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2026.08.31

マテハン機器の選び方|タイ工場のRFP・FAT/SAT

マテハン機器の選び方|タイ工場のRFP・FAT/SAT

マテハン機器を選ぶとき、最初にコンベヤ、AGV・AMR、フォークリフト、自動倉庫のカタログを並べると、比較の軸が各メーカーの得意機能に引っ張られます。工場内物流の目的は機器を買うことではなく、決めた荷姿を、必要な量だけ、安全に、止められる時間の範囲で工程間へ届けることです。本稿では、タイ工場を想定し、荷姿・単位荷重・搬送量・ピーク係数・移動距離・バッファ・人との交錯・停止許容時間を数値化してから、RFP、FAT/SAT、TCO、意思決定ゲートで方式を選ぶ手順を解説します。

マテハン機器選定を2026年のタイで考える理由

タイ投資委員会(BOI)の2026年上期発表によると、Smart and Sustainable Industry施策には、機械更新、デジタル技術、自動化・ロボット導入など132件、約172億バーツの投資申請がありました。同じ発表は、機械・自動化・ロボット分野の投資申請を別集計として82件、約131億バーツと示しています。二つの数字は定義が異なるため合算しません。また、申請件数は採択件数でも、個別案件の投資効果を保証する数字でもありません。

BOIの現行Smart and Sustainable Industryページは、効率改善投資について、土地・運転資金を除く最低投資額100万バーツ、機械の輸入関税免除、既存案件に対する法人所得税免除の枠組みなどを説明しています。国内自動化産業との連携に関する30%条件や、投資額に対する免税上限の説明もあります。しかし、マテハン機器を導入すれば自動的に適用される制度ではありません。対象事業、費目、申請時期、国内連携の算定、証憑、完了期限をBOIまたは専門家へ案件ごとに確認する必要があります。

ここから得るべき実務上の示唆は、「補助や税制を理由に機器を決める」のではなく、「生産性・安全・品質・柔軟性の投資根拠を作り、そのうえで利用可能な制度を確認する」ことです。投資申請が活発な時期ほど、供給者の提案を同じデータと同じ受入条件で比べる発注者側の能力が重要になります。

マテリアルハンドリングとは?機器より先に物流サービスを定義する

マテリアルハンドリングは、原材料、部品、仕掛品、完成品、容器、廃材などを、搬送・保管・積み降ろし・位置決め・供給する活動です。マテハン機器はその手段であり、コンベヤ、昇降機、AGV・AMR、フォークリフト、牽引車、自動倉庫、パレタイザー、搬送ロボット、周辺のセンサーや制御を含み得ます。

方式を問う前に「物流サービス」を定義します。

  • 何を運ぶか:寸法、質量、重心、底面、剛性、滑り、液漏れ、温度、清浄度
  • どの単位で運ぶか:単品、箱、通い箱、パレット、ラック、台車、ロール材
  • どこからどこへ運ぶか:出発点、到着点、戻り荷、空容器、不良品、緊急搬送
  • いつ、どれだけ運ぶか:平均、時間帯別、段取り時、月末、品種切替、ピーク
  • どの品質で届けるか:時間窓、順序、向き、混載可否、衝撃、追跡、誤投入防止
  • 何分止められるか:工程内在庫、切替手段、復旧時間、停止損失、手動退避
  • 誰と空間を共有するか:歩行者、フォークリフト、台車、来訪者、保全作業

「1時間に60パレット」のような単一数字だけでは足りません。搬送元と搬送先の組合せ、時間分布、同時要求、優先順位を持つフローマトリクスにします。平均値が同じでも、均等に流れる工程と、15分に集中する工程では必要な設備が違います。

単位荷重を固定しないと比較は成立しない

ベンダーAが一回に1パレット、ベンダーBが一回に2台車を運ぶ提案なら、台数だけを比べられません。RFPでは単位荷重ごとに、最大・最小・代表値を分けます。パレットなら、外形寸法、フォーク差込方向、下面状態、たわみ、オーバーハング、荷崩れ、識別子を記録します。箱なら、底面摩擦、封函、突出、柔らかさ、バーコード位置も確認します。

荷姿は「図面上の理想値」だけでなく、実際のばらつきを測ります。破損したパレット、膨らんだ段ボール、ストレッチフィルムの垂れ、斜めに積まれた箱が搬送詰まりの原因になります。許容できない荷姿を設備側で無理に吸収するのか、投入前検査で排除するのか、荷姿標準を改善するのかを決めます。

工場内物流改善のために集める八つの数値

マテハン機器の選び方|タイ工場のRFP・FAT/SAT - figure 1

1. 荷姿と単位荷重

全品種を平均化せず、代表荷重、最大荷重、扱いにくい荷重を分けます。質量だけでなく、重心高さ、偏荷重、安定性、表面状態、向きの制約が重要です。危険物、食品、医薬、クリーンルーム、冷凍、高温、爆発性雰囲気などは、一般環境の提案をそのまま転用できません。

2. 平均搬送量と時間粒度

受払実績、PLC/MES履歴、フォークリフト運行、現場観測から、少なくともシフト別・時間帯別の流量を作ります。平均だけでなく、分布と欠測を残します。手書き記録しかない場合でも、観測期間、サンプル数、除外条件を明示すれば、根拠のない推測より比較可能です。

3. ピーク係数

ピーク係数は、設計に使うピーク量を平均量で割った値です。ただし「業界標準の1.5」といった万能値はありません。実データの時間窓を決め、正常なピークと異常停止後の追い上げを分けます。ピークをすべて設備容量で吸収するのか、一部をバッファや出荷平準化で吸収するのかも経営判断です。

4. 移動距離と経路条件

図面距離ではなく実走行距離を測ります。曲がり角、交差点、シャッター、エレベーター、傾斜、床の段差、天井高、柱、避難経路、充電・待機場所を含めます。AGV・AMRは最短距離だけでなく、減速、譲り合い、経路閉塞、再計画の時間が効きます。コンベヤは支持構造、通路横断、清掃、非常時のアクセスが効きます。

5. バッファ

バッファは余った床ではなく、工程間の変動を吸収する設計要素です。位置数だけでなく、先入先出、品種混在、満杯・空の検知、追跡、手動アクセス、火災・避難条件を定義します。バッファを増やすと停止耐性は上がる一方、仕掛在庫、面積、滞留、取り違えが増えます。

6. 人・車両との交錯

交錯点を平面図に印を付け、時間帯別の歩行者数、フォークリフト通過、見通し、ドア開閉、積み降ろしを観測します。「センサーがあるから安全」とは限りません。検知後に必要な停止距離、荷姿の突出、床摩擦、速度、遮蔽、作業者の予見可能な行動を含めてリスクを評価します。

7. 停止許容時間

設備停止が何分続くと生産が止まるかを工程ごとに決めます。停止許容時間は、平均修理時間とは別です。停止中に手動搬送へ切り替えられるか、何人・何台が必要か、通路を確保できるか、仕掛品を追跡できるかもセットで検討します。

8. 復旧後の追い上げ能力

停止から復旧しても、通常能力と需要が同じなら滞留を解消できません。通常需要に加えて、どの時間で何パレットの滞留を解消するかを定義します。ピーク対応と復旧対応を一つの最大値で混同せず、運用ルールと一緒に試験します。

説明用仮定でマテハン能力を計算する

以下の数値は計算方法を示す説明用仮定であり、タイ市場の標準能力、推奨速度、相場ではありません。四言語版で同じ前提を使います。

ある工場で1回に1パレットを運び、平均搬送量を48パレット/時、実績から決めたピーク係数を1.25とします。設計需要は次の通りです。

設計需要 = 48 × 1.25 = 60パレット/時

経路は往路120m、復路120m。AGV・AMR候補について、説明上、積載時1.2m/s、空車時1.5m/s、受渡し・ハンドシェイク45秒、交通と充電をまとめた余裕25%、有効稼働率75%と置きます。

サイクル時間 = (120÷1.2 + 120÷1.5 + 45) × 1.25 = 281.25秒

1台の有効能力 = (3,600÷281.25) × 0.75 = 9.6回/時

初期台数 = 60÷9.6を切り上げ = 7台

7台は発注台数ではありません。交差点での待ち、同時受渡し、充電戦略、故障、空車回送、優先搬送を離散事象シミュレーションやパイロットで確かめるための初期値です。搬送要求が偏れば7台でも不足し、バッファや配車を改善すれば同じ台数で成立する可能性があります。

コンベヤ候補では、説明用にパレット投入ピッチ45秒とすると理論能力は80パレット/時です。さらに説明用の可用係数85%を掛けると、計画能力は68パレット/時です。

コンベヤ計画能力 = (3,600÷45) × 0.85 = 68パレット/時

60を上回るだけで合格にはできません。合流部の優先制御、アキュムレーション、詰まり復旧、異常パレット排出、下流満杯時の停止伝播を試験します。また、能力余裕8パレット/時が、品種追加や復旧後の追い上げに十分かを確認します。

バッファは、60パレット/時のピークで20分を吸収する説明用仮定なら20位置です。生産を変えずに30分の搬送停止へ耐えるなら30位置です。両者は目的が違うため、より厳しい方を無条件採用するのではなく、スペース、仕掛在庫、手動切替、下流の回復能力を含むシナリオで決めます。

コンベヤ・AGV/AMR・フォークリフト・自動倉庫の選び分け

マテハン機器の選び方|タイ工場のRFP・FAT/SAT - figure 2

コンベヤ搬送システムが合いやすい条件

固定された起点・終点間を、比較的安定した荷姿と量で繰り返し運ぶ場合、コンベヤは連続性と位置制御を作りやすい方式です。設備間ハンドシェイク、アキュムレーション、検査・仕分けを一体化できます。一方、レイアウト変更、通路横断、清掃、荷姿逸脱、単一故障点への対策が必要です。

RFPでは、ベルトやローラーの速度だけでなく、最小投入ピッチ、合流後能力、満杯制御、詰まり検知、異常荷排出、ガード、インターロック、非常停止区域、保全アクセス、交換時間を求めます。停止時に長い区間全体が止まる設計なら、バイパスや区間分割を検討します。

AGV・AMRが合いやすい条件

複数の起点・終点、品種変更、段階導入、経路変更がある場合、無人搬送車は柔軟性を持ちやすい方式です。ただし車両単体の最高速度ではなく、フリート全体の配車、交差点、充電、通信、受渡し、障害車回収で能力が決まります。

タイ工場のAGV・AMR費用と選定ガイドで扱うように、台数見積りは走行時間だけでは不十分です。負荷率、充電方式、予備車、マップ変更、ソフトウェアライセンス、設備インターフェース、運用支援をTCOへ入れます。AGVとAMRという名称だけで誘導方式や安全能力を決めつけず、実際の機能、使用範囲、適用規格を確認します。

フォークリフト・牽引車が合いやすい条件

低頻度、多様な荷姿、例外処理、屋外、仮設経路では、人が運転する車両が合理的な場合があります。自動化率が高いほど良いとは限りません。ただし歩車混在、死角、速度、駐車、充電・燃料、資格・教育、点検を運用で維持する必要があります。人手方式を「初期費用が低い」とだけ評価せず、シフト要員、欠員、教育、事故リスク、追跡品質、将来需要を同じ期間で比較します。

自動倉庫が合いやすい条件

高密度保管、入出庫順序、在庫精度、WMS連携が価値を生む場合、自動倉庫が候補になります。しかし搬送能力の不足を保管設備だけで解決できません。入庫口・出庫口の集中、クレーンやシャトルの故障、消防、建屋、温度、避難、保全アクセス、在庫退避を含めます。SKU数、回転、ABC構成、ロット・期限、ピーク入出庫を用いて設計します。

ハイブリッドを前提に境界を設計する

実際の工場では、長距離固定区間をコンベヤ、複数工程への分岐をAMR、例外荷役をフォークリフト、保管を自動倉庫とする組合せが一般的です。重要なのは「どの方式が勝つか」ではなく、境界で荷姿、識別、所有権、完了信号、異常処理がつながることです。受渡し位置の公差、搬送ID、タイムアウト、再送、二重搬送防止をインターフェース仕様にします。

ISO 3691-4・ISO 12100・ISO 13849-1をどう扱うか

安全規格は、型番比較表のチェック欄ではなく、リスク低減と検証の枠組みとして使います。

ISO 12100:2010は、機械のライフサイクルに沿った危険源の同定、リスク見積り・評価、リスク低減、文書化・検証の原則を示します。ISOのページでは2022年に確認され現行版とされていますが、改訂版のドラフトも進んでいます。契約時には最新版と移行条件を確認してください。この規格名をRFPに書いただけでは、工場固有のリスクアセスメントは完成しません。

ISO 3691-4:2023は、無人搬送車とそのシステムの安全要求・検証を扱い、AGVやAMRなどを例示しています。運転区域の状態が安全運用へ大きく影響することも明示しています。ISOの現行ページは2023年版を発行版として掲載する一方、置換予定のDISも示しています。したがって「ISO 3691-4対応」という自己申告だけで終えず、車両、制御、誘導、受渡し、運転区域を含む証拠と、契約時点の版を確認します。なお、コンベヤや有人フォークリフトなど、すべてのマテハン機器をこの規格で一括評価することはできません。

ISO 13849-1:2023は、安全機能を実行する制御システムの安全関連部を設計・統合する方法を示します。同規格の要約は、個別用途で必要な安全機能や要求パフォーマンスレベルを指定するものではないと明記しています。必要な機能と性能はリスク評価から導出し、アーキテクチャ、診断、部品信頼性、ソフトウェア、検証へ落とします。また同規格は具体的なサイバーセキュリティ対策を規定しないため、無線、フリート管理、遠隔保守、アカウント、更新は別途扱います。

人との交錯は設備だけでなく運転区域で減らす

優先順位は、可能なら危険な交錯を設計でなくすことです。歩行者通路と車両経路を分離し、交差回数を減らし、受渡しを柵外から行い、見通しを確保します。そのうえで速度・停止、検知、警告、ガード、インターロック、手順、教育を組み合わせます。床の濡れ、積荷の突出、遮蔽物、扉からの飛び出し、清掃中、保全モードなど、予見可能な逸脱を試験に含めます。

マテハン機器RFPを比較可能にする

タイ工場の自動化設備メーカー選定ガイドで示すように、ベンダー比較は同じ質問、同じデータ、同じ証拠で行います。マテハンRFPには少なくとも次を含めます。

要求領域発注者が示すものベンダーに求める回答・証拠
荷姿寸法・質量・重心・ばらつき・不適合例対応範囲、検知、排出、試験荷
搬送量O-D表、時間分布、ピーク、将来シナリオ計算式、シミュレーション前提、ボトルネック
経路図面、実測距離、交差、床、扉、制約レイアウト、速度区域、待ち、保全アクセス
バッファ必要時間、FIFO、追跡、許容WIP位置数、満空制御、回復シナリオ
可用性停止許容、手動切替、重要区間故障モード、復旧時間、予備品、縮退運転
安全使用範囲、関係者、危険源、社内基準リスク低減設計、安全機能、検証計画、残余リスク
制御・ITPLC/MES/WMS、ID、時刻、ネットワークインターフェース、ログ、バックアップ、更新、権限
ライフサイクル期間、拡張、移設、出口保守、ライセンス、ソース・設定引渡し、廃止費

回答は「対応可」だけでなく、標準、オプション、カスタム、対象外に分け、価格、納期、前提、責任分界を紐付けます。性能値には荷姿、ルート、台数、充電、混雑、利用率などの条件を付けます。条件のない最高値は、実工場の保証値ではありません。

FAT・SAT・運用実証で正常系と失敗系を試す

FATは供給者側または統制された環境で、設計と実装を現地投入前に確認します。SATは実工場の床、設備、人、ネットワーク、運用条件で成立するかを確認します。どちらも「動いた動画」ではなく、承認済み手順、入力条件、期待結果、実測値、逸脱、証拠、承認者を残します。

FATで確認する代表項目

  • 最小・最大・偏荷重・不適合荷姿の検知と扱い
  • 定常、ピーク、合流、優先、バッファ満杯の制御
  • センサー故障、通信断、電源断、非常停止、再起動
  • 二重指令、重複ID、読取不能、タイムアウト、再送
  • 安全機能の要求仕様と検証記録
  • バックアップ取得、クリーン環境への復元、版管理
  • アラーム、イベント、追跡ログ、時刻同期

SATで確認する代表項目

  • 実床の摩擦、段差、傾斜、照明、粉じん、温湿度
  • 実際の歩行者、フォークリフト、扉、交差点との相互作用
  • PLC、MES/WMS、シャッター、エレベーター、受渡し設備
  • 無線の死角、ローミング、遅延、ネットワーク障害
  • 手動切替、障害車・詰まりの回収、復旧後の追い上げ
  • オペレーター、保全、EHS、IT/OTが行う日常・異常操作
  • 教育資料、点検表、予備品、連絡網、変更手順

運用実証期間を設ける

SAT合格直後は、ベンダー支援と新設備への注目が厚く、通常運用より条件が良いことがあります。複数シフト、品種切替、清掃、保全、繁忙、欠員を含む運用実証を行い、要求したKPIを確認します。平均能力だけでなく、遅延分布、ミッション未完了、手動介入、荷傷み、誤搬送、停止時間、復旧時間を追います。

マテハン機器のTCOを同じ期間と境界で比較する

TCOは購入価格だけでなく、建築・床・電気・ネットワーク、統合、安全対策、教育、エネルギー、保守、ソフトウェア、予備品、停止、変更、撤去を含みます。

評価期間TCO = 取得費 + 土木・建築・電気費 + 統合費 + 安全対策費 + 教育・立上げ費 + エネルギー・保守費 + 停止影響の期待値 + 計画変更費 + 出口費 − 残存価値

説明用仮定として、5年間の費用を通貨ではない「コスト単位」で置きます。取得100、土木・電気35、統合30、安全20、教育10、エネルギー・保守45、停止影響25、変更15、出口5、残存価値10なら、TCOは270コスト単位です。

100 + 35 + 30 + 20 + 10 + 45 + 25 + 15 + 5 − 10 = 270

これはタイの市場価格でも、特定方式の相場でもありません。自社見積りへ置き換えるための算式です。候補ごとに同じ境界を使い、税、為替、評価期間、割引率、残存価値の扱いを統一します。不確かな入力は低・基準・高で感度分析し、特に結果を左右する仮定をPoCや契約条件で減らします。

停止影響は「停止1時間の売上」だけではありません。未達粗利、追加人員、廃棄、特急輸送、段取りやり直し、品質確認、復旧作業を自社データで積み上げます。確率を信頼できないなら、頻度を無理に一点推定せず、代表シナリオごとの影響と許容可否を比較します。

BOIの可能性はTCOの後で確認する

BOI施策の見出し条件をそのままTCOから控除してはいけません。まず制度なしの投資採算を作り、申請可能性、対象費目、承認時期、実施期限、証憑を確認したうえで別シナリオにします。国内自動化産業との連携30%条件も、単なる国内購入比率と自己解釈せず、現行の公式基準で確認します。

RFPからFAT/SATまでの意思決定ゲート

マテハン機器の選び方|タイ工場のRFP・FAT/SAT - figure 3
  1. 問題定義ゲート:対象フロー、改善KPI、除外、責任者が承認されているか。
  2. データ品質ゲート:荷姿、O-D量、ピーク、経路、交錯、停止許容の根拠が揃ったか。
  3. 方式選定ゲート:少なくとも現状改善を含む複数方式を同じ条件で比較したか。
  4. 安全構想ゲート:使用範囲、危険源、リスク低減方針、適用規格、責任分界が合意されたか。
  5. RFP・契約ゲート:性能条件、証拠、変更、受入、支払、保証、出口が契約に結び付いたか。
  6. FATゲート:正常系・失敗系の必須項目が合格し、重大逸脱が閉じたか。
  7. SATゲート:現地条件、人・設備との相互作用、切戻しが確認されたか。
  8. 運用準備ゲート:教育、点検、予備品、監視、バックアップ、連絡、変更管理が機能するか。
  9. 効果確認ゲート:能力、安全、品質、人時、WIP、停止が基準線と比較され、残課題の所有者が決まったか。

日付が来たから通過するゲートでは意味がありません。必須証拠がなければ止め、例外は残余リスク、暫定策、期限、責任者を記録して承認します。支払マイルストーンを証拠ゲートへ連動させると、未完了のまま検収する圧力を下げられます。

マテハン導入でよくある失敗

平均搬送量だけで台数を決める

ピーク、同時要求、空車回送、充電、混雑、復旧を無視すると不足します。時間別O-Dデータと説明可能な余裕を使い、シミュレーションと実測で更新します。

最大速度を能力だと思う

最高速度は直線の一条件です。加減速、曲線、交差、受渡し、待ち、故障、充電を含むサイクルとフリート能力で比較します。

自動化前のムダを固定する

遠回り、過剰な容器変換、まとめ運搬、誤ったロット、不要な中間倉庫をそのまま自動化すると、高価なムダになります。工程配置、荷姿、補充方式、平準化を先に検討します。

安全を供給者へ丸投げする

供給者は機器に詳しくても、発注者の全作業、清掃、保全、将来変更を知りません。工場側が使用範囲と運転区域を定義し、EHS、製造、保全、IT/OT、供給者が共同でリスクを扱います。

FATをデモにする

成功する正常動作だけを見ると、通信断、詰まり、荷姿不良、復旧、手動切替が現地で初めて見つかります。失敗系を契約前に受入項目へ入れます。

ソフトウェアと出口費を忘れる

フリート管理、WMSコネクタ、遠隔支援、シミュレーター、開発ツールの継続費、設定引渡し、移設、データ出力、撤去を確認します。製品寿命よりサポート終了が早い場合の移行権も契約します。

マテハン機器に関するよくある質問

マテリアルハンドリングとは何ですか?

材料、部品、仕掛品、完成品、容器などを搬送、保管、積み降ろし、供給、位置決めする活動です。機器導入だけでなく、荷姿標準、レイアウト、情報、作業、バッファ、保全まで含めて設計します。

工場内物流を改善する最初の一歩は何ですか?

機器選定ではなく、現状のO-Dフロー、荷姿、時間別搬送量、ピーク、距離、待ち、交錯、停止を観測することです。そのデータから、運ばない、距離を短くする、平準化する、荷姿を統一する改善も含めて選択肢を作ります。

コンベヤ搬送システムとAGVはどちらがよいですか?

固定経路で安定した量ならコンベヤ、複数経路や変更が多いならAGV・AMRが合いやすい傾向はありますが、結論ではありません。荷姿、ピーク、受渡し、交錯、可用性、変更、TCOを同じシナリオで試験します。両者を組み合わせることもあります。

AGVの選び方で最重要の数値は何ですか?

一つの万能指標はありません。単位荷重、時間別O-D要求、実走行距離、受渡し時間、混雑、充電、停止許容、復旧条件をセットで見ます。最高速度やカタログ上の台数だけでは選べません。

バッファは何個必要ですか?

ピーク変動を何分吸収するか、搬送停止中に生産を何分継続するか、復旧後にどれだけ追い上げられるかで計算します。本稿の20位置・30位置は説明用仮定で、標準値ではありません。FIFO、面積、WIP、追跡、消防・避難条件も確認します。

ISO 3691-4:2023に対応すればAGVは安全ですか?

規格への対応表明だけでは十分ではありません。車両だけでなく制御、誘導、受渡し、運転区域、荷姿、人との交錯、保全、予見可能な誤使用を含むリスク評価と検証が必要です。ISOページは改訂ドラフトも示すため、契約時点の版も確認します。

BOIのSmart and Sustainable Industryはマテハン設備に必ず使えますか?

必ず使えるとは言えません。BOIの現行ページには投資額や優遇の見出し条件がありますが、個別案件の対象事業、設備、費目、国内連携、申請・実施要件は審査対象です。設備発注前にBOIまたは専門家へ確認してください。

FATとSATの違いは何ですか?

FATは供給者側または統制環境で、設計・実装を現地投入前に検証します。SATは実工場の床、設備、ネットワーク、人、運用条件で成立するかを確認します。両方に正常系と失敗系を配分し、証拠と逸脱処理を残します。

まとめ:マテハン機器は数値と証拠で選ぶ

マテハン機器選定の起点は製品名ではありません。荷姿と単位荷重を定義し、時間別O-D搬送量、ピーク係数、実距離、バッファ、人との交錯、停止許容、復旧後の追い上げを数値にします。その同じデータで、現状改善、コンベヤ、AGV・AMR、フォークリフト、自動倉庫、ハイブリッドを比較します。

安全はISO 12100、ISO 3691-4、ISO 13849-1などの適用範囲と版を確認しつつ、工場固有のリスク評価と運転区域設計へ落とします。RFPには条件付き性能、失敗時挙動、証拠、責任分界、ライフサイクルと出口を含め、FAT、SAT、運用実証を通じて数値を確かめます。TCOは市場相場を作らず、自社入力と不確実性を開示して比較します。BOIの可能性は、制度なしの事業性を作った後に、公式条件と個別適用を確認してください。

タイ工場のマテハン構想について、方式をまだ決めていない現状分析やRFP作成の段階からご相談いただけます。荷姿・搬送量の整理、コンベヤとAGV/AMRの比較、FAT/SAT、段階導入を検討する場合は、TOMAS TECHへのお問い合わせをご利用ください。

参考一次情報