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2026.08.28

ベトナムのトレーサビリティ義務化|品質法改正と3層リスク分類

ベトナムのトレーサビリティ義務化|品質法改正と3層リスク分類

ベトナムに製造拠点を持つ日系メーカーにとって、2026年は製品に付ける情報の作り方が変わった年になりました。製品・商品品質法の改正法である第78/2025/QH15号が2026年1月1日に施行され、7月1日には移行期間が終わって、リスクに応じた3層分類が完全に義務化されています。ベトナムでトレーサビリティが制度上の要求としてはっきり立ち上がったのが、この一連の改正です。本記事では、法改正と施行細則の中身、認められた技術、商工省の公式ポータル、そして工場側が実務として何を準備すべきかを順に整理します。

ベトナムの品質法改正で何が変わったのか

2区分の製品分類が3層リスク分類に置き換わった

今回の改正の中心は、製品分類の考え方そのものが入れ替わったことです。改正前のベトナムでは、製品はグループ1とグループ2という2区分で管理されていました。この2区分が廃止され、低リスク・中リスク・高リスクという3層のリスク分類に刷新されています。

根拠となるのは、2025年6月18日にベトナム国会で可決された第78/2025/QH15号です。これは製品・商品品質法の一部条項を改正・補足する法律で、2026年1月1日に施行されました。分類の軸が「グループに属するかどうか」から「どの程度のリスクを持つ製品か」に変わったため、自社製品がどの層に落ちるかを読み直す作業が、ベトナムで製造・輸入・流通に関わるすべての事業者に発生しています。

ここで注意したいのは、これが単なる呼び名の変更ではないという点です。後述するとおり、高リスク層についてはリスク層の定義そのものにトレーサビリティの義務が組み込まれています。「分類が変わったが、やることは同じ」ではなく、「どの層に入るかで、製品に付けるべき情報が変わる」という構造になりました。

政令 第37/2026/ND-CP号が施行細則と技術基準を定めた

法律の条文だけでは実務は動きません。実際の運用を決めているのは、2026年1月23日付の政府政令 第37/2026/ND-CP号です。この政令が改正法の施行細則を定め、その中でトレーサビリティコードの技術基準を規定しました。

技術基準として認められ、推奨されているのは、QRコード、データマトリックス、RFID、NFCといった技術です。つまり、特定の1つの方式に縛られているわけではありません。個装への印字が中心の製品ならQRコードやデータマトリックス、外装や通い箱の単位で追いたいならRFIDやNFC、という選び方が制度上は可能です。実務でQRコードが最初の候補に挙がりやすいのは、既存の印字工程で対応できる範囲が広く、読み取り側に専用の端末を新たに用意しなくても済むケースが多いためです。

法的根拠と施行日、そして商工省側の説明については、Nhan Danの記事が制度の趣旨とあわせて整理しています。技術を並べて示していることからも分かるように、制度が求めているのは特定のデバイスの導入ではなく、コードから追える情報が揃っていることです。

移行期間と2026年7月1日の完全義務化

制度の切り替えには移行期間が設けられました。2026年1月23日から6月30日までが移行期間で、この間は旧分類と新分類が並走します。そして2026年7月1日に旧分類が失効し、リスク3層分類が完全に義務化されました。なお同じ7月1日には、別のベトナムEコマース法も施行されています。オンライン販売のチャネルを持つ事業者は、この2つを同じタイミングで見る必要がありました。

日付の並びを1つの表にまとめると、いま自社がどの地点に立っているかが把握しやすくなります。

日付出来事
2025年6月18日国会が第78/2025/QH15号を可決
2025年12月23日公式トレーサビリティポータル verigoods.vn が稼働開始
2026年1月1日改正法が施行
2026年1月23日政令 第37/2026/ND-CP号の日付。移行期間の開始
2026年6月18日商工省が所管分のリスク品目リストを公表
2026年6月30日移行期間の終了
2026年7月1日旧分類が失効し、3層分類が完全義務化。別途Eコマース法も施行

この表で押さえておきたいのは、2026年1月23日という日付が2つの意味を持っている点です。1つは移行期間の開始日であること。もう1つは、後述する経過措置の基準日になっていることです。既存在庫と印刷済みラベルの扱いが、この日を境に分かれます。

ベトナムのトレーサビリティ義務化|品質法改正と3層リスク分類 - figure 1

上の図は、旧来の2区分から3層リスク分類への移行と、そのタイムラインの関係を示したものです。ここからは、3つの層それぞれでトレーサビリティの扱いがどう違うのかを見ていきます。

リスク3層分類とトレーサビリティ義務の関係

高リスク層は分類の定義そのものに義務が内包されている

制度設計上、最も理解しておくべきポイントがここです。高リスク層については、トレーサビリティの義務が後から追加要件として乗ってくるのではなく、リスク層の定義そのものに組み込まれています。

この違いによって、実務上の意味は大きく変わります。追加要件であれば、「いつから適用されるのか」「猶予はあるのか」という交渉の余地が生まれます。しかし層の定義に内包されている場合、その層に分類された時点でトレーサビリティが前提になります。実際、高リスク品目については即座にトレーサビリティが義務化されました。対象として挙げられているのは、化学品、産業用爆発物の前駆体、たばこ製品です。

他の分野については、当面は推奨、つまり任意という位置づけです。ただし、これを「まだやらなくてよい」と読むのは危険です。ベトナムでは公式ポータルが稼働し、リスト化と義務化の枠組みがすでに動いています。この枠組みが動いている以上、対象となる品目の範囲が今後広がる可能性は残ります。

3つの層の扱いを整理すると次のようになります。

リスク層トレーサビリティの位置づけ対象範囲
高リスク即時に義務化。リスク層の定義そのものに義務が内包されている化学品、産業用爆発物の前駆体、たばこ製品
中リスク当面は推奨(任意)。所管省庁による品目リストの公表が先行している産業用機械・設備・資材 ほか
低リスク当面は推奨(任意)上記以外の製品

推奨の層に自社製品が入っている場合でも、リスト公表が先行しているという事実は無視できません。リストに載っているということは、当局がその品目をリスクの観点で把握しているということです。

中リスク品目7分類に「産業用機械・設備・資材」が入った

商工省(MoIT)は2026年6月18日付で、同省が所管する中リスク品目のリストを公表しました。分類は7つです。

#品目分類
1ティッシュ・トイレットペーパー
2化学品および化学品を含む製品
3産業用爆発物
4高性能爆薬
5産業用爆発物の付属品
6産業用機械・設備・資材
7爆発物前駆体

日系製造業にとって直接効いてくるのは6番目の「産業用機械・設備・資材」です。工場の設備調達やサプライヤー管理に、そのまま関わる分類だからです。ベトナム拠点に設備を導入する、現地で資材を調達する、あるいは自社が産業用機械・設備・資材を製造して販売している。そのいずれの立場でも、この分類の存在を知らずに調達や販売の設計を進めるのは無理があります。品目リストの原文の範囲はProduct Compliance Instituteの解説で確認できます。

なお、化学品と爆発物前駆体は高リスク側でも名前が挙がっています。同じ言葉が両方の層に出てくるように見えますが、リストの整理単位とリスク層の定義は必ずしも一致しません。自社の具体的な品目がどちらに落ちるかは、リストの記載内容と製品の実態を突き合わせて判断する必要があり、名前が似ているという理由だけで層を決めつけないほうが安全です。

「推奨」の層で何を準備しておくか

自社製品が中リスクや低リスクに入り、当面は推奨にとどまる場合でも、準備の中身は変わりません。義務化されたときに要求されるのは、原材料の由来、製造工程、流通情報を統一データ形式で出せることです。これは制度が始まってから半年で作れるものではなく、社内の記録がどこまで製品単位で結合されているかに依存します。

言い換えると、推奨の期間は準備期間として使えます。制度が求める形に合わせて外向きのデータを整える作業と、社内の記録を製品単位でつなぐ作業は、後者のほうが圧倒的に時間がかかります。内部の記録づくりについては、トレーサビリティ導入の記事で内製とパッケージの選び方やベンダー選定の観点まで整理しています。

公式ポータル verigoods.vn に何を登録するのか

稼働開始と役割

商工省が運営する公式のトレーサビリティポータルが verigoods.vn です。2025年12月23日に稼働を開始しました。改正法の施行日である2026年1月1日より前に立ち上がっている点が、制度の準備状況を示しています。

このポータルで企業が行うのは、原材料の由来、製造工程、流通情報を統一データ形式で登録・更新することです。その上で、電子認証コードまたは電子ラベル、具体的にはQRコードなどを製品に付与します。消費者や当局は、そのコードから登録された情報を検証できます。制度の全体像と対象品目については、VnEconomyの記事が施行時点の説明としてまとまっています。

「統一データ形式」という要求の重さ

ポータルへの登録という言葉から、Webフォームに入力する作業を想像しがちですが、実務の負荷はそこではありません。負荷は、統一データ形式に合わせられる状態が社内にあるかどうかにあります。

原材料の由来を出すには、どの受入ロットがどの製品に使われたかが社内で追えている必要があります。製造工程の情報を出すには、その製品がいつ・どの設備で・どの条件で作られたかの記録が製品単位で残っている必要があります。流通情報を出すには、出荷したロットがどの取引先に渡ったかを紐付けておく必要があります。この3つが社内でつながっていない工場では、ポータルに登録する行為そのものが、毎回の手作業になります。

つまりベトナムのトレーサビリティ制度への対応は、外向きの登録作業に見えて、実態は内部トレーサビリティの整備です。制度が始まったから登録する、ではなく、登録できる状態を社内に作る、という順序で考えたほうが結果的に早く終わります。

現場データをどう集めるか

ベトナムの工場で製造工程の情報を製品単位に残そうとすると、多くの現場で最初にぶつかるのが、設備側のデータと生産実績が別々になっているという問題です。設備は装置メーカーのソフトの中にログを持ち、生産実績は日報や別のシステムにある。この2つを製品ロットで結合しないと、「このロットがどの条件で作られたか」が言えません。

ベトナムの工場でIoT導入として語られる取り組みの多くは、実はこの結合を作る作業です。センサーを増やすことが目的ではなく、設備が出しているデータに製造ロットという鍵を付けて、後から製品単位で引ける形にすることが目的になります。

ベトナムのトレーサビリティ義務化|品質法改正と3層リスク分類 - figure 2

上の図は、原材料の由来・製造工程・流通情報という3種類の記録が製品コードで結合され、そこから電子認証コードを介して外部に提示される流れを示しています。ポータルに向けて出すデータの品質は、この結合がどこまでできているかで決まります。

表示ラベルと経過措置の実務

層に関わらず印刷が必要な4項目

表示ラベルの要件も、リスク層によって変わります。ここで実務上の分岐点になるのが、印刷が必須の項目と、電子表示への移行が認められる項目の境目です。

層に関わらず必ず印刷が必要と保証されているのは、次の4項目のみです。

印刷が必要な表示項目ラベル設計での確認点
製品名表示面の主表示として確保されているか
責任者情報製造者・輸入者・流通責任者のいずれを載せるかが決まっているか
原産地実際の製造地と記載が一致しているか
警告表示製品の性質に応じた文言と記号が入っているか

上記4項目以外については、電子表示への移行が認められる場合があります。この整理は、ラベル設計の自由度が上がったと読むこともできます。従来すべてを紙面に押し込んでいた情報のうち、4項目以外は電子表示に逃がせる可能性があるためです。小さな部品や、表示面積の取れない製品では、この違いが効いてきます。

一方で、電子表示に移した情報は、コードから確実に引ける状態を維持しなければなりません。ラベルの印刷面を減らした分、裏側のデータ管理の責任が重くなる、という交換が起きていると理解しておくのが正確です。

2026年1月23日を基準日とする経過措置

制度変更にあたっては、既存在庫と印刷済みラベルへの経過措置、いわゆるグランドファーザー条項が置かれました。内容は2つです。

  1. 2026年1月23日より前に製造された製品は、期限まで流通を継続できる
  2. 同日までに印刷されたラベルは、最大2年間使用できる

この2点は、切り替え時の在庫廃棄を避けるための現実的な措置です。ただし、期限が来れば効力を失います。印刷済みラベルの2年という期間は、ラベルの版下を作り直し、印刷業者を手配し、現場の表示手順を差し替えるための猶予と考えるのが妥当です。移行期間のタイムラインや経過措置、ラベル表示要件の実務的な読み方については、Cleo Labsの解説が整理しています。

在庫の側で注意したいのは、製造日と入庫日が混同されやすいことです。基準になるのは製造された時点です。倉庫の在庫台帳が入庫日しか持っていない場合、経過措置の対象かどうかを製品側で言い切れません。これも結局、製造実績が製品単位で残っているかどうかの問題に帰着します。

ベトナム工場での実装をどう進めるか

タイの標準がそのまま通用しない領域がある

ASEANに複数拠点を持つ日系企業では、タイ拠点で作った仕組みをベトナム拠点に横展開するのが自然な発想です。実際、生産管理や品質管理の考え方は共通する部分が多く、横展開は有効です。

ただし、制度に紐付く部分は別です。ベトナムには、ベトナム固有の法令と、ベトナム固有の公式ポータルがあります。タイで作った品質記録の様式をそのまま持ち込んでも、統一データ形式への写像はベトナム側で作り直しになります。ベトナム拠点特有の事情がタイ仕様を崩すという論点は、電力事情や越境規制の側面からベトナム設備監視の記事でも扱っています。制度・インフラ・規制のいずれの面でも、共通化できる層とできない層を最初に切り分けておくと、後戻りが減ります。

海外工場のトレーサビリティを本社側から見るときも、同じ切り分けが必要です。共通化すべきなのは、製品コードの体系、記録の粒度、データの持ち方といった土台の部分です。各国の届出様式や表示要件は、その土台の上に国ごとのアダプタとして載せる。この構造にしておくと、ベトナムのように制度が動いた国があっても、影響範囲がアダプタ層に閉じます。

顧客・輸出先からの外部要求と重なる

もう1つ、実務で見落とされやすいのが、制度対応と取引先要求の重なりです。ベトナムの品質法が求めるトレーサビリティと、輸出先や顧客から求められるトレーサビリティは、根拠は別ですが、必要になるデータはかなり重なります。原材料の由来、製造の条件、出荷先の記録という中身は共通だからです。

たとえばEU向けの供給では、対象品目について原材料の由来を証明する要求が別の枠組みから来ます。この構造は、タイの天然ゴム調達を題材にしたEUDR対応の記事で扱ったものと同じ形をしています。制度ごとに別々の仕組みを立てると、同じデータを何度も作り直すことになります。逆に、社内の記録を1つに束ねておけば、出力先を増やすだけで済みます。

費用と進め方の見立て

導入を検討する段階で必ず出てくるのが、どこまでやるといくらかかるのか、という問いです。ベトナムの制度対応に限っても、範囲は大きく3つに分かれます。

  1. 社内の記録を製品単位で結合する部分。工程データの取得と、製造ロットを鍵にした紐付けが中心になる
  2. 外部提示のためのデータを組み立てる部分。統一データ形式への変換と、更新のタイミング設計が中心になる
  3. 製品へのコード付与と読取の部分。QRコードなどの印字・貼付と、現場での運用手順が中心になる

このうち費用と期間の大半を占めるのは1番目です。3番目は目に見える投資なので先に議論されがちですが、印字装置を入れても、そのコードから引ける情報が社内に無ければ意味がありません。層ごとの費用の分解と、実際に動かすまでの進め方については、トレーサビリティ構築の費用と進め方の記事で4層モデルと90日ロードマップの形で整理しています。

進め方としては、まず自社製品がどのリスク層に該当するかを確定させ、次に現在の記録のうち製品単位で引けるものと引けないものを棚卸しし、その上で不足を埋める順序を決める、という流れに無理がありません。制度の日付に追われて3番目から手を付けると、コードは付いたが中身が空という状態になります。

ベトナムのトレーサビリティ義務化|品質法改正と3層リスク分類 - figure 3

上の写真は、製品にコードを付与して読み取る現場の工程を示したものです。制度が求めているのはこの読み取りそのものではなく、読み取った先に正しい記録が用意されていることです。

よくある質問

ベトナムのトレーサビリティ義務はどの製品に適用されますか

即座に義務化されたのは高リスク層で、化学品、産業用爆発物の前駆体、たばこ製品が挙げられています。他の分野については当面は推奨、つまり任意の位置づけです。ただし高リスク層はリスク層の定義そのものにトレーサビリティ義務が内包されているため、層の判定が変われば義務も一緒に付いてきます。自社製品がどの層に該当するかの確認が最初の作業になります。

ベトナムの品質法改正で従来の分類はどうなりましたか

改正法である第78/2025/QH15号は2025年6月18日に国会で可決され、2026年1月1日に施行されました。従来のグループ1とグループ2という2区分は廃止され、低リスク・中リスク・高リスクの3層に刷新されています。2026年1月23日から6月30日までは旧分類と新分類が並走する移行期間でしたが、2026年7月1日に旧分類が失効し、3層分類が完全に義務化されました。

トレーサビリティのQRコードはベトナムで必須ですか

QRコードだけが指定されているわけではありません。政令 第37/2026/ND-CP号がトレーサビリティコードの技術基準を定めており、QRコード、データマトリックス、RFID、NFCといった技術が認められ、推奨されています。ベトナムでトレーサビリティのQRコードが中心的に語られるのは、印字と読取の実装が容易で、消費者側の端末が普及しているためです。製品の形状や流通の単位に応じて、他の方式を選ぶ余地はあります。

verigoods.vn には何を登録するのですか

商工省が運営する公式トレーサビリティポータルで、2025年12月23日に稼働を開始しました。企業は原材料の由来、製造工程、流通情報を統一データ形式で登録・更新し、電子認証コードまたは電子ラベルを製品に付与します。消費者や当局は、そのコードから登録内容を検証できます。登録作業そのものより、統一データ形式に合わせられる記録が社内に揃っているかどうかが実務上の負担になります。

既存の在庫や印刷済みのラベルはどうなりますか

経過措置が置かれています。2026年1月23日より前に製造された製品は期限まで流通を継続でき、同日までに印刷されたラベルは最大2年間使用できます。注意点は、基準になるのが製造された時点であることです。在庫台帳が入庫日しか持っていない場合、経過措置の対象かどうかを製品側で証明できないため、製造実績の記録が必要になります。なお新しいラベルを設計する際、層に関わらず必ず印刷が必要と保証されているのは、製品名、責任者情報、原産地、警告表示の4項目です。それ以外の項目は電子表示への移行が認められる場合がありますが、電子表示に移した情報はコードから確実に引ける状態を維持する必要があります。

海外工場のトレーサビリティはタイ拠点と同じ仕組みで対応できますか

土台は共通化できますが、制度に紐付く部分は分ける必要があります。製品コードの体系、記録の粒度、データの持ち方といった土台は各国で共通にし、各国の届出様式や表示要件はその上のアダプタとして載せる構造にしておくと、どこか1か国で制度が動いても影響範囲が閉じます。ベトナムの場合、固有の法令と固有の公式ポータルがあるため、タイの様式をそのまま持ち込むことはできません。

まとめ

ベトナムの製品・商品品質法は、第78/2025/QH15号によって2026年1月1日に改正法が施行され、従来のグループ1とグループ2という2区分が、低リスク・中リスク・高リスクの3層リスク分類に置き換わりました。2026年1月23日から6月30日までの移行期間を経て、7月1日に旧分類が失効し、3層分類が完全に義務化されています。

施行細則を定めたのは2026年1月23日付の政令 第37/2026/ND-CP号で、トレーサビリティコードの技術基準としてQRコード、データマトリックス、RFID、NFCといった技術が認められ、推奨されています。運用の受け皿となるのが、2025年12月23日に稼働した商工省の公式ポータル verigoods.vn です。企業は原材料の由来、製造工程、流通情報を統一データ形式で登録・更新し、電子認証コードを製品に付与します。

義務の重さは層によって異なります。高リスク層は、リスク層の定義そのものにトレーサビリティが内包されており、化学品、産業用爆発物の前駆体、たばこ製品について即座に義務化されました。他の分野は当面は推奨です。ただし商工省が2026年6月18日付で公表した所管分の中リスク品目7分類には、産業用機械・設備・資材が含まれており、製造業の設備調達やサプライヤー管理に直接関わります。ラベル表示については、層に関わらず印刷が必要と保証されているのは製品名、責任者情報、原産地、警告表示の4項目のみで、それ以外は電子表示への移行が認められる場合があります。2026年1月23日より前に製造された製品と、同日までに印刷されたラベルには経過措置があります。

実務としてやるべきことは、制度の日付に追われてコードの印字から始めることではありません。自社製品の層を確定させ、原材料の由来・製造工程・流通情報が製品単位で引ける状態を社内に作り、その出力先としてポータルや取引先要求を並べる。この順序で組むと、制度が更新されても土台を作り直さずに済みます。

ベトナム拠点で、いまある記録のうちどこまでが製品単位で結合できていて、どこが切れているのか。この切り分けは、現在の生産管理の仕組みと現場の記録の取り方を伺えば、短時間で見立てが立てられます。TOMAS TECHでは、タイとベトナムの両拠点を見てきた経験から、共通化できる土台と国ごとに分けるべき部分を整理するところからお手伝いしています。制度対応を検討している段階でも、まだ社内で方針が固まっていない段階でもご相談いただけますので、お問い合わせページからお気軽にお声がけください。

参考情報