主担当入力・判断次段階へ進む条件
申請購買・設計不足、廃番、価格変更などの理由、候補品番、供給元候補と元部品の同一性・差分を記録
技術評価設計・生産技術図面、機能、設備、治具、工程パラメータ、代替比率適合範囲と追加試験を明示
品質評価品質保証受入、初品、信頼性、環境・顧客要求、供給者証跡合格・不合格・条件付き保留を区別
調達評価購買供給能力、価格、最小発注量、納期、発注単位承認済み供給者と品目を対応付け
影響承認製品責任者・必要なら顧客対象製品、BOM版、サイト、既存注文・在庫への影響必須承認が揃い、例外条件が残らない
発効マスタ管理者有効開始・終了、旧版、計画反映、配布先ERP/MRP/MESの受信・整合を確認
投入確認倉庫・製造・品質実ロット、製造指図、ライン、残量、品質状態対象指図で有効か判定し使用を記録
失効・再評価技術・品質有効期限、仕様改訂、不具合、顧客通知新規投入を停止し、使用済み範囲を照会

一人が候補を作り、技術評価を承認し、品質保留を解除し、在庫を払い出せる設計は、忙しい現場では便利に見えます。しかし誤投入の事後調査で「誰がどの根拠を見たか」が分かりません。人員が少ない工場では完全分離が難しいため、代理承認の条件と管理者による日次・週次レビューなど代替統制を定めます。権限と監査ログの設計は生産管理システムの権限管理も参照してください。承認フローの画面より、判定に使った版と証跡が改ざんされず結び付くことが重要です。

顧客承認と社内承認の順序

顧客図面、契約、品質協定に事前承認や変更通知がある場合、社内承認だけで量産を始めてはいけません。「顧客承認が必要か」「必要なら受領済みか」「どの顧客・製品・改訂に効くか」を別フィールドとし、未受領なら計画上の候補にとどめ、発注や投入を止めるかは契約に合わせて決めます。Microsoftのengineering change orderの資料にも、顧客承認要否と受領状態を持つフィールド例があります。ただし、どのイベントでシステムが自動停止するかは構成依存です。RFPでは顧客承認待ちを含む業務テストで確認します。

緊急代替を恒久承認に変えない

設備停止や入荷遅延に対し、限定的な逸脱を認める手順を持つ会社もあります。その場合でも、通常承認の基準を緩めるのではなく、逸脱番号、理由、承認者、使用数量、対象指図・ロット、終了時刻、追加検査、顧客同意の有無を残します。上限数量を超えたら自動的に止まること、同じ逸脱番号を別指図へ転用できないことを受入条件にします。事後承認が必要な契約や規制があるかは製品ごとに確認します。現場から「今日だけ」の依頼が来たときに初めてルールを考えると、代替部品管理は口頭運用へ戻ります。

BOM・MRP・ERPで代替部品をどう表現するか

代替部品の承認記録をExcelに置き、ERPのBOMには元部品だけ残すと、MRPは欠品と判断して元部品を買い増し、現場は別の代替品を使うことになります。逆に、未承認の候補をBOMへ入れてしまうと、計画や購買がそれを使えるものとして扱う可能性があります。承認記録、BOM、MRP、購買、在庫、MESの間で「どこが正本か」「どの時点で渡すか」を決める必要があります。既存MRPの基本とマスタ鮮度についてはMRPシステムとマスタデータの解説を参照してください。本稿は特に代替品の条件付き許可と実績に焦点を当てます。

情報正本候補必須の識別・条件下流へ渡す内容
品目・メーカー品番ERP/MDM社内品番、メーカー品番、仕様版、単位承認候補の同一性
代替関係技術承認基盤/PLM/ERP元品、候補品、対象親品・BOM行、顧客、サイト、状態許可された関係と制約
BOM・レシピPLM/ERP版、有効日、数量、歩留まり、優先順位MRPと製造指図への計画条件
供給者・購買条件ERP/購買供給者、メーカー、契約、納期、単位、発注ロット発注可能な供給源
品質状態QMS/ERP/WMS品目・受入ロット、検査、保留/解除払出可否
製造指図ERP/生産管理注文、製品版、BOM版、数量、サイト、時刻MESが照合する許可条件
実際の投入MES/現場収集指図、工程、部品品番、ロット、数量、時刻在庫・原価・系譜への事実

この表の正本は例であり、すべての工場で同じではありません。設計BOMをPLM、製造BOMをERP、投入許可をMESに持たせる構成でも、どのシステムが承認済みの関係を確定するかは一つに決めます。同じ代替可否をERPとMESで個別編集すると、どちらが正しいか判定できなくなります。ERPと生産管理の連携設計で扱うデータ契約、再送、取消も、代替部品の発効通知に適用できます。

MRPが選ぶ代替と、現場が実際に使う代替は別

MRPは需要と供給から、ある時点でどの部品を計画へ割り付けるかを提案します。実際の部品ロットは受入検査、棚移動、ライン変更、品質保留により変わり得ます。したがって、計画結果をそのまま消費実績として記録してはいけません。計画品A、払出品B、実投入品Cという不一致があれば、B/Cのどの段階で許可条件が再評価されたか追跡します。システムによって代替選択のタイミングが計画、製造指図確定、払出時で異なるため、ベンダーデモでは三つの時点を必ず分けて見せてもらいます。

有効日だけでは足りない「適用条件」

承認レコードには少なくとも、元品目、代替品目、適用する親製品またはBOM行、製品・BOMの版、顧客、サイト、有効開始・終了、数量制限、供給者、品質状態、承認証跡、改訂理由、失効条件を検討します。全項目が必ず必要という意味ではありません。例えば単一製品・単一拠点でも、顧客別制限がないことを明示すべきです。製造指図が切替前に発行され、切替後に着手する場合の判定基準は、有効日だけでは決まりません。「指図発行時」「材料払出時」「実投入時」のどれで版を固定するかを決め、既発行指図の再評価手順も定義します。

数量換算、歩留まり、価格差を承認データに含める

一個対一個の代替とは限りません。単位が個と箱、重量と長さで異なる場合は換算率、丸め、最小払出単位、端数、歩留まりを確定します。例として、元品1個に対して候補品2個を使う設計なら、BOM上の数量とMRPの所要量が変わります。単価だけを比較しても、必要数量、スクラップ、輸送費、検査費で総コストは変わります。これらは社内の例示であり、代替すれば原価が必ず下がるという主張ではありません。購買評価と生産原価の差異勘定までつなぎ、承認者が見た想定と実績を比較可能にします。

代替部品の承認管理|タイ工場のBOM・MRP・実績をつなぐRFP - figure 2

MESと倉庫で誤投入を止め、代替部品のロットを追う

承認済みリストが整っても、ラインに置かれたリールや箱が正しいとは限りません。バーコードや二次元コードを読んだ時点で、品目、ロット、品質状態、対象指図、工程、設備、BOM版、数量上限を判定し、誤りなら理由を表示して投入を止める設計が必要です。端末がオフラインになる工場では、承認ルールのローカル版、期限、再同期後の二重登録防止も決めます。物理的に投入を止められない工程なら、誰がどの時点で保留へ移すかまで書きます。

使用実績には「元部品Aを許可していた」というマスタ情報ではなく、「製造指図Oの工程Pで代替部品Bの受入ロットLを数量Qだけ時刻Tに投入した」というイベントを残します。取り消しや修正があれば元イベントを消さず、参照する訂正イベントを追加する運用が監査に適します。Microsoftの電子バッチ記録の説明には、BOM/フォーミュラ版、計画数量と実使用数量、製造中に代替した原材料、ロット属性、品質オーダーを照会する機能例があります。採用ERP・MESに同じ機能が標準であるとは限らないため、要求する照会画面とデータ出力をFATで確認します。

GS1のEPCIS/CBV 2.0は、物品の何が、いつ、どこで、なぜ、どのように動いたかを共有するイベントデータの標準です。工場内外でロットや物流単位のイベントを交換する設計の参考になります。ただしEPCISが承認ワークフローやERPのBOMを定義するわけではありません。代替の承認ID、実投入ロット、製品ロット、出荷先を自社データモデルで結び、必要な取引先へ適切な形式で渡します。GS1 EPCISの公式説明はイベント共有の範囲を示しています。

逆引きできる最小の系譜

製品ロットから、どの製造指図、BOM版、実投入部品・ロット、供給者ロット、承認レコードを使ったかを辿れることを受入条件にします。反対方向には、不具合が見つかった代替部品ロットから、影響する製品ロット、未出荷在庫、出荷済みの顧客と注文を抽出できることが必要です。複数ロットを一つの製品ロットへ投入したときは全入力を残し、分割、再加工、返品交換も別イベントとして繋ぎます。GS1のグローバル・トレーサビリティ標準は識別と記録・共有の考え方を示しますが、工場で必要な粒度は契約・製品リスク・規制に合わせて決めます。

品質保留と承認取消の扱い

承認された代替品でも、入荷ロットの試験結果が未確定なら保留です。品質システムは受入や製造のオーダーに検査を紐づけられる構成があります。Microsoftの品質オーダー資料は、購買・生産・隔離などを参照した検査と結果の記録を説明しています。自社の要件では、検査待ち、合格、不合格、条件付き解除の状態を決め、在庫利用可否へ連動させます。承認取消時は、未来のMRP計画と未着手指図への適用を止めるだけでなく、既投入ロットの照会、在庫保留、顧客通知要否、品質処置まで段階化します。取消と過去の使用履歴は混同せず、履歴を消さない設計にします。

タイ工場で増える境界条件:本社・現地・供給者

タイ拠点では、製品設計と顧客契約を日本本社が持ち、購買と受入検査を現地法人が担う構成があります。このとき「本社の代替承認」がすべてのタイ工場・顧客へ自動適用されるわけではありません。申請のタイ語・英語・日本語の品名がずれ、現場はメーカー品番だけを見て払出す場合もあります。言語表示は複数持っても、照合キーは安定した社内品目IDとメーカー品番に統一し、翻訳された名称で同一性を判断しないようにします。承認の時刻はタイ現地時刻とUTCオフセットを明示し、夜間バッチで日付境界をまたぐ場合の有効判定を試験します。

輸入した代替材では、発注時と受入時の供給者・製造者・原産地が異なることがあります。承認範囲がメーカー単位なのか製造拠点まで限定するのか、購買契約と顧客要求で決めます。生産中に元部品と代替品を混在させる場合、同一製造ロット内で許すか、ライン・時間帯・製造指図を分けるかも品質が判断します。後から影響製品を絞れない混在は、購買上の柔軟性があっても運用上の損失になり得ます。特定のタイ法規や業界規制を一律に適用する前提にはせず、顧客仕様、輸出先、製品分野の条件を案件ごとに確認します。

承認者が別拠点にいる場合のSLA

技術承認を本社に依頼し、現地工場は当日の生産を守る必要があるなら、申請から一次判断までの目標時間、追加資料の要求経路、期限まで回答がない場合の扱いを決めます。「承認が遅いから使う」状態を防ぐには、未承認を可として表示しないことと、代替以外の選択肢を計画で可視化することが重要です。元部品の輸送前倒し、生産順序の変更、対象注文の延期も比較します。代替部品が最速の手段とは限りません。SLAは契約上の約束ではなく社内運用の目標として設定し、実測して調整します。

代替部品管理システムのRFPに書くべき要件

RFPは「代替部品を登録できる」「承認ワークフローがある」と書くだけではベンダー比較になりません。候補の条件、判定の時点、失効と訂正、システム間の整合、実ロットへの追跡を同じサンプルデータで試験できる形へ落とします。特定ERPに組み込む場合と独立した承認基盤を置く場合では費用・変更範囲が異なりますが、受入すべき業務結果は共通化できます。基本機能が標準、設定、拡張、連携、運用手順のどれで実現されるかを回答欄に分け、制約と追加費用を見えるようにします。

RFP項目書くべき条件ベンダーに示してもらう証拠
データモデル元品・候補・親品/BOM行・顧客・サイト・版・期間・数量・供給者実画面、項目定義、APIまたはCSV例
承認技術・品質・購買・顧客承認要否、代行、差戻し、職務分離未承認では発効しないデモと監査ログ
計画MRPの代替選択時点、優先順位、在庫不足、品質保留の扱い同一需要に対する選択結果と理由
発効境界日、既発行指図、仕掛、旧在庫、遡及変更の扱い変更前後の注文・指図を使った比較
現場払出・実投入時の品目/ロット照合と例外処理誤品、期限切れ、数量超過の拒否画面
系譜製品→代替ロットと代替ロット→製品・出荷の双方向サンプルでの検索結果とエクスポート
連携メッセージID、版、再送、取消、順序逆転、オフライン障害後の再実行と差分照合ログ
運用権限、バックアップ、監視、マスタ更新責任、教育運用手順書、復旧試験、責任分担表

データ契約を「承認IDまで」で終わらせない

ERPからMESへ承認IDだけを送っても、MESはその承認が指図・品目・ロットへ効くか判定できません。下流が必要な条件、版、発効時刻、取消情報を送るか、判定APIへ問い合わせる必要があります。同期処理は更新時刻だけでなく、単調に増える版やイベントIDで重複と順序を扱います。通信が切れたときの既存指図の扱いも決めます。最新承認を受け取れない端末に無期限で「可」を返させないため、ローカルキャッシュの有効期限と手動承認の権限を定めます。

見積比較では初期費用だけを見ない

標準機能で代替グループを表現できても、顧客別制限、品質保留連動、製造実績のロット逆引きには拡張やMES連携が必要な場合があります。見積ではマスタ整備、現行BOMの差分調査、承認証跡の移行、端末・ラベル、インターフェース、FAT/SAT、教育、障害対応、保守まで含めます。ベンダーが「できます」と回答した項目でも、標準版で再現できるか、デモ専用の個別開発かを区別します。費用やROIを推定する場合は、対象品目、変更頻度、現状の再作業工数、影響ロット数などの実測値を用い、仮定と感度を明示してください。本稿は価格相場や改善率を創作しません。

FAT/SATで試すべき具体的な代替部品シナリオ

工場へ入れる前のFATでは、画面を順番に見せるだけでなく、あらかじめ合格・不合格が決まる試験データを使います。SATでは現地の品目、BOM、ラベル、端末、ネットワーク、作業権限で同じ判定が出ることを確認します。以下はRFPに添付できる例示シナリオです。番号、数量、日付は説明のための仮定であり、製品や顧客の実データではありません。

  • 通常承認:元品Aを使う製品PのBOM版V1に対し候補Bを申請。技術・品質・購買が承認し、必要な顧客承認を受領してから有効化する。承認前のMRP、発注、払出にはBを候補として採用させない。
  • サイト限定:同じ製品Pでもタイ工場Tは使用可、別工場Uは不可に設定。Tの製造指図ではBを提示し、Uでは提示しない。サイトを変更した既存指図も再判定する。
  • 版境界:BはBOM版V2だけに有効。V1で発行済みの指図O1と、V2で新規発行したO2で異なる結果を返す。V1の仕掛をV2へ切り替える手順がない限りO1を黙って上書きしない。
  • 有効期間:仮に10月15日08:00 ICTから有効とする。07:59と08:00、タイムゾーンが異なる本社端末、夜間のMRPバッチで同じ境界判定を再現する。
  • 数量上限:一回限りの逸脱許可で仮に300個までとする。299個投入後の1個は許可し、さらに1個は拒否する。取消・再入力が残数を不正に増やさない。
  • 品質保留:承認済みBのロットL1を受入検査で保留。MRPが候補をどう見せるかと、倉庫払出・現場投入が拒否されるかを分けて確認する。ロットL2が合格ならL2だけを許可する。
  • 顧客限定:顧客C1の注文では許可、C2では顧客承認待ちとして拒否。共通在庫の棚に両方の注文が並んでも注文単位で判定する。
  • 通信障害:MESがERPから取消通知を受ける前にオフライン化。キャッシュの版と期限を表示し、規定時間を過ぎれば投入を停止。復旧後に重複イベントを作らず再同期する。
  • 逆引き:代替BのロットL1を製品ロットF1とF2へ投入した想定で、F1からB・L1・承認IDへ、L1からF1/F2と出荷先へ到達する。未出荷と出荷済みを区別する。
  • 取消:承認Bを失効させたとき、未着手指図、払出済み在庫、仕掛、完成品、出荷済み品を一覧化。使用済み実績は消さず、品質処置の判断に残す。
代替部品の承認管理|タイ工場のBOM・MRP・実績をつなぐRFP - figure 3

各試験には、前提データ、操作、期待結果、証跡、担当者、環境、合否を記録します。「エラーが出る」だけでなく、誤投入が物理工程に進まないかを観察します。標準品と代替品を現物で用意し、ラベルの読み違い、同じメーカー品番の異包装、単位換算、端末言語も含めるとSATの価値が上がります。受入判定は一度のデモではなく、障害復旧後に同じ試験を再実行できることまで含めます。

90日で進める導入計画と測定指標

ここで示す90日は契約納期や成果保証ではなく、検証範囲を限定するための計画例です。第1段階で代替が頻発する一製品群を選び、元品・候補・顧客・供給者の関係と過去の例外を洗い出します。第2段階で責任者と状態遷移、BOM/ERP/MRP/MESの正本と連携条件を決めます。第3段階で最小限のマスタと承認、実投入の記録を試作し、FATの拒否シナリオを通します。第4段階でタイ現地の一ラインに限定してSATを実施し、部品・製品ロットの双方向照会と障害復旧を確認します。全工場へ横展開する前に、対象外の品目と条件を明示します。

測定候補は、申請から技術判定までの時間、品質判定待ち、顧客承認待ち、発効後に下流へ届くまでの遅延、承認条件に合わない払出の検出件数、実投入ロットの記録完了率、代替ロットから影響製品を特定する時間です。検出件数は導入直後に増える場合があり、それだけで悪化とは言えません。分母、対象工程、測定時刻、除外条件を定め、導入前後を同じルールで比べます。現場の入力工数も合わせて測り、統制を強めた結果として作業負担が過大になっていないか確認します。

例示の優先順位付け

仮に候補案件が20件あり、すべてを同時にシステム化できない場合、直近の欠品リスク、影響する製品・顧客数、既存承認証跡の有無、ロット追跡の難しさで並べます。これは社内優先順位を決める例で、20件という数字は実態調査ではありません。最初に「毎週のように代替するが承認条件が明確な品目」を選ぶと判定ロジックを検証しやすく、次に顧客限定や一回限りの逸脱を追加できます。危険度の高い品目を単に後回しにせず、既存の手動保留・複数人確認を維持しながらシステム移行順を決めます。

よくある質問:代替部品の承認管理

代替部品をBOMへ登録すれば承認管理は完了しますか?

完了しません。BOMは構成や計画条件を示せても、技術・品質・顧客承認の根拠、供給者、適用範囲、品質保留、実投入ロットまで表せるとは限りません。BOMに入れる前の候補状態、発効条件、現場での再照合を別途設計します。ERPに標準機能がある場合も、自社の条件を設定と試験で確認します。

元部品が欠品したらMRPは承認済み代替部品を自動で選びますか?

製品と設定によります。Microsoft Dynamics 365の説明にはplan groupと優先順位に基づく代替選択がありますが、機能バージョンや設定の前提があります。承認済みであっても在庫・品質・顧客・サイト・期日の条件が一致しなければ使わせない設計が必要です。計画の選択と製造現場の実投入判定を別々に試します。

代替部品の承認フローに誰を入れるべきですか?

一般に技術は仕様適合、品質は試験と顧客要求、購買は供給源と条件、生産管理はBOM/MRP/指図への発効、倉庫・製造は実物と指図の一致を担います。顧客の事前承認が必要かどうかは契約や図面によります。部門名より、判定の責任、証跡、代理、差戻し、失効時の処置を明確にしてください。

旧部品をいつまで使えるかはどう決めますか?

新部品への切替は有効日だけでは決まりません。旧在庫の使用可否、発注残、既発行指図、仕掛、顧客注文、品質保証の条件を合わせて決めます。旧品の新規使用停止日と、既存仕掛の処置日を分け、両方を版とイベントに紐づけます。

代替部品のロット追跡にEPCISは必須ですか?

必須と一律には言えません。GS1 EPCISは組織間を含むイベントデータ共有に有用な標準ですが、工場内の承認やBOM管理を代替するものではありません。まず、実投入ロットから影響製品・出荷先を双方向に辿れるデータを持ち、取引先との共有方式を要件に応じて選びます。

RFPやFAT/SATで最も先に確認すべきことは何ですか?

「承認済み候補を選べる」成功画面より、未承認、別顧客、期限切れ、品質保留、数量超過、通信断で投入を拒否できるかを先に試してください。次に、許可された投入がロット・指図・BOM版・承認IDへ追えるか確認します。拒否と追跡の両方が成立して初めて、代替の柔軟性を安全に使えます。

まとめ

代替部品の承認管理は、候補品番の登録から始まり、技術・品質・購買・顧客の条件付き承認、BOM版とMRPへの発効、倉庫・MESでの再判定、実投入ロットの双方向追跡まで続く業務です。RFPには対象条件と正本、FAT/SATには拒否と逆引きのシナリオを記述してください。製品固有の代替機能は有用ですが、すべてのERP・MESが同じ承認や系譜を標準提供するわけではありません。現行システムの境界を見極め、狭い製品群で試してから展開することが重要です。

タイ工場で代替品の承認台帳、BOM、MRP、現場実績がつながっていない場合、TOMAS TECHは現行フローの整理、RFP、FAT/SATの試験設計を検討段階から支援できます。候補部品を増やす前に「どこで使用可を判定するか」を固めたい方はお問い合わせページからご相談ください。

参考情報