デパレタイズ自動化で難しいのは、整然と積まれた同一箱を一度だけ取り出すことではありません。実際の受入工程には、未登録箱、混載、荷崩れ、透明テープ、濡れ、潰れ、ラベルの浮き、パレットの欠け、箱間の狭い隙間が入ってきます。したがって発注時に問うべきは「ロボットの最高速度」だけではなく、何を受け入れ、何を例外として安全に復旧できるかです。
本記事は、タイおよび東南アジアの工場・物流拠点で未知/混載パレットのデパレタイジングを検討する担当者向けのRFP、FAT、SAT実務ガイドです。既存のピッキングロボット導入ガイドやパレタイジングロボット導入ガイドとは役割を分け、入荷したパレットを「箱台帳→認識→把持→取り出し→例外復旧→安全」という一続きの受入判定で評価します。特定メーカーのピーク仕様を自社ラインの保証値として扱わず、自社の荷姿と運用で成立する証拠を契約前から作ることが狙いです。
デパレタイズ自動化の成否は「未知」の定義で決まる
デパレタイジングロボットの提案書で「ランダム対応」「未知箱対応」「AIビジョン対応」と書かれていても、その意味は案件ごとに異なります。箱寸法だけが未知なのか、外観も重量も未知なのか、同じ層に異なるSKUが混ざるのか、袋・バンド・コーナー材まで対象なのかを分けなければ、同じ言葉で別のシステムを比較することになります。
まず荷姿を次の四段階に分類します。
| レベル | パレット状態 | システムが事前に持つ情報 | 主な不確実性 |
|---|---|---|---|
| L1 定型単載 | 同じ箱、既知の積み付け | 箱寸法、重量、層パターン | 位置ずれ、パレット高さ |
| L2 変動単載 | 同じSKUだが積み方が変動 | 箱仕様は既知、配置は未知 | 層境界、隙間、傾き |
| L3 既知混載 | 登録済み複数箱が混在 | SKU別の箱・重量・把持条件 | 上下関係、取り出し順 |
| L4 未知混載 | 未登録箱や変形が混在 | 最大外形など受入上限のみ | 識別、重量推定、把持可否、例外 |
RFPでは「未知箱対応」と一行で済ませず、対象レベル、除外する荷姿、出現頻度、連続処理すべき時間帯を明記します。L4まで完全自動化することが常に正解ではありません。箱の損傷や人への危険を考えると、信頼度が足りない荷姿を安全に保留し、人へエスカレーションする設計の方が総合稼働率を上げる場合があります。
「処理できない箱」を先に定義する
受入条件の裏側には拒否条件があります。例えば、規定外重量、箱天面の大きな開口、著しい濡れ、荷崩れ、ストレッチフィルム残り、突出した金属バンド、箱ではない袋物などです。拒否条件を曖昧にすると、FATでは良品だけを高速処理し、SATで初めて止まり続けることになります。
拒否は失敗ではありません。システムが危険な対象を認識し、安全状態へ移り、オペレーターへ理由と次の行動を示せれば、設計どおりの成功です。反対に、把持できない箱を何度も再試行して損傷させたり、周辺箱を崩したりする動作は、サイクルタイムが速くても受入不可です。
Step 1:箱台帳を作り、対象範囲を測定可能にする
デパレタイズ自動化のRFPはロボット型式から始めず、箱台帳から始めます。箱台帳は単なるSKU一覧ではなく、認識・把持・搬送・品質・安全の共通マスターです。購買、倉庫、品質、生産技術、IT、設備保全が同じ対象を話せるようにします。
最低限、次の項目を記録します。
| 分類 | 箱台帳の項目 | 確認方法 |
|---|---|---|
| 識別 | SKU、仕入先、荷姿コード、写真、版 | ERP/WMSと現物照合 |
| 寸法 | 長さ、幅、高さ、許容差、膨らみ | 複数ロットを実測 |
| 質量 | 公称、実測範囲、重心偏り | 秤量と内容物確認 |
| 表面 | 段ボール材質、印刷、光沢、テープ、ラベル | 代表面と最悪面を撮影 |
| 強度 | 天面のたわみ、吸着時の変形、破れやすさ | サンプル把持試験 |
| 積載 | 層パターン、混載規則、最大高さ、オーバーハング | 入荷履歴と現場観察 |
| 異常 | 潰れ、濡れ、開梱、バンド、フィルム残り | 不適合履歴を分類 |
| 下流 | 排出姿勢、コンベヤ方向、バーコード面 | 後工程の受入条件 |
平均値だけでは足りません。箱寸法や重量は公称値と実物がずれます。湿度で段ボールが柔らかくなる、テープ位置が仕入先ロットで変わる、内容物が片寄るといった変動を、季節・仕入先・シフトをまたいで収集します。タイの高温多湿環境や半屋外荷受けでは、空調試験室で良好だった吸着条件がそのまま続くとは限りません。
箱台帳には「ロボットが扱えるか」だけでなく、未評価、条件付き、対象外を持たせます。新しい箱が登録されるときの承認者、サンプル数、把持試験、ビジョン再評価、台帳の版管理もRFPに含めます。これがなければ、導入後のSKU追加が毎回ベンダー任せになり、保守費と待ち時間が読めません。
RFP添付サンプルは「良品中心」にしない
提案比較には、通常箱だけでなく境界例を渡します。対象範囲の最大・最小寸法、最大質量、最も柔らかい天面、最も反射するテープ、印刷が少ない箱、似た外観の別SKU、許容限界に近い潰れ箱を含めます。ただし、サンプル数を固定の万能値として示すことはできません。SKU数、変動、リスクに応じて、母集団を代表する根拠を決める必要があります。

Step 2:3Dビジョン・デパレタイジングは点群の先を評価する
3Dビジョン デパレタイジングでは、センサーが立体形状を取得できるだけでは不十分です。システムは、パレット領域の特定、箱候補の分割、上面・側面の推定、衝突しない把持点の生成、取り出し順の決定、ロボット座標への変換まで行います。さらに、認識結果の信頼度が低いときに勝手に動かず、再撮像や人への確認へ移る必要があります。
KUKAは自動パレタイジング/デパレタイジングの説明で、VisionTechによりずれた箱位置を検出できるとしています。これはビジョン活用の有用なベンダー例ですが、あらゆる箱や照明での性能保証ではありません。RFPでは機能名ではなく、自社サンプルを使った認識試験の条件と合格基準を要求します。
3D認識を崩す代表的な条件
- 黒色、光沢、透明テープ、強い印刷コントラストによる欠測や反射。
- 箱同士の隙間が狭く、境界が一体に見える状態。
- 天面が潰れ、平面として推定しにくい状態。
- ストレッチフィルム、紐、バンド、伝票袋が残る状態。
- パレットが傾き、基準面が設計位置から外れる状態。
- 外光、フォークリフトの照明、粉塵、レンズ汚れによる画質変化。
- 取り出し後に下層が動き、直前の認識結果が古くなる状態。
FATでは、点群画像を見せてもらうだけでなく、誤分割、未検出、重複認識、誤った姿勢推定を分類します。認識率という単一の平均にせず、荷姿クラス別に「動作可能」「再撮像」「人確認」「対象外」の結果を集計します。誤認識のままロボットが動くケースは、未検出より重大になり得ます。
再撮像と座標校正もサイクルの一部にする
センサー位置、ロボットベース、パレットストッパーの関係がずれると、画面上の把持点が正しくても実機は外します。治具交換、カメラ清掃、衝突後、保全作業後に、誰がどの基準器で再校正するかを決めます。校正誤差の確認手順と記録を保全標準へ入れます。
再撮像には時間がかかりますが、無理な把持より安全です。提案者には、初回撮像、再撮像、把持計画、ロボット移動、吸着確認、排出までを分解したタイムスタディを求めます。ピーク時の一回の成功だけではなく、日常的な再撮像や例外を含む分布で能力を判断します。
Step 3:ロボットハンド選定を「保持」から「分離」まで広げる
ロボットハンド 選定では、箱を持ち上げられるかだけでなく、隣接箱から一つだけ分離し、搬送中に落下させず、所定姿勢で解放できるかを評価します。吸着式、クランプ式、フォーク式、複合式にはそれぞれ適否があります。詳細な比較はロボットハンド/グリッパー選定ガイドも参照してください。
| 方式 | 向く条件 | 主な注意点 | FATで見る証拠 |
|---|---|---|---|
| 真空吸着 | 平滑で一定面積の天面 | 多孔質、テープ段差、潰れ、漏れ | 真空到達、保持監視、停電時挙動 |
| 側面クランプ | 側面強度があり形状が安定 | 箱潰れ、隣接箱との隙間 | 把持力、接触痕、滑り |
| フォーク/すくい | 底面へ差し込める、柔らかい袋物 | 侵入隙間、下層損傷、治具干渉 | 挿入成功、摩擦、抜け防止 |
| 複合ハンド | 箱変動が大きい | 重量、配管、制御、保守が複雑 | モード切替、故障検出、交換時間 |
吸着面積は箱天面全体ではなく、実際にシールできる面積で見ます。テープ、ラベル、折り目、凹み、印刷の盛り、穴を考慮します。真空圧だけでなく流量、漏れ、カップごとの状態、保持中の変化を監視し、把持成立を二重に判断できる構成が望まれます。ただし具体的な回路や冗長度は、落下時の危害と設備リスク評価から決めます。
可搬質量にはハンドと動的条件を含める
ロボットの可搬質量と箱の最大重量を直接比較してはいけません。ハンド、配管、センサー、変換プレートも負荷です。また、姿勢、リーチ、加減速、重心、慣性モーメントで許容条件が変わります。提案者には最悪姿勢での負荷計算、ロボットメーカーの選定根拠、ツール座標と重心の設定値、速度制限の根拠を提出してもらいます。
ABBのRobotic Depalletizerは、特定製品の公称例として最大パレット高2.8 m、ピーク750 cycles/h、最大30 kgを掲げています。これは市場に存在する一つの製品仕様であり、TOMAS TECHが保証する処理能力でも、任意の箱・混載・環境で達成できる数値でもありません。自社RFPでは、このようなピーク値を参考情報に留め、実サンプル、実レイアウト、例外率、後工程の受入条件を含むFAT/SAT結果を保証基準にします。
一箱を取る動作で周囲を崩さない
未知混載では最上面の箱が必ず最良の取り出し対象とは限りません。吸着カップやハンドの側面が隣の箱へ接触する、持ち上げ時の摩擦で隣箱を引く、下から支えを失った箱が傾くことがあります。把持候補の評価には、ハンドの進入空間、ロボット腕の掃引体積、箱を上方へ抜く経路、隣接箱の安定性を含めます。

Step 4:取り出し能力はピーク速度でなく実効フローで測る
デパレタイジングの1サイクルは、撮像、認識、把持計画、接近、把持確認、引き抜き、搬送、解放、次サイクル準備から成ります。さらに、パレット搬入、空パレット排出、コンベヤ詰まり、下流設備待ち、箱方向修正、バーコード読取が加わります。ロボット単体の最短動作はライン能力ではありません。
実効能力は少なくとも次を分けて測ります。
- 対象箱だけを連続処理したときのピーク能力。
- 代表的なSKU構成と異常頻度を含む持続能力。
- 再撮像、再把持、人確認を含む実効能力。
- パレット交換、清掃、点検を含むシフト能力。
- 下流停止時のバッファと復旧後の追いつき能力。
平均サイクルだけでなく、中央値、上位側の遅いケース、停止時間、失敗分類を確認します。数値目標は現状データ、必要タクト、バッファ、ピーク入荷から案件ごとに決めます。根拠のない一律目標は作りません。
能力保証の境界を表にする
| 条件 | 発注者が定義するもの | 供給者が証明するもの |
|---|---|---|
| 荷姿 | SKU構成、異常率、最大高さ、混載規則 | 対象/条件付き/対象外の判定 |
| 環境 | 温湿度、照明、粉塵、床、ネットワーク | センサー・機器の適合と保全条件 |
| 上流 | パレット位置精度、フィルム除去、搬入信号 | 位置ずれ許容とインターロック |
| 本体 | ロボット、ビジョン、ハンド、制御 | 能力、精度、故障検出、安全停止 |
| 下流 | 排出方向、隙間、コンベヤ能力 | 引渡し精度、詰まり検出、再起動 |
| 運用 | 人員、呼出し時間、清掃、品種登録 | 手順、教育、診断、ログ |
この境界表がないと、SATで「上流パレット位置が悪い」「箱が想定より柔らかい」「オペレーター対応が遅い」と責任が循環します。RFP時点で測定方法とデータの所有者まで決めます。
Step 5:例外復旧を通常機能として設計する
自動化ラインの可用性を左右するのは、成功時の動作より失敗後の戻り方です。例外をゼロにするのではなく、検出し、分類し、危険を増やさず、再開までの手順を短くします。
代表的な例外は次のとおりです。
- 箱候補を検出できない。
- 二つの箱を一つとして認識する。
- 把持点を生成できない。
- 真空または把持力が成立しない。
- 持ち上げ中に滑りや漏れを検出する。
- 周辺箱が動いて経路が無効になる。
- 箱を排出位置へ置けない。
- バーコードや下流判定が不一致になる。
- 人が保護領域へ入り、安全停止する。
- カメラ、ロボット、PLC、ネットワークが異常になる。
例外ごとに、自動再試行回数、再撮像条件、退避位置、箱の隔離先、人への通知、必要権限、ログ、再開前確認を決めます。同じ把持点への無制限再試行は禁止します。箱の損傷や荷崩れを拡大し、復旧作業を危険にするからです。
HMIはエラーコードでなく「次にすること」を示す
オペレーターに必要なのは内部モジュールのエラー番号だけではありません。どのパレットのどの位置で、何を検出し、設備がどの安全状態にあり、誰が何を確認すれば再開できるかです。画像スナップショット、把持点、真空履歴、直前動作、関連センサーを時刻同期して残すと、保全とベンダーが同じ事実を確認できます。
手動介入も設計対象です。箱を人が動かす場合のアクセス経路、ロックアウト/タグアウト、残留エネルギー、落下物、再起動時の在荷情報を決めます。復旧時間を縮めるために安全手順を省略してはいけません。
Step 6:安全は柵を置いて終わりではない
ISO 10218-2:2025は2025年2月に発行され、産業用ロボットアプリケーションとロボットセルの設計、統合、試運転、運用、保守、廃止などを対象とします。適合は型式名だけで決まらず、ロボット、エンドエフェクター、搬送装置、安全関連制御、周辺設備、人の作業を統合したセルとして評価します。
OSHAは、ロボットに関する事故が通常運転だけでなく、プログラミング、保守、試験、セットアップ、調整などの非定常作業で多いと注意しています。デパレタイズセルでは、潰れ箱を直す、吸着カップを交換する、カメラを清掃する、箱を手で取り除く、教示を修正するといった作業が該当します。SATは自動運転のデモだけでなく、こうした介入シナリオを含めなければなりません。
リスクアセスメントに含める危険源
- ロボットやハンドとの衝突・挟まれ・押し潰し。
- 箱、内容物、ハンド部品の落下・飛来。
- 崩れた積荷や傾いたパレットの不安定性。
- 真空、空圧、電気、重力による残留エネルギー。
- コンベヤ、昇降機、パレットチェンジャーとの複合動作。
- 保護装置の無効化、予期しない再起動、在荷情報の不一致。
- 鋭利なバンド、破損パレット、液漏れ、粉塵など荷姿固有の危険。
安全機能の検証では、ガード扉、ライトカーテン、スキャナー、非常停止、再起動防止、安全速度、安全位置など、採用した方策の応答を確認します。必要な性能レベルやカテゴリはリスクアセスメントと適用規格から決め、ブログ上で一律値を断定しません。安全PLCの画面が正常でも、実際のアクチュエータが安全状態へ入るまでの停止時間と距離を現場条件で測る必要があります。
NIST型のタスク駆動評価をRFPへ落とし込む
NISTはロボットシステムの性能評価について、知覚、移動、器用さ、安全などを、実行すべきタスクに結び付けて測定する枠組みを提示しています。デパレタイズ自動化でも、センサー単体の精度やロボット単体の繰返し精度だけでなく、「特定の荷姿から箱を安全に一つ取り出して下流へ渡す」というタスクで評価するのが合理的です。
タスクを次のように階層化すると、失敗位置を比較できます。
| タスク層 | 評価例 | 記録する証拠 |
|---|---|---|
| 知覚 | 箱分割、姿勢、パレット境界、信頼度 | 入力画像、点群、推定、正解ラベル |
| 器用さ | 把持点、シール、分離、滑り、解放 | 力・真空・位置・接触・損傷 |
| 移動 | 接近、退避、障害回避、排出 | 軌跡、速度、干渉、所要時間 |
| 安全 | 人侵入、落下、故障、再起動 | 安全信号、停止時間、復旧記録 |
| システム | 持続能力、例外率、可用性、下流連携 | イベントログ、停止分類、完成箱数 |
ベンダー間で同じタスクセット、同じサンプル、同じ集計ルールを使えば、カタログの異なる表現を比較しやすくなります。評価データは発注者も受領し、導入後の箱追加やソフトウェア更新の回帰試験へ再利用します。

RFPに含めるべき要求事項と提出物
RFPでは解決方法を過度に固定せず、対象、境界、証拠、責任を固定します。
1. 業務・荷姿要件
- 箱台帳、パレット分類、入荷頻度、シフト、必要能力。
- 対象、条件付き、対象外、手動バイパスの定義。
- 上流フィルム除去、パレット位置決め、下流引渡しの境界。
- 箱損傷、内容物損傷、取り違えの品質条件。
2. 技術・データ要件
- 3Dビジョンの配置、照明、死角、清掃、校正方法。
- 認識信頼度、再撮像、把持候補、取り出し順のロジック。
- ロボットハンドの適用範囲、ツール負荷、交換・点検条件。
- PLC、WMS/MES/ERP、バーコード、設備ログのインターフェース。
- レシピ、箱台帳、画像、点群、イベントログの保管と権限。
3. 安全・運用要件
- リスクアセスメント、適用規格、安全要求仕様、検証計画。
- 非定常作業、ロックアウト/タグアウト、手動復旧、教育。
- 予備品、消耗品、診断、遠隔支援、サイバーセキュリティ。
- ソフトウェア更新、箱追加、バックアップ、復元、変更管理。
4. 提出物
- 構想図、レイアウト、タクト内訳、能力計算、負荷計算。
- 対象箱マトリクス、認識/把持試験結果、例外一覧。
- I/O、ネットワーク、データ項目、アラーム、ログ仕様。
- 安全文書、FAT/SAT手順、教育教材、保全標準、予備品表。
- ソース・設定・バックアップ・ライセンス・復旧手順の引渡し条件。
FAT:良品デモではなく限界と復旧を確認する
FATは供給者側環境で、設計が合意した要求を満たすかを確認する機会です。工場と完全に同じ環境ではないため、FATで確認できる項目とSATへ持ち越す項目を明示します。
FATテスト群
| テスト群 | 例 | 合否の決め方 |
|---|---|---|
| 通常 | 代表SKU、代表積み付け | 認識、把持、排出、損傷、持続能力 |
| 境界 | 最大/最小、重量端、光沢、柔らかい箱 | 箱台帳の条件付き範囲を確認 |
| 混載 | 異なる寸法・高さ・向きの組合せ | 取り出し順、干渉、識別、引渡し |
| 異常 | 潰れ、ずれ、隙間なし、フィルム残り | 拒否、再試行上限、隔離、通知 |
| 故障 | カメラ、真空、センサー、通信の異常 | 安全状態、診断、復旧、ログ |
| 安全 | 扉開、侵入、非常停止、再起動 | 停止、リセット、予期しない起動防止 |
| 保全 | カップ交換、校正、バックアップ復元 | 時間、工具、権限、手順の実用性 |
合否判定には、テストID、前提条件、箱台帳版、ソフトウェア版、期待結果、実測結果、証拠、逸脱、是正期限、再試験を持たせます。成功例だけの動画ではなく、失敗を含む生ログを保管します。性能値は供給者が準備した最適箱だけでなく、合意した構成比で集計します。
SAT:タイ工場の現実条件で受入判定する
SATでは、実際の床、照明、温湿度、電源、空圧、ネットワーク、上流・下流設備、作業者、シフトで確認します。FAT通過はSAT合格を自動的に意味しません。
SAT開始前に、パレット位置決め、フィルム除去、コンベヤ、WMSデータ、作業標準が準備できているかを確認します。設備側だけを試し、上流が仮運用のままでは実効能力を評価できません。反対に、発注者側の準備不足を設備性能の未達と混同しないよう、前提条件を記録します。
SATで見る四つの時間軸
- 単発:各SKU、境界箱、異常シナリオの機能確認。
- 連続:代表構成で、熱、汚れ、漏れ、データ滞留を含む持続確認。
- シフト:休憩、パレット交換、清掃、人の呼出しを含む運用確認。
- 期間:仕入先ロット、天候、シフト、品種変動をまたぐ安定性確認。
必要な時間やサンプル数は案件リスクに応じて合意します。短いデモだけで長期稼働を推定せず、段階検収や性能保留を用いて残る不確実性を管理します。
受入判定会議で答える質問
- 箱台帳の対象範囲で、どの荷姿が自動、条件付き、手動になったか。
- 認識失敗、把持失敗、落下、損傷、誤搬送はどの条件に集中したか。
- 例外から安全に復旧でき、現場が手順を再現できたか。
- 実効能力は必要量を満たし、上流・下流の停止を含めても余裕があるか。
- 安全機能と非定常作業が検証され、残存リスクが承認されたか。
- ソフト、レシピ、台帳、ログ、文書、教育、予備品が引き渡されたか。
- 未解決項目に責任者、期限、再試験、支払・検収との関係があるか。
投資判断は「自動化率」だけで行わない
デパレタイズ自動化の便益には、人の持ち上げ作業削減、供給安定、夜間対応、データ化、品質の均一化などがあります。一方で、設備投資、保守、消耗品、電力・空圧、品種登録、例外対応、停止時の代替人員、スペース、安全対策が必要です。自動処理率だけが高くても、例外復旧に長時間かかる、箱損傷が増える、下流が追いつかないなら事業価値は出ません。
評価では少なくとも、完成箱数、有人介入時間、損傷・誤搬送、停止時間、消耗品、保全工数、床面積、教育負荷を現状と比較します。ROIを断定するには案件固有の数量と費用が必要です。本記事は根拠のない回収年数を示しません。
タイBOIの2026年第1四半期公表では、Smart and Sustainable Industryに61件、7,071百万バーツの申請があり、機械更新や自動化などが含まれます。この数字は個別のデパレタイジング投資の採算を保証しませんが、設備高度化が投資テーマとして継続している背景を示します。優遇措置の適用可否や最新条件は、案件ごとにBOI等の公式窓口へ確認してください。
よくある質問
デパレタイズ自動化とは何ですか?
パレット上の箱や荷物をロボット、ビジョン、ハンド、搬送装置で取り出し、次工程へ渡す自動化です。実務では単なる持ち上げではなく、対象認識、取り出し順、落下防止、例外復旧、安全制御、上流・下流連携まで含むセルとして考えます。
デパレタイジングロボットは混載パレットにも対応できますか?
可能な構成はありますが、「混載」の範囲次第です。登録済み複数SKUと完全未知箱では難易度が違います。箱台帳、最悪荷姿、認識信頼度、把持可否、取り出し順、対象外判定を自社サンプルでFAT/SAT確認してください。
ロボットハンド選定で最も重要なことは何ですか?
最大重量だけでなく、実際にシール/接触できる面、箱強度、重心、隣箱からの分離、動的負荷、停電・漏れ時の保持、消耗品交換を一体で見ることです。一つの方式に全箱を無理に合わせず、対象外や複合方式も比較します。
3Dビジョン デパレタイジングの認識率は何%必要ですか?
一律の割合はありません。誤認識の危害、再撮像の時間、人確認の負荷、荷姿構成で必要条件が変わります。平均認識率だけでなく、誤った動作につながる誤認識、荷姿別の失敗、信頼度低下時の安全側動作をGateにします。
カタログのcycles/hをそのままライン能力にできますか?
できません。箱、積み方、認識、再撮像、把持、移動距離、排出、パレット交換、例外、下流待ちの条件が違います。カタログ値は候補比較の参考とし、合意した荷姿構成での持続能力とシフト能力を測ります。
FATとSATの違いは何ですか?
FATは主に供給者側で設計機能と限界を確認し、SATは設置先で実環境・周辺設備・作業者を含めて受入判定します。両者のテストIDと未確認項目をつなぎ、FATで代替条件だった項目をSATで閉じます。
未知箱が来たら完全停止させるべきですか?
危険度と工程設計によります。自動で安全な隔離へ送れる場合、人確認後に再開できる場合、セルを停止して除去すべき場合を事前分類します。重要なのは、低信頼の対象を無理に把持せず、状態と復旧手順が明確なことです。
まとめ:箱台帳から安全までを一つの受入判定にする
デパレタイズ自動化は、ロボット速度だけでは選べません。未知/混載パレットを対象にするなら、箱台帳で境界を定義し、3D認識の信頼度、ロボットハンドの分離・保持、実効フロー、例外復旧、非定常作業の安全を一続きのタスクとして測る必要があります。RFPで証拠の形を決め、FATで限界と故障を試し、SATでタイ工場の実条件へ接続することで、カタログ比較から受入可能な投資判断へ進めます。
TOMAS TECHでは、箱台帳の作成、現場調査、RFP要件整理、ベンダー比較、FAT/SAT計画の段階から相談できます。設備仕様が固まる前でも、対象荷姿と例外の切り分けから検討可能です。TOMAS TECHへ問い合わせる。