生成AIのアカウントは配ったのに、使っているのは一部の人だけ。PoCは成功したのに、業務フローは何も変わっていない。帝国データバンクの調査では業務で生成AIを活用している企業は34.5%まで増えましたが、一方で導入企業の管理職の7割超が「使いこなせない層による業務支障」を感じています。ツールを入れる工程と、現場で回り続ける状態を作る工程は別物です。本記事では、導入後の定着と成果の継続を担うAI活用の伴走支援について、何を頼めるのか、内製化支援や受託開発とどう違うのか、タイ・ASEAN拠点では何が追加で必要になるのかを整理します。
なぜ生成AI導入は「入れて終わり」で失敗するのか
導入率は伸びた。ただし成果の分布は偏っている
帝国データバンクが2026年3月17日から31日にかけて実施した「生成AIに関する企業の動向調査」には10,312社が回答しました。業務で生成AIを「活用している」と答えた企業は34.5%。企業規模別では次のように差が出ています。
| 企業規模 | 生成AIを業務で活用している割合 |
|---|---|
| 大企業 | 46.5% |
| 中小企業 | 32.4% |
| 小規模企業 | 28.0% |
そして活用している企業の86.7%が効果を実感していると答えました。内訳は「大いに効果が出ている」が25.2%、「やや効果が出ている」が61.5%です。
この数字の並びは、一見すると明るい話に見えます。しかし読み方を変えると別の絵が浮かびます。効果実感の86.7%は、あくまで「活用している」と答えた3社に1社の中での比率です。しかもその大半は「やや効果が出ている」で、「大いに効果が出ている」と言い切れた企業は活用企業の4分の1にとどまります。つまり多くの企業は、導入はしたが手応えが弱い、という中間地点で止まっています。
止まっている理由は「使う人が限られる」こと
止まっている中身をより直接的に示したのが、2026年1月28日から29日にかけてPRIZMAリサーチが実施した生成AI利用実態調査です。生成AIを導入済みの企業の管理職・マネージャー1,008人に聞いたところ、「使いこなせない層による業務支障」を感じている人が7割を超えました。内訳は「とてもそう思う」が22.2%、「ややそう思う」が49.1%です。
これは技術の問題ではありません。同じツール、同じライセンス、同じ社内ルールのもとで、片方の人は日々の資料作成を新しいやり方に切り替え、もう片方の人はブラウザのタブを開いたまま結局使わずに閉じている。この差が組織の中に固定化されると、使える人に仕事が寄り、使えない人の工程がボトルネックになり、全体としては前より複雑になります。「導入したのに業務が楽になっていない」という感覚の正体はここにあります。
全社展開まで届く企業はごく一部
同じ構造は、AIエージェントの領域でより鮮明に出ています。マッキンゼーの調査レポート「The state of AI in 2025」によれば、企業の62%がAIエージェントへの関心を持ち実験を開始している一方、全社規模で展開できているのは23%にとどまります。さらに全社レベルでEBITに5%以上貢献している企業はわずか6%です。
| 段階 | 到達している企業の割合 |
|---|---|
| 関心を持ち実験を開始している | 62% |
| 全社規模で展開できている | 23% |
| 全社レベルでEBITに5%以上貢献 | 6% |
注目すべきは、このレポートが停滞の要因を技術側ではなく組織側に置いている点です。具体的には、業務プロセスを再設計できているか、責任の所在が明確になっているか、失敗を許容する文化があるかが分岐点として挙げられています。モデルの性能が足りないから止まっているのではなく、「誰がその業務のやり方を変える権限を持つのか」「うまくいかなかったとき誰が判断するのか」が決まっていないから止まる、ということです。
課題リストは「導入前」ではなく「導入後」に効いてくる
帝国データバンクの調査では、生成AIの活用にあたっての懸念・課題も聞いています。以下は3つまでの複数回答です。
| 懸念・課題 | 回答割合 |
|---|---|
| 情報の正確性 | 50.4% |
| 専門人材・ノウハウ不足 | 41.3% |
| 活用すべき業務範囲 | 40.0% |
| 情報漏洩のリスク | 33.5% |
| ルール整備 | 25.5% |
この5項目を「導入を検討するときの不安」として読むと、対策は「導入前に検討会をやる」で終わってしまいます。しかし実際には、5項目すべてが導入した後に本番を迎えます。情報の正確性は、現場が業務判断に使い始めて初めて問題になります。活用すべき業務範囲は、一通り触ってみないと切り分けられません。ルール整備は、想定外の使われ方が出てきてから追いつく作業です。
PwC Japanの「生成AIに関する実態調査2026春」の6カ国比較でも、生成AIの効果創出には「AI Readiness」、すなわち業務・データ・プロセスへの実装力が前提になることが示されています。ツールの選定能力ではなく、自社の業務とデータにどこまで食い込ませられるかが分岐点になる、という指摘です。
導入後に発生し、導入後にしか解けない課題群がある。ここが伴走支援という支援形態が必要になる理由です。
「伴走支援」とは何か|内製化支援・受託開発との違い
定義
NTT東日本のコラムでは、伴走支援を「新しいテクノロジーやツール・サービスなどの導入を検討する段階から、実際の業務活用、そして現場への定着や自走までを一貫して支援する取り組み」と説明しています。ポイントは範囲が「検討段階から自走まで」で切れていないことです。検討だけ、構築だけ、研修だけ、と工程で切り売りするのではなく、成果が出て運用が回るまでを一本の線で見る形態を指します。

受託開発・内製化支援との違い
AI関連の外部支援は、大きく三つの形に分かれます。名前は似ていますが、契約の目的物も、終わり方も、リスクの持ち方も違います。
| 観点 | AI受託開発 | 内製化支援 | 伴走支援 |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | 動くシステムを納める | 社内に作れる人材と体制を作る | 業務での定着と成果の継続 |
| 成果物 | アプリケーション、モデル、API | スキル、開発標準、社内ドキュメント | 業務プロセスの変更、運用ルール、効果の数値 |
| 関与の終わり方 | 検収で完了 | スキル移転が完了したら離脱 | 自走できる状態を確認して段階的に縮小 |
| 主なKPI | 納期、品質、仕様充足 | 内製できる範囲の拡大 | 利用率、対象業務の処理時間、削減額 |
| 起こりがちな失敗 | 納品されたが使われない | 学んだが業務が変わらない | 目的が曖昧なまま作業代行になる |
受託開発が悪いわけでも、内製化支援が劣るわけでもありません。作るべきものが明確なら受託開発が最短ですし、恒常的に手を入れ続ける領域なら内製化が正解です。ただし「導入したのに現場で使われない」という状態に対しては、どちらも直接の解決策になりません。作る契約は作り終われば終わり、教える契約は教え終われば終わるからです。使われるまで見る、という約束をしているのが伴走支援です。
どの層を自社で持ち、どの層を外に出すかという切り分けそのものについては、AI内製化支援|内製か外注かではなく層ごとに持つ場所を決めるで層別の考え方を整理しています。また、開発を外に出す場合の契約・見積の落とし穴はAI開発会社の選び方2026|AI受託開発の契約・見積で外す急所にまとめています。本記事はその手前でも後でもなく、「導入したものを現場に定着させ、成果を出し続ける」工程そのものを扱います。
伴走支援で実際に何をやるのか
抽象的な言葉になりやすいので、典型的な作業を具体的に挙げます。
- 現場の業務を観察し、生成AIやAIエージェントを差し込める工程を洗い出す
- 洗い出した工程に優先順位を付け、着手する順番と判断基準を決める
- プロンプトや設定を業務の型に合わせて作り込み、部署ごとのテンプレートとして配る
- 利用ログと業務指標を突き合わせ、使われている業務と使われていない業務を分ける
- 使われていない理由を現場に聞き取り、ツール側を直すか業務側を直すかを判断する
- 誤出力や情報漏洩のリスクが顕在化した箇所に、確認手順やガードレールを追加する
- 部署ごとの推進担当を育て、外部支援の関与を段階的に減らす
いずれも「一度やって終わり」にならない作業です。人事異動があれば使い手が入れ替わり、モデルが更新されれば挙動が変わり、業務が変われば差し込む場所も変わります。定期的に手を入れ続ける前提で設計されているのが、この支援形態の本質です。
伴走支援がもたらす3つの効果
効果1|現場定着
最も分かりやすい効果は、使う人が増えることです。ただし「全社員が毎日使う」を目標にすると失敗します。定着とは利用率の数字を上げることではなく、特定の業務が新しいやり方に置き換わって元に戻らない状態を指します。
置き換わる条件は三つあります。第一に、その業務の担当者にとって明確に速いか楽になること。第二に、うまくいかなかったときの逃げ道が用意されていること。第三に、やり方が個人の工夫ではなくチームの標準として書かれていることです。伴走支援では、この三つが揃うまで対象業務を絞り込み、揃ったら次の業務に移る、という進め方を取ります。前述の「使いこなせない層による業務支障」を7割超の管理職が感じているという状況の背景にも、標準化されたやり方が配られていないという事情があります。
効果2|ROIの可視化
伴走支援の途中で必ず突き当たるのが、「で、いくら効果が出たのか」という問いです。ここを曖昧にしたまま進めると、予算の更新時期に説明できず打ち切りになります。

効果測定は導入後に慌てて設計しても間に合いません。対象業務の処理時間や件数を、着手する前に一度測っておく必要があるからです。伴走支援では対象業務を決めた時点で「何を、いつ、どう測るか」を同時に決めます。測定の設計と実務への落とし込みは、AI導入の効果測定とROI設計|生成AIの成果を数値化する手順で手順を詳しく扱っています。
なお、マッキンゼーの調査でEBITに5%以上貢献している企業が6%しかいないという数字は、効果そのものが乏しいことの表れであると同時に、効果を全社の財務指標まで接続できている企業が少ないことの反映でもあります。部署単位の削減時間を積み上げても、それが人員配置や外注費の変更に結び付かなければ財務には現れません。この接続を誰が担うのかを最初に決めておくことが重要です。
効果3|失敗の回避
三つ目は、既に知られている失敗の型を踏まないことです。PoCで止まる、対象業務が広すぎて成果が薄まる、責任者が不在で判断が滞る、誤出力の責任範囲が決まっておらず現場が使うのを怖がる。こうした型は繰り返し観測されており、事前に手を打てます。生成AI導入が停滞する構造については、生成AI導入の失敗2026|95%が停滞する構造とタイ拠点の分岐点で詳しく分解しています。
三つの効果は独立していません。定着していなければ測る対象がなく、測っていなければ失敗にも気付けません。順番としては、対象業務を絞る、測り方を決める、定着させる、数字で確認する、という循環になります。
| 効果 | 見るべき指標 | 確認のタイミング |
|---|---|---|
| 現場定着 | 対象業務の処理件数のうち新しいやり方で処理された割合 | 月次 |
| ROI可視化 | 対象業務の処理時間、削減額、実際の費用配分の変化 | 四半期 |
| 失敗回避 | 停滞している施策の件数、判断が止まっている論点の数 | 月次 |
タイ・ASEAN拠点特有の壁
導入率は高い。だが本社と同じやり方は通らない
UOBが2026年6月30日に発表したBusiness Outlook Study 2026では、265社の経営層・意思決定者への調査をもとに、タイの中小企業の7割超が既にAIを導入していると報告されています。これは地域平均を上回る水準です。導入企業のうち58%がコスト削減、44%が生産性向上を報告しており、製造業は運営費用の高さとサプライチェーンの複雑さから、コスト圧力が最も強い業種の一つとされています。
つまりタイでは「AIを入れるかどうか」の議論は既に終わりつつあり、入れた後にどう回すかが競争条件になっています。ただしその「どう回すか」は、日本本社でうまくいったやり方をそのまま持ち込んでも成立しません。

追加で効いてくる論点
| 壁 | 現場で何が起きるか | 伴走支援での打ち手 |
|---|---|---|
| 多言語 | 日本語で作られた手順書とプロンプトがタイ人スタッフに使われない | 業務手順とプロンプトをタイ語・英語で整備し、用語集を共通化する |
| 現地スタッフ教育 | 一度の集合研修で終わり、異動・入れ替わりで振り出しに戻る | 部署ごとの推進担当を育て、教育を採用・配属の手順に組み込む |
| 個人情報保護 | PDPAへの対応を誰が判断するのか決まっておらず、現場が使用をためらう | 扱ってよいデータの区分を業務単位で定義し、判断基準を文書化する |
| 二重ガバナンス | 本社の全社ルールと現地の実務が食い違い、承認が滞る | 本社ルールを現地業務に翻訳した運用手順を作り、例外の申請経路を決める |
| 人員規模 | 情報システム担当が数名で、通常業務に追われ推進の時間が取れない | 外部が手を動かす範囲と現地が担う範囲を明示的に分担する |
特に見落とされやすいのが三つ目と四つ目です。個人情報保護法への対応は、法務の論点であると同時に現場の使用可否の論点です。「この顧客リストを要約に使ってよいか」が判断できないと、現場は安全側に倒して使わなくなります。禁止事項の一覧ではなく、扱ってよいデータを業務単位で示すことが定着には効きます。
また、日本本社が定めた全社ルールが現地の実務と噛み合わないケースも頻繁に起こります。本社は本社の事情でルールを作っており、現地の業務量や人員構成を前提にしていないためです。ここは本社と現地の間に立って、ルールの意図を保ったまま現地の手順に翻訳する役割が要ります。伴走支援のパートナーを現地に置く意味は、この翻訳作業を継続的に担える点にあります。
言語は「訳す」ではなく「業務の型ごと移す」
多言語対応は翻訳の問題として扱われがちですが、実務ではもう少し厄介です。日本語の業務手順書には、書かれていない前提が大量に含まれています。誰に確認するのか、どこまでなら自分で判断してよいのか、例外が出たらどうするのか。これらが暗黙のまま日本語で回っていた業務を、そのままタイ語に訳しても機能しません。
生成AIを業務に差し込むときは、この暗黙の前提を言語化する必要があります。プロンプトや業務ルールとして明文化する作業は手間ですが、副産物として業務そのものが整理されます。多言語拠点での伴走支援が、単なるAI導入以上の効果を生むことがあるのはこのためです。
伴走支援パートナーの選び方|4つの確認ポイント
確認ポイント1|定着化支援と教育プログラムを持っているか
NTT東日本のコラムでも、初期段階の導入支援だけでなく運用フェーズに入ってからの支援が欠かせないこと、そのために継続的な教育とガイドライン整備が必要であることが指摘されています。支援先を選ぶときの確認ポイントも、まさにここに置くべきです。提案書に「導入支援」と書いてあっても、その中身が初期設定とキックオフ研修だけで終わっている場合があります。
確認すべきは、導入から半年後・一年後に何をする契約になっているかです。定例で何を見るのか、誰が参加するのか、指標が改善しなかったときに何を変えるのか。ここが具体的に書けるパートナーは、実際に定着まで見た経験があります。
確認ポイント2|セキュリティとデータの扱いを業務レベルで語れるか
「弊社のサービスはセキュアです」で止まる説明は判断材料になりません。必要なのは、自社の業務データをどこまで入力してよいのか、入力したデータがどこに残るのか、残るとしたら誰が消せるのかという、業務判断に使える粒度の説明です。
帝国データバンクの調査で情報漏洩のリスクを課題に挙げた企業が33.5%、情報の正確性が50.4%という数字は、この粒度の説明が現場に届いていないことの表れでもあります。判断基準が現場に届いていないと、使ってよいはずの業務まで止まります。
確認ポイント3|効果測定を最初から設計に入れているか
PwCの調査が示す「AI Readiness」の考え方に沿えば、効果を出せるかどうかは業務・データ・プロセスへの実装力で決まります。実装力を確認する簡単な方法は、提案の段階で「何をもって成功とするか」を数字で示せるかを見ることです。
利用率だけを成功指標に置く提案は要注意です。利用率は上がっても、業務時間も費用も変わらないケースが実際にあります。対象業務の処理時間、処理件数、外注費や残業時間の変化まで、測る対象を業務指標に接続できているかを確認してください。
確認ポイント4|現場の業務と現地体制を理解しているか
製造業の拠点であれば、生産管理、品質、購買、経理、人事で業務の性質が大きく違います。生成AIが効く工程も、リスクの出方も工程ごとに異なります。業種・業務の理解がないパートナーは、どこから手を付けるかの優先順位を付けられず、結果として「全社で使いましょう」という薄い提案になります。
加えて、タイ拠点であれば現地に体制があるかどうかが実務の速度を決めます。時差と言語を挟んだ支援は、月次の定例までは回っても、現場で詰まったときの数日単位の対応ができません。
| 確認項目 | 良い回答の例 | 危うい回答の例 |
|---|---|---|
| 支援期間 | 半年後・一年後の実施内容まで契約に書かれている | 導入時の研修とマニュアル提供まで |
| データの扱い | 業務単位で入力可否の基準を示せる | 一般論としてのセキュリティ説明 |
| 成功指標 | 対象業務の処理時間と費用の変化 | 利用率とアカウント数 |
| 体制 | 現地に担当がいて、現場で確認できる | 全て遠隔とオンライン会議で対応 |
TOMAS TECHのAI活用伴走支援
TOMAS TECHはバンコクを拠点に、日系製造業向けの生産管理・エネルギー管理システムの導入と、工場のIT・DXの実行支援を行っています。AI領域では、ツールの導入そのものよりも、導入したものが現場で回り続ける状態を作る工程に重心を置いています。
具体的には、対象業務の洗い出しと優先順位付け、業務に合わせたプロンプトと運用手順の整備、日本語とタイ語での手順書・教育コンテンツの作成、利用状況と業務指標のモニタリング、推進担当の育成までを一続きで支援します。日本本社のルールと現地実務のすり合わせや、個人情報の取り扱い区分の整理といった、拠点特有の詰まりどころにも現地で対応できる体制を取っています。
生産管理システムの導入で工場の業務プロセスに入ってきた経験があるため、どの工程が数字で管理されていて、どの工程が人の判断で回っているかを踏まえた上で、AIを差し込む場所を選べる点が特徴です。既に他社のツールを導入済みで、そこから先が進まないという段階からの相談にも対応しています。
よくある質問
AI活用の伴走支援とは?
生成AIやAIエージェントの導入検討から、実際の業務での活用、現場への定着と自走までを一貫して支援する取り組みです。システムを納品して終わる受託開発や、スキルを移転して終わる内製化支援と違い、対象業務が新しいやり方に置き換わって成果が数字で確認できる状態になるまで、継続的に関与するのが特徴です。定期的な業務の見直し、プロンプトや運用手順の改善、利用状況のモニタリング、推進担当の育成などが主な作業になります。
AI導入の相談はどこにすればいい?
何に困っているかで相談先が変わります。作りたいものが決まっていて開発リソースが足りないなら開発会社、社内に開発体制を作りたいなら内製化支援、既に導入したが現場で使われていないなら伴走支援型のパートナーが適しています。タイ拠点であれば、現地に体制があり、日本本社のルールと現地実務の両方を理解できる相手を選ぶと、判断待ちで止まる時間を減らせます。判断がつかない段階では、まず現状の業務と困りごとを整理するところから一緒に見てくれる相手に相談するのが早道です。
社内でAIを構築するには何から始めればいい?
ツールの選定からではなく、対象業務の選定から始めるのが定石です。処理件数が多く、手順が決まっていて、間違えても取り返しがつく業務が最初の候補になります。次に、その業務の現在の処理時間と件数を測っておきます。この事前の測定がないと、後から効果を説明できません。その上で小さく試し、うまくいった手順をチームの標準として文書化し、次の業務へ広げます。層ごとに自社で持つ範囲を決める考え方はAI内製化支援の記事で詳しく扱っています。
伴走支援の費用相場は?
支援範囲と関与の頻度で大きく変わるため、一律の相場を示すのは適切ではありません。費用を比較するときは金額だけでなく、月あたりの関与時間、対象業務の数、現地対応の有無、教育コンテンツ作成が含まれるかを揃えて比べてください。安価に見えても定例会議だけで実作業が含まれない契約と、業務手順の作成まで含む契約では中身が異なります。判断の目安としては、対象業務で削減が見込める時間と費用を先に試算し、その範囲に収まるかで検討するのが現実的です。
まとめ
生成AIの導入率は上がりました。帝国データバンクの調査では34.5%の企業が業務で活用し、活用企業の86.7%が効果を実感しています。しかし全社レベルでEBITに5%以上貢献できている企業は6%にとどまり、導入企業の管理職の7割超が使いこなせない層による業務支障を感じています。この差を埋めるのは新しいモデルでも新しいツールでもなく、対象業務を絞り、測り方を決め、現場の手順に落とし込み、使われ続ける状態を維持する地道な工程です。
伴走支援は、その工程を外部と一緒に回すための支援形態です。受託開発が作ることを、内製化支援が作れるようになることを目的とするのに対し、伴走支援は使われて成果が出ることを目的にします。パートナーを選ぶ際は、定着化支援と教育プログラムの有無、業務レベルで語れるデータの扱い、効果測定の設計、現場業務と現地体制の理解という四点を確認してください。タイ・ASEAN拠点では、多言語対応、現地スタッフの教育、個人情報保護法への対応、本社ルールとの二重ガバナンスが追加で効いてきます。
既にツールを入れてしまった後からでも、進め方を組み直すことはできます。むしろ一度触った経験がある組織のほうが、どこで詰まるかの実感を持っている分、次の一手は決めやすくなります。
AIを入れてみたが次に何をすべきか決めきれない、社内で使う人が広がらない、効果を説明する数字が作れない。そうした段階でも構いません。現状の業務と困りごとを一度整理するところからご相談いただけます。まだ検討段階で、依頼するかどうかも決まっていないという状態でも問題ありません。ご相談はお問い合わせページから受け付けています。