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2026.10.18

コンベヤ ベルトクリーナー選定|仕様と検収

コンベヤ ベルトクリーナー選定|仕様と検収

コンベヤ ベルトクリーナーの選定は「スクレーパーを一本追加する」作業ではない。何が、どのベルト面に、いつ付着し、どこに落ちて困るのかを特定し、ベルト・継手・プーリー・搬送物・清掃方法・作業空間を一緒に確認する仕事である。タイ工場では日本側で型式だけ決めると、現地でブレード交換の空間がない、洗浄液と材質が合わない、汚れを受ける場所がないという問題が起こり得る。本記事は、購買・設備・製造・品質の担当者が同じ条件で候補を比較し、FATとSATで「使える」ことを確認するための実務手順を示す。

最初に決めるのは「どの付着物を、どこまで減らすか」

ベルトクリーナーが対象にする代表的な問題は、荷が排出された後もベルト表面に残り、戻り側へ運ばれる付着物、いわゆるキャリーバックである。戻り側のローラー、床、フレーム、センサーに落ちると、清掃や調整の手間が増える。食品工程では、残渣が次ロットへ移る可能性も評価する必要がある。汚れの種類が違えばブレードの材質、当て方、排出先も違う。乾いた粉が舞うライン、湿った粘土状の材料、油膜、糖分のある食品を「付着物」と一括りにしてはいけない。

選定会議の冒頭で、問題を場所と現象で言い換える。たとえば「ヘッドプーリー直後の戻りベルトから湿った微粉が落ち、直下の床を毎シフト清掃している」「包装製品のベルト面に粘着剤が残り、次品種への切替時に拭き取りが必要」という記述なら、対策後に同じ場所を観察できる。対して「コンベヤが汚い」「クリーナーを強くしたい」だけでは、候補比較も検収もできない。クリーナーを付ける前に、投入量、シュートの形状、ベルト蛇行、ベルトの傷、散水や洗浄の運用も確認する。発生源が別にあれば、クリーナーを追加しても再発する。

目標は「完全にゼロ」と書かず、現場が合意できる状態で表す。清掃開始までに床へ落ちる量、ローラーへの堆積、製品切替時の拭き取り、許容できない異物混入の有無などを、測定方法とともに定義する。数値目標が必要なら、現在値を同じ方法で測ってから決める。材料、湿度、運転時間が変わる条件も記録し、平均的な日にだけ合格する試験を避ける。

コンベヤ ベルトクリーナー選定|仕様と検収 - figure 1

ベルトクリーナーの一次・二次をどう使い分けるか

一次クリーナーは一般にヘッドプーリー付近で、搬送物が離れた後のベルト面に作用する。大きく残った材料を排出流れへ戻しやすい位置が設計上の利点である。二次クリーナーはベルトがヘッドプーリーを離れた後の戻り側で、残った細かな付着物を扱う。FlexcoとMartin Engineeringの資料はいずれもこの役割分担を説明している。ただし「一次を一台付ければ十分」「二次を追加すれば必ず所定の除去率」という一般則はない。対象材料とベルト面、設置空間、清掃目標で構成を決める。

候補を比べる際は、製品名より配置図を先に見る。一次のブレードが排出される材料と衝突しないか、かき取った物が実際にシュートへ戻るか、二次から落ちる微粉をどこで受けるかを確認する。二次を後方へ移せば設置しやすく見えても、その手前の戻り側で付着物が落ちるかもしれない。戻りベルトが跳ねる、平らでない、押さえが必要という条件もメーカーへ伝える。ブレードとベルトの接触を安定させる機構を、設置寸法と保守空間を含めて評価する。

一次と二次を同じ見積欄にまとめると、どの役割に費用を払うのか見えなくなる。見積比較表は「一次の位置・ブレード材質・幅・テンショナー」「二次の位置・支持方法・回収先」「共通のガード・点検口・消耗品」を分ける。仕様に合う一台構成も複数台構成も比較可能にし、採否は現場で決めた目標への適合で判断する。

ベルト幅だけで発注しない:選定に必要な現物データ

Flexcoの選定FAQとハンドブック、Martin Engineeringの選定ガイドは、ベルト幅だけでなく速度、ヘッドプーリー径、材料通過幅、材料の性質、継手、温度、アクセスを確認項目に挙げる。見積依頼では、図面の公称寸法と現物の実測値を分けて記録する。改造を重ねた設備ではフレーム幅や軸位置が当初図と異なることがある。停止・隔離した状態で安全に測れる項目を現場で確認し、測れないものは「未確認」と明示する。

入力項目確認したい理由添付する証拠
ベルトとフレームの幅ブレード有効幅と支持金具の干渉寸法入り正面図・写真
ヘッドプーリー径と周辺形状一次クリーナーの接触位置と回収経路側面図・停止時写真
速度・正逆運転許容速度とブレード方向の適合運転仕様・制御条件
搬送物と材料通過幅汚れが付く範囲と摩耗条件搬送物サンプル・汚れ写真
ベルト材質・表面・継手ブレードと継手の損傷リスクベルト型式・継手写真
温度・水・薬剤・食品接触材質と洗浄方法の適合洗浄手順・薬剤一覧
点検口と周辺設備交換・調整が実行できるか平面図・保守動線

汚れは運転直後と定常運転で状態が変わる。乾燥工程の前後、雨季と乾季、洗浄の前後、品種切替の直前など、問題が表れる条件の写真や短い動画を残すと、メーカーが誤った標準仕様を選びにくい。手に取れる搬送物サンプルがあるなら、粒度や含水の違う代表条件を準備する。材料名だけで粘着性を推定しないことが重要だ。

ベルト面・継手・逆転運転との相性を確認する

平滑なベルト向けのブレードを、桟付きベルト、凹凸ベルト、モジュール式ベルトへそのまま当てる発想は危険である。桟がブレードにぶつかると、清掃以前に機械的な干渉となる。Flexcoには桟付きベルト向けの専用製品がある。これは「どんな桟にも使える」という意味ではなく、桟の形状・ピッチ・高さと、許容する清掃面を個別に照合する必要があるという例である。モジュールベルトや食品用の一体成形ベルトでも、ベルトメーカーの許容ブレード、押付け、洗浄条件を確認する。

継手は接触式クリーナーの重要な境界である。熱接合か機械式か、機械式なら金具が突出するか、継手が摩耗していないかを写真で示す。メーカーは継手条件によってブレード材質や先端形状を変える。購入側が勝手に「硬い刃ならよく取れる」と決めると、継手やベルトを傷める可能性がある。試運転では継手通過時の衝撃、音、ブレード跳ねを観察し、合格条件を明記する。

正逆運転するベルトはさらに注意する。材料詰まり解消のため短時間だけ逆転する場合も「逆転あり」と記載する。Martin Engineeringは二次クリーナーの角度によって逆転に不向きな場合があると説明している。逆転時に刃がめくれたり、ベルトを損傷したりしない構造か、取扱説明書と実機試験で確認する。逆転を禁止するなら、運転手順と制御インターロックの双方に反映する。現場でたまに使う運転モードを仕様書から落とさない。

ブレード材質は「強さ」ではなく適合で比べる

ブレードには樹脂系、金属系などの選択肢があるが、材質名だけで優劣を決められない。付着物の硬さ・粘り・研磨性、ベルト表面、継手、温度、食品接触、薬剤、洗浄頻度が組み合わさるからだ。見積書に「高耐久ブレード」としかない場合は、材質名、ベルトとの適合根拠、想定する交換条件、予備品型番を聞く。消耗品の寿命は運転環境に左右されるため、他工場の月数を保証値として転載しない。

押付けも、強いほどよいわけではない。接触が弱ければ付着物が残るが、過剰なら摩耗や熱、ベルトへの負担が増え得る。テンショナーの型式、調整方法、調整後の確認方法、緩みを点検する位置を図面へ記載してもらう。Habasitの衛生設計製品は調整可能な圧力や着脱しやすさを特徴として示しているが、それは各製品の構造の話である。選ぶラインに同じ特性があるかは個別仕様で確かめる。

比較表には購入価格だけでなく、ブレード交換時に必要な停止時間、交換に使う工具、予備品の調達先、現地在庫、異常時の調整しやすさを含める。清掃作業が減っても、交換のたびに大きなカバーを外し、足場が必要になる構造なら保守負荷は移っただけになる。タイ工場で運用するなら、現地保全担当が説明書を読める言語、交換手順の実演、現地での調達可否も発注条件にする。

コンベヤ ベルトクリーナー選定|仕様と検収 - figure 2

回収先まで設計しないと、汚れは移動するだけ

クリーナーの仕事はベルトから付着物を離すことだが、工場の仕事はそれを安全に処理することだ。一次で落とした材料が製品側へ戻るのか、二次で落ちた微粉を専用トレイに受けるのか、排水へ流すのかを決める。回収先の勾配、開口、詰まりやすい角、点検口、容器交換の姿勢を確認する。シュートへ戻す設計でも、戻した材料が製品品質に影響する場合はその経路を採用しない。

現場写真には、排出点から戻りローラーまでを連続して入れる。遠景だけでは、かき取った後の粒子がどこへ落ちるか分からない。仮設トレイを置いた試験で回収物の性状を見れば、乾燥粉の飛散、湿った塊の貼り付き、液体の飛び散りなど、設計図では見えなかった問題が分かる。トレイ自体が運転部へ近すぎないか、取り外し時に身体が可動域へ入らないかも併せて評価する。

クリーナーだけを増設して問題が改善しない場合、ベルトの蛇行、投入点の偏り、過負荷、落下高さ、シュート閉塞などを再点検する。これは「クリーナーに能力がない」と即断するためではない。ベルト面に接触できる状態、材料が適切に排出される状態を保たなければ、どの候補も本来の性能を示せないからである。原因をクリーナー、ベルト、投入、回収の四つへ分けて記録する。

食品・洗浄ラインでは衛生設計を別軸にする

食品や高頻度洗浄の工程は、除去性能だけで採点しない。製品接触の有無、刃の材質、洗浄剤への耐性、分解・再組立のしやすさ、隠れた汚れ溜まり、水抜け、清掃後の検査方法を仕様化する。Habasitは食品工程の残渣が汚染や交差汚染につながる課題を示し、着脱しやすいスクレーパーを製品例として提示している。製品紹介をそのまま「認証済み設備」の根拠にしてはいけない。実際の食品接触要件と工場の衛生基準に対して、使用する型式・部材の書類を個別に照合する。

水や洗剤を使うなら、落とした汚れの水路と、モーター・センサー・軸受への飛散を確認する。水を増やすだけでは、戻り側へ薄い汚れを広げる可能性がある。洗浄後に刃の裏側や固定金具へ残渣が残らないか、乾燥が必要か、取り外した部品をどこに置くかまで手順に入れる。工程切替時の清掃は、洗浄完了を誰が何で判定するかが重要で、部品のカタログ性能だけでは完結しない。

油、溶剤、アルカリ、酸などがある場合は、薬剤名と濃度、温度、接触時間をメーカーへ提示する。ベルト材質とブレード材質の両方が適合する必要がある。材料適合表に記載がないものは「不明」として試験または書面確認へ回す。一般論で「樹脂だから耐薬品」と判断しない。薬剤や洗浄方法が変わるたびに、変更管理の対象として再確認する。

保守と安全:点検できる配置を仕様に含める

ブレードは消耗品なので、いつか点検・調整・交換する。設備の側面に取り出し代がなく、フレームを分解しないと刃が抜けない設計では、運用開始後の清掃改善が続かない。見積段階でブレードを外す方向と必要な作業空間を図面で示してもらう。点検窓から摩耗状態を見られるか、テンショナーへ手が届くか、回収トレイを安全に引き出せるか、片側に壁があるかを現地で確認する。予備品は型番と互換性を設備台帳に登録する。

稼働中のベルトやヘッドプーリーへ手を入れて清掃・調整する運用を前提にしない。OSHAの危険エネルギー管理規則は米国の法規であり、タイ工場へそのまま法的適用を主張するものではないが、予期しない起動や残留エネルギーを防ぐための設計参考になる。Flexcoの二次クリーナー取扱説明書も、作業前の電源ロックアウト、テークアップの解除、ベルトの固定・除荷を求める。実際の作業は現地法令、工場の安全手順、装置メーカーの指示とリスクアセスメントに従う。

「停止ボタンを押したから安全」と「エネルギーを隔離・確認した」は同じではない。点検手順には、停止、隔離、残留エネルギーの処理、隔離確認、作業、ガード復旧、周囲確認、再起動の責任者を定める。清掃頻度はカタログから機械的に決めず、付着物の発生量、ブレード摩耗、周辺への落下、作業時間の観察記録から決める。交換周期は運転後の記録で更新し、個人の勘に依存させない。

コンベヤ ベルトクリーナー選定|仕様と検収 - figure 3

見積依頼書には「性能」だけでなく境界条件を書く

購買担当が比較できるRFPは、希望製品名の一覧ではなく、解くべき現象と設備条件を伝える文書である。現状写真、ベルトと周辺の寸法、材料サンプル、運転条件、既存の清掃時間、止められる時間、洗浄方法、安全制約を添付する。候補メーカーへは、採用理由だけでなく「この条件なら使えない」「追加測定が要る」という除外条件も回答してもらう。正式見積には、ベルトやプーリーへの改造、ガード、シュート、回収箱、電気・制御、施工、試運転、教育、予備品をどこまで含むかを明記する。

RFPの比較欄を「価格」「予想除去率」だけにすると、実装できない安価な候補が勝ちやすい。次の項目は最低限分けるとよい。①適用可能なベルト・継手・速度・温度、②一次/二次の配置と材料の落下先、③取付け寸法と保守空間、④ブレード材質と交換方法、⑤食品・洗浄条件への適合資料、⑥安全ガードと隔離手順、⑦試験方法と合否基準、⑧納期、現地サポートと予備品である。評価点の重みは工場の目的で変える。食品工程で衛生性が必須なら、安価さで衛生要件を相殺しない。

「標準品なので現場合わせで大丈夫」という回答には、現物寸法と調整範囲を図面で確認する。設備の改造範囲が明らかになるまで、設置費用や停止時間は仮定として記載する。試験に必要な測定器、写真撮影、回収物の容器、運転員の立会い、サンプル材料を誰が準備するかも発注前に決める。比較条件が揃えば、メーカーの提案を単なるカタログ競争ではなく、同一の問題に対する設計案として評価できる。

FATでは取付けと機能を、SATでは現物の汚れを確認する

試験を始める前に、測定用紙を一枚にまとめる。設備番号、ベルト型式、搬送物のロット、含水の状態、運転速度、運転時間、ブレード材質と設定、採取場所、回収容器、測定担当、写真番号を同じ用紙へ記載する。試験中に材料が変わったり、ラインが別の理由で停止したりした場合は、その区間のデータを区別する。汚れの重量を測るなら、容器そのものの重量と採取時間を揃え、落下物が他工程から混入しないようにする。重量測定が現実的でない工程では、定点写真、堆積範囲、清掃作業時間など、現場で継続できる指標を先に選ぶ。

試験条件が揃わなかった場合に「不合格」と即断する必要はないが、「合格」として閉じてもいけない。例えば雨季の高含水材料をまだ試せていなければ、その条件を未確認と記録し、いつ誰が追加確認するかを決める。FAT/SATの議事録には、満たした条件、条件付きで認めた事項、未確認事項を分けて残す。設備が運転できたという事実と、キャリーバック低減の目標を達成したという事実は別に証拠を用意する。これにより導入後の不具合が、装置の不適合なのか、試験しなかった条件なのかを追える。

FATを工場出荷前の確認、SATを現地据付後の確認として設計する。FATで見られるのは、型式・ブレード・支持金具が承認図面と一致するか、取外しや調整が可能か、ガード・点検口・予備品が揃うか、逆転や継手通過に関するメーカーの適用回答が文書化されているかなどである。現地材料を使えないFATで、キャリーバックの改善値まで合格と断定しない。模擬材料試験ができる場合も、模擬と現地の差を記録する。

SATでは、実際のベルト、搬送物、速度、洗浄条件で確認する。導入前と導入後を同じ運転時間、同じ品種、同じ採取位置で比べる。床落下量、回収箱への量、戻りローラーの堆積、製品への付着、清掃に要する作業など、RFPで定めた項目を記録する。材料条件が複数あるなら「最も扱いやすい材料」だけで終えず、粘着性や含水が高い代表条件を含める。急停止・再起動・通常の逆転があるならその運転モードを試す。立会い者、結果の写真、未解決事項、再試験条件を議事に残す。

合否は性能だけでなく、ベルト損傷や継手への衝撃、異常な発熱・騒音、落下した汚れの回収、刃の交換性、安全な作業方法をセットで判断する。試験中に性能を上げるため押付けを増やしたなら、その設定を記録し、その状態でベルトとブレードの摩耗リスクを再評価する。SAT後に取り付け位置やブレード材質を変えた場合は、最初の合格記録をそのまま使わず、変更した条件で再確認する。

導入後は観察と変更管理で性能を保つ

引渡し後に必要なのは「どの状態になったら調整するか」を現場で判断できる記録である。点検票へ、付着物が落ちる場所、写真を撮る位置、ブレードの摩耗、テンショナーの位置、ベルト蛇行、継手通過の音、回収箱の状態を書き込む。毎回同じ角度から写真を撮れば変化を追いやすい。停止履歴や清掃時間も記録し、クリーナー自体の問題と上流の材料条件変化を分ける。保守を外注するなら、異常時に誰が停止判断し、誰が調整を承認するか決めておく。

搬送物の品種、含水、ベルト型式、継手、速度、洗浄薬剤が変わった時は、選定前提が変わる。新しいベルトに替えたのに旧ブレードを同じ押付けで使い続けることは避ける。メーカーへ変更条件を伝え、適合性を確認し、必要ならSATの一部を再実施する。小さな改善でも、図面、部品表、保守手順、予備品台帳の更新までを一つの変更として閉じる。これにより数年後、担当者が替わっても選定理由を追える。

症状から切り分ける:取れない、傷む、汚れが移る

「設置したのに取れない」ときは、まずブレードとベルトが接している範囲を見る。材料の通る中央部だけに汚れが残るなら、ブレードの有効幅、中央の摩耗、ベルトのたわみ、材料の粘着性を疑う。端だけ残るなら、ベルト蛇行、材料通過幅の見込み違い、ブレードの水平、フレーム変形を調べる。停止時の見た目だけで判断せず、安全な位置から運転時の接触状態を撮影し、メーカーが示す調整方法と照合する。設置者が任意の当て角や圧力へ変更すると、原因が追えなくなる。

「よく取れるがベルトが傷む」ときは、清掃量を成功指標にしてはいけない。ブレードの接触痕が均一か、継手部だけ衝撃があるか、ベルトの表面被覆が削れていないかを確認する。損傷が始まった時点で無理に運転を続けず、現場の停止手順に従って点検する。材質の変更だけでなく、位置、角度、押付け、テンショナー、ベルト自体の状態を検討する。ベルト交換費や停止損失を考えれば、かき取り量だけを最大化する調整は合理的ではない。

「床はきれいになったが別の場所が汚れる」ときは回収経路を追う。一次から落ちた材料がシュートの縁で跳ね返る、二次の下のトレイが溢れる、洗浄水がフレーム内を伝う、回収箱の交換時にこぼれるなどの可能性がある。試験で回収物を量るなら、ベルト上の残渣だけでなく、排出先や周辺へ移った量も見る。安全上の理由でトレイを運転中に抜けない構造にする場合は、停止可能なタイミングと容量の関係を設計段階で決める。

「新品時はよかったが数週間後に悪化した」ときは、刃の摩耗だけに決めつけない。材料の変更、含水の変化、ベルト蛇行、テンショナーのずれ、継手の状態、清掃剤の変更を導入時の記録と比較する。保守記録に「いつ、誰が、どの設定からどの設定へ変えたか」を残し、交換部品の型番を添える。改善後の写真があれば、メーカーと現場で原因を共有しやすい。症状別の切り分けを点検票に載せることが、経験者一人に頼らない運用へつながる。

導入費用を比較する際の考え方

費用比較は本体価格、施工費、運転停止、消耗品、清掃作業、回収物の処理、ベルトやローラーへの影響を同じ期間で並べる。実測値がない費用は仮定として分け、見積に含まれる範囲と含まれない範囲を明記する。ある候補の本体価格が低くても、点検口の増設やシュート改造が必要なら総額は変わる。逆に高機能な構成でも、現状の清掃負担が小さく要求を超えるなら過剰な投資となり得る。

導入後の効果は、導入前に測った清掃時間や停止理由と比べる。ただし、他の改善を同時に行った場合は、全てをクリーナーの効果として計上しない。材料変更、ベルト交換、投入量の減少、洗浄手順変更があれば記録して評価を分ける。収益性の数字を置く場合は、測定期間、稼働日、作業単価、交換部品、廃棄処理の前提を残す。単一メーカーの事例に載った回収率や投資回収期間を自社設備へ転記しない。購買に必要なのは派手な保証値より、前提が変わったときに再計算できる比較表である。

ベルトクリーナー選定でよくある失敗と対策

第一の失敗は、汚れの原因を確認せず、硬い刃を強く当てることである。蛇行や継手の突出が原因なら、刃だけを替えても傷が増える。第二は、一次で取った材料の落下先を設けないことである。床の清掃箇所を変えただけでは改善と言えない。第三は、カタログの最大適用値を実機の保証値と読み替えることである。速度・幅・温度は個別型式と設置条件を照合する。第四は、ブレード交換の空間と安全手順を見積から落とすことだ。導入時にきれいでも、交換できなければ性能は維持できない。

第五は、食品ラインで「取り外せる」だけを衛生性とみなすこと。残渣が溜まる裏側、薬剤との相性、洗浄後の確認を設計する。第六は、桟付きや逆転運転を知らせないこと。発注時に使用していない運転モードでも、現場で使う可能性があるなら条件へ入れる。第七は、導入前の基準写真や清掃記録を残さないこと。SATで「良くなった気がする」しか言えず、追加改善の優先順位も決められない。失敗を避ける最短の方法は、現物データを揃え、ベンダーの適用範囲を文書にし、同じ条件で検収することだ。

関連する設計判断とのつながり

そもそもベルト方式が搬送物に適しているか不明なら、まずコンベヤ設計とマテハンの基本で荷姿、搬送量、環境、レイアウト、設備間インターフェースを確認したい。対象がパレットや重い治具で、ベルト面の付着物より支持方法が主要課題なら、チェーンコンベヤの選定が別の判断軸になる。本記事はベルト方式の採用が妥当で、そのベルト面に残る付着物を管理したい場合に使う。搬送方式の決定とクリーナーの選定を一つの製品比較に混ぜない。

FAQ:ベルトコンベヤのクリーナー選び方

一次クリーナーと二次クリーナーは両方必要ですか?

必ずしもそうではない。一次だけで現場の清掃・品質目標を満たす場合もあり、細かな残渣まで管理するため二次を組み合わせる場合もある。排出位置、回収先、ベルト状態、材料条件、目標を定めた上で候補構成を比較する。カタログに書かれた一般的な除去率を、自社材料の保証値として使わない。

ベルトスクレーパー比較で最も先に見る項目は何ですか?

ベルトと継手への適合、汚れの性質、設置場所の三つである。どれか一つが合わなければ、刃の材質や価格を比べても実装できない。現物写真と寸法、運転条件をメーカーへ渡し、適用可否を図面と文書で確認する。

桟付きベルトにも通常のブレードを当てられますか?

通常の平滑ベルト用ブレードをそのまま適用しない。桟との干渉があり得る。桟付きベルト向けの専用構造は存在するが、桟の寸法、形状、間隔、ベルト材質を照合し、実機で接触と清掃範囲を確認する。

付着物対策はクリーナーだけで完結しますか?

完結しないことが多い。投入点の偏り、ベルト蛇行、傷、シュートの排出不良、回収箱の詰まりがあると、刃を替えても汚れが残る。ベルト面を見ながら、発生源、かき取り、回収、清掃作業を一連の工程として確認する。

ベルトクリーナーのFATとSATでは何を分けて確認しますか?

FATでは型式、取付け、調整、ガード、予備品、適用条件の文書を確認する。SATでは実際の搬送物と運転条件で、導入前に定めた場所の残渣と作業負荷を確認する。いずれもベルト損傷、継手通過、回収先、安全な保守を合否に含める。

まとめ

コンベヤ ベルトクリーナー選定の順序は、汚れの現象と目標を記録し、ベルト・継手・材料・速度・周辺寸法を揃え、一次/二次の配置と回収先を設計し、保守・衛生・安全を含めたRFPで比較し、FATとSATで検収することである。型式を先に決めるより、同じ条件で候補を比較できることが、後の手戻りを減らす。特にタイ工場では、現地の作業者が交換と清掃を続けられる配置・説明書・予備品まで導入範囲へ含めたい。

現場の汚れ写真、ベルトとヘッドプーリーの寸法、搬送物、洗浄条件が揃う前の段階でも、選定条件の整理から相談できる。TOMAS TECHへのお問い合わせでは、既存設備への後付けと新規コンベヤ設計のどちらも、現場で測るべき項目から一緒に確認する。

参考情報