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2026.10.05

自動ねじ供給機の選定|タイ工場の比較・RFP・FAT/SAT

自動ねじ供給機の選定|タイ工場の比較・RFP・FAT/SAT

自動ねじ供給機の選定は、カタログの供給速度とねじ径だけでは決まりません。タイ工場で実際に使うねじの頭形状、座金、表面処理、混入物、作業姿勢、締結機との距離、品種切替、保全体制まで含めて評価しないと、導入後に詰まりや取り違えが頻発します。本記事は設備・生産技術・購買担当者に向け、提示式、エア搬送式、ステップ式、ボウル式を比較し、サンプル試験、RFP、FAT/SATの受入証拠までを一つの調達手順にまとめます。

自動ねじ供給機の選定で最初に決める「供給完了」

「ねじを自動で出す」という要求だけでは、ベンダーごとに見積範囲が変わります。供給機の出口でねじが整列すれば完了なのか、ドライバーの先端まで一本を届けるのか、取り上げ位置に頭を一定方向で提示するのか、締結完了のOK信号まで連携するのかを先に決めます。供給完了の境界を曖昧にすると、供給機単体のデモは成功しても、実ラインでは受け渡し点のセンサー、ホース、ノズル、治具の責任が抜けます。

WEBERは自動供給の流れを、部品の貯留、姿勢の整列、分離、部品に合わせて調整した空気によるホース搬送として説明し、リングセンサーや出口側のブレーキを補助要素として示しています(WEBERの技術解説)。一方、DEPRAGのスクリュープレゼンターは、ねじを分離して決まった取り上げ位置に提示し、磁石または真空でピックアップする構成です(DEPRAG製品説明)。この違いを購入仕様書の最初のページに書くことが、価格比較の前提になります。

発注者が定義すべき完了条件は、①対象ねじが供給機内で正しい姿勢になる、②一本だけ分離される、③所定の位置・時刻に提示または搬送される、④締結機・作業者が確実に受け取る、⑤失敗時に検知・停止・復旧できる、の五段階です。すべてを同一メーカーに任せる必要はありません。しかし、どこまでを誰が試験するかは一つのインターフェース表に明記します。

ねじの現物台帳をつくる:呼び径だけでは適合しない

最初の成果物は機種比較表ではなく「ねじ現物台帳」です。図面、仕入先品番、代表ロット、最大・最小の実測サンプルを揃えます。呼び径が同じでも、頭径と頭高さ、首下長さ、先端形状、ねじ山、座金の有無、磁性、油膜、めっき、バリ、絡みやすさが異なります。組立工程の取り上げ点では、頭の向きやねじ先端の位置がさらに重要です。

台帳には少なくとも次を入れます。

項目現物で確認すること調達時の意味
品番・版・仕入先同一品番の承認図面と実物が一致するか変更時の再評価範囲を決める
ねじ径、頭径、頭高さ、首下長さ公差端の現物を含むかレール、分離機構、ホース、ノズルの適合
頭部・駆動穴なべ、皿、六角、特殊穴の違い向き判別とビットの保持
座金・ばね座金・接着剤一体化部品や塗布物が引っ掛からないか絡み、落下、汚れの試験
材質・磁性・表面磁石または真空で確実に取れるかピックアップ方式と清浄度
供給単位・混入リスク袋・トレー・箱、異品種混入の可能性補給方法とポカヨケ
必要タクトと一製品の本数供給要求の最大連続値ホッパー・分配器・余裕率

たとえば大武・ルート工業のNJRシリーズはM2.0~M6.0、首下長さ18 mmまで、約150 ccの容量を製品ページで示し、ばね座金付きねじにも言及しています(NJRシリーズ)。これは同シリーズの公称範囲であり、同じ径のすべての頭形状・座金・表面に適合する保証ではありません。仕様表に合うと判断した後も、実ねじでの試験を必須にします。

スクリューフィーダー比較:提示・搬送・整列の方式を分ける

自動ねじ供給機の選定|タイ工場の比較・RFP・FAT/SAT - figure 1

方式の名称が似ていても、出口の状態が異なります。以下は方式そのものの一般的な調達上の比較であり、特定モデルの性能順位ではありません。ねじの形状と完成ラインの構成に合わせ、候補を二~三案に絞ります。

方式供給完了点向く条件重点確認
取り上げ位置への提示式一本が決まった位置に現れる作業者または固定ドライバーが近くで取る取り上げ姿勢、磁石・真空、残留ねじの検知
空気によるホース搬送式ノズルまたは締結機近傍に届く供給機と締結点が離れるホース長・曲げ、エア品質、着地衝撃、ねじ詰まり
振動ボウル式姿勢を揃えたねじを分離点へ送る対象ねじと整列経路が安定する擦れ、騒音、絡み、異物、品種替え
ステップ式段階的にねじを持ち上げ整列経路へ送る表面傷・粒子・騒音に配慮する形状別の出口レール、処理量、清掃性

WEBERはボウル式ZEBを振動でねじをらせん状に搬送する方式、ステップ式ZELを比較的穏やかで低騒音な方式として説明しています(WEBERの方式比較)。ZELの製品説明では低振動の出口レール、コーティング済み・敏感な部品への適用、入口制御、分離機構、センサーを挙げています(ZELの仕様)。DEPRAGは提示式を手持ち・固定の締結工程に適する入口の選択肢とし、交換可能なガイドレールに言及しています。方式を決め打ちするより、ねじの傷、油分、着地姿勢、作業方法から選びます。

「振動式なら安い」「ステップ式なら必ず清浄」といった一般化は避けます。購入価格は容量、姿勢選別機構、制御、センサー、設置工事、検査条件に左右されます。清浄度は供給方式だけでなく、部品の初期汚れ、擦れ、エア、ホース、排出部、清掃頻度まで試験しなければ評価できません。候補機を同じねじ、同じ計数方法、同じ負荷条件で比較することが重要です。

提示式と搬送式をどう分けるか

締結位置のすぐ近くに作業者や固定スピンドルがあり、ピックアップを明確に制御したい場合は提示式を先に検討します。DEPRAGは提示位置の信号出力によって上位制御がねじの有無を監視できると説明しています。取り上げ工具が磁石か真空か、非磁性ねじを使うか、取り上げ後に一本が残っていないかまで確認します。

締結機と貯留場所が離れ、ノズルへ一本ずつ送る構成なら搬送式を検討します。大武・ルート工業のBS-Pは空気圧でねじを遠方に搬送するタイプで、製品ページはM1.0~M5.0、約1.2秒/本、製造前のサンプル試験必須としています(BS-Pシリーズ)。同ページは冒頭の「軸長18 mmまで」と仕様欄の「首下12 mmまで」に差があるため、境界寸法のねじでは最新図面とサンプル評価でメーカーに適用可否を確認すべきです。WEBERもホース長と対象部品により到達可能なサイクルが変わると明記しています。いずれもページ上の最速値を自社ラインの保証値として転記しません。

タクトの算定:カタログ最速値とライン能力を混同しない

必要な供給能力は製品タクトだけでは決まりません。一本当たりの要求間隔を、製品タクトを一製品当たりの使用本数で割って仮算定し、実際の締結順序、同時締結、バッファ、品種切替を重ねます。たとえば一製品60秒でねじ6本を使うなら平均要求間隔は10秒です。ただし6本を最初の15秒で連続使用する工程なら、平均10秒だけでは足りません。ベンダーには最短連続間隔と一時間当たりの平均需要を両方伝えます。この60秒・6本・15秒は設計手順を示す仮例であり、一般的な能力値ではありません。

ラインの実効能力を下げるのは、供給機の単体速度だけではありません。ねじの補給、詰まり除去、混入品の隔離、品種替え、ホース交換、エア圧低下、待機からの再起動、上位機との信号遅延です。RFPでは「正常な一回の最速サイクル」ではなく、指定ロットでの連続運転、停止回数、停止時間、良品受け渡し率を求めます。計数の始点と終点も固定します。貯留部への投入から締結工具での受け取りまでなのか、分離信号から出口センサーまでなのかでは数字が変わります。

余裕率を一律の割合で決める必要はありません。受入試験で測った分布の悪い側、工程変動、補給作業時間、対象ねじの種類をもとに設定します。分配器一台で複数の締結機へ供給する場合は、各工具が同時に要求したときの待ち行列と優先順位を測ります。WEBERの説明は分配器による複数工具への供給を認めますが、接続可能台数はサイクルに依存するとしています(供給システム概要)。したがって「一台で四台を必ず賄える」とは書かず、自社の要求時系列で実証します。

供給品質を決める検知点とインターロック

自動ねじ供給機の選定|タイ工場の比較・RFP・FAT/SAT - figure 2

ねじが出口に来たという単一信号だけでは、二本送り、逆向き、供給なし、ホース途中の滞留、取り上げ失敗を切り分けられません。必要な検知点を、貯留量、入口、分離直後、ホース途中、終端、工具の受取位置に分けて検討します。すべての位置にセンサーを追加するという意味ではありません。故障モードごとに「どの信号で分かるか」「止める場所はどこか」「作業者は何を見て復旧できるか」を決めます。

典型的な状態遷移は、待機→供給要求→一本分離→搬送または提示→受取確認→締結許可→締結結果→次要求です。タイムアウトや不整合が出たら、再送回数を無制限にせず安全側へ停止させます。二本入りが疑われる場合は、次のねじを送って押し出してはいけません。詰まり位置の表示、工具側の保持状態、製品の仕掛番号を残し、処置後に再開条件を確認します。

WEBERの供給システム概要はPLCでセンサーのOK/NOKを処理し、貯留量や入口チェック、アクチュエータ位置を例示しています(WEBERの供給システム)。リングセンサーはホース内のねじ位置を検出し、出口ブレーキは高速で来た部品を工具直前で受け止める用途として説明されています(WEBERの技術解説)。ここからRFPへ落とすと、どの検知点が標準か、オプションか、上位PLCに公開されるかを一覧化する必要があります。

上位設備との信号仕様は、電気レベルだけで終わらせません。要求、準備完了、供給開始、一本到着、異常、リセット、手動運転、段取り中を定義し、各信号の発行者、受信者、立上がり条件、タイムアウト、停電復帰時の初期状態を表にします。既存の締結工程やロボットの工程全体を見直す場合は、組立自動化とロボット導入の検討も参考になります。この記事の対象は、ねじ供給と受け渡し境界に絞ります。

タイ工場の設置条件をRFPにする

工場の現地条件は「タイ向け仕様」という一行で済ませず、設置場所を測って記録します。使用可能な床面積、搬入経路、保守扉の開き、補給口の高さ、工具までのホース経路、電源、圧縮空気の品質と圧力、接地、騒音、周囲温湿度、粉じん・油分、既存PLCの入出力、設備ネットワークを確認します。製品ごとに許容条件が違うため、一般値を記事から流用しません。

特にホース搬送では、平面図上の直線距離だけでは不足します。上下動、可動部との干渉、曲げ半径、交換に必要な余長、終端の向き、掃除用のアクセスを施工図に書きます。エアが弱いと途中で止まり、強すぎると出口で部品・ノズルを傷める可能性があります。最適設定はねじと経路によって決め、FATのデモと現地SATの双方で確認します。現地で空圧や電源の変動があり得るなら、想定する範囲を発注時に数値で指定し、その境界でも試験します。

タイ語の操作表示、日英タイのアラーム対照、現地保全員が使う交換手順も見積範囲に含めます。言語の翻訳だけでなく、詰まり場所を物理的に特定できる図、復旧時の残留ねじの扱い、品種替えの確認点を手順化します。供給機の導入効果は「設備を置けば自動で得られる」ものではありません。補給と段取りの担当者を明確にして、現地の保全体制で回るかを見ます。

異品種混入とトレーサビリティ:供給機だけに品質責任を負わせない

ねじは小さく、形状が近い品種が多いため、混入が最も厄介な故障モードの一つです。ボウルやホッパーを空にしただけで、レール、分離部、ホース、ノズルに一本残っていることがあります。品種替えでは物理的な残留ゼロ確認と、設定ファイル・治具・ビット・袋ラベルの照合をセットにします。対象品番が違うのに同じ径だから流せる、という運用は避けます。

追跡が必要な製品では、製品シリアル、ねじロット、供給機レシピ、締結結果を結びます。ただし一本単位の完全追跡を最初から義務化すると、工程とデータ収集の負担が大きくなる場合があります。顧客要求や不良影響から必要粒度を決め、少なくとも切替時刻、投入したロット、容器ID、仕掛品範囲、停止・再開履歴を残す設計にします。画像検査での品種判別を追加する場合でも、油膜、反射、姿勢、部分隠れの条件で評価し、目視やバーコード照合に代わる保証とみなさないようにします。

供給機が示すOKは「所定位置へ一本届けた」ことを示す信号であり、最終締結品質の証明ではありません。トルク、角度、着座、ねじ浮き、ねじ山損傷の判定は締結システムと製品検査の責任です。RFPでは供給完了と締結完了を別のイベントとして扱い、失敗時の製品隔離を決めます。

サンプル試験の設計:ベンダーデモを比較可能にする

見積前に、良品の代表ロットだけを一袋送って終わりにしないでください。最小・最大寸法に近いサンプル、めっき差、油分差、座金付き、輸送で擦れたもの、長期保管後のものを、許可された範囲で準備します。混入品や破損品は安全に隔離した試験として使い、量産投入しないよう管理します。メーカーがサンプルを確認して適用可否を判断する手順は、BS-Pの製品ページにも明記されています。

試験依頼書では、各ねじロットの識別、供給数、正常受け渡し数、未供給、二本送り、逆向き、引っ掛かり、表面傷、部品の飛び出し、停止時間、復旧時間を記録します。映像だけで判定せず、カウンターと現物の突合、NG品の写真、停止ログを残します。試験前に清掃と調整をどこまで許すか、試験中の作業者介入をどう数えるかを定義しなければ、候補間の数字は比較できません。

合否の基準値はこの記事で一律に置きません。対象製品のリスク、タクト、検査の有無から発注者が先に決め、ベンダーへ同じ条件を配ります。たとえば「指定した三ロットを順に供給し、各ロットで停止の種類と回数を記録。品種替え後の最初の部品は識別・隔離」という試験手順を先に固定できます。試験量は信頼度と発生頻度の見込みから決めます。数十本の成功だけで、稀な二本送りや長時間運転時の擦れを否定できません。

ねじ供給機RFPに書くべき仕様とベンダーへの質問

RFPは「M3用、毎分60本」といった一行ではなく、発注者が受け取る結果と、ベンダーが設計する余地を分けて書きます。ねじ現物台帳と設備レイアウトを添付し、提案書では方式を選んだ根拠、適用できないねじ、実績のある構成と新規設計部分、消耗品と寿命の仮定を明示してもらいます。

RFP章最低限の要求・質問提出してもらう証拠
対象ねじ品番・図面版・ロット差・表面・座金・将来追加品適用表と対象外条件
供給境界貯留から取り上げ点/工具先端までの責任構成図とインターフェース表
能力連続最短間隔、平均需要、補給時の扱い実ねじの試験ログと計数定義
品質一本性、向き、傷、粒子、取り違え、残留不良サンプルと検知・隔離手順
制御I/O、PLC、タイムアウト、異常、停電復帰信号表と状態遷移図
設置寸法、保守空間、エア、電源、騒音、ホース施工図とユーティリティ表
変更レール・ノズル・レシピ交換、清掃段取り手順、時間、必要工具
保守故障対応、予備品、現地サポート、教育推奨在庫表、保守マニュアル
受入FATとSATの条件、責任者、期限試験計画書と署名付き記録

価格比較では、設備本体だけでなく、予備レール、ノズル、ホース、フィルター、センサー、工具側改造、PLC改造、設置・立上げ、タイ語教育、試験、予備品、消耗品の見積を同じ表に並べます。将来ねじを変更する場合、レール交換だけで済むか、供給方式そのものを変えるかで総費用が変わります。DEPRAGの製品資料ページには、提示式、ミニ供給機、ステップ式、ホッパー等の別々の製品資料が掲載されています(DEPRAG製品資料)。調達では一つのカテゴリ名だけで仕様を固定せず、候補となるモジュールの範囲を明示します。

ねじ供給 FAT/SAT:どこで何を証明するか

自動ねじ供給機の選定|タイ工場の比較・RFP・FAT/SAT - figure 3

FATはメーカーまたは製作拠点で、合意した構成が設計どおり動くことを確認します。SATはタイ工場の実設置条件で、設備、ユーティリティ、締結工具、治具、上位PLC、作業者の手順を含む運用を確認します。同じチェックリストを二度なぞるのではなく、場所が変わることで増えるリスクをSATに割り当てます。FATで通ったねじが現地ホース経路や実エア圧では止まることもあり得るためです。

FATでは、承認図面と実物、ねじ品番と代表ロット、供給数・NG数の突合、センサー遮断、空容器、詰まり、二本送りの模擬、非常停止、電源断復帰、レシピ切替、ログ出力を確認します。対象外の形状が分かった場合は口頭で処理せず、仕様変更または運用制限として記録します。SATでは、実ホース長と曲げ、エアの変動、工具の姿勢、治具干渉、周辺設備との信号、タイ語アラーム、補給・清掃・交換、保全員による復旧を加えます。

受入書には、試験ID、要求ID、対象ねじロット、機械・ソフト版、計数方法、試験開始・終了、合否、停止履歴、担当者、未解決項目、再試験日を残します。「一時間動いた」という文章だけでは、何本が正常に受け渡されたか、何を除外したかが後で分かりません。顧客製品のねじ締結結果を同時に検証する場合は、供給系の合否と締結系の合否を別の列にします。

治具や受け渡し位置の精度が原因で取り上げ失敗が起こる場合、供給機調整だけで解決しようとすると問題を移します。取り上げ位置や姿勢の基準を決める際は、治具設計・製作の検討と合わせて境界を確認してください。

停止・復旧・保守まで含めた導入判断

供給機の稼働率を高めるには、詰まらない機種だけを探すのではなく、詰まった時に早く安全に戻せる構成を選びます。カバーを開ける前の隔離、残留ねじの回収位置、ノズル内の確認、清掃工具、再起動後の最初のねじの扱いを試験します。保全員がねじを取り出すためにホースを外すなら、再接続後の誤配線・エア漏れも点検項目になります。

見積には、予防清掃、レールとブラシの摩耗確認、ホースの傷、センサー窓、フィルター、エア処理、予備品の現地在庫を含めます。消耗周期はねじ材質、表面、運転時間で変わるため、メーカーの一般値があっても初期運転で再設定します。タイ国内でのサポート窓口、対応言語、交換部品の納期、遠隔で取得できるログの範囲も契約前に確かめます。

投資判断は、削減した手持ち動作時間だけで計算しません。供給待ち、二本送り、詰まり復旧、品種替え、表面傷、再検査、予備品、保全工数を現状値として測り、導入後も同じ定義で比較します。もし供給工程の待ちがラインの制約でなければ、供給機単体の高速化が出荷能力を増やすとは限りません。対象ラインのボトルネックと品質リスクを明確にしたうえで、提示式の小さな改善から始めるか、搬送と締結機まで統合するかを決めます。

比較試験で漏れやすい条件をマトリクスにする

量産条件を一つずつ別日に試すだけでは、二つの条件が重なったときの不具合を見落とします。試験計画では、ねじのロット、設備設定、運転状態、周辺条件を軸にしたマトリクスを作ります。すべての組合せを無制限に試すのではなく、現場で実際に起こる組合せと、発生時に不良品を流出させる組合せを優先します。たとえば「油分が多いロット × ホースの最も長い経路 × 長時間停止後の再起動」は、単独条件の試験より詰まりを見つけやすい可能性があります。この組合せが自社工程に存在しないなら、その理由を試験対象外として記録します。

ねじ側の軸には、現行の代表ロット、頭径と首下長さの公差端、座金付き、仕入先変更、表面処理変更を置きます。設備側には、標準エアと許容範囲の上下限、ホースの標準経路と交換後の経路、空に近いホッパー、レール交換直後を置きます。運転側には、連続高速要求、通常要求、休止からの再開、品種替え直後、異常からの復旧を置きます。実際に存在しない条件を増やすより、採用した各条件の識別と試験順を記録することが重要です。

合否は単なる「供給成功率」だけにしません。正常受け渡しの数とともに、異常を検出できたか、誤ったねじが工具へ進んだか、仕掛品を隔離できたか、復旧後の最初のねじが正しいかを別々に記録します。二本送りが検出されても、二本目がノズルに残ったまま自動再開するなら受入条件を満たしません。逆に装置が安全に停止し、残留位置を表示して、不良の可能性がある仕掛品を特定できれば、故障への備えを評価できます。発生件数だけでなく検出・封じ込め・復旧という連鎖を試します。

試験中の調整は版管理します。レール幅、振動設定、エア圧、センサー閾値、PLCタイムアウト、ホースとノズルの型式を記録し、良い結果が出た後に設定を変えた場合は影響する条件を再試験します。「メーカー技術者が立ち会えば成功」だけでは、現地保全員が日常運用できる証拠になりません。最後の確認ではタイ工場の担当者が、決められた手順と工具だけで補給、品種替え、詰まり除去、起動前点検を実演し、必要な時間と誤操作の起こりやすさを記録します。

このマトリクスはRFPに添付し、候補ベンダーには試験できない行とその理由、追加治具や費用が必要な行を回答してもらいます。FATで試せる行、SATでなければ試せない行、量産初期の監視でしか確認できない行を色分けします。受入時に未完了の行があるなら、暫定運転の制限、責任者、期限、再試験の証拠を残します。こうして初めて「カタログ上は適合」と「現場で受入済み」の違いを明確にできます。

自動ねじ供給機の導入を進める実務手順

実務では、①ねじ現物台帳と現場レイアウト、②供給完了の境界、③要求タクトと故障モード、④候補方式、⑤サンプル試験、⑥RFPと費用比較、⑦FAT、⑧SAT、⑨保全引継ぎの順に進めると判断を残しやすくなります。各段階の承認者は生産技術だけでなく、製造、品質、保全、購買を含めます。ねじの承認図面が変わる時、誰が再試験を要求するかも運用ルールにします。

初回の相談資料は完璧なRFPでなくて構いません。対象ねじ三~五品種の現物、製品タクト、工具と供給機の位置、現在の停止・不良の記録があれば、方式選定の議論を始められます。ただし現物がない段階で特定モデルの適用、費用、納期、改善率を確約しないことが重要です。ベンダーには「候補にできる」と「実ねじで保証できる」を区別して回答してもらいます。

FAQ:自動ねじ供給機の選定でよくある質問

自動ねじ供給機はねじ径が同じなら共用できますか?

共用できる場合もありますが、頭径、頭高さ、首下長さ、座金、表面、磁性、バリで適合が変わります。交換レールや設定変更で対応できるか、残留ねじを除去できるかを実ねじで検証します。DEPRAGは交換可能なガイドレールで異なるねじに対応できるモデルを示していますが、すべての形状への汎用性を意味しません。

スクリューフィーダー比較では何を同じ条件にすべきですか?

ねじロット、投入状態、ホース・ノズル・工具、計数の始点と終点、試験時間、作業者介入、表面傷の判定を揃えます。カタログの最速値だけを横並びにしても、供給境界と適用条件が異なります。

自動ねじ供給機の導入費用はどう見積もりますか?

機械本体に加え、レール、ホッパー、センサー、ホース、締結工具側の改造、PLC、設置、FAT/SAT、教育、予備品、保守を含めた総額で比較します。ねじ品種の追加予定と交換時間も総保有費用に入れます。特定工場の金額はねじ現物と設置条件を確認せずには示せません。

ねじ供給機RFPにはどのサンプルを添付すべきですか?

承認図面と現行の代表ロットに加え、公差端、異なる仕入先、表面処理差、座金付き、保管差など、実際に量産で使う範囲のサンプルを識別して添付します。故意のNGサンプルは量産用と明確に分け、検知・復旧試験に限定します。

ねじ供給FATが合格ならSATは省略できますか?

省略しない方がよいでしょう。SATは実際のホース経路、エア、工具、治具、PLC、現地作業者で検証します。FAT合格は輸送・設置後の統合動作を保証しません。両者の合格条件と未解決項目の扱いを契約前に決めます。

ねじ詰まりをゼロにできる機種はありますか?

ねじ形状、表面、混入、補給、設備条件により結果が変わるため、ゼロを一般保証することはできません。指定したサンプルと期間で停止率、検知率、復旧時間を測り、停止時に不良品が工程へ進まない設計にします。

まとめ:実ねじと受入証拠で方式を選ぶ

自動ねじ供給機は、提示式か搬送式か、ボウル式かステップ式かを機種名で選ぶ前に、供給完了点、実ねじのばらつき、必要な連続供給、検知と復旧、現地の設置条件を定義します。メーカーの公称値は候補を絞る材料です。最終判断は同条件のサンプル試験、RFPの責任境界、FAT/SATの記録で行います。タイ工場では、保全員が安全に復旧でき、品種替え後の残留ねじを管理できることまで導入要件に含めると、設備導入を工程改善につなげやすくなります。

TOMAS TECHでは、タイ工場のねじ供給・締結工程について、現物台帳、供給境界、RFP、サンプル試験、FAT/SATの評価項目を整理する段階からご相談を承れます。方式がまだ決まっていなくても、対象ねじと現場の条件から検討を始められます。お問い合わせはこちら。

参考資料

本記事の製品仕様は参照時点のメーカー公開情報に基づきます。機種改訂や個別ねじへの適用は、最新仕様とサンプル試験で確認してください。